ジョージア大 54、オクラホマ大 48
今季のカレッジフットボールプレーオフ(CFP)準決勝戦第1試合目となったローズボウルはカレッジフットボール史に残る大変劇的なゲームとなりました。
【関連記事】ローズボウルプレビュー
先制したのはオクラホマ大。彼らのスターQBで今年のハイズマントロフィー受賞選手でもあるベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)は最初のドライブで4回中全てのパスを成功させ、最後はWRマーキース・ブラウン(Marquise Brown)への13ヤードのパスTDが決まり先手を取ります。
ジョージア大も得意のランアタックが威力を発揮。RBソニー・ミシェル(Sony Michel)とニック・チャブ(Nick Chubb)がヤードを稼ぎ、1年生QBジェイク・フローム(Jake Fromm)からミシェルへのパスTDで早々にスコアをタイにします。
立ち上がりからペースをつかんだオクラホマ大の2度目のドライブではRBロドニー・アンダーソン(Rodney Anderson)の脚力が光り、37ヤードと45ヤードのロングランの末に9ヤードのTDランを決めてリードを奪います。
メイフィールドとアンダーソンの活躍で立て続けにTDを奪い、オクラホマ大は大黒柱と言われてきたジョージア大のディフェンス陣を翻弄。ジョージア大もミシェルとチャブのランアタックが機能しましたが、QBフロームの動きが硬くこの時点でQB対決では明らかにメイフィールドに軍配が上がり、それが点差に現れていた感じでした。
第2Qに突入すると再びアンダーソンの41ヤードランTDが決まってスコアは21対7となり、勢いだけ見ればオクラホマ大がこのまま点を取り続けて逃げ切る展開を多くの人が想像したことでしょう。しかしその疑念を払拭するかのように返しのジョージア大の攻撃ではミシェルの75ヤードのロングランTDによりたったの1プレーで点を奪って点差を再び1TD差に縮めます。
ここまでオクラホマ大は3回の攻撃をいずれもTDに結びつける展開でジョージア大ディフェンスはなす術がありませんでしたが、ようやく守備陣がメイフィールドにQBサックを喰らわせることに成功。オクラホマ大は第2Q残り10分を切ったところでFGに甘んじてスコアを24対14にします。これでジョージア大ディフェンスは多少落ち着きを取り戻し、次のオクラホマ大の攻撃を止めてパントさせることに成功。しかし攻撃陣が点を奪うことができず、前半終了直前にオクラホマ大の90ヤードのドライブを許し、最後はWRシーディー・ラム(CeeDee Lamb)からメイフィールドへのトリックパスが決まって追加点を奪われます。
ジョージア大は前半終了と同時に55ヤードのFGが決まって3点を追加しますが、31対17と2TD差をつけられて前半を折り返します。
しかし後半に入るとジョージア大のディフェンスが無敵状態だったメイフィールドとアンダーソン率いるオフェンスを徐々に攻略し始めます。そしてその間にチャブとミシェルがそれぞれランTDを奪って第3Q終了時に31対31の同点としていよいよ第4Qに突入します。
さらに第4Q残り14分弱でQBフロームからジャヴォン・ウィムス(Javon Wims)への4ヤードTDパスが決まってついにこの日初めてジョージア大が38対31でリードを奪います。
試合の流れは完全にジョージア大に傾き、前半と体勢が全く逆転してしまいましたが、メイフィールドとアンダーソンも黙ってはいませんでした。第3Qをスコアレスに抑えられていた彼らでしたが、リードを奪われた直後に88ヤードのドライブを2分弱で演出し、最後はメイフィールドからのパスをディミトリ・フラワーズ(Dimitri Flowers)がキャッチしてすかさず同点に追いつきます。
さらに返しのジョージア大の攻撃ではこれまで攻撃の起点として活躍してきたRBミシェルが痛恨のファンブル。これをオクラホマ大のスティーヴン・パーカー(Steven Parker)がリカバーしてそのままジョージア大エンドゾーンへ。ここまでジョージア大の押せ押せムードでしたが、たったの4分の間でオクラホマ大が息を吹き返して流れを手元に手繰り寄せたのでした。
残り時間約3分で攻撃権を得たジョージア大はここから決死のドライブを見せます。短時間しかない中で同点に追いつくにはジョージア大は得意のランプレーを捨てて1年生のフロームのQB力に頼らざるを得なくなりますが、フロームが5投中4投のパスを成功させて、最後はチャブの2ヤードTDランで残り時間55秒で45対45とし、土壇場で試合を振り出しに戻し、オーバータイムへ突入。
最初のオーバータイムでは両チームがFGに落ち着きスコアを48対48として2度目のオーバータイムへ。オクラホマ大の攻撃から始まったこのドライブでは再びTDを奪えずFGトライを余儀なくされます。そしてこのFGがジョージア大のロレンゾ・カーター(Lorenzo Carter)によってブロックされオクラホマ大は万事休す。
あとはFGさえ決まれば勝利できるという状況でジョージア大はこの日大車輪の活躍を見せたミシェルがワイルドキャットフォーメーションから左サイドにスルスルと抜ける27ヤードランTDを喰らわせて見事決勝のスコアを決め、長い決戦に幕をおろしたのでした。
これでジョージア大は夢のナショナルタイトルゲーム進出を決め、1983年ぶりの全米制覇まであと一歩というところまで来ました。ちなみに最大で14点差あったのをひっくり返してジョージア大はローズボウルで勝利したわけですが、これはローズボウル史上最大級の逆転劇だということです。
オクラホマ大は下馬評では有利とされていましたが、前半の勢いを持続できず、第3Qに無得点に終わってしまったのが響きました。オクラホマ大でその名を轟かせハイズマントロフィーも受賞したメイフィールドでしたが、悲願のナショナルタイトル獲得はなりませんでした。
それにしてもジョージア大のランゲームはすごかったです。この日ミシェルは181ヤード(3TD)にチャブが145ヤード(2TD)。チーム合計で317ヤードを足だけで稼いだことになり、オクラホマ大のアンダーソンも一人で201ヤード稼ぐ活躍を見せはしましたが、全米でもトップクラスと言われて来たジョージア大のRBコンビがこの大事な舞台でその評価に恥じないプレーを披露しました。またQBフロームもミスのないプレーでチームの勝利に貢献。ローズボウル史上たったの2人目となる1年生先発QBとして見事にその責務を果たしました。
ジョージア大のディフェンス陣も前半こそオクラホマ大に翻弄されましたが、後半にはオクラホマ大の守りに入った(ように見えた)オフェンススタイルにここぞとばかりに付け入って試合の流れをジョージア大に引き寄せました。メイフィールドにも合計で5つのQBサックをお見舞いして、ディフェンスを信条とするカービー・スマート(Kirby Smart)監督を喜ばせる大きな働きを見せたのです。
今季1年目となったオクラホマ大のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督にとっては初年度でここまでチームを率いることができたのは立派なものですが、今年最後の年となったメイフィールドを擁してナショナルタイトルゲームに進めなかったことは、今後しばらく彼に苦虫を噛み潰す思いを抱かせることになるでしょうね。
【ハイライト動画】