2016年度シーズン第7週目 – One-Horse Race? –

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核の違いを見せつけたアラバマ大

アラバマ大 49、テネシー大 10

アラバマ大のファンの人もそうでない人も、先週末のアラバマ大の試合を見て彼らが文句なく現時点において全米で最も強いチームであると思い知らされたと思います。それくらいアラバマ大がテネシー大を圧倒した試合でした。テネシー大のホームで行われたこの試合、10万人を越す大観衆はライバルである全米ナンバーワンチームから大金星を奪うことを願い大歓声を上げましたが、そんな超アウェーの中でもアラバマ大は動じずテネシー大を圧倒。49対10というスコアはこれまでアラバマ大がトップ10チーム相手に奪った点差の中で史上最大のものとなりました。

先週16位のアーカンソー大を49対30で下したのに続き、これで2週連続SECチームで高順位のチームから大量得点を奪ったことになります。強豪ひしめくSECチームからこんなことを成し遂げるのはそう簡単ではありませんが、アラバマ大はそれをいとも容易くやってのけてしまいました。

その原動力は圧倒的なディフェンス陣です。全米を見渡してみてもアラバマ大のフロントセブンほど相手OLに容赦ないプレッシャーをかけ続けられるユニットは他に見当たりません。そしてDB陣も毎試合ごとINTからTDを奪えるほどの力を持っています。実際今季のアラバマ大ディフェンスはスペシャルチームと合計すると実に11つものTDを相手チームから奪っています。

唯一の弱点と思われたQBポジションですが、1年生のジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)はこれまでルーキーとは思えない活躍を見せ、それは試合を追うごとに顕著です。確かにテネシー大戦では全米トップレベルのDLデレク・バーネット(Derek Barnett)率いるフロントセブンに手こずる場面も多少見せました。が、これまた全米トップレベルのOLのおかげでテネシー大のプレッシャーも長くは持たず、結果アラバマ大オフェンスは5つのTDを含むトータル594ヤードをテネシー大ディフェンスから奪ったのでした。

これで7勝目を挙げたアラバマ大は他のトップチームが辛くも勝利を挙げている中で確実にその集団から頭一歩抜け出た印象を残してくれました。来週は現在6位のテキサスA&M大の大一番を控えますが、アラバマ大のホームでもあり、この調子だとテキサスA&M大もアラバマ大の餌食となりかねません。

オハイオ州立大、辛くも逃げ切る

オハイオ州立大 30、ウィスコンシン大 23(オーバータイム)

Big Tenカンファレンス同士の激突となった全米2位のオハイオ州立大と8位のウィスコンシン大の大一番。攻守ともに力は五分と見られていたこのマッチアップはその予想に違わず拮抗。試合はオーバータイムまでもつれ込む接戦となりました。

共に強力なディフェンスとランオフェンスがモットーのチーム。どちらのチームも各々の面でポテンシャルを十分に発揮していましたが、特にお互い鉄壁のディフェンスといわれていた相手にそれぞれの地上戦力が火を噴いた試合でした。ウィスコンシン大RBコーリー・クレメント(Corey Clement)はオハイオ州立大守備陣に対し164ヤードも足で稼ぎ、またオハイオ州立大QBのJ.T.バレット(J.T. Barrett)パスで1TDを含む226ヤードを稼いだだけでなくランでも2TDを含む92ヤードを獲得。チーム全体でもウィスコンシン大のディフェンス相手に合計で約200ランヤードを記録。古き良きBig Tenフットボールを見ているようでした。

第4Q終了時に23対23としてオーバータイムに突入したこのゲーム。ベテランQBであるバレットに対してこの試合ほぼ全般に置いて彼を凌駕していたウィスコンシン大の1年生QBアレックス・ホーニブルック(Alex Hornibrook)でしたが、肝心要のシーンで最大のミスを犯し試合を落としました。オーバータイム先攻のオハイオ州立大はバレットからWRノア・ブラウン(Noah Brown)への7ヤードパスが決まりスコアを30対23とし、ウィスコンシン大にTDを奪わざるを得ないというプレッシャーをかけます。後攻のウィスコンシン大はホーニブルックの21ヤードパスで一気にオハイオ州立大陣内4ヤードへ進行しますが、ここからの4ヤードが遠かった。最後のプレーの4th&ゴールという状況、スコアするしか後が無いウィスコンシン大でしたがここでホーニブルックがQBサックを食らってしまい万事休す。ここまで素晴らしいプレーを見せてきたホーニブルックでしたが、最悪のタイミングで最悪の判断ミスを犯してしまったのでした。

バレットはこの試合で元チームメートのブラクストン・ミラー(Braxton Miller)が保持していたチーム史上最多TD数を更新(89)。この日はパスの面では苦労しましたが、ここぞというところで重要なパスを決めるなどチームリーダーとしてどんな形でも勝利を奪うことに貢献。辛くも無敗を守りました。一方のウィスコンシン大はミシガン大戦に続きこの試合でも彼らが全米トップレベルのチームである事を証明してくれましたが、残念な事にこれで2敗目を喫してしまったことになり、プレーオフ進出どころかBig Tenタイトル争いでも大きく後退することになってしまいました。

クレムソン大も運良く逃げ切る

クレムソン大 24、ノースカロライナ州立大 17

上記のオハイオ州立大vsウィスコンシン大戦に先立ち行われた、全米3位クレムソン大ノースカロライナ州立大との一戦もオーバータイムの末にクレムソン大が辛くも逃げ切ると言う白熱した試合となりました。

予想を遥かに超えてクレムソン大に立ちはだかったノースカロライナ州立大。17対17の同点で迎えた試合終了残り2秒という状況でノースカロライナ州立大はFGを決めれば全米3位チームから大金星を奪えるチャンスを得ましたが、キッカーのカイル・バンバード(Kyle Bambard)がこの33ヤードFGを外し試合はオーバータイムへ突入。最大のチャンスを生かせなかったノースカロライナ州立大に余力は無く、クレムソン大QBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)がTDを奪い後が無かったノースカロライナ州立大は最後のチャンスのパスが無情にもインターセプトされ、またとない勝利のチャンスを逃しました。

この日のクレムソン大は全米3位らしからぬ戦い振りで結果的に勝ったものの負けていてもおかしくない状態でした。ワトソンはパスINTを犯し、チームとして3度もボールをファンブル。普通ならノースカロライナ州立大相手に苦戦している場合ではないのですが、「奇麗な形でなくても必ず勝つ」という経験は今後活かされる事でしょう。しかしながら昨年ならば相手のレベルに合わせて試合をするような展開は一度も無かった事を考えると不安材料でないとは言い切れません。特にアラバマ大ミシガン大がどんな相手でも一刀両断している試合っぷりを見るとクレムソン大がこれらのチームに対抗出来るのか?と疑問を持たずにはいられないです。

マイアミ大、思わぬ足踏み

ノースカロライナ大 20、マイアミ大 13

全米13位のマイアミ大ノースカロライナ大はそれぞれ先週痛い敗戦を喫し、この試合に是が非でも勝って「流血」を最小限に食い止めたいと思っていた事でしょう。そして勝利の女神が微笑んだのは・・・。

前週のランキングでは8位にまで上昇してきたマイアミ大でしたが、フロリダ州立大に1点差で敗れるという悔やんでも悔やみきれない負け方をし、順位を13位まで下げました。また17位だったノースカロライナ大は25位のバージニア工科大に34対3と一方的にやられ、ランキングから転げ落ちてしまいました。そんな2チーム同士の対戦はオフェンスで点を稼ぐのに苦戦し続けるマイアミ大が一歩及ばず2連敗。開幕4連勝を飾り一気にトップ10圏内に飛び込んできただけあって、この2連敗はファンの膨らんでいた期待を一気に萎ますには十分な展開となってしまいました。

NFLのスカウトが注目するマイアミ大QBブラッド・カーヤ(Brad Kaaya)は期待を裏切る形で苦戦。彼が率いるオフェンスはこの日サードダウンコンバージョン率が15回中たったの4度成功と彼らのドライブを継続させることが出来ず結果それがロースコアに繋がったのです。

一方先週雨天の中散々なパフォーマンスしか披露出来なかったノースカロライナ大QBミッチ・トルビスキー(Mitch Trubisky)はカーヤとは対照的にこの試合で汚名を返上。前半に奪った20点を守り貴重なカンファレンス勝利を挙げました。

これでマイアミは4勝2敗。出だしが好調だっただけに新監督のマーク・リクト(Mark Richt)監督率いるハリケーンズには過去の栄光を知るファンや卒業生達からの期待が大きくかけられていましたが、それもこの2連敗で消え去ってしまいました。新体制初年度では仕方の無い事ですが、この2連敗で彼らがクレムソン大やフロリダ州立大などの強豪チームと渡り合うにはまだオフェンス力が足らな過ぎだということがこれで明らかになったのでした。

ウエストバージニア大の躍進

ウエストバージニア大 48、テキサス工科大 17

全米屈指のパスディフェンスを誇るテキサス工科大ですが、その原動力となるQBパトリック・マホームス(Patrick Mahomes)の肩が本調子でない中迎えた全米20位とのウエストバージニア大との一戦。ウエストバージニア大はここまで全勝と快調でしたが、この試合でようやくその本当の力を試されることになりました。結果はスコアを見て頂ければ分かるようにウエストバージニア大がテキサス工科大を一蹴。マホームスの肩の調子うんぬんよりもチーム全体としてウエストバージニア大がテキサス工科大を上回っていた試合でした。

オクラホマ大ベイラー大オクラホマ州立大テキサスクリスチャン大といった、Big 12カンファレンスの常連チームが黒星を重ねる中、ウエストバージニア大は同カンファンレス内でベイラー大と共にまだ無敗のチームとなりました。彼らは今後上に挙げた強豪チームとの対戦を控えており、まだ彼らが本当の意味でこのカンファレンスを制することが出来るだけの力を持っているかは分かりかねますが、ここまで全勝できていることは評価に値すると思います。

未だ負けないネブラスカ大

ネブラスカ大 27、インディアナ大 22

開幕から全戦全勝の古豪ネブラスカ大ですが、これまでの相手が正直大したチームではなく、オレゴン大から奪った勝利も今季のオレゴン大の苦戦振りを見ればネブラスカ大の全勝シーズンに付加価値を与えてくれるには十分ではありません。そして迎えたインディアナ大戦。インディアナ大はフットボールの大学としてよりも男子バスケの大学としての認知度が高いくらいですが、今季の彼らは戦績以上にどのチーム相手にもいい試合が出来るチームに仕上がってきています。全米2位のオハイオ州立大相手でも彼らを今季最少得点に押さえられるほどのディフェンスを擁しており、ネブラスカ大にとっては油断出来ない相手でした。

試合は予想通りインディアナ大が全米10位のネブラスカ大と互角に渡り合う展開となり、インディアナ大がまさかの大金星を奪うか?とまで思わせてくれました。しかしネブラスカ大QBトミー・アームストロング(Tommy Armstrong)が満身創痍ながらもチームを率い、予想より遥かに強力なインディアナ大ディフェンス相手に辛くも勝利を収めました。

ネブラスカ大のフットボールはアラバマ大オハイオ州立大、ミシガン大のようなパンチ力には欠けますが、それでもこの勝利で全勝を守った事により、少なくともトップ10入りする資格はもっているところを見せてくれました。今後やってくるウィスコンシン大とオハイオ州立大との対戦を経て彼らが10位よりももっと上に属するチームなのかどうかが明らかになると思います。

アーカンソー大、踏ん張る

アーカンソー大 34、ミシシッピ大 30

SEC西地区は相変わらずアラバマ大の独壇場ですが、彼らの餌食となったチーム同士の戦いとなったこの一戦。勝っても負けてもアラバマ大がこの調子ならばSEC優勝決定戦出場は夢のまた夢であり、結果彼らが目指すものはより多くの勝利数を重ね、あわよくばお正月以降のメジャーボウルゲームに出場することにシフトチェンジせざるを得なくなっています。

アーカンソー大はそのアラバマ大に前週やられた「被害者」でもありますが、少なくとも彼らは王者から30得点を奪えたという事実があります。一方のミシシッピ大もシーズン3戦目でアラバマ大と対峙。一時はリードを奪うも後半見違えるように生まれ変わったアラバマ大に追い抜かれ48対43と惜しくも敗れました。SEC西地区の2番手を争うこの対戦は過去の同一カードでも見せてくれたようにとても見応えのあるゲームとなりました。

NFL級QBとして名高いミシシッピ大のチャド・ケリー(Chad Kelly)がどれだけアーカンソー大ディフェンス相手にパスヤードを伸ばせるかが注目されましたが、その対戦相手であるアーカンソー大QBオースティン・アレン(Austin Allen)がケリーを上回る活躍を見せました。しかし試合を決めたのはアーカンソー大のランゲーム。RBローレイ・ウィリアムス(Rawleigh Williams)がミシシッピ大ディフェンス相手に足で180ヤードを稼ぎ、これが試合の勝負を分けました。ウィリアムスはTDを奪う事は無かったものの、ボールコントロールに大きく貢献。結果これがケリー率いるミシシッピ大オフェンスのベンチに座っている時間を増やさせ、彼らに攻撃のチャンスを与えない事に繋がったのです。実際アーカンソー大の攻撃時間が約40分であったのに対し、ミシシッピ大のそれは約20分ほどに押さえられてしまいました。

ただ前述の通りどちらのチームも既にカンファレンス戦績で2敗となり、彼らが西地区を引っ掻き回すという事にはならないでしょう。

1歩あるいて・・・2歩さがる?

シラキュース大 31、バージニア工科大 17

先週ノースカロライナ大のホームで彼らに圧倒して勝利し、全米17位まで躍り出たバージニア工科大。出だしは遅かったもののACCのダークホース的存在と期待された矢先、なんと思いもよらずシラキュース大に足下をすくわれてしまいました。今シーズンこの試合までたったの2勝しか挙げていなかったシラキュース大に2TD差を付けられて敗れてしまったバージニア工科大にとってこの敗戦は2敗分の重さがあると言っても過言ではありません。

今季全米中でもっとも残念なチームの一つといわれるノートルダム大でさえシラキュース大に勝利しました。そのシラキュースに対し全米17位と上昇気流に乗るバージニア工科大が全く試合の流れをたぐり寄せられなかったのにはただただ言葉が見つかりません。これによりACC内のカンファレンス戦績において無敗なのはクレムソン大のみとなり、これはACC全体としてのブランド力にもマイナスに影響してしまいます。ACCコースタル地区だけ見てみればこれでノースカロライナ大ピッツバーク大バージニア工科大バージニア大がそれぞれ1敗で並びこの地区は誰が制してもおかしくない状況になりつつあります。

苦戦が続く「エリートチーム」達

ヴァンダービルト大 17、ジョージア大 16

ミシシッピ大テネシー大という強豪チームに敗れたのは理解出来ますが、SECでも底辺を暖め続けているヴァンダービルト大にすら敗れてしまったジョージア大。彼らのオフェンスのパワー不足は深刻です。

スタンフォード大 17、ノートルダム大 10

両校が前評判に応えられぬまま転落の一途をたどる中、幾ばくかの尊厳をかけて争われたこの一戦はどちらも決定打に欠けるもスタンフォード大が1スコア差で勝利し連敗を2で止めました。ノートルダム大は先発QBデショーン・カイザー(DeShone Kizer)を一度ベンチに下げるなどの荒治療を行いましたが功を奏さず・・・。ヘッドコーチ、ブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督にこれまでに無いほどのプレッシャーがかけられることになりました。

ノースウエスタン大 54、ミシガン州立大 40

昨年Big Tenカンファレンスを制しプレーオフ進出まで果たしたミシガン州立大は今季大スランプ。ノースウエスタン大に敗れた事でこれでなんと4連敗。これではシーズン後のボウルゲーム出場すら危ぶまれます。

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