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2025年NFLドラフト第1巡目終わって・・・

2025年NFLドラフト第1巡目終わって・・・

カレッジフットボーラーの最大の夢であるNFLという舞台に立つために避けては通れない登竜門、NFLドラフト。そしてプロチームとしてもチームの補強のために欠かせない重要なイベントなわけですが、現地時間4月24日夜にその初日となる第1巡目のピックが盛大に行われました。

今年の会場はウィスコンシン州グリーンベイ市。グリーンベイパッカーズの本拠地「ランボーフィールド」とその周辺に巨大なイベントスペースが設置され、初日にはなんと20万人以上のファンが駆けつけたとか。グリーンベイ自体は決して大きい街ではありませんから、NFLに飢えたファンや自分の推しチームが誰をピックするのか興味津々なファン、そしてお祭り大好きなファンたちが一堂に集まりオフシーズンの最大のイベントに参加したのでした。

ドラフト自体は4月25日と4月26日とあと2日間残されていますが、今回はやはり最注目となった第1巡目を振り返ってみたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

今年の総合ドライチ選手は・・・

ドラフトで一番最初に選ばれる選手、いわゆる総合ドライチ選手になることは大変栄誉なことだと思います。それは当然後世に残っていく情報だからということもありますが、選手それぞれ一生に一回しかドラフトに掛かることはありませんから、そういう状況で一番最初に選ばれるというのは誰でも狙って達成できることではありません。

しかもドライチ指名権を持っているチームの台所事情によってどのポジションの選手を指名するのかというのは変わってきますから、そのドラフトで最高最強の選手が必ずしもドライチ選手になるとも限らないのです。

今年の総合ドライチ選手指名権を持っていたのは昨年度3勝14敗と撃沈したテネシータイタンズでした。クリーブランドブラウンズとニューヨークジャイアンツも3勝14敗でしたが、ストレングス・オブ・スケジュールが最も弱かったタイタンズに総合1番目の指名権が与えられました。ちなみにタイタンズが総合1位のドラフト権を最後に獲得したのは実に1978年のドラフトで、当時はまだヒューストンオイラーズだった彼らが獲得したのはテキサス大出身の名RB、アール・キャンベル(Earl Campbell)氏でした。

そんなタイタンズがドライチで指名したのは、マイアミ大QBキャム・ワード (Cam Ward)でした。

ワードは2020年から2021年までNCAA1部でも下部ディビジョンのFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)に所属するインカーネイトワード大でプレー。2022年に上部ディビジョンのFBS(フットボールボウルサブディビジョン)の中でもさらに最上級レベルと言われる「パワー5」カンファレンス群の1つだったPac-12カンファレンスに所属するワシントン州立大に転校。ここで名を挙げて2024年にマイアミ大へ再度転校したのでした。

高校リクルートを評価する際使われるのが「星(スター)」の数で、5つ星が最上級の超エリートリクルート、そして星が1つずつ減る度にポテンシャルが下がっていく、というものですが、ワードがリクルートだった際に付けられた星の数は何とゼロ。当時新型コロナウィルスが流行しており、対面でのリクルートができなかったという不運もありましたが、そんな誰も見向きもしなかったゼロ星選手が今回総合ドライチ選手にまで成り上がったのです。ちなみに星の数が全くなかった選手が総合ドライチで指名されるのはこのワードが史上初のこと(星での格付けが始まった2000年以来)。

ちなみにマイアミ大出身選手として総合ドライチとなったのはQBヴィニー・テスタヴァーデ(Vinny Testaverde、1987年)、DTラッセル・メリーランド(Russell Maryland、1991年)以来3人目の快挙です。

ちなみにNFLとAFLが合併した1967年以降のNFLドラフトを俗に「Common Draft Era」と呼びますが、この間だけに限って見た場合に同一大学から総合ドライチ選手を輩出した数としては最多の6人となるサザンカリフォルニア大、2番目に多いオクラホマ大に次ぎマイアミ大は3番目に多い数となります(アーバン大、オハイオ州立大、スタンフォード大と同数)

(1936年以降だとUSCが6人、ジョージア大、ノートルダム大、オクラホマ大が各5人、アーバン大、スタンフォード大が各4人、LSU、マイアミ大、オハイオ州立大、テキサス大が各3人)


総合ドライチ以降の主な顔ぶれ

2番目:トラヴィス・ハンター(コロラド大→ジャクソンビルジャガーズ)

ドラフト開始時に総合2番目の指名権を持っていたのはクリーブランドブラウンズでしたが、ここでいきなり指名権のトレードが行われ、ジャクソンビルジャガーズが今季総合5番目、36番目(R2)、126番目(R4)、さらに来季(2026年)の1巡目の指名権をクリーブランドに譲渡する代わりに、ブラウンズから今季の総合2番目、104番目(R4)、そして200番目(R6)を受け取るという大型のトレードを行使。これによって総合2番目の指名権をゲットしたジャガーズが獲得したのがコロラド大出身の「二刀流」トラヴィス・ハンター(Travis Hunter)でした。

WRとCBを兼任して昨年ハイズマントロフィーまでとってしまった唯一無二の存在。WRとしては2007年以来の最高位でのピック(ジョージア工科大のカルヴィン・ジョンソン)、CBとしてはなんと史上最高位でのピック(それまでの最高位は1997年に総合3番目にシアトルシーホークスから指名を受けた元オハイオ州立大のショーン・スプリングスと同じくオハイオ州立大出身で2020年にデトロイトライオンズに指名を受けたジェフ・オクダ、そして2022年にヒューストンテキサンズに指名されたルイジアナ州立大のデレク・スティングリー・Jr)となります。

NFLでもWR並びにCBを兼任するという話らしいので、来季からジャガーズは見ものですね!

3番目:アブドゥル・カーター(ペンシルバニア州立大→ニューヨークジャイアンツ)

今季のプロスペクトの中でも最注目の一人とされていたのがペンシルバニア州立大出身のEDGEアブドゥル・カーター(Abdul Carter)ですが、彼は総合3番目にてニューヨークジャイアンツに指名を受けました。

総合1位もあり得ると言われていた逸材ですが、タイタンズとジャガーズの台所事情から総合3番目になりました。指名後、ペンステートの先輩でもあるマイカ・パーソンズ(Micah Parsons、現ダラスカウボーイズ)との会話の中で「背番号は56がいいかな」といっていましたが、ジャイアンツで「56」といえばあの伝説のLBローレンス・テイラー(Lawrence Taylor、元ノースカロライナ大)が付けていたもので現在永久欠番中。果たしてLTがカーターのために「56」を使用することを許可する、なんてことが起こるのか・・・。

ちなみにカーターはイスラム教徒らしいのですが、ドラフト上位3位以内で初めて指名を受けたイスラム教徒の選手だそうです。

第4番目:ウィル・キャンベル(ルイジアナ州立大→ニューイングランドペイトリオッツ)

ニューイングランドペイトリオッツに指名を受けたルイジアナ州立大出身のOTウィル・キャンベル(Will Campbell)。ルイジアナ州立大出身のOL選手としては史上最高位となる総合4番目での指名。QBドレイク・メイ(Drake Maye、元ノースカロライナ大)を死んでも死守する、と指名後のインタビューで答えていました。

さらにその後の座りのインタビューでキャンベルはジャケットに「2」のピンバッチをつけていたことを明かします。この「2」は彼の大学時代のチームメートでつい先日自ら命を絶ってしまったWRカイレン・レイシー(Kyren Lacy)の背番号。存命であればこのドラフトで指名を受けていたと思われる逸材でしたが、彼と彼の家族に哀悼の意を表するためにこのピンをつけてこのドラフトに臨んだのだとか。

第5番目:メイソン・グラハム(ミシガン大→クリーブランドブラウンズ)
第10番目:コルストン・ラヴランド(ミシガン大→シカゴベアーズ)
第13番目:ケネス・グラント (ミシガン大→マイアミドルフィンズ)

ミシガン大出身選手3人がトップ15位以内に指名される快挙。同じ大学から3選手が上位15番目までにピックされるのは2000年以降ではこれで3度目。

アラバマ大(2023年)

  • Bryce Young (QB) – No. 1 overall, Carolina Panthers
  • Will Anderson Jr. (EDGE) – No. 3 overall, Houston Texans
  • Jahmyr Gibbs (RB) – No. 12 overall, Detroit Lions Source: Post on X

アラバマ大(2021年)

  • Jaylen Waddle (WR) – No. 6 overall, Miami Dolphins
  • Patrick Surtain II (CB) – No. 9 overall, Denver Broncos
  • DeVonta Smith (WR) – No. 10 overall, Philadelphia Eagles Source: Post on X

オハイオ州立大(2016年)

  • Joey Bosa (DE) – No. 3 overall, San Diego Chargers
  • Ezekiel Elliott (RB) – No. 4 overall, Dallas Cowboys
  • Eli Apple (CB) – No. 10 overall, New York Giants

第12番目:タイラー・ブッカー(アラバマ大→ダラスカウボーイズ)

総合12番目にダラスカウボーイズが指名したのがアラバマ大の巨漢OTタイラー・ブッカー(Tyler Booker)。これでアラバマ大は最低一人でもファーストラウンダーを世に送り出した連続年数を17年に伸ばしました

さらに31番目にはLBジハード・キャンベル(Jihaad Campbell)もフィラデルフィアイーグルスに指名され、アラバマ大からは2人のファーストラウンダーが生まれました。

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ところで、ファーストラウンドで同じ大学から複数の選手が指名されたケースは8チームあり、その最多チームとなったのは4人でオハイオ州立大でした。

オハイオ州立大(4人)

  • Emeka Egbuka (WR) – No. 19 overall, Tampa Bay Buccaneers
  • Donovan Jackson (G) – No. 24 overall, Minnesota Vikings
  • Tyleik Williams (DT) – No. 28 overall, Detroit Lions
  • Josh Simmons (OT) – No. 32 overall, Kansas City Chiefs

ミシガン大(3人)

  • Mason Graham (DT) – No. 5 overall, Cleveland Browns
  • Colston Loveland (TE) – No. 10 overall, Chicago Bears
  • Kenneth Grant (DT) – No. 13 overall, Miami Dolphins

テキサス大(3人)

  • Kelvin Banks Jr (OT) – No. 9 overall, New Orleans Saints
  • Jahdae Barron (CB) – No. 20 overall, Denver Broncos
  • Matthew Golden (WR) – No. 23 overall, Green Bay Packers

ジョージア大(3人)

  • Mykel Williams (EDGE) – No.11 overall, Jacksonville Jaguars
  • Jalon Walker (EDGE) – No. 15 overall, Atlanta Falcons
  • Malaki Starks (S) – No. 27 overall, Los Angeles Rams

ミシシッピ大(2人)

  • Walter Nolen (DT) – No. 16 overall, Arizona Cardinals
  • Jaxson Dart (QB) – No.25 overall, New York Giants

ペンシルバニア州立大(2人)

  • Abdul Carter (EDGE) – No. 3 overall, New York Giants
  • Tyler Warren (TE) – No.14 overall, Indianapolis Colts

オレゴン大(2人)

  • Derrick Harmon (DT) – No. 21 overall, Pittsburgh Steelers
  • Josh Conerly Jr. (OT) – No.29 overall, Washington Commanders

アラバマ大(2人)

  • Tyler Booker (DT) – No. 12 overall, Dallas Cowboys
  • Jihaad Campbell (LB) – No.31 overall, Philadelphia Eagles

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そして今回のドラフト1巡目の選手たちをカンファレンス出身別に見ると・・・

サウスイースタンカンファレンス(SEC)が15人で最多。全ファーストラウンダーが32人であることを考えるとほぼ半数がSEC出身選手ということになります。

この15人という数字は、ドラフト史上同じカンファレンスからの最多指名選手数(2020年の記録とタイ記録)となり、SECのタレントの高さを物語っていますが、実はSECは18年連続で最多選手輩出記録を更新し続けているのです。ただ、昨年度からBig Tenカンファレンスオレゴン大サザンカリフォルニア大ワシントン大UCLAが加入した影響でBig Tenカンファレンスの巻き返しが顕著。2023年の全米覇者がミシガン大、そして2024年がオハイオ州立大ということで、全体的な流れはこれまでSEC一辺倒だった世界とは変わりつつあります。ドラフトでの出身選手の分布図もここ数年でひょっとしたら変わるかも知れませんね。

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