「なぜあの時・・・」



ペンシルバニア州立大(ペンステート)に呪いのごとく張り付いているのが「サンダスキー事件」です。この事件はペンステートのレジェンダリーヘッドコーチ、ジョー・パターノ(Joe Paterno、故人)氏の右腕として長くチームに関わっていた元ディフェンシブコーディネーターのジェリー・サンダスキー(Jerry Sandusky)氏が複数の男児に性的虐待を行っていたと言うスキャンダルに始まる一連の事件です。

タグ:サンダスキー事件

サンダスキー被告自身はすでに40年以上の懲役を課せられ今のところ上告中ですが、さらにその余波を受けサンダスキー被告の犯罪を止められなかった、もしくは止める気がなかったという罪で当時の大学長であるグラハム・スパニアー氏、そして体育局長だったティム・カーリー氏も罪に問われ有罪判決を受けました。そしてカーリー氏は3ヶ月、スパニアー氏は2〜3ヶ月の刑務所入りが言い渡されたのです(スパニアー氏は上告中)。

とうとう大学のトップが監獄入りという判決に至ってしまったこの事件。事件が明るみになったのが2011年ですから5年以上が立っていますが、未だに「ペンステート=サンダスキー事件」という印象は拭いきれません。

元を正せばパターノ氏の学生コーチであった人物がサンダスキー被告が男児を虐待している場面に出くわし、それをパターノ氏に報告するも、パターノ氏が適切な処置を下さなかった事で彼に批判が集まったのです。実際のところパターノ氏は大学内部の人間に報告したというのですが、それが警察沙汰になることはありませんでした。そういった意味ではパターノ氏は最低限の事はやったと言えますが、多くの人々はパターノ氏はもっと突っ込んだ処置をすべきだったと批判しています。

この事件が公になり全米中の話題をかっさらった時に行ったパターノ氏の会見で、彼は「あの時もっと行動を起こすべきだった」と彼が十分な行動を起こさなかった事を認めました。しかしそれは時既に遅し、だったのです。

そう思っているのはスパニアー氏に判決を下したジョン・ボカベラ判事も同じです。

「パターノ氏はあの時(適切な機関に)電話をかけるだけで良かった。そうすれば彼にこんな非難が集まる事は無かったでしょう。なぜそうしなかったのか・・・それは私には全く理解が出来ません。」

パターノ氏はペンステートに40年以上携わってきた監督でした。そしてイタリア移民の気質なのか、彼はチームの関係者を家族のように扱ってきたといいます。サンダスキー被告もまたパターノ氏の下でプレーし、そしてコーチとしても長い事パターノ氏のアシスタントコーチとして働いてきました。言わばサンダスキー被告はパターノ氏の家族とでも言える存在だった事でしょう。そんな彼をパターノ氏が告発出来なかった、としてもそれは驚く事では有りません。もちろん彼らの事を肯定する事はできませんが。

以前にも書きましたが、パターノ氏は現在でもFBSで最多勝利監督として記録に残っており、またペンステートを愛して止まない人物でありましたが、この事件のせいで彼への評価はがた落ちになってしまいました。これを修復するのは並大抵の事では有りません。事件の事が事なだけに。それだけにボカベラ判事の言葉は多くの人の心を代弁するものになったのです。

ただ残念でなりません。

因みにアメリカの有料ケーブルテレビ局のHBOではサンダスキー事件を題材にしたドラマを制作すると先日発表しましたが、パターノ氏役にはあのアル・パチーノが抜擢されたという事です。

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