カレッジフットボールプレーオフ(CFP)準決勝第2戦目となったオレンジボウルは全米1位のアラバマ大と同4位のオクラホマ大の対決。お互いが全米を代表するほどの攻撃力を持つチームであり、そして両チームのQBがハイズマントロフィーレースで熾烈な争いを経たという因縁の対決でもありました。そしてこの大一番を制したのは・・・。
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立ち上がりから試合の流れを手繰り寄せたのはアラバマ大。第1QはRBダミアン・ハリス(Damien Harris)の2つのショートヤードTDランとQBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)からWRヘンリー・ラグス(Henry Ruggs III)への10ヤードTDパスで21対0とすると、第2Q開始早々にもRBジョシュ・ジェコブス(Josh Jacobs)の27ヤードパスTDが決まって28対0。試合は早くもアラバマ大の圧勝モードに入り、スタジアムにはアラバマ大ファンの「Overrated!」(全く大したことない、過大評価され過ぎという意味)という大合唱がオクラホマ大に向けて発せられたほどです。
ハイズマントロフィー受賞QBであるカイラー・マレー(Kyler Murray)にとってアラバマ大ディフェンスは彼らオクラホマ大がこれまで対峙してきたどのディフェンスよりも強力であり、それを試合開始からいきなり見せつけられることに。超人的な機動力をもつマレーは通常QBサックを食らうことすら稀ですが、アラバマ大ディフェンスはオクラホマ大の最初のドライブでなんといきなり2度もサックをマレーにお見舞い。この時点ですでに「流石のオクラホマ大もアラバマ大には歯がたたないのか・・・」と思ったファンの方も多かったと思います。
そして結局第1Qはオクラホマ大オフェンスは何もさせてもらえませんでした。
オレンジボウル
アラバマ21、オクラホマ大0
前半第1Q終了間際のスタッツ。アラバマ大の圧倒的強さが際立っています。 pic.twitter.com/Y2TgAl11Rp— Any Given Saturday (@ags_football1) December 30, 2018
(注:前半ではなく第1Q終了時)
ろくにファーストダウンも奪えなかったオクラホマ大ですが、この日4度目のドライブでマレーの2つの中距離パスが電光石火の如く決まり、ようやく彼らしさが見られると最後はRBトレイ・サーモン(Trey Sermon)の2ヤードランTDが決まってスコアボードにこの日最初の得点を刻み込むことに成功。そしてその後はお互いがFGを奪い合って前半を31対10のアラバマ大大量リードで終えてハーフタイムに突入しました。
そして後半。このままアラバマ大のペースで彼らが逃げ切るのか、はたまたマレーらオフェンスが大逆転勝利を演じることが出来るのか注目されました。第1Qは全くいいところがなかったオクラホマ大オフェンスですが、第2Qは落ち着きを取り戻したマレーが得意のランアタックでファーストダウンを奪ってドライブを継続させ、結果ヤード数だけ見ればアラバマ大を上回っていました。その勢いを後半戦にも継続させたいオクラホマ大でした。
後半はそのオクラホマ大からの攻撃でしたが、この最初のドライブで彼らは5分以上かけた14プレーもの攻撃を見せ、結果的にFGに甘んじはしましたが、前半とは違うと感じさせてくれるには十分な展開を見せてくれました。そしてそこから両チームはTDを奪うドライブを繰り返していきます。
試合を通してリードされる展開を強いられたオクラホマ大選手はそのフラストレーションからアラバマ大選手に食ってかかるシーンが多く見られましたが、マレーの活躍によって(2つのパスTDと1つのランTD)彼らは後半だけで24点を獲得。アラバマ大との差を詰め寄ろうと必死になります。
しかしながら第3Qで無得点に終わったアラバマ大も第4Qにはタガヴァイロアからデヴォンテイ・スミス(DeVonta Smith)とジェリー・ジュディ(Jerry Jeudy)へのパスTDが決まり、点差を詰め寄られれば再びそれを引き離すという展開を繰り返します。
後半だけ見れば24得点したオクラホマ大が14得点に終わったアラバマ大を上回ったことになりますが、最大28点差をつけられた前半の大量リードが響いてマレーをしてもこの試合をひっくり返すことは出来ず、結果的に45対34でアラバマ大が逃げ切ることに成功したのでした。
マレーはスロースタートながらもアラバマ大のディフェンスから308ヤードに2TDという数字を残し、足でも109ヤード(1TD)を稼いで彼は一人でアラバマ大から417ヤードも奪う活躍を見せました。が、一方で相手フロントセブンからの強力なプレッシャーに合い、パス成功率は5割そこそこ、QBレーティングも67.7とアラバマ大ディフェンスに苦しめられたこともよくわかります。
対するタガヴァイロアはエフィシェンシー(効率性)だけで言えばマレーを上回る活躍。27投中24投を成功させ、318パスヤードに4TDというパフォーマンス(QBレーティングは96.4)を見れば、ハイズマントロフィーレースで最後の最後でマレーに抜かれてしまい受賞を逃したタガヴァイロアにとってはリベンジを果たせたと言うことも出来ます。
この試合の最大の分かれ目はやはり両チームのディフェンス。もともと全米でも下位というディフェンスしか擁していないオクラホマ大がアラバマ大の怒涛の攻撃を止められるかどうかが勝利への鍵を握っていると見れれていましたが、試合開始から28連続失点を犯したことからも分かる通りこれが違いとして表れたのです。もしオクラホマ大ディフェンスがもう少しだけでもアラバマ大を止められるだけの力を持っていればこの試合の展開も大分変わっていたことでしょう。
これでアラバマ大は無傷の14連勝で4年連続(!!!)となるCFPナショナルチャンピオンシップゲームに駒を進めることになりました。過去3回のうち2回も全米制覇を成し遂げているアラバマ大ですが、今年の対戦相手は・・・またもやクレムソン大。ナショナルタイトルゲームでは2015年度、2016年度に対戦しており勝率は1勝1敗。もっと言えば昨年の準決勝戦でも両チームは対戦していますから、4年連続で彼らはCFPの舞台で相見えているわけです。このマッチアップに「また奴らか・・・」とぼやくファンも少なくはないでしょうが。