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第12週目レビュー

第12週目レビュー

第12週目のカレッジフットボールは全体的に見るとそこまで興奮に満ちたウィークエンドだったと言えなかったかもしれません。上位のSECチームは「カップケーキ」ゲームを難なくこなし、Big Tenカンファレンスではファンの目を釘付けにする試合がたくさんあったとはいえず、またBig 12カンファレンスPac-12カンファレンスチームのプレーオフへの望みは相変わらず他力本願。もちろんウエストバージニア大オクラホマ州立大の試合はそんな中でも大変見ごたえのある試合でしたが、この試合の結果が直接プレーオフへの青写真を大きく変えたわけではありません。そんなシーズン終盤なのになんとなく消化不良気味だった第12週目を振り返ります。

ノートルダム大36、シラキュース大3

全米3位の名門ノートルダム大と今季予想外の快進撃で12位まで上昇してきたシラキュース大。ノートルダム大念願のプレーオフ進出に向けて最後の壁だと思われていたシラキュース大との対戦は、開催地がニューヨークヤンキースヤンキースタジアムだったこともあり、この第12週目のマッチアップの中では一番注目されていた試合でしたが・・・。

蓋を開けてみればノートルダム大の圧勝。シラキュース大攻撃陣の要、QBエリック・ダンジー(Eric Dungy)が第1Qに負傷退場してしまったこともあり、シラキュース大は強力なノートルダム大ディフェンス陣を前に為す術なし。前半を終えた時点で20対0とノートルダム大が強さを見せつけ、後半に入っても先週怪我で欠場していたノートルダム大QBイアン・ブック(Ian Book)が2TDを含む292パスヤードを記録するなど活躍。ディフェンス陣もダンジーと代役のトミー・デヴィト(Tommy DeVito)から合計3つのINTを奪うなどして全米3位の力を見せつけました。


オクラホマ州立大45、ウエストバージニア大41

予想通りのハイスコアなシュートアウトとなったこの試合。自身の4つのターンオーバーもあり前半を終えた時点で31対14と大きくリードされたホームチームのオクラホマ州立大でしたが、後半WRの数を増やすアグレッシブな布陣に切り替えたことでQBテイラー・コーネリアス(Taylor Cornelius)のパス能力が爆発。41対38とリードされた状況で迎えた試合終盤残り1分を切ったところでオクラホマ州立大が敵陣内へ切り込み、最後はWRタイラン・ワレス(Tylan Wallace)への11ヤードTDパスが残り時間42秒で決まり、土壇場で彼らが逆転します。

しかしプレーオフ進出のために負けられないウエストバージニア大も怯みません。ハイズマントロフィー候補QBウィル・グリアー(Will Grier)は自陣25ヤードラインから最後の望みをかけて攻撃開始。いきなりディフェンス陣に捕まってしまいタックルを受けてしまいますが、ここでダナ・ホルゴーセン(Dana Holgorsen)監督は2つあったタイムアウトを使用せず、貴重な20秒を失うことになります。

それでもグリアーは3つのパスを繋げて残り2秒でオクラホマ州立大陣内14ヤードまで進撃。点差が4点あったので勝つためにはTDしか道がなかった彼らは、すべてをグリアーのプレーに託します。しかし無情にも彼のパスはディフェンダーに弾かれゲームオーバー。なんとオクラホマ州立大が9位のウエストバージニア大に土をつけたのです。

ウエストバージニア大は未だにBig 12カンファレンスの優勝争いに絡んではいますが、今回の敗戦で2敗目となってしまい、おそらくプレーオフ進出への道は閉ざされてしまったことでしょう。またオクラホマ州立大QBコーネリアスは前試合のオクラホマ大戦で501パスヤード(3TD)、今回のウエストバージニア大戦でも5TDパスを含む338パスヤードに加えて、足でも106ランヤード(1TD)を記録するなど大暴れ。今年4年生のコーネリアスは198cmという長身であることもあり、ひょっとしたら来年からプロの世界でも彼の姿を拝めるかもしれません。

テキサス大24、アイオワ州立大10

Big 12カンファレンス優勝決定戦出場をかけていまだその可能性をもっている2チーム同士の戦い。勝ったほうが生き残り、負けたほうが脱落するという単純明快なシナリオの中、全米15位のテキサス大が16位のアイオワ州立大をホームで一蹴。アイオワ州立大の連勝記録を5で止め、タイトル争いに僅かな希望を残しました。

(訂正:先日の記事でテキサス大はオクラホマ大がカンザス大に勝ってしまえばこの試合の結果に関わらず彼らの脱落と紹介しましたが、オクラホマ大が最終戦のウエストバージニア大に負け、さらにテキサス大が最終戦でカンザス大に勝つと直接対決を制しているテキサス大に軍配が上がることになり、テキサス大にはいまだチャンスが残ることになります)

アラバマ大50、シタデル17

カップケーキ」ゲーム採用の始祖ともいわれるアラバマ大は来週の「アイロンボウル」目前にFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)のミリタリーカレッジ、シタデル(The Citadel)をホームに迎えました。この試合の焦点は満身創痍のQBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)が出場するのかどうかでしたが・・・。

結局タガヴァイロアは先発として出場したのですが、超格下相手にに先制こそすれ相手に45ヤードのロングTDランを許してしまいます。アラバマ大はルイジアナ州立大、ミシシッピ州立大と2試合連続完封勝利を収めてきたのにも関わらず、まさかシタデルに失点を許してしまうとは・・・。そして結局前半10対10のタイスコアでハーフタイムを迎えます。

ハーフタイムのロッカールームでは、全米首位チームらしからぬパフォーマンスにおそらくニック・セイバン(Nick Saban)監督の厳しい怒号が響いたことでしょう。たしかにシタデルはトリプルオプションというアラバマ大があまり対峙してこなかったオフェンススタイルを持ってはいますが、それでもオフェンスが点を獲れなかったことにセイバン監督が物申さないわけはないはずです。

そして後半ようやくアラバマ大は目を覚まし34連続得点。一気にスコアを43対10とします。第4Qには再び44ヤードのロングTDランを許しますが、結局50対17で力の差を見せつけて11勝目を挙げました。

ただこの試合では先発RBダミアン・ハリス(Damien Harris)が第4Qに73ヤードのロングランを見せますが、ランの最後にタックルされた際に頭部をフィールドに強打。後にハリスは脳震とう(Concussion)と診断されたそうですが、来週のアーバン大とのライバル決戦に彼が出場できるかどうかが気にかかります。

ミシガン大31、インディアナ大20

全米4位のミシガン大ですが、4位らしからぬ苦戦をインディアナ大に強いられます。そんな中この試合のヒーローとなったのは1年生のキッカー、ジェイク・ムーディ(Jake Moody)。実はこの試合がカレッジゲームデビューともなったムーディは6回のFGをすべて仕留め一人で全得点の半分以上となる19点(PATの1点も含む)を稼いでチームの勝利に大いに貢献しました。

オフェンス的に言えばパスヤードで250ヤード、ランヤードで257ヤードときっちり数字は残しましたが、オフェンシブスコアを奪えたのはQBシェイ・パターソン(Shea Patterson)の41ヤードパスTDとRBカラン・ヒグドン(Karan Higdon)の2ヤードランTDの2つのみでした。しかしきれいに勝てなくても勝ちは勝ち。これでいよいよ最終戦のライバル対決・オハイオ州立大戦でBig Tenカンファレンス東地区の優勝チームが決まります。

オクラホマ大55、カンザス大40

現在6位のオクラホマ大の売りはハイズマントロフィー候補QBカイラー・マレー(Kyler Murray)が率いるハイパワーオフェンスです。このカンザス大戦でもトータル371ヤードに5TDに絡む大活躍を見せ、チームは55得点というハイスコアを叩き出しました。

しかし、対戦相手のカンザス大はすでにデヴィッド・ビーティ(David Beaty)監督をシーズン終了後に解雇することを発表し、ここまでBig 12カンファレンスの最下位をひた歩いてきたようなチーム。そんなカンザス大にオクラホマ大ディフェンスは40点も奪われたのです。

オクラホマ大はCFPランキングで第2集団におり、トップ4チームの脱落を今か今かと待っていますが、彼らの今のディフェンス力ではトップチームと渡り合えるかどうか不安です。もちろん相手を完全に凌駕するオフェンスを持っていれば、相手よりも点を取れば勝てるという論理も立ちますが、現在の上位4チーム、アラバマ大、クレムソン大、ノートルダム大、ミシガン大のディフェンス相手に同じような高得点を挙げられるのかどうか・・・。最終的にCFP選考委員会がプレーオフ進出を決める際、オクラホマ大のディフェンスはチームにとって不利な条件であることは間違いありません。

オハイオ州立大52、メリーランド大51(OT)

全米10位のオハイオ州立大は5勝5敗のメリーランド大に終始リードされる苦しい展開。しかし何とか試合終了40秒前に追いついて45対45の同点でオーバータイムへ突入。先攻のオハイオ州立大はQBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)が5ヤードTDランを決めて先制。そして後攻のメリーランド大もテイオン・フリート・デーヴィス(Tayon Fleet-Davis)の1ヤードTDランを決めます。しかしマット・カナダ(Matt Canada)監督代行はPATでキックを選択せず試合を終わらせる2ポイントコンバージョンを決行する賭けに出ます。

しかしQBタイレル・ピグロム(Tyrrell Pigrome)が右サイドにロールアウトしオープンレシーバーを探す中、WRジェシュアン・ジョーンズ(Jeshaun Jones)が相手DBを振り切りワイドオープンに。しかしピグロムから放たれたボールはジョーンズの手をかすめてインコンプリート。ホームで大御所を倒す絶好の機会を逃してしまったのでした。

最終戦のミシガン大に向けてメリーランド大戦は手堅く勝利を収めたいところでしたが、逆にオハイオ州立大は運良くこの試合を切り抜けた形になりました。ミシガン大戦で勝てばカンファレンス優勝決定戦に進出し、ノースウエスタン大と対決。これに勝ってBig TenカンファレンスチャンプとなってCFP選考委員会へいいアピールが出来ますが、ミシガン大戦に勝つほうがBig Tenチャンプになるよりも難しい壁とも言えます。

ワシントン州立大69、アリゾナ大28

Pac-12カンファレンスの唯一の光、全米8位のワシントン州立大はアリゾナ大と対決しましたが、前半だけでなんんと8個のTDを奪う圧倒的なオフェンシブパワーで相手を圧倒。虎の子の1敗を守りいよいよ最終戦の「アップルカップ」対ワシントン大戦に備えます。

ハイズマントロフィー候補QBガードナー・ミンシュー(Gardner Minshew)はこの夜も大活躍。473パスヤードという数字も去ることながらトータル7TD(しかも前半だけで5つ)を記録するという暴れぶり。この7TDというのは1試合で稼いだTD数として大学史上最多記録。すでにFBS内で今季最多パスヤードパサーであるミンシューのプレー履歴に更に華を添えました。

ワシントン州立大は快調を続けていますが、いつかどこかでコケるんじゃないかと思いながら彼らのことを見てきました。しかしいよいよここまで1敗でしのぎ、最終戦のワシントン大戦に勝てば先に紹介した南地区の覇者・ユタ大とのカンファレンス優勝決定戦が待っています。もちろんワシントン大を甘く見ることは出来ませんから、カンファレンス優勝、そしてその先に見えるプレーオフ進出への僅かな希望をつなぎとめるためにこのライバル対決を制しなければなりません。

セントラルフロリダ大38、シンシナティ13

現在全米11位でここまで4チームしかいない無敗チームの一つであるセントラルフロリダ大。彼らはここまで21連勝してきましたが、彼らは「グループオブ5」の一員であるアメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)出身チームであるためにプレーオフ候補から事実上弾かれてきました。彼らが選考委員会から寵愛を受けない理由は「ストレングス・オブ・スケジュール」の弱さ、つまりこれまで対戦してきたチームのレベルが低すぎる、ということです。

先週彼らが対戦したシンシナティ大は9勝1敗で全米24位チーム。このチームにセントラルフロリダ大は38対13と快勝し連勝記録を22に伸ばしました。

しかしシンシナティ大もまた「グループオブ5」出身チーム。それ故セントラルフロリダ大はこの勝利をしてもランキングで一桁位にあげてもらえることは無いのでしょう。確かに彼らがトップ6位チームと同等なのかと言われれば答えは「No」となるのでしょうが、だからといって彼らに勝つ可能性がないわけではありません。問題はプレーオフに進出できるのがたった4チームであるということ。これが改善されなければ今後セントラルフロリダ大のようなチームがいくつ出てきても彼らにナショナルタイトルを争うチャンスは与えられないのでしょう。

セントラルフロリダ大がアラバマ大やクレムソン大に勝てるとは思いませんが、やってみなければ分からいというのもわかりますし、単純にどこまで彼らがやれるのかを見てみたいという気はします。

その他の試合

ユタ大30、コロラド大7

雪が降り積もる中行われたこの試合、ユタ大QBジェイソン・シェリー(Jason Shelley)が2TDを含む221ヤードのパスを投げ、同じPac-12南地区所属のコロラド大を撃破。この勝利によりユタ大が南地区初制覇を達成。カンファレンス優勝決定戦で北地区チャンプ(ワシントン大とワシントン州立大の試合の勝者)と対決です。

フロリダ州立大22、ボストンカレッジ21

ここまで7勝3敗で20位とし、ここ稀に見る活躍をつづけるボストンカレッジ。この流れでこれまで何度も苦汁を舐めさせられてきたフロリダ州立大に勝利することを胸に敵地に乗り込んできたことでしょう。現に試合は第4QにRB A.J.ディロン(A.J. Dillon)がランTDを決めて21対13とリードを広げた時点で現実のものになると誰もが思いました。

しかしフロリダ州立大はここからFGとQBデオンドレ・フランシス(Deondre Francois)の74パスTDで逆転。今季5勝目を何とか挙げることが出来ました。

実はフロリダ州立大はこの試合までに4勝6敗。もしボストンカレッジに敗れているとボウルゲーム出場資格の最低条件である6勝に手が届かなくなっていました。そうなった場合には1982年から続いてきた36年連続ボウルゲーム出場記録が途絶えてしまっていたのです。

もちろん最終戦のライバル・フロリダ大戦で敗れれば部の歴史に汚点を残すことになってしまいますが、少なくとも絶不調のフロリダ州立大にとって来週のフロリダ大戦にはライバルに勝つという理由だけでなく、この連続記録を途絶えさせないという理由も付け加わることでしょう。

ユタ州立大29、コロラド州立大24

現在23位のユタ州立大マウンテンウエストカンファレンス山岳地区のタイトルをかけて戦い続けていますが、この重要なコロラド州立大戦では冷たい雨が振り付ける中接戦を繰り広げ、29対24とユタ州立大リードで迎えた試合終了直前、コロラド州立大WRコリン・ヒル(Collin Hill)が34ヤードのパスをエンドゾーンで試合終了と同時にキャッチしてコロラド州立大の大逆転勝利かと思われました。

しかしヒルがTDパスをキャッチする前に一度アウトオブバウンズで足をフィールドから外しており、これがイリーガルタッチの反則となってこのTDが幻のものとなり、ユタ州立大は何とか難を逃れたのでした。

これでユタ州立大は地区優勝をかけて来週ボイジー州立大と直接対決。勝てば彼らにとって初の地区制覇となります。

ピッツバーグ大34、ウェイクフォレスト大13

ACC大西洋地区タイトルがかかったこの試合、ピッツバーグ大QBケニー・ピケット(Kenny Pickett)が自身歴代最高となる1試合3TDパスを成功させウェイクフォレスト大から白星を奪うことに貢献。これによりピッツバーグ大がACC優勝決定戦に初出場することが決まりました。

おまけ

ハーバード大、選手の愚行でTDが取り消しに

FCSのアイビーリーグの一員であるハーバード大。彼らは先週シーズン最終戦にて歴史的に見ればどのカレッジフットボールライバリーよりも威厳があるといえる「The Game」、対イェール大戦に臨みました。その中でハーバード大RBデヴィン・ダーリントン(Devin Darrington)は27ヤードのランTDを決めたのですが、このTDが無効になってしまいました。

というのも彼はエンドゾーンに向かう途中に追ってきたイェール大選手に走りなが中指を突き立てたことが審判に見つかってしまったのです。というかこの試合はストリームされていたのでテレビカメラもしっかり捉えていましたが。

結局非紳士行為の反則を受けたハーバード大はTDを取り消されただけでなく15ヤードの後退を科されてしまいました。ハーバード大は試合に勝ちはしましたが、ダーリントンの行為はその勝利に少なからず水を指してしまいました。

ノースウエスタン大の一風変わった準備運動

すでにBig Tenカンファレンス西地区を制しカンファレンス優勝決定戦に出場することを決めているノースウエスタン大は先週ミネソタ大でのアウェーゲームをこなしました。この日ミネアポリス市はマイナス5度。そんな中彼らが試合前に行っていた準備運動とは・・・?

心頭滅却すれば・・・ということでしょうか。まさかXXXは風邪をひかない、ということではないでしょうし(笑)。

フットボール場で雪合戦は禁止です!

先に挙げたユタ大とコロラド大の試合では雪が振りましたが、おバカな観客たちが雪で作った玉をフィールド上に投げ込み、それを見た審判が客を制するという珍しい光景が見られました。

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