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第13週目レビュー【金曜日編】

第13週目レビュー【金曜日編】

レギュラーシーズン最終戦の多くが土曜日に行われる中、幾つかの重要な試合が金曜日までにすでに行われました。しかもそのうち2試合ではカレッジフットボールプレーオフ(CFP)の行方を左右するほどの結果に・・・。それらの試合を簡単におさらいしておきたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ワシントン大28、ワシントン州立大15

試合開始時こそ寒いだけの天気でしたが、時間を追うごとに雪が降り出し、最終的には豪雪となったこのワシントン大ワシントン州立大のライバリーゲーム、別称「アップルカップ」。ここまで10勝1敗でCFPランキングで8位にまで上り詰め、Pac-12北地区レースで優位にシーズンを進めて来ただけでなく、CFP進出も大外からその機会を伺っていたワシントン州立大。一方開幕時のカンファレンス優勝候補筆頭だったワシントン大はここまですでに3敗を喫しており、CFPへのチャンスはとっくのとうに消えてしまっていましたが、この最終戦で宿敵を倒せば大逆転で北地区制覇も可能という状況に置かれていました。

雪がつもりだすと視界は悪くなるだけでなく足元もおぼつかなくなり、ワシントン州立大得意のエアーアタックが制限されてしまいます。そこで威力を発揮したのがワシントン大のランオフェンス。ベテランRBマイルズ・ガスキン(Myles Gaskin)がここぞとばかりにワシントン州立大のディフェンス陣を吹雪の中すり抜け、170ヤードに3TDと大活躍。また4年生QBジェイク・ブラウニング(Jake Browning)は学年を追うごとに退化しているように見えましたが、この日は厳しい転校の中要所要所で的確な判断力と正確なパスでワシントン州立大の追随を許しませんでした。

ワシントン州立大はハイズマントロフィー候補QBガードナー・ミンシュ―(Gardner Minshew)を擁しましたが、既述の通り雪のせいで彼のポテンシャルを全く生かせず、逆に強力なワシントン大ディフェンスにトータルヤードで237ヤードと完全に抑え込まれてしまいました。

これでワシントン大がPac-12カンファレンス北地区を制覇。彼が来週のカンファレンス優勝決定戦に進出し南地区代表のユタ大と対決することになりました。一方のワシントン州立大はここまでCFPレースに絡んできたにも関わらずこの敗戦でそのレースから脱落するだけでなく、悲願だった2002年以来のカンファレンスタイトル獲得の夢も最後の最後で逃すという最悪の展開になってしまいました。

ちなみにこの試合に先駆けてワシントン州シアトル市からチームの応援のためにワシントン州立大キャンパスへ向かっていたワシントン大所属のマーチングバンドを乗せたバスの一台が横転。幸い命に関わるような大きな怪我はなかったようですが、結局マーチングバンドは今回の遠征を見送りキャンパスへ舞い戻ったのです。

つまりワシントン大にしてみればアウェーであるにも関わらず、自分たちのマーチングバンドすらいない状況だったのですが、これを知ったワシントン州立大のマーチングバンドは一夜漬けでワシントン大のファイトソングを練習し、試合では不在の敵マーチングバンドのために彼らのファイトソングを演奏したのだそうです。「敵に塩を送る」という素晴らしいエピソードだと思います。


オクラホマ大59、ウエストバージニア大56

この試合に先駆けて行われたテキサス大カンザス大との試合でテキサス大が勝利を収めたため(後述)、彼らがカンファレンス優勝決定戦進出が決定。そしてテキサス大の相手となるのがこのオクラホマ大ウエストバージニア大との試合の勝者というシナリオになりました。

オクラホマ大はカイラー・マレー(Kyler Murray)、ウエストバージニア大はウィル・グリアー(Will Grier)という二人のハイズマントロフィー候補QB同士の戦いとなったこの試合。両チームともハイスコアリングオフェンスで知られていたため、試合前から大量得点が見込める試合になると思われていましたが、まさにそれが現実のものとなりました。

前半終了時にすでに35対28でオクラホマ大リードという点取合戦となったこの試合。その後も両チームが点を取り合い、第3Q終了直前にグリアーからWRゲリー・ジェニングス(Gary Jennings Jr.)への75ヤードTDパスが決まってついにウエストバージニア大が49対45と逆転に成功。試合の行方は最終第4Qに持ち込まれました。

オクラホマ大がマレーの活躍でTDを獲得してリードを奪い返すと、ウエストバージニア大は追撃中にグリアーが犯したファンブルを敵選手にリターンTDされチャンスを自ら潰してしまいます。試合終了間際に1つTDを奪いますが、3点という点差が遠くそのまま試合終了。両チーム合わせて115点というハイスコアゲームを制したのはオクラホマ大でした。

マレー、グリアー両人ともハイズマントロフィー候補らしい素晴らしい数字を残しました。マレーは364ヤードに3TD(1INT)、グリアーは539ヤードに4TD(0INT)としましたが、グリアーは2つ犯したファンブルをどちらも相手にTDされてしまうという失態を犯しこれが結果的に試合の結果を左右してしまいました。

これでBig 12カンファレンス優勝決定戦はオクラホマ大とテキサス大の再戦に。第1ラウンドではテキサス大が48対45というこれまたハイスコアゲームを制していますから、オクラホマ大にとってはまたとないリベンジのチャンスを得た格好になります。

セントラルフロリダ大38、サウスフロリダ大10

現在存在する4つの無敗チームのうちの1つであるセントラルフロリダ大。「グループオブ5」出身チームとしてプレーオフ進出の夢を大外から狙いますが、そのためには無敗を守ることが絶対条件。そしてそれだけでなく対戦相手を寄せ付けないような試合展開が必須でもありました。

セントラルフロリダ大はここまで23連勝中ですが、それを支えてきたのがQBマッケンジー・ミルトン(McKenzie Milton)です。現在3年生のミルトンはカレッジキャリア通算92TD(パス72、ラン20)に絡んできた、まさに「ミスターUCF」という選手。彼あってこその今のセントラルフロリダ大といっても過言ではないのですが・・・。

そんなミルトンはこのサウスフロリダ大戦の第2Qに敵のタックルを受け膝関節を脱臼する大怪我を負ってしまいます。試合は一時中断し、メディカルチームが応急処置を行う中、両チームの選手がミルトンの無事を祈ってフィールド上に集まるというシーンが見られました。

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ミルトンの右膝が痛々しいことに・・・

明らかに大怪我であるこの状況にスタジアムは静まり返り、ミルトンはそのまま病院へ直行となりました。試合はミルトン不在の中どうなるかと思われましたが、戦略をラン重視にシフトすることを強いられはしましたが、チームトータルで4TDを含む391ヤードを足で稼ぎ38対10と快勝。24連勝目を飾り来週行われるAAC優勝決定戦(対戦相手はメンフィス大)へいい流れを作りました。

しかしミルトンの不在がチームに影響をおよぼすことは必死。先にも述べたようにここまでのチームのオフェンスに多大なる影響を及ぼしてきた彼が試合に出れないのはメンフィス大戦を迎えるにあたり痛手であることはもちろんですが、CFP進出へのかすかな希望にも大きく影を落とすことになります。CFP選考委員会がミルトンがいるUCFとミルトンがいないUCFとでチーム力を査定し直すことは大いに有り得るからです。

ミルトンはこの怪我で一時膝下の血液循環が遮断してしまったということで緊急処置を病院で受けたそうです。まだ3年生で将来有望な選手。なによりもこの怪我から無事復活することを祈るばかりです。

テキサス大24、カンザス大17

テキサス大にとってはこのカンザス大戦に勝てば2009年以来のBig 12カンファレンスタイトルに向けて優勝決定戦に進めるという絶好の位置につけていました。

肩の怪我で出場が危ぶまれていたQBサム・エリンガー(Sam Ehlinger)はしっかりと先発出場。前半は7対0と格下カンザス大を突き放せずにいましたが、第3Qに入り2つのTDを加えて21対0とようやく独走態勢へ入ったと思われました。

しかし後半一気に17点を獲得したカンザス大に1TD差まで詰め寄られるという、ツメの甘さを見せてしまったテキサス大。本来ならば大量得点差を付けて勝利すべきところを突き放すどころか追いつかれるという醜態を見せてしまいました。

しかし勝ちは勝ち。これで彼らは前述の通りオクラホマ大とタイトルを争いリマッチを行うことになりました。オクラホマ大との直接対決にはすでに勝っていますが、シーズン通してコンスタントにハイスコアを叩き出すオクラホマ大して波のあるテキサス大。今の状態で果たしてテキサス大は再びオクラホマ大に競り勝つことが出来るでしょうか・・・。

またこの試合はカンザス大ですでに解雇が決まっているデヴィッド・ビーティ(David Beaty)監督の最終戦。名門相手に最後まで諦めなかった選手たちをみれば、結果は全くついてきませんでしたが、人柄の良いビーティ監督の人望の厚さが見て取れるようでした。因みにビーティ監督の後釜には元ルイジアナ州立大レス・マイルズ(Les Miles)氏就任がすでに決まっています。

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試合後にお互いを称え合うテキサス大のハーマン監督とカンザス大のビーティ監督

バージニア工科大34、バージニア大31

バージニア州内の覇権を争うこの2チームの戦い。「コモンウェルスカップ」をかけて行われたこのライバリー戦ですが、今年は好調なバージニア大が対バージニア工科大戦で不名誉な15連敗についに終止符を打てるかと思われていました。一方ここまで5勝6敗のバージニア工科大この試合で負けると26年連続ボウルゲーム出場記録が途切れてしまうことになり、その威厳を賭けた戦いでもありました。

バージニア工科大が主導権を握る中、後半にバージニア大が盛り返しで第4Qについに逆転しますが、試合終了直前にバージニア工科大が攻撃する中ファンブルしたボールをエンドゾーンで自らリカバーしてTD。これで31対31で同点となりオーバータイムに突入となります。

先攻のバージニア工科大がFGで先制したあと後攻のバージニア大はここまで大活躍してきたQBブライス・パーキンズ(Bryce Perkins)とRBジョーダン・エリス(Jordan Ellis)がハンドオフを誤りボールをファンブル。それを敵ディフェンダーにリカバーされ敢え無く試合終了。ホームのバージニア工科大が辛くもライバルから勝利を奪い、同一カード連勝記録を16に伸ばすだけでなく、ボウルゲーム出場への望みも繋ぐことになりました。

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