2022年のNFLドラフトまであとわずか。今年はミズーリ州カンザスシティで行われます。
- 4月27日(第1日目):第1巡目
- 4月28日(第2日目):第2巡目&第3巡目
- 4月29日(第3日目):第4巡目〜第7巡目
これまですでにネット上にはドラフト情報が豊富にあふれており、またアメリカンフットボールマガジンさんが「NFLドラフト候補名鑑」を出版されてしまっていますが、今年も当サイトでもNFLドラフト候補をカレッジ時代のベストゲームやベストプレーを軸にご紹介していきます。
QB、RBに続く第3回目はWRに焦点を当て、注目選手たちをサクッと浅く(笑)見ていきたいと思います。
参考記事2023年NFLドラフトで注目の選手たち【QB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【RB編】
ジャクソン・スミス・エンジグバ(オハイオ州立大)
カレッジキャリアスタッツ
REC # | REC YD | AVG (YD) | TD | |
2020 | 10 | 49 | 4.9 | 1 |
2021 | 95 | 1606 | 16.9 | 9 |
2022 | 5 | 43 | 8.6 | 0 |
2年生だった2021年度、当時のトップWRだったクリス・オラヴェ(Chris Olave、現ニューオーリンズセインツ)とギャレット・ウィルソン(Garrett Wilson、現ニューヨークジェッツ)に次ぐ3番手のWRながら1606ヤードと躍進したのがジャクソン・スミス・エンジグバ(Jaxon Smith Njigba)。
長身レシーバーと小柄なレシーバーのちょうど真ん中ぐらいの身長(6フィート)をもつエンジグバは滑らかな足腰と上体を使ったスタイルでルートの取り方が上手なWR。キャッチ能力も秀逸でまるでグローブにとりもちでも仕込まれているかの様にボールをキャッチすることができるハンドスキルも持ち合わせています。
ただスタッツを見ると分かる通り、2022年度はハムストリングの怪我でろくに試合に出場することができず、結局カレッジキャリアでまともに数字を残せたのは2021年のみ。その怪我の具合も気になるところですが、少なくともスカウティングコンバインではいい動きを見せており、もともと持っているものを考えれば彼に手を出さないチームはいないでしょう。
AGSの選ぶエンジグバのベストゲーム
ユタ大戦(2021年度ローズボウル)
当時NFL入りすれば高順位でドラフトされると見込まれていたクリス・オラヴェとギャレット・ウィルソンが相次いでローズボウル出場を回避。そのためWR1となったのがエンジグバでしたが、その期待以上の活躍を見せて347ヤードに3TDというモンスター級の数字を残しました。
キャリアハイライト動画
ジョーダン・アディソン(サザンカリフォルニア大)
カレッジキャリアスタッツ
REC (#) | REC (YD) | AVG (YD) | TD | |
2020 | 60 | 666 | 11.1 | 4 |
2021 | 100 | 1593 | 15.9 | 17 |
2022 | 59 | 875 | 14.8 | 8 |
2021年までピッツバーグ大に所属。QBケニー・ピケット(Kenny Pickett、現ピッツバーグスティーラーズ)の相棒として活躍して2021年度の年間最優秀WR賞であるビレントニコフ賞を受賞。そして2022年度はサザンカリフォルニア大に転校していました。
滑らかなルートランナーとして知られており、特にスクリメージからの出だしの速さが絶品。体のしなやかさを使って相手DBの逆を突くことに特化しており、そこで得たスペースを大いに利用してヤードを稼いできました。またスピードに乗った状態からのカット能力も素晴らしく対峙するディフェンダーにとっては大変守りにくい選手といえます。
6フィートという身長がありながら体重が175パウンド(約79キロ)と軽量なのが気になりますが、レシーバーとしての多くのスキルを兼ね備えたポテンシャルの高いWR。スロットレシーバーとして大いに威力を発揮してくれそうです。
AGSの選ぶアディソンのベストゲーム
バージニア大戦(2021年度)
この試合ではエースQBブライス・ヤング(Bryce Young)が怪我で欠場。そんな中チームはランを中心に攻撃を組み立てましたが、その中心として気を吐いたのがギブス。この日は21ヤードのキャリーで154ヤードのラン、1キャリー平均7.3ヤードとして24対20での辛勝に貢献しました。
キャリアハイライト動画
クエンティン・ジョンストン(TCU)
カレッジキャリアスタッツ
REC (#) | REC (YD) | AVG (YD) | TD | |
2020 | 22 | 487 | 22.1 | 2 |
2021 | 33 | 612 | 18.5 | 6 |
2022 | 60 | 1069 | 17.8 | 6 |
3年生だった2022年、開幕から鳴かず飛ばずだったものの、5戦目となったカンザス大戦で206ヤードを稼ぎ出して一気に名を上げたのがこのクエンティン・ジョンストン(Quentin Johnston)。その次戦となるオクラホマ州立大戦でも180ヤードを記録して昨季もっとも注目されたWRの一人に台頭しました。
6フィート4インチ(約193センチ)という長身が最大のジョンストンの売りですが、そのサイズに似合わない運動神経を備えています。また加速力が魅力でもあり、ロングボールのフェードの肩越しのキャッチなどで威力を発揮していました。当然その長身から50/50ボールにも強く、長身系のWRとしては今季トップクラスの選手です。
ただキャッチスキルでいうと、捕れそうなボールをディフェンダーとのせめぎ合いの中で落としたり、ボールへと「戻ってくる」アクションに物足りなさも覚えます。また身長の割にタフネスさでも疑問が残り、ブロッキングテクニックは並レベルといったところでしょうか。
とはいえ、彼の長身はかなり魅力的ですから、そういったタイプのWRを必要とするチームとしては目が離せない選手と言えそうです。
AGSの選ぶジョンストンのベストゲーム
カンザス大戦(2022年)
対戦当時はどちらも無敗でTCUが全米17位、カンザス大が19位と計らずして注目のマッチアップとなりましたが、この試合でジョンストンはその名を轟かせる14回の捕球で206ヤードに1TDと大活躍。アクロバティックなパスも連発して彼のドラフトでの株を上げるきっかけとなってゲームとなりました。
ハイライト動画(2022年度)
ゼイ・フラワーズ(ボストンカレッジ)
カレッジキャリアスタッツ
REC (#) | REC (YD) | AVG (YD) | TD | |
2019 | 22 | 341 | 15.5 | 3 |
2020 | 56 | 892 | 15.9 | 11 |
2021 | 44 | 746 | 17.0 | 7 |
2022 | 78 | 1077 | 13.8 | 12 |
2022年度のボストンカレッジは3勝9敗と散々でしたが、そんな中でも輝いていたのがこのゼイ・フラワーズ(Zay Flowers)。シーズン開幕前には多額のNIL(Name/Image/Likeness)ディールをちらつかされて天候を打診されていましたがこれを拒否。そしてボストンカレッジでは大学生涯捕球数(200)、レシーブヤード(3056ヤード)、レシーブTD数(29)を記録。これらはすべて大学新記録となりました。
フラワーズの売りはなんといってもその俊敏さ。カットやストップ&ゴーの技術、俊足活かしたダウンフィールドでのプレーメーキング力は随一。特に得意なのはダブルムーブで、このスキルでこれまで何人ものディフェンダーを置き去りにしてきました。またみなぎる闘争心もチームメイトを鼓舞する上で非常に貴重なキャラクターといえます。
ただどうしても指摘せざるを得ないのはそのサイズ。5フィート10インチ(約177センチ)に172パウンド(78キロ)と細身の小柄であることは確かにチームにとっては気に留めておかなければならない点かもしれません。しかしながら近年フィールドをストレッチするオフェンスが多くなる中、フラワーズのようにスペースを活かしたスピード系のWRはそのスキルさえあれば十分活躍することはできています。
つい先日にはカンザスシティチーフスから直々にパトリック・マホームズ(Patrick Mahomes、元テキサス工科大)との相性を確かめるために施設に呼び出されてマホームズのパスを受けている様子が伝えられました。それほどフラワーズの素質に価値を見出しているということで、今ドラフトで彼がどこに選ばれるのか非常に気になるところです。
Zay Flowers catching passes from Patrick Mahomes 👀
— PFF (@PFF) April 19, 2023
(🎥 @2LiveCraig)
pic.twitter.com/s3xjJnSDjq
AGSの選ぶフラワーズのベストゲーム
ノースカロライナ州立大戦(2022年)
全米16位につけて波に乗るノースカロライナ州立大に乗り込んだボストンカレッジ。この時彼らはすでに2勝7敗とし誰もがノースカロライナ州立大の勝利を予想したでしょうが、そうは問屋が卸さないとしたのがフラワーズ。彼はこの日7度の捕球で130ヤードに2TDと数字を残し21対20のアップセットをお膳立てしました。
キャリアハイライト動画
その他の候補者たち
ジョシュ・ダウンズ(Josh Downs、ノースカロライナ大)
ジェイリン・ハイアット(Jalin Hyatt、テネシー大)
タンク・デル(Tank Dell、ヒューストン大)
ケイション・ブーテ(Kayshon Boutte、ルイジアナ州立大)
A.T.ペリー(A.T. Perry、ウェイクフォレスト大)
セドリック・ティルマン(Cedric Tillman、テネシー大)
ジョナサン・ミンゴ(Jonathan Mingo、ミシシッピ大)
タイラー・スコット(Tyler Scott、シンシナティ大)
マーヴィン・ミムス・Jr(Marvin Mims Jr、オクラホマ大)
マイケル・ウィルソン(Michael Wilson、スタンフォード大)
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当サイトのポッドキャストにてドラフトプロスペクトに精通されているTamagoさんに来たるドラフト候補生からなる「All Tamagoチーム」を選んでいただいています。ドラフトに備えて非常に面白いエピソードとなっていますので、まだ試聴されていない方はぜひ!!