カレッジフットボールで頂点を極めるためにはカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に進出する必要があり、現在のフォーマットだと4チームしかそのプレーオフに出場することが出来ません。FBS(フットボールボウルサブディビジョン)には合計10個のカンファレンスが存在していることを考えればカンファレンスで優勝してもプレーオフに出場できる保証はないわけです。
ただプレーオフに出場することもそうですが、所属するカンファレンスで優勝することにも大いに意義はあります。特にFBSでも中堅カンファレンス群と言われる「グループオブ5」に所属しているチームたちは、それぞれのカンファレンスで優勝することは現実的に見て彼らにとっては最大の目指すべき夢や目標でもあります。
そんな感じで各カンファレンスではそれぞれの優勝戦線が佳境を迎えていますが、今回はレギュラーシーズンゲーム最終節となる第13週目を迎えるに当たり、各カンファレンスにおいて優勝決定戦出場をかけた争いがどの様になっているのか見ていきます。
目次
アトランティックコーストカンファレンス(ACC)
ACCはすでにフロリダ州立大(全米5位、11勝0敗)とルイビル大(全米10位、10勝1敗)のマッチアップが決まっています。フロリダ州立大が勝てば2014年以来のカンファレンスタイトル、ルイビル大が勝てばACCメンバーとしては初優勝、チーム史上で言えば2012年に当時所属していたBig Eastカンファレンス(現在はフットボールカンファレンスとしては消滅)を制して以来の偉業となります。
Big 12カンファレンス
Big 12カンファレンスは現在カンファレンス戦績7勝1敗でテキサス大がトップ、それを6勝2敗で追うのがオクラホマ大、オクラホマ州立大、カンザス州立大となっています。第13週目のそれぞれのチームのマッチアップは以下の通り。
- テキサス工科大 @ テキサス大(金曜日)
- テキサスクリスチャン大 @ オクラホマ大(金曜日)
- ブリガムヤング大 @ オクラホマ州立大
- アイオワ州立大 @ カンザス州立大
もしテキサス大がテキサス工科大に勝った場合・・・
その時点でテキサス大のカンファレンス優勝決定戦出場が決まります。そしてその場合、もしオクラホマ州立大がブリガムヤング大に勝つとオクラホマ州立大の優勝決定戦出場が決定しますが、オクラホマ大がテキサスクリスチャン大に勝ち、さらにオクラホマ州立大がブリガムヤング大に負けるとオクラホマ大の優勝決定戦出場が決まります(オクラホマ大はオクラホマ州立大に直接対決で負けているため)。
ただオクラホマ大もオクラホマ州立大も負けてしまうと、もしカンザス州立大がアイオワ州立大に勝てばカンザス州立大が滑り込みでタイトルゲーム出場を決めます。カンザス州立大が負けた場合はタイブレーカーの関係でオクラホマ州立大が出場です。
そしてもしテキサス大がテキサス工科大に負けた場合・・・
オクラホマ大、オクラホマ州立大、カンザス州立大の3つのチームのうち2チーム以上に土がつく(つまり3敗目となる)とテキサス大は負けてもタイトルゲーム進出が決まります。
ただもしテキサス大が負け2敗チームが3チーム以上出た場合はより複雑なタイブレーカーのルールが適用される事になっています。その場合には、(1)直接対決の結果(2)共通する対戦相手の中で最も順位の高いチームとの戦績、が採用されるようになっていますが非常に複雑になる可能性があります。
簡単に言うと、最もチャンスがあるのがテキサス大、その次がオクラホマ州立大、ついでオクラホマ大、そしてチャンスが有るもミラクルが起きなければならないのがカンザス州立大、ということになります。
Big Tenカンファレンス
Big Tenカンファレンスは二地区制度(今年で最後)を敷いており、西地区はすでにアイオワ大が優勝を決めています。彼らと対決するのは東地区の優勝争いで直接対決を控えるオハイオ州立大とミシガン大の勝者。結局紆余曲折を経て今年も東地区の雌雄を決するのは最終戦の「The Game」となりました。
Pac-12カンファレンス
Pac-12カンファレンスでは無敗を守るワシントン大が最終節を待たずしてタイトルゲーム進出を決めています。彼らの相手となるのはオレゴン大かアリゾナ大です。
今週末オレゴン州立大と対決するオレゴン大はこの試合に勝って1敗を守れば見事にタイトルゲーム出場への切符を手に入れてワシントン大とのリベンジに臨みます。ただもしオレゴン大が敗れ、アリゾナ大がアリゾナ州立大に勝つと、タイブレーカーの結果、直接対決のないオレゴン大とアリゾナ大は共通する対戦相手の中で最も順位の高いチーム、つまりオレゴン州立大との戦績が絡んできます。この場合オレゴン州立大をすでに倒しているアリゾナ大がワシントン大の対戦相手となります。
つまりオレゴン大は勝ちさえすればタイトルゲーム出場。アリゾナ大はオレゴン大が負け、自身がアリゾナ州立大に勝つことが条件となります。
サウスイースタンカンファレンス(SEC)
SECもBig Tenと同じく二地区制度を敷いていますが(彼らも今年で最後)、すでに東地区代表がジョージア大、西地区代表がアラバマ大と出揃っており、この2校の激突が決定済みです。
この2項は2017年以来5回の対戦があり、戦績は4勝1敗でアラバマ大が有利ですが、最後に勝ったのは2021年度の全米王者決定戦でのジョージア大。そしてジョージア大は翌年のタイトルも取っており今年は3連覇を目指すチーム。明らかに状況は一変しています。果たしてアンダードッグとなったアラバマ大がジョージア大にどこまでやれるのか?
アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)
AACのタイトル争いはカンファレンス戦績7勝無敗でトゥレーン大、サザンメソディスト大、テキサス大サンアントニオ校(UTSA)が並ぶ三つ巴の戦い。その中でも注目はトゥレーン大とUTSAの一騎打ち(金曜日)この勝者がまずはタイトルゲームへのチケットを手に入れます。
サザンメソディスト大は海軍士官学校と対決。彼らはこれに勝ちさえすればタイトルゲーム進出が決まります。ただもし負けると、トゥレーン大とUTSAの敗者とのタイブレーカーに持ち込まれます。AACのタイブレーカーはコンピューターランキングによって決められるとされており、これによると現在のところトゥレーン大が有利とされていますが、これは全ての試合が終わってみないとわかりません。
カンファレンスUSA
カンファレンスUSAの優勝決定戦は9勝3敗のニューメキシコ州立大と11勝0敗のリバティー大のマッチアップが決まっています。
ニューメキシコ州立大は今年2年目となるジェリー・キル(Jerry Kill)監督が指揮。かつてミネソタ大を率いるも健康上の理由で指導の現場から身を引きましたが、後に復帰。もしタイトルを取ることになればカンファレンスUSAでは初、チーム史上では1978年以来(ミズーリヴァレーカンファレンス、FCS)の栄冠となります。一方のリバティー大は今年からカンファレンスUSA参戦ということで、初年度でいきなりタイトルを手に入れるという荒業に挑戦です。
ミッドアメリカンカンファレンス(MAC)
MACのタイトルゲームは9勝2敗のマイアミ大(OH)と10勝1敗のトレド大の対決が決まっています。
マイアミ大が勝てば2019年以来通算23度目の栄冠、トレド大が勝てば昨年に続き2連覇(通算16度目)となります。
マウンテンウエストカンファレンス(MWC)
MWCはカンファレンスレコード1敗でUNLV(ネバダ大ラスベガス校)がトップを走り、それを2敗で追うのが空軍士官学校(エアフォース)、ボイジー州立大、サンノゼ州立大の3チームです。
今週末この4チームは直接対決を控えています。UNLVはサンノゼ州立大と、そして空軍士官学校はボイジー州立大(金曜日)との決戦です。
UNLVはサンノゼ州立大に勝てば決勝戦進出。そして空軍士官学校とボイジー州立大の勝者がそのUNLVと対決することになります。が、UNLVが負けると、サンノゼ州立大、空軍士官学校とボイジー州立大の勝者、そしてUNLVが2敗で並びます。この場合のMWCのタイブレーカールールはAACと同じくコンピューターランキング。現在までで有利なのがUNLV、時点が空軍士官学校、ついでボイジー州立大、サンノゼ州立大となっています。これも全ての試合が終わらないとわかりません。
サンベルトカンファレンス
サンベルトカンファレンスは東地区と西地区の二地区制度。そのうち西地区はすでにトロイ大が地区優勝を決めています。東地区は現在6勝1敗でジェームスマディソン大が首位ですが、彼らはFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)からの昇格2年目でトランジッション期間にあり、カンファレンスタイトルゲームに進むことが出来ません。故に勝負の行方は2敗のコースタルカロライナ大、アパラチアン州立大、そして3敗のオールドドミニオン大の3校に絞られます。
もしコースタルカロライナ大が今週末ジェームスマディソン大に勝つとその時点でアパラチアン州立大との直接対決に勝利している彼らが地区優勝を決めます。
もしコースタルカロライナ大が負けてアパラチアン州立大がジョージアサザン大に勝つと、2敗を守るアパラチアン州立大が地区優勝となります。
そしてもしコースタルカロライナ大とアパラチアン州立大がどちらも敗戦し、オールドドミニオン大がジョージア州立大に勝つとオールドドミニオン大が逆転優勝です。
万が一にも3チーム全てが負けてしまった場合はコースタルカロライナ大が優勝決定戦に進出します。
現在10勝1敗のジェームスマディソン大と7勝4敗のコースタルカロライナ大との一戦に注目となりそうです。