クレムソン大オフェンスは基本的にスプレッドオフェンスを用い、それにQBとRBを併用したランアタックを混ぜてきます。アラバマ大が今季対峙して来た相手ではアーバン大によく似ていますが、クレムソン大のパスオフェンスの方が格段に正確です。全米11位となるトータルオフェンスが示すように、クレムソン大のバランスの取れたオフェンスは相手ディフェンスに非常に脅威になります。
オフェンシブライン
アラバマ大オフェンシブラインは目を見張るものがありますが、クレムソン大のそれもアラバマ大に負けじとも劣りません。注目はブラインド側を任される、1年生のミッチ・ハイアットです。ヘッドコーチ、ダボ・スウィニー監督曰く、「今季ミッチが試合でやって来た事は普通ではほぼ不可能に近い事だ。1年生がレフトタックルを任されるなど1940年代以来の事だというのに、それをただこなすだけでなく、ベテランレベルまで昇華させている。これは言うほど簡単な事ではない」ということです。
しかしその1年生ハイアットはアラバマ大ディフェンスの脅威に立ち向かわなければなりません。アラバマ大はQBサック数は全米ナンバーワンですが、クレムソン大オフェンシブラインのQBプロテクションも全米トップレベルです。
スキルポジション
QBデショーン・ワトソンはセミファイナル戦(オクラホマ大)では彼のベストのパフォーマンスを発揮出来ませんでしたが(31回中16回パス成功、187ヤード)、それでも彼は全米で最もQBレーティングが高い選手の一人です。1試合平均338パスヤードという記録をしてACCタイトルを取得し、ハイズマントロフィーレースでも投票数第3位となったのです。投げては走れると言う近代アメフトQBの流れを地で行くワトソン。アラバマ大はこういったハイブリッドQBに弱い傾向があります。ワトソンが本領を発揮すれば最強と謳われるアラバマ大ディフェンスも崩すことが出来るでしょう。
RBウェイン・ガルマンはハイパワーオフェンスを誇るクレムソン大の中であまり注目を浴びていない選手だと思います。クレムソン大オフェンスの基本はスプレッドオフェンスですが、ガルマン、そしてワトソンの走りがあるからこそ相手ディフェンスをアンバランスにさせることが出来るのです。
クレムソン大レシーバー陣は相手セカンダリーを突き放せる、長距離パスの脅威となるほどのレシーバーは見当たらないものの、基本的になかなかのユニットです。ただアラバマ大と違うのは彼らが擁するカルヴィン・リドリーのような絶対的プレーメーカーがいないと言うところでしょうか。
総評
クレムソン大オフェンスを要となるのは当然QBワトソンです。アラバマ大はこのワトソンをどう攻略するかみものですが、アラバマ大に限らずクレムソン大と対戦して来たチームは、いかに練習でクレムソン大オフェンスに見立てたスカウトチームを組んだとしても、ワトソンのような選手を用意する事は不可能で、アラバマ大がワトソンのようなダイナミックなQBを止められるかどうかは試合が始まるまで分かりません。
ニック・セイバン監督が指揮して来たディフェンスはワトソンのようなハイブリッドQBに弱いと言う過去があります。ですからワトソン次第でクレムソン大にもスコアリングのチャンスは十分にあると思います。