12月30日
ウィスコンシン大 vs マイアミ大
私の住むアメリカ東北部は現在寒波が襲っていますが、こことは打って変わって暖かいフロリダ州マイアミで行われるのが「ニューイヤーズ6ボウル」の一つであるオレンジボウルです。今年は地元出身のマイアミ大と遠く北部から寒さを逃れてやってくるウィスコンシン大との対決となりました。
ウィスコンシン大は今シーズン開幕から連勝を重ね、スケジュールの弱さを指摘されたものの全勝チームが減っていく中で最後の最後まで無敗を守ってプレーオフ進出にあともう少しというところまで来ましたが、Big Tenカンファレンス優勝決定戦でオハイオ州立大に敗れてしまったために最終カレッジフットボールプレーオフ(CFP)ランキングでトップ4位から脱落。その結果このオレンジボウルにたどり着きました。
一方のマイアミ大は今季2季目のマーク・リクト(Mark Richt)監督の下、ウィスコンシン大と同じく開幕後から連勝街道まっしぐら。また今季の合言葉にもなった「ターンオーバーチェーン」(ディフェンス選手がターンオーバーを奪うたびにその選手にマイアミ大の象徴である「U」をかたどったどデカイネックレスが与えられていた)に見られたように全米でもトップレベルのターンオーバーマージンを誇り、かつての王国復活が叫ばれた年となりました。残念ながらピッツバーグ大にまさかの黒星を喫し、ACCタイトルゲームでもクレムソン大に敗れCFP進出はなりませんでした。
これがかの有名な「ターンオーバーチェーン」
ただマイアミ大が今季奪ったターンオーバーの数は実に30であるのに対し、ウィスコンシン大もそれに肉薄する26を記録し、マイアミ大の「ターンオーバーチェーン」ばかりが取り上げられている影でウィスコンシン大のディフェンスもその力を発揮して来ました。実際のところ彼らの守備陣はトータルディフェンスで全米1位、ランディフェンスは2位、失点数でも3位とまさに今シーズンにおいてエリートディフェンスなのです。
そのウィスコンシン大ディフェンスのターゲットとなるのがマイアミ大QBマリク・ロズィアー(Malik Rosier)。ロズィアーはピッツバーグ大戦とクレムソン大ではスランプに陥り、10連勝と波に乗っていたチームにブレーキをかけてしまいました。敗戦となった2試合を合わせると彼のパス記録は63投中成功させたのはわずかに29回と大失速。またオレンジボウルでは彼のパスの的となるWRアーモン・リチャーズ(Ahmmon Richards)とTEクリストファー・ハーンドン(Christopher Herndon IV)が怪我でこの試合を欠場する予定でロズィアーにとっては大きな痛手です。
もっともウィスコンシン大QBアレックス・ホーニブルック(Alex Hornibrook)も今季13試合出場中11試合で最低1つのパスINTを犯し、トータルで今季15回もパスを相手ディフェンダーに奪われています。これは「ターンオーバーチェーン」を旨とするマイアミ大ディフェンスにとっては格好の「カモ」となりかねません。朗報なのは彼のメインターゲットである、全米ナンバーワンTEと呼び声高いトロイ・フマガリ(Troy Fumagalli)が健在であること。また全米でも常にトップレベルのオフェンシブライン陣を従え、またRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)は1年生ながらこれまで1847ランヤードを記録し、1年生としてのNCAAシーズンランヤード記録更新まであと79ヤードに迫っています(ちなみに現在の最多記録は元オクラホマ大のエイドリアン・ピーターソンが持つ1925ヤード)。つまり、ホーニブルックにはこの試合ではオフェンスの起点となる指揮官に徹し、決して自分の器以上のことをする必要はないということです。
両チームとも自身が所属するカンファレンスの優勝決定戦で負けたことでプレーオフを逃したチームであり、オレンジボウルというメジャーボウルゲームに出場するとはいえ、彼らがどれだけのモチベーションを持ってこの試合に臨めるかはわかりません。しかし実質地元開催となるマイアミ大はおそらく多くのファンをスタジアムに迎えることができるでしょうし、移動などの浪費をしなくて済むという大きな利点もあります。またマイアミ大にとっては2003年度シーズン以来のオレンジボウル出場ということで、地元で是非錦を飾りたいところです。