NCAA
NCAA(National Collegiate Athletic Association、全米大学体育協会)はフットボールだけでなく、アメリカの大学スポーツ全てを統括する協会です。とはいえ、NCAA発足のきっかけは何を隠そう、このカレッジフットボールなのです。1910年(その前身は1906年に設立)に立ち上がって以来、スポーツのルールなどを統括してきた重要な団体です。
NCAAは大学スポーツのスケジュールを管理したり、それぞれのスポーツのルールを制定したり、選手のプレー資格を管理したりするのが主な仕事です。各スポーツの全米チャンプを決める大会を運営するのも彼らの大切な役目です。今ではNCAAの影響力は計り知れず、それが学生選手たちを守ることもあれば、コーチたちとの軋轢を生む原因にもなっています。
長所短所があるのは周知の事実ですが、カレッジフットボールのみならず大学スポーツにとってスポーツを安全・公平に運営していくためにNCAAはなくてはならない団体なのです。
ディビジョン
NCAAのリポート(2011年度)によると、651校の大学がフットボールチームを保有しているそうです。これらの600校以上は、学生数や財力、そしてスポーツのレベルによっていくつかのディビジョン(レベル)に分けられています。一番大きいディビジョンから順にDivision-I(ディビジョンワン、D1とも記載されます)、II(トゥー、D2)、III(スリー、D3)と呼ばれます。そしてさらにD1内でもフットボールボウルサブディビジョン(Football Bowl Subdivision/FBS、旧D1-A)とフットボールチャンピオンシップサブディビジョン(Football Championship Subdivision/FCS、旧D1-AA)に分けられます。この「Any Given Saturday」では主にFBSのカレッジフットボールを取り上げています。
ディビジョンI(1部)
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ディビジョンII(2部) | ||
ディビジョンIII(3部) |
FBSとその他のディビジョンの決定的な違いはレギュラーシーズン後の試合の体系です。旧D1-Aの流れをくむFBSはレギュラーシーズン後にボウルゲームと呼ばれる1試合限りの興行が行われます。また2014年度からは4チームによる「カレッジフットボールプレーオフ(CFP)」が開催されており、このプレーオフで勝ち残ったチームが全米王者となる訳です。これらのボウルゲームおよびCFPの試合はNCAAの管理外となります。一方その他のディビジョン(FCS、D2、D3)ではレギュラーシーズン後に全米トーナメントが行われ、それぞれのディビジョンでの全米チャンピオンを決定しますが、これは歴としたNCAA認定のチャンピオンということになります。つまり、FBSのナショナルチャンピオンはNCAA認定のものではないということです(チャンピオンシップについてはこちら)。ちなみにNCAAがナショナルチャンピオンを決める過程に関わらない大学スポーツはフットボールのみです。
ディビジョン制度を敷くようになったのは、チームが増え続けることにより強者と弱者の差が激しくなってきたため、同じようなチーム同士をまとめることによりフェアな環境を作り出すためです。
ディビジョン同士の入れ替え戦などは基本的にありません。しかし、下部ディビジョンのチームでもレベルが上がってくれば上位ディビジョンに加入ということも十分有り得ます。例えば、1996年に15勝0敗でDI-AAを制したマーシャル大は翌年DI-AのMAC(Mid-American Conference)に加入しましたが、昇格1年目にしてMACチャンピオンになり、ボウルゲームにも出場しています。その後も多くのチームがFBSに加入してきました。
また、2年制のジュニアカレッジ(短大)にもフットボールチームはありますし、NAIA(National Association of Intercollegiate Athletic)という団体に属している、NCAAに入れなかった小さな大学も全米にはいくつもあります。フットボーラーとしては有能ながら、学力が足りない選手などはこういった大学や短大に進学して学力を上げたあとに大きなNCAAのチームに転校(トランスファー)するケースもあります。