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インディアナ大メンドーサがハイズマントロフィー獲得

インディアナ大メンドーサがハイズマントロフィー獲得

年間最優秀選手賞=MVPというアワードはどのスポーツにもあります。しかしカレッジフットボールには似たようなアワードがいくつも有るのですが、その中でも個人賞として最高峰のアワードがハイズマントロフィーです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ファイナリスト

アメリカでフットボールをする選手なら誰もが憧れるこのトロフィーは1935年度からその年の最も優れた選手に贈られてきた歴史あるアワード。ただ単純にMVPと呼ぶには崇高すぎるこのトロフィー。アメリカのスポーツ全般で言っても最も価値のある賞であると認識されています。

参考記事ハイズマントロフィー

そんなハイズマントロフィーの授賞式が12月13日夜にニューヨークで行われました。今年ファイナリストに選ばれたのは以下の4選手です。

フェルナンド・メンドーサ(Fernando Mendoza、インディアナ大QB)
ジェレマイア・ラヴ(Jeremiyah Love、ノートルダム大RB)
ディエゴ・パヴィア(Diego Pavia、ヴァンダーヴィルト大QB)
ジュリアン・セイイン(Julian Sayin、オハイオ州立大QB)

今年も昨年に続き4人のうち3人が転校生(トランスファー)という、セカンドチャンスをガッチリとものにした選手たちでした(メンドーサ:カリフォルニア大→インディアナ大、パヴィア:ニューメキシコ州立大→ヴァンダービルト大、セイイン:アラバマ大→オハイオ州立大)

今年のハイズマンレースは開幕前にはテキサス大のQBアーチ・マニング(Arch Manning)やクレムソン大のQBケイド・クルブニック(Cade Klubnic)、ペンシルバニア州立大のドリュー・アラー(Drew Allar)らが最有力候補として挙げられていました。ただ、マニングとクルブニックはその期待に答えられず、またアラーはシーズンエンドの怪我を負って戦線を離脱するなどし、開幕前の目玉選手たちが軒並みレースから早々に脱落して行きました。

シーズン途中にはオクラホマ大QBジョン・マテアー(John Mateer)やアラバマ大QBタイ・シンプソン(Ty Simpson)らが一時トロフィーレースで名を挙げるなどしましたが、中盤から後半にかけて候補者たちの顔ぶれは少しずつ変わっていき、終盤はメンドーサとセイインの一騎打ちの展開にノートルダム大のラヴが猛追をかけ、そしてヴァンダービルト大の快進撃を支えたパヴィアも最後に滑り込むようにファイナリストに名を連ねたのです。

そして栄えある第90代目のハイズマントロフィーを手にしたのは・・・。

インディアナ大のフェルナンド・メンドーサでした!

投票結果

以下が投票結果です。

獲得pt1位票2位票3位票
F・メンドーサ(IU)236264319151
D・パヴィア(VAN)1435189352164
J・ラヴ(ND)71946157267
J・セイイン(OSU)4328118172
J・ロドリゲス(TT)2951756132
J・スミス(OSU)8441836
G・ストックトン(UGA)433622
T・チャンブリス(MISS)23257
C・ダウンズ(OSU)222310
H・キング(GT)182110

シーズン終盤は上記の通りメンドーサとセイインの対決と見られていましたが、蓋を開けてみれば2位はヴァンダービルト大のパヴィア、そしてそのセイインは4位という驚きの結果に。セイインはレギュラーシーズン最後の試合となったBig Tenカンファレンス優勝決定戦でメンドーサとの直接対決に敗れ、オハイオ州立大に初黒星がついてしまったのも影響したのかもしれません。

インディアナ大は元々カンファレンスでも常に下位を争っていたような弱小チームでした。そのチームに2024年に就任したカート・シグネッティ(Curt Cignetti)監督のもと急速に力を付け、昨年転校生QBのカーティス・ローク(Kurtis Rourke、現サンフランシスコ49ers)を擁して躍進し、CFP(カレッジフットボールプレーオフ)に見事出場しましたが、ロークが去った後のインディアナ大オフェンスを任されたのがこのメンドーサでした。

そのインディアナ大は2024年度の快進撃を超える絶好調で勝ち星を重ね、レギュラーシーズンを無敗で終えるとカンファレンスタイトルゲームでオハイオ州立大を倒して1967年以来のBig Tenタイトルを獲得。チームとしても史上初の13勝を記録し、まさに歴史的なシーズンを送ったわけですが、その原動力となったのがメンドーサと言っても過言ではありませんでした。

確かに過去の受賞者と比べるとスタッツ的にはちょっと見劣りするかもしれません。しかし、上記の通りインディアナ大という決して強豪校として知られているわけではないチームをカンファレンス優勝に導き、シーズンを無敗で終え、そしてCFPでは見事に全米1位チームとして第1シードを獲得するという、一昔前までは想像すらできなかったことをやってのけたチームを牽引したという事実は何物にも変え難いものなのです。

これでメンドーサはインディアナ大出身選手としては初めてのハイズマントロフィー受賞選手になりました。HCのシグネッティ監督も2年連続で年間最優秀監督賞を受賞するなど、まさにインディアナ大は今季押しも押されもせぬトップチームとなったのでした。

受賞時のスピーチ

受賞時のスピーチも感動的でした。

まずは母親であるエルザさんへの最大限の感謝の気持ちを述べていました。エルザさんは多発性硬化症(Multiple sclerosis)という難病を抱えているそうですが、そんな中でも息子であるフェルナンドの一番のファンでいてくれたことが自分を突き動かすパワーになったと涙ながらに語っていました。

さらにメンドーサはこれから上を目指す若いアスリートたちにも熱いメッセージを送っていました。自分はかつて際立って注目されていた選手ではなかったものの、夢を持ち自分を信じて頑張ったことで夢にも見なかったハイズマントロフィーを受賞するまでに至ったのだから、夢を見ることを諦めずにいることは価値があることだと諭していました。

実際彼はリクルーティング時の評価は5段階2番目の2つ星選手でした。なかなか大学から声がかからない中、一時はFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)アイビーリーグイェール大に進学が決まりかけていましたが、最後の最後でカリフォルニア大から声がかかって西海岸へと向かった経緯があります。

ここ20年ほどのトロフィー受賞者のリクルーティングランキングを見てもメンドーサはダントツで評価が低く、その彼がこの高みにたどり着いたということはこれから上を目指す選手たちにとっては大きなインスピレーションになるでしょう。

参考記事Fernando Mendoza, Heisman winner, started his football career as QB4. Look at him now

そして彼のヘリテージがキューバ系アメリカ人であることから、おじいちゃんとおばあちゃんにスペイン語で感謝を伝えていました。

敬虔なクリスチャンでもあるメンドーサは試合終了後のインタビューでも開口一番に「神のご加護のお陰だ」と話すのがお馴染みでしたが、エモーショナルな人物であることもよく知られています。その人の良さが滲み出ていたスピーチに会場は温かい盛大な拍手を送っていたのが印象的でした。

転校生強し

ところで、既述の通り今回トロフィーを獲得したメンドーサはカリフォルニア大からの転校生ですが、実は過去4年間連続で受賞選手がトランスファーポータル経由で他校から転校してきた選手となりました。さらにいうと過去10年間では10人中7人が転校生という驚きの事実も。

2025年:フェルナンド・メンドーサ(カリフォルニア大→インディアナ大)
2024年:トラヴィス・ハンター(ジャクソン州立大→コロラド大)
2023年:ジェイデン・ダニエルズ(アリゾナ州立大→ルイジアナ州立大)
2022年:ケイレブ・ウィリアムス(オクラホマ大→サザンカリフォルニア大)
2021年:ブライス・ヤング(アラバマ大)
2020年:デヴォンテ・スミス(アラバマ大)
2019年:ジョー・バロウ(オハイオ州立大→ルイジアナ州立大)
2018年:カイラー・マレー(テキサスA&M大→オクラホマ大)
2017年:ベーカー・メイフィールド(テキサス工科大→オクラホマ大)
2016年:ラマー・ジャクソン(ルイビル大)

こんなところにもトランスファーが横行する現在のカレッジ界の影響が現れているようです。

【フェルナンド・メンドーサの受賞スピーチ動画】

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