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APプレシーズンランキングを分析

APプレシーズンランキングを分析

2020年度シーズン開幕がいよいよ2週間後に迫りました。既にご存知かと思いますが、今季はNCAAの秋スポーツがキャンセルされ、唯一開催が予定されているFBS(フットボールボウルサブディビジョン)内でもBig TenカンファレンスやPac-12カンファレンスら4つのカンファレンスが開催を見送るという前代未聞のシーズンとなる事が既に明らかになっています。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

カレッジフットボールファンになって20年以上が経ちましたがここまで開幕を目前として未だにワクワク感が湧いてこないのは、現地でのプレシーズンの情報が例年に比べて極端に世に出ていない事もありますが、個人的にはコロナのせいで開幕を迎えることは出来ないと心の奥底で勘ぐっていたからというのが大きな理由だと思います。

今のところ予定さている今季最初の試合は9月5日に行われますが、いわゆる「パワー5」カンファレンスではACC(アトランティックコーストカンファレンス)とBig 12カンファレンスが9月12日、SEC(サウスイースタンカンファレンス)が9月26日に開幕戦を迎えることになっています。

ということで大御所たちが登場するまではあと3週間ほどとなりますが、そんな中いよいよ記者の投票によるアソシエーテッドプレス(AP)のプレシーズンランキングがリリースされました。それを少し見ていきたいと思います。

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APプレシーズンランキングトップ25

順位

チーム

2019

最終位

1

クレムソン大 (38)

14-1

2

2

オハイオ州立大 (21)

14-1

3

3

アラバマ大 (2)

11-2

8

4

ジョージア大

12-2

4

5

オクラホマ大

12-2

7

6

ルイジアナ州立大 (1)

15-0

1

7

ペンシルバニア州立大

11-2

9

8

フロリダ大

11-2

6

9

オレゴン大

11-2

5

10

ノートルダム大

11-2

12

11

アーバン大

9-4

14

12

ウィスコンシン大

10-4

11

13

テキサスA&M大

8-5

NR

14

テキサス大

8-5

25

15

オクラホマ州立大

8-5

NR

16

ミシガン大

9-4

18

17

サザンカリフォルニア大

8-5

NR

18

ノースカロライナ大

7-6

NR

19

ミネソタ大

11-2

10

20

シンシナティ大

11-3

21

21

セントラルフロリダ大

10-3

24

22

ユタ大

11-3

16

23

アイオワ州立大

7-6

NR

24

アイオワ大

10-3

15

25

テネシー大

8-5

NR

一番最初に目に入ってくるのははやり開幕を見送ることになったBig TenカンファレンスとPac-12カンファレンス所属チームがこのランキングに食い込んできていることです。

今季参戦しないランカーたち
2位 オハイオ州立大(Big Ten)
7位 ペンシルバニア州立大(Big Ten)
9位 オレゴン大(Pac-12)
12位 ウィスコンシン大(Big Ten)
16位 ミシガン大(Big Ten)
17位 サザンカリフォルニア大(Pac-12)
19位 ミネソタ大(Big Ten)
22位 ユタ大(Pac-12)
24位 アイオワ大(Big Ten)

トップ25位中9チーム(約36パーセント)が今季参戦しないというこの異常さ。それよりも何故参加しないチームにわざわざ投票したのかという疑問も生まれます。Big TenやPac-12へのあてつけにも思えてしまいますが、何よりも不憫なのはカンファレンスの決定でプレー機会を奪われてしまったそれらのカンファレンスに所属する選手たちです。例えばオハイオ州立大は2位に位置づけられていますから、十分ナショナルタイトルを獲得できるという評価を得たということになりますから、これは逆に彼らを逆撫でしてしまうのではないかと思うと可愛そうで仕方ありません。

それはさておき、この世にも奇妙なシーズンを1位で迎えるのがクレムソン大。彼らは昨年の準優勝チームであり2年前の優勝チーム。熱血将ダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督に率いられるチームですが、やはり今年は何と行ってもQBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)。ハイズマントロフィー予想では下馬評1位、そして来るNFLドラフトでも総合1位の呼び声高い彼がチームを引っ張ります。

2位には今季参戦しないオハイオ州立大ライアン・デイ(Ryan Day)監督2季目となるはずだった今年は昨年のハイズマントロフィーファイナリストQBジャスティン・フィールズ(Justin Fields)が目玉選手でした。しかし今年試合出場がなくなったことで来年ドラフト入りが目されいているフィールズをカレッジフットボールで二度と見ることは出来なくなってしまったのかもしれません。

3位にはSECの常勝チームであるアラバマ大。QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa、現マイアミドルフィンズ)ら昨年までのオフェンスの中心選手がごっそり抜けたことで今年はどのようなチームになるのか気になるところ。これまでのリクルーティング力のお陰で層の厚さは折り紙つきです。

4位には同じくSECのジョージア大。今年で5シーズン目を迎えるカービー・スマート(Kirby Smart)監督ですが、ここ3年間はカレッジ界で5本の指に入れるほどの強いチームを世に送り出してきました。その3年間を支えたQBジェイク・フローム(Jake Fromm、現バッファロービルズ)がドラフト入りしてチームを去り、彼の後釜争い(元USCのJ.T. ダニエルズと元ウェイクフォレスト大のジェイミー・ニューマン)も気になるところ。

5位のオクラホマ大を率いるリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督はこれまで毎年のように転校生QBをスターターに据えて大きな結果を残してきました(ベーカー・メイフィールドカイラー・マレージェイレン・ハーツ)。今年はどうやらインハウスのQBが先発争いを繰り広げそうです。

6位にはディフェンディングチャンピオンのルイジアナ州立大。昨年の彼らの快進撃は最近のどのシーズンのチャンピオンよりも鮮やかでしたが、そのシンデレラエキスプレスからは二桁の主力選手がNFLへと巣立っていきました。その最たる人物はQBジョー・バロウ(Joe Burrow、元シンシナティベンガルズ)。昨年度の優勝でその手腕を確固なものにしたエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督ですが、果たして戦力ダウンが否めない2020年度も再び白星を重ね続けることが出来るでしょうか。

7位にはBig Tenのペンシルバニア州立大。彼らも今年の参戦はなりませんでしたが、ディフェンスの主力であるマイカ・パーソンズ(Micah Parsons)がBig Tenの決断よりも先にオプトアウト(不参加)を表明していましたから、それにも関わらず7位というのは大変太っ腹な評価のような気がします。

8位には4つ目のSECチームであるフロリダ大がきました。今年2季目を迎えるダン・マレン(Dan Mullen)監督の真価が問われるシーズンとなりそうですが、昨年はひょんなことからQBカイル・トラスク(Kyle Trask)というニュースター発掘に成功し、ここ10年遠ざかっているリーグタイトル獲得、更にはその上を目指して期待されるチームです。

9位のオレゴン大は今季参戦しないことを表明したPac-12出身チーム。Pac-12チームとしては最高位にランクされましたが、これもあまり意味をなさなくなってしまいました。昨年はカンファレンスタイトル並びにローズボウルでの白星と大変いい形でシーズンを終えていただけに今回の不参戦は非常に残念でなりません。

10位には古豪ノートルダム大。無所属の彼らは元々Big TenとPac-12チームとの対戦が複数予定されており、これらの試合がキャンセルになったことで露頭に迷うところでしたが、今年のみの特別処置として今シーズンはACCの一員として参戦。ACCタイトル獲得資格も持っており、クレムソン大一辺倒だったこのカンファレンスに彼らに太刀打ちできそうなノートルダム大が参戦するということはACCにとっては大きな起爆剤となりそうです。

参考記事ACCのスケジュールが歴史を変える?


上位10位以下

10位以下を見てみると常連チームが顔を連ねていますが、昨年のファイナルランキングで25位入り出来なかったテキサスA&M大、オクラホマ州立大、サザンカリフォルニア大、ノースカロライナ大、アイオワ州立大、テネシー大らがランクされているのが興味深いです。

テキサスA&M大(13位)は今年3年目のジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督に率いられますが、フィッシャー監督はフロリダ州立大で全米制覇を成し遂げた「優勝請負人」とも言われる人物。しかし昨年は8勝5敗と燻り周囲をがっかりとさせてしまいましたが、今年は13位出発と期待の高さを物語っています。

オクラホマ州立大(15位)もカンファレンス優勝には手が届かないものの毎年二桁勝利を重ねる実力チーム。しかし昨年は8勝5敗と思わぬスランプに見舞われました。しかもオフシーズンには「BLM」運動に際してマイク・ガンディ(Mike Gundy)監督がチームのスターRBチュバ・ハバード(Chuba Hubbard)と一悶着あるなどフィールド外での話題に事欠きませんでした。

サザンカリフォルニア大(17位)は今季参戦しないとは言え、25位以内に飛び込んできたのは意外でした。2015年から指揮を執るクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督はなかなか結果を残せずに地元ファンから辛辣な意見が後をたちませんが、昨シーズン後半戦に勝ち星を重ねることが出来たことが今季への期待の高さだったのかもしれません。

個人的に一番驚いたのはノースカロライナ大が18位に飛び込んできたことです。昨年から現場に復帰した元テキサス大監督の名伯楽であるマック・ブラウン(Mack Brown)が指揮を執りますが、去年は予想を上回る7勝6敗と勝ち越したとは言えそれが今回ランクされるほどの結果だったのかは疑問です。ただ一つ言えるのはブラウン監督の伝家の宝刀とも言える超絶なリクルーティング力でノースカロライナ大には未来の卵たちがどんどん集まってきています。その状況も踏まえた18位ということでしょうか。

そして25位には古豪テネシー大が滑り込みでランクイン。私がカレッジフットボールにハマりだした1990年代のテネシー大は今で言うアラバマ大とかオハイオ州立大ぐらいの強さを誇っていましたが、1998年のナショナルタイトル獲得をピークに徐々に力を失い、最近では完全に全米の檜舞台から姿を消していました。しかし2018年にジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)氏を監督に迎えると昨年には3年ぶりの勝ち越し並びにボウルゲーム出場を果たしチーム再建は緩やかながら上昇気流に乗りかけているようです。果たして強豪ひしめくSECで再び一旗揚げることが出来るでしょうか。

プレシーズンランキングの信憑性

ところでプレシーズンランキングとは主に記者たちが昨年度の結果、そこからどれだけの人材が卒業やNFL入りで流出したか、春季トレーニングの様子、その他諸々を加味した上での予想ランキングであります。それゆえ、「机上の空論」とまでは言いませんが実際にシーズンが始まってみると予想外にトップチームが苦戦したり、思っても見なかったチームが快進撃を見せたりするものです。だから一概に今回のこのプレシーズントップ25位が実力を反映したものであるとは言えません。

そこで過去10年のプレシーズンランキングとファイナルランキングの1位チームを調べてみました。

2010年
プレシーズン:アラバマ大
ファイナル:アーバン大

2011年
プレシーズン:オクラホマ大
ファイナル:アラバマ大

2012年
プレシーズン:サザンカリフォルニア大
ファイナル:アラバマ大

2013年
プレシーズン:アラバマ大
ファイナル:フロリダ州立大

2014年
プレシーズン:フロリダ州立大
ファイナル:オハイオ州立大

2015年
プレシーズン:オハイオ州立大
ファイナル:アラバマ大

2016年
プレシーズン:アラバマ大
ファイナル:クレムソン大

2017年
プレシーズン:アラバマ大
ファイナル:アラバマ大

2018年
プレシーズン:アラバマ大
ファイナル:クレムソン大

2019年
プレシーズン:クレムソン大
ファイナル:ルイジアナ州立大

2020年
プレシーズン:クレムソン大
ファイナル:???

ご覧の通り過去10年間だけで見るとプレシーズンで1位を取ったチームがナショナルタイトルを取れたのは2017年度のアラバマ大のみです。しかもこの年彼らはライバルであるアーバン大アイロンボウルで敗退し4位にまでランクを落としてギリギリCFP(カレッジフットボールプレーオフ)に進出した後に優勝を果たしたという経緯の持ち主です。

参考記事プレーオフへの道!【最終回】

つまりプレシーズンで1位を取ることはそれ以上でもそれ以下でもないということで、今回の順位は開幕を迎える上でのほんのお楽しみ程度の感覚で受け入れればいいのではないか、ということです。

・・・とここまでランキングを見て簡単な寸評を書いてみましたが、冒頭に「シーズンインに向けて気持ちが乗らない」というような事を書いたくせに、この記事を書き終わったらちょっと開幕を迎える上での気持ちにスイッチが入った感じがします(笑)。

開幕まであと少し。そろそろプレシーズン記事でも書いてみようかしら。

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