2022年のNFLドラフトまであとわずか。今年はミズーリ州カンザスシティで行われます。
- 4月27日(第1日目):第1巡目
- 4月28日(第2日目):第2巡目&第3巡目
- 4月29日(第3日目):第4巡目〜第7巡目
これまですでにネット上にはドラフト情報が豊富にあふれており、またアメリカンフットボールマガジンさんが「NFLドラフト候補名鑑」を出版されてしまっていますが、今年も当サイトでもNFLドラフト候補をカレッジ時代のベストゲームやベストプレーを軸にご紹介していきます。
これまで第5回に渡りオフェンスのポジションを紹介してきましたが、今回はディフェンスのフロントラインであるDL選手、特にエッジラッシャーに焦点を当て、注目選手たちをサクッと浅く(笑)見ていきたいと思います。
参考記事2023年NFLドラフトで注目の選手たち【QB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【RB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【WR編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【TE編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【OL編】
目次
ウィル・アンダーソン・Jr(アラバマ大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2020 | 51 | 11.5 | 8 | 40 |
2021 | 98 | 29.5 | 17 | 47 |
2022 | 54 | 17.5 | 10 | 31 |
強豪アラバマ大の先発エッジラッシャー/OLBとして3年間プレーしたウィル・アンダーソン・Jr(Will Anderson Jr)。これまで出場した41試合全てで先発出場。スタッツを見ればわかりますが、とにかく「フリーク」というラベルがぴったりの選手で、特に2021年度シーズンは17サックに29.5のTFL(タックルしたことで相手のヤード減退となったタックル数)というとんでもない数字を残しました。2022年は当然警戒されたせいで数字は落ちましたが、それでも際立ったスタッツとなっています。
出だしの瞬発力、QBへと襲いかかる嗅覚、ハンドスキル、パワー、どれをとっても過去稀に見る逸材。カレッジではOLB登録となっていますが、近年新たなポジションとして認知されてきている「エッジ(Edge)」と呼ばれる、外側からアタックしていくポジションで相手OL陣の脅威となってきました。またランディフェンスでも自分より大きめのOL相手でもその腕の長さでいなすことができ、まさに今ドラフト最大級の目玉プロスペクトといえます。
ドラフトの順位は指名権を持っているチームの台所事情によって需要が変わってきますが、単純に選手の価値だけで順位を決める、いわゆる「ビッグボード」では多くのメディアでアンダーソン・Jrをナンバーワンに推しているのが見られます。実際彼が総合ドライチ選手となる可能性は高くないかもしれませんが(その権利を持っているパンサーズがQBを欲していると言われているため)、アンダーソン・Jrの姿は確実に来るシーズンでお目にかかれると思います。
AGSの選ぶアンダーソンのベストゲーム
ルイジアナ州立大戦(2021年度)
当時全米2位だったアラバマ大は4勝4敗と苦戦していたルイジアナ州立大と対戦。この時アンダーソン・Jrは12トータルタッル(ソロで8個)、QBサック1.5個と大活躍。20対14と僅差での勝ちに貢献しました。
キャリアハイライト動画
タイリー・ウィルソン(テキサス工科大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2019 | 10 | 3 | 1.5 | 3 |
2020 | 11 | 1.5 | 1.5 | 7 |
2021 | 36 | 13.5 | 7 | 23 |
2022 | 60 | 13.5 | 7 | 30 |
高校卒業後はテキサスA&M大に進学するも2019年シーズン後にテキサス工科大へ転校したタイリー・ウィルソン(Tyree Wilson)。学年が進むにつれその存在感を増していきましたが、2022年度シーズン後半に足の骨を折ってしまい最後3試合で試合出場することができませんでした。しかしながらその怪我からも完全復帰することが見込まれ、今ドラフトにおいて大いに期待されるエッジラッシャーです。
スピードがあるというわけではありませんが、パワーと体のしなりで外側からまいてくるのに長けた選手。また相手OLをアタックする際にも多彩なムーヴを披露して相手を翻弄。ブル、スウィム、スワイプ、リップなどをうまく使い分けパサーに襲いかかります。
またランゲームにおいてもエッジを抜けてくるランナーを素早くロックオンしてタックルするのが上手く、またブロッカーとしてのTEとのマッチアップでもそう負けることはありません。ダウンフィールドでのパシュートも確実にこなし、パスでもランでも頼れるディフェンダーです。
身長6フィート6インチ(約198センチ)体重271パウンド(約123キロ)とすでにNFL級のフレームを持つウィルソンは、過去2年間絶賛されてきた上記のアンダーソン・Jrに肉薄するほどの評価を得るほどに株を上げてきました。間違いなく1巡目候補のエッジラッシャーといえます。
AGSの選ぶウィルソンのベストゲーム
ノースカロライナ州立大戦(2022年度)
昨年第3戦目で対戦したノースカロライナ州立大との試合、ウィルソンはトータルタックル数が11(ソロは6)、TFLが3.5、QBサックが2と大暴れ。試合には負けてしまいましたが、その名を大いに世に知れ渡すには十分すぎる活躍でした。
キャリアハイライト動画
マイルズ・マーフィー(クレムソン大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2020 | 40 | 11 | 4 | 9 |
2021 | 37 | 13.5 | 7 | 24 |
2022 | 41 | 11 | 6.5 | 18 |
5つ星リクルートとして鳴物入りでクレムソン大に入学したマイルズ・マーフィー(Myles Murphy)。1年生から主力選手として試合に出場し続け、クレムソン大の強力なDL陣の一角を担ってきました。
マーフィーの魅力はそのクイックネスと破壊力抜群のパワー。長い腕とスピードで多くのOTを困らせてきました。直線的なアタックレーンを確保すれば彼を止めるのは容易なことではありません。
ランディフェンスにおいてもそのパワーをいかん無く発揮して、相手のランルートをOTごと吹き飛ばして潰すというシーンもしばしばみられました。また短距離ならば縦だけで無く横への反応も上々でどちらかというとプロトタイプなエンド的選手といえそうです。
2年生時に名を挙げ期待感が高まったことを考えると、昨年3年生時は少しその名前を聞く機会が減った気もしますが、持っているものはNFLでも通用するポテンシャルであり、おそらく彼のプレーする姿をそう遠くない未来に見ることができるのではないでしょうか?
AGSの選ぶマーフィーのベストゲーム
フロリダ州立大戦(2021年)
ACC内ライバルであるフロリダ州立大と対戦したクレムソン大(2021年度シーズン)。この試合でマーフィーはトータル5タックル(ソロが4)、QBサックが2つと活躍。30対20での勝利に貢献しました。
キャリアハイライト動画
ノーラン・スミス(ジョージア大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2019 | 16 | 3 | 2.5 | 14 |
2020 | 19 | 2.5 | 2.5 | 10 |
2021 | 52 | 9.5 | 4 | 15 |
2022 | 20 | 8 | 3 | 14 |
ナショナルタイトルを二連覇したジョージア大でエッジを務めたノーラン・スミス(Nolan Smith)。これまで数々のNFL級ディフェンシブラインマンを輩出してきたジョージア大にて今年もそれに漏れず1巡目候補と言われる期待の星です。
スミスのセールスポイントはスピードと瞬発力。スピードで言えば2月に行われたNFLスカウティングコンバインにてエッジ選手ながら40ヤードダッシュで脅威の4.39秒を叩き出しましたが、これは多くのWRやRBよりも速いタイム。
そのスピードを生かしたラッシュは圧巻。QBサック数というスタッツには表れてはいませんが、初速の爆発力でスペースを俊速で埋めてQBに襲いかかるシーンが多くみられました。またハンドスキルも良く、エッジラッシャーとして巨漢のOTとも技術とスピードで渡り合います。またタックル力も確実なものを持っており、スピードがありつつも的確なアングルとタックルをフィニッシュするスキルを備え持っています。
6フィート2インチ(約187センチ)238パウンド(約107キロ)とエッジとしては少し軽い部類に入るとは思いますので、NFLレベルでのより強く技術のあるOTと対峙した時にどうなるかが見ものですし、昨シーズン後半に断裂した胸筋の治り具合も気になるところですが、やはりこのスピード感を見逃すには惜しすぎます。果たしてジョージア大産の次期スターとなるか?
AGSの選ぶスミスのベストゲーム
ミズーリ大戦(2022年)
このミズーリ大戦でスミスは4タックル(ソロで2つ)と1QBサックを記録。
キャリアハイライト動画
ルーカス・ヴァン・ネス(アイオワ大)
カレッジキャリアスタッツ
TKL | TFL | SACK | HUR | |
2021 | 33 | 8.5 | 7 | 11 |
2022 | 37 | 9.5 | 6 | 23 |
2022年オフェンスの苦戦で全米の表舞台に立てなかったアイオワ大ですが、実は彼らのディフェンスは全米で3本の指に入るほどの実力を持っていました。そのディフェンスの一角を担っていたのがこのルーカス・ヴァン・ネス(Lukas Van Ness)です。
ヴァン・ネスはそのディフェンスの中でも先発DLではなかったのですが、ローテーションの中でも貴重な戦力として威力を発揮。まだまだ荒削りではあるものの、彼の持つクイックネス、パワーには将来的に非常に伸びるのではないかと予感させてくれるものを感じます。特にブルラッシュはNFLレベルでも通用するものだと評価されており、このほかのスキルが発展途上であるとしても将来性を感じさせてくれる素材だと言われています。
上記の通り大学時代に先発経験がないというバックグラウンドがありますが、シーズン後のドラフトに至るまでの過程の中でにわかに株を上げてきた選手。プロでの成長度合い、そしてドラフト先のチームでの台所事情では思ったよりも早くプロデビューするかも知れない選手です。
AGSの選ぶヴァン・ネスのベストゲーム
オハイオ州立大戦(2022年)
昨シーズン7戦目で対戦した全米2位だったオハイオ州立大戦。この試合でヴァン・ネスはパリス・ジョンソン・Jr(Paris Johnson Jr)やダワンド・ジョーンズ(Dawand Jones)といった第1巡級のタックルたちに対して奮闘していました。
キャリアハイライト動画
その他の候補者たち
ケイオン・ホワイト(Keion White、ジョージア工科大)
ウィル・マクドナルド・IV(Will McDonald IV、アイオワ州立大)
B.J.オジュラリ(B.J. Ojulari、ルイジアナ州立大)
バイロン・ヤング(Byron Young、テネシー大)
ドリュー・サンダース(Drew Sanders、アーカンソー大)
アンドレ・カーター(Andre Carter、陸軍士官学校)
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当サイトのポッドキャストにてドラフトプロスペクトに精通されているTamagoさんに来たるドラフト候補生からなる「All Tamagoチーム」を選んでいただいています。ドラフトに備えて非常に面白いエピソードとなっていますので、まだ試聴されていない方はぜひ!!