昨年度のウィスコンシン大はシーズンを迎えるにあたり多くの未知数に溢れていました。しかし蓋を開けてみればルイジアナ州立大とのランボーフィールド決戦に競り勝ち、オハイオ州立大とミシガン大には1TD差で敗れはしましたが、Big Tenカンファレンス西地区を制覇。優勝決定戦ではペンシルバニア州立大と対戦しここでも1TD差でタイトルを逃すことになりますが、出場したコットンボウルではウエスタンミシガン大を一蹴。終わってみれば見事に11勝を飾るまでのチームに成長していました。しかもオフェンスの指揮官であるQBが1年生であるにも関わらずです。
それでは今季のウィスコンシン大の様子をみてみましょう。
オフェンス
ラン重視のウィスコンシン大のオフェンスにおいてQBがフィールドを縦横無尽に駆け回る必要はこのチームには無いように思えます(現シアトルシーホークスのラッセル・ウィルソンは別として)。昨シーズンの1試合平均パスヤードは105ヤードということで明らかにウィスコンシン大のオフェンスは地上戦を主体にしてはいましたが、それでもシーズン序盤から1年生ながら先発という大役を任されたアレックス・ホーニブルック(Alex Hornibrook)はチームを勝利に導くのに十分な働きを見せてくれました。
しかしやはりウィスコンシン大オフェンスの成功のカギを握るのはランオフェンスです。そういった意味では昨年1375ヤードを足で稼いだRBコーリー・クレメント(Corey Clement)が卒業したのは痛いですし、さらにはクリス・ジェームス(Chris James)もピッツバーグ大へ転校するためにチームを去ったのも大打撃でした。この二人で昨年は合計1881ランヤードを記録していますから、この空いた穴をどう埋めるかが今季のチームの出来を左右するとも言えそうです。
そのランゲーム(パスゲームも)の土台となるOL陣からはオールアメリカンだったライアン・ラムチェック(Ryan Ramczyk)がドラフト1巡目でニューオーリンズセインツへ引き抜かれました。しかし後の4人は昨年のメンバーと同一です。ウィスコンシン大が誇る「巨大な壁」は今季も健在のようです。
またランゲームを生かすためには相手ディフェンスをオフバランスにするためにボールを散らす必要があります。ホーニブルックが投げるボールを受け取るレシーバー陣では昨年のトップレシーバー2人が今年も帰ってきます。WRジャズ・ピーヴィ(Jazz Peavy)は43回捕球で635ヤードを記録(さらに走っても320ヤードを獲得)するなど能力の高い選手。またTEトロイ・フマガリ(Troy Fumagalli)も47回捕球で580ヤードをキャッチ。198センチと言う巨体に似合わないプレーを連発しました。
ディフェンス
2年前となる2015年度、ウィスコンシン大ディフェンスは失点数で全米1位となる13.7点という数字を残しました。そして昨年は東地区のトップツー、オハイオ州立大とミシガン大との対決があったにも関わらず失点数を15.6点に留めました。そのディフェンスを率いたディフェンシブコーディネーター、ジャスティン・ウィルコックス(Justin Wilcox)氏はカリフォルニア大の新HC就任のために昨シーズン後にチームを離れてしまいました。そのあとを継ぐのが同チームの卒業生でありつい2014年までプロ生活を送っていたジム・レオンハード(Jim Leonhard)氏です。2016年度から母校でコーチングを始め、2年目にはすでにDCの大役を命じられるということで彼の手腕が試されることになります。
昨年のディフェンスは相手オフェンスのランヤードを平均100ヤード以下に抑えることに成功しましたが、それは彼らのフロントセブンの活躍があったからに他ありません。DL陣では昨年のトッププレーヤーたちが全員今年もロースターに名を連ねています。その中でもこれまで31試合出場経験があるチークウェイ・オバシー(Chikwe Obasih)がラインの要となります。
LB陣からはT.J.ワット(T.J. Watt)とヴィンス・ビーゲル(Vince Biegel)が抜け、さらに悪いことに4年生となるジャック・シッチー(Jack Cichy)がプレシーズンキャンプ中に膝の靭帯を断裂するという重傷を負い、今シーズンの戦線から離脱を余儀無くされてしまいました。下馬評によればLB陣の層は厚いということなので戦力が格段に落ちるということはなさそうですが、それはシーズンが始まってみないと分からないですね。
ランディフェンスが全米トップレベルである一方、パスディフェンスも昨年被パスヤードを約200ヤードに抑えるなどして非常に効果を発揮しました。特にパスINTではサンディエゴ州立大に次ぐ全米2位となる22INTを記録。そのDB陣からは昨年の先発メンバー4人中3人が戻ってきます。しかもその3人とも全て4年生ということで安定感は抜群です。
見どころ
2017年度のスケジュールを見るとユタ州立大とフロリダアトランティック大という「カモ」をホームに迎え、3戦目のブリガムヤング大とのアウェーゲームをこなした後にすでにバイウィーク(試合がない週)がやってくるという比較的スロースタートです。ラッキーなのは今季彼らは東地区の強豪であるオハイオ州立大とペンシルバニア州立大との対戦がないことです。ネブラスカ大とのアウェーゲームは彼らの腕が試される試合となりそうですが、11月18日のミシガン大戦が彼らにとっては最大のチャンレンジとなりそうです。それでもカンファレンス西地区を制して再びタイトルゲームに進出することは彼らの「最低限」の目標となるでしょう。
RBクレメントが抜けた穴を埋められるか?メンバーが一新となるLB陣をどう再建するか?これらをしっかりと解決できれば今季のウィスコンシン大はBig Tenタイトルを手中に入れてプレーオフに進出するのも決して夢ではないと思います。今季3期目となるポール・クライスト(Paul Chryst)監督が作り上げてきたチームが大きく花開くシーズンとなるでしょうか?
オフシーズン便り Vol.5【2021年】
オクラホマ州立大のマイク・ガンディ監督が100万ドルのペイカットに同意した話とか、LAボウルの新スポンサーの話とか、アリゾナ州立大で明らかになったリクルーティング違反疑惑の話とか、ウィスコンシン大の新体育局長の話とか。
2019年度ローズボウルレビュー
Big TenカンファレンスチームとPac-12カンファレンスチームが雌雄を決するために激突するローズボウル。今年は全米6位のオレゴン大と8位のウィスコンシン大の対戦となりましたが、スコアが示すように大変な僅差の試合となりました。
ローズボウルプレビュー
お正月恒例のローズボウル、今年のマッチアップはBig Tenからウィスコンシン大、Pac-12からオレゴン大が出場を果たしました。ウィスコンシン大にはRBテイラー、オレゴン大にはQBハバートと遅かれ早かれNFL入りする注目株が出場予定。この由緒正しきボウルゲームを制するのは?
Big Ten優勝決定戦プレビュー
2019年度のBig Tenカンファレンス優勝決定戦、全米1位のオハイオ州立大と12位のウィスコンシン大がインディアナ州インディアナポリス市にあるルーカスオイルスタジアムで12月7日に激突。オハイオ州立大はCFP、ウィスコンシン大はローズボウル出場を賭けてリマッチに挑みます。
ウィスコンシン大RBテイラーが新記録樹立
今季最高で全米6位まで駆け上ったウィスコンシン大でしたが、8戦目にイリノイ大にまさかの敗戦を喫するとオハイオ州立大にも完敗して2連敗。CFPどころかBig Tenカンファレンス優勝決定戦出場も厳しくなってしまいました。この現状は決して彼らが望んでいた結果ではないでしょうがそんなチームに大変明るいニュースが。
第11週目レビュー
今季第11週目は「Game of the Century II」と銘打たれたルイジアナ州立大とアラバマ大の激戦に大きな注目が集まりましたが、その他にもカレッジフットボールプレーオフ(CFP)やカンファレンスタイトルレースに大きく影響を及ぼす試合が多々行われました。ここではそれらを一気に振り返ります。
第11週目の見どころ
第11週目の最大のマッチアップはLSUとアラバマ大の大一番。しかし当然今週末にはこの試合の他にもたくさんの試合が組まれており、その中にはCFPレースに大いに関わってくるものもあります。前回の記事ではLSUとアラバマ大の試合にスポットライトを当てましたが、今回はその他の試合の見どころを探っていきたいと思います。
ウィスコンシン大QBホーニブルックが転校へ
Big Tenカンファレンス所属のウィスコンシン大で1年生時から3年連続で先発QBを任されてきたアレックス・ホーニブルック(Alex Hornibrook)がチームからトランスファー(転校)し、大学最後のシーズンを他校で過ごすことを決意したようです。
2017年度スケジュール
9月1日 | ユタ州立大 |
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9月9日 | フロリダアトランティック大 |
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9月16日 | ブリガムヤング大 |
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9月30日 | ノースウエスタン大 |
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10月7日 | ネブラスカ大 |
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10月14日 | パデュー大 |
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10月21日 | メリーランド大 |
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10月28日 | イリノイ大 |
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11月4日 | インディアナ大 |
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11月11日 | アイオワ大 |
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11月18日 | ミシガン大 |
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11月25日 | ミネソタ大 |
*太字はホーム
チーム情報
所在地
ウィスコンシン州マディソン
所属カンファレンス
Big Ten(西地区)
ホームスタジアム
キャンプランダルスタジアム
通算戦績
684勝489敗53分け
通算ボウルゲーム戦績
14勝14敗
ヘッドコーチ
ポール・クライスト
21勝6敗(3年目)
【キャリア通算:40勝25敗】
前回全米優勝年度
なし
前回Big Ten優勝年度
2012年度
前回ボウルゲーム出場年度
2016年度(コットンボウル)