諦めの悪いブリルス氏

先月初め、かつてベイラー大でおこった婦女暴行事件を調査し最終的に大学側が事実隠蔽したかどうかを見極める為に、大リーグのテキサスレンジャーズが彼らの組織の一部である法律関係の調査部を送り込むことを発表しました。なぜレンジャーズが関わっているのかはちょっとわかりませんが、おそらく腕の立つ調査団を抱えているからなのでしょう。

時が経てば風化するかと思われたこの事件でしたが、そうかと思うと新たな事実が暴露されたりして未だに尾を引いている状態です。そんな中、この渦中の人物である元ヘッドコーチ、アート・ブリルス(Art Briles)氏は自分の世評がどんどん落ちていくことに耐えかね、とうとうその重い口を開いたのです。

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自身の潔白を主張

先月地元テレビ局が入手したブリルス氏の声明文によると、彼は選手たちが犯した事件を隠蔽した事実はないと彼への告発に対し真っ向から否定しています。

「まず最初に言っておきたいのは私はこの婦女暴行事件に関して何も隠蔽したことはありません。これまで私と共に仕事をしてきた人々ならば分かってくれると思いますが、私は常々正しいことを突き通すことをよしとしてやってきました。ただそれは他の人に危害を加えてまで遂行するということではないのです。」

ブリルス氏は昨年の開幕前となる初夏にベイラー大を解雇され、これまで多くの批判が彼に降りかかってきましたが、彼は沈黙を守ってきました。しかし度重なる彼への報道に黙っていることができなかったのでしょう。

「私の周囲は何も言うべきでないと私に言い続けてきましたが、私はもう黙っていられません。これまでメディアから正しくない情報、もしくは人々を誤解させるような情報が垂れ流され、その影響でベイラー大、素晴らしい学生たちや学校関係者、大学運営陣、そして体育局が不公平な言われをしてきました。私はキャンパス内外で正しい行いを乱すようなことはしたことがありません。当時フットボール選手による婦女暴行の疑いが耳に届いた時、私が即座に考えたことは、『被害者は警察に然るべくして報告し、この事件は立件されるべきだ』と言うことでした。」と自分の選手を匿うようなことはしないとしています。

本当に非は無かったのか?

ただ、このブリルス氏の声明より遡ること2ヶ月前、2011年以来合計31選手が52件の婦女暴行事件を犯したという事実が複数の被害者の告発によって明らかになっていました。さらに彼の下で働いていたスタッフが暴露した電子メールによると、ある時はブリルス氏は選手が起こした事件に関してベイラー大の法曹部を出し抜こうとしたり、またある事件で女性がある選手に銃を突きつけられたことに関し「この程度のことで(被害者は)警察に報告するのか?」と吐き捨てたり、別の事件で選手が女性に暴行をはたらいた事件が起きた時にはその女性のことを「ストリッパーなんじゃないのか?」と決めつけるような言い方をしたり・・・。

さらに別の選手が違法ドラッグ摂取の疑いで捕まった時にはブリルス氏は「この事実を発見した人物を特定して、発見した場合には何よりもまず我々に知らせるようにしなければならない」とさも警察にバレる前に自分たちで処理しようとしていたとも取れる内容の電子メールが残っていることが明らかになっています。極めつけはある女性が選手から集団レイプの被害にあったという事件を聞いたブリルス氏はその加害者のメンバーを知ると「この子はなんでこんな奴らとつるんでいたんだ?こいつらはどいつもこいつも問題児ばっかりだというのに」とまるで自分の選手たちを人ごとのように話していたと言います。

もちろん今の所何が正しいのかはわかりませんが、一介の元アシスタントが元上司であるブリルス氏にこうまでして楯突いたということは、彼の暴露内容をないがしろにすることは出来ないと思います。しかしそれでもブリルス氏は自分の身の潔白をアピールしているのです。

「これらのような間違ったインフォメーションが流出してくることが止むことを願っています。そして大学側は分かっている調査情報諸々を包み欠かさず公開してほしい。」

現場に復帰?

そんな中今月初め、ブリルス氏はアラバマ州のアラバマ大バーミンガム校主催のフットボールクリニックにゲスト講演者として招かれたと言います。その際彼はスキャンダルに関する質問には答えませんでしたが、彼のコーチ業復帰に関してはその想いを話していました。

「ボランディアコーチでもコンサルタントでも色々な選択があると思いますが、個人的にはフットボールの仕事に携わりたいと思っています。そしていつになるかはわかりませんが、どのレベルでも構わないので再びコーチとしてチームを率いたいと思っています。私は学生として大学に在学している時からコーチの道を歩んできました。だから今のようにコーチをしていない状態というのは私にとって初の経験なのです。」

しかしながら彼がどれだけコーチ業に復帰したいと願っていても、これまでのスキャンダルの報道で傷ついた彼の世評を考えれば、一体どのチームが彼を雇おうというギャンブルを思いつくでしょうか?少なくともあと10年は現場に戻ることは出来ないと個人的には考えます。ただアナリストのような影の仕事であれば可能なのかもしれませんが、彼が働いているというだけでその大学に自分の息子を送りたくないと思う親もいるかもしれません。

何れにしてもそろそろブリルス氏に関するニュースがこれ以上出てこないことを祈るばかりです。フィールド場では敏腕コーチであったために残念であることは確かですが。