遡ること50年前。1970年11月14日、ノースカロライナ州キンストン市からウエストバージニア州ハンティントン市へ向かっていたサザンエアウェイ935便は目的地であるハンティントン空港を目前としながら墜落。乗客乗員合計75名全員が帰らぬ人となる大惨事が起きました。
この飛行機に搭乗していた内の37人はマーシャル大フットボール部のコーチ及び選手たちでした。彼らはその日に行われたイーストカロライナ大との試合に17対14で敗れその帰途に着く途中だったのです。
この事故はアメリカのスポーツ史における最悪の墜落事故とされておりこのニュースは全米中に大きなショックを与えました。
Nov. 14, 1970: A plane carrying the Marshall football team, staffers and people close to the program crashed, leaving no survivors.
Tonight, on the 50-year anniversary, the Thundering Herd are playing to honor the 75 people who were killed.
(📍 @Goodyear) pic.twitter.com/N6WlKyZUwB
— College GameDay (@CollegeGameDay) November 14, 2020
そして先週土曜日の11月14日はその大惨事から丁度50年目を迎え、試合前にはセレモニーが盛大行われたのです。
開幕以来6連勝で全米ランキング16位にまで上昇していたマーシャル大。この大事故から50周年目という節目にふさわしい快進撃を続けている訳ですが、彼らのこの破竹の勢いは起こるべくして起きている奇跡なのかもしれません。
𝗢𝗻𝗲 𝗧𝗲𝗮𝗺.
𝗢𝗻𝗲 𝗧𝗼𝘄𝗻.
𝗙𝗢𝗥 𝗧𝗛𝗘𝗠.#WeAreMarshall x #RiseAsOne pic.twitter.com/ash7EQ86Q2— Marshall Football (@HerdFB) November 12, 2020
この日はミドルテネシー州立大と対戦しましたが、この日のためにマーシャル大の選手は特別仕様のユニフォームを使用。ヘルメットには事故で命を落とした人数である「75」をあしらい犠牲者に敬意を評しました。
Marshall will wear these uniforms tomorrow in honor of the 50th anniversary of the plane crash that killed 75 people within the football program.
(via @HerdFB) pic.twitter.com/XwIXpTRdhW
— FOX College Football (@CFBONFOX) November 13, 2020
試合の方はQBグラント・ウェルズ(Grant Wells)が5TDを含む336パスヤードを獲得するなどして42対14で大勝。選手やチーム関係者ならびにファンらにとって大きな意味のあるこの試合で勝利を上げました。
試合後のインタビューでウェルズは「この試合がファンや地域のみなさんにとってどれだけ思い入れのある試合なのかは皆分かっていました。何処で誰と試合をしようともその試合に勝つことが出来ることは大きな意味を持っていますが、(事故から)50年目という節目にこうして勝てたことは素晴らしいことでした。」と勝利を噛みしめていました。
この勝利でマーシャル大は今季の戦績を7勝0敗に伸ばしいまだ負け知らずですが、この日だけは連勝がどうとかいうよりはこの記念すべき試合で勝利できたことだけでも十分価値があったのです。
ちなみにマシュー・マコノヒー主演で2006年に公開された映画「マーシャルの奇跡(We Are Marshall)」はこの1970年の惨事を元に作られた映画。事故のせいで大半の部員やスタッフを失ったマーシャル大の復活までの道を描いた名作です。