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元パデュー大のティラー氏、逝く
元パデュー大のヘッドコーチ、ジョー・ティラー(Joe Tiller)氏が先々週に他界されました。74歳でした。
1997年から2008年までチームを率いたティラー氏の総合成績は87勝62敗。また彼は合計149試合を監督としてこなしましたがこれはパデュー大史上最多試合数でもあります。ティラー氏がパデュー大に着任する以前の15年間でのチームの勝敗数が54勝107敗5分けであったことを考えると、彼がパデュー大フットボール部に与えた影響の大きさを知ることができると思います。
最大の功績は2000年にBig Tenカンファレンスを制しローズボウルに出場したことです。この時のQBで現在もニューオーリンズセインツでプレーするドリュー・ブリーズ(Drew Brees)も「ティラー監督は試合に勝つだけでなく、立派な大人としてどのようにしてリーダーたる人間になるかなど人生の大切なレッスンを与えてくれました。」と恩師の死を悼んでいました。
オレゴン州立大のアンダーソン監督が辞任
今季これまで1勝5敗と全く振るわないオレゴン州立大ですが、その責任を取る形でシーズン途中ながらゲリー・アンダーソン(Gary Anderson)監督が辞任することが発表されました。
公式発表によると大学とアンダーソン監督双方の合意のもとにこの決断に至ったと言うことで、アンダーソン監督はバイアウトなどの違約金なども求めないと言うことです。本当ならば1200万ドル(約12億円)を手にすることもできたのですが、これを辞退したのです。そのような大金を受け取るだけの仕事をしていない、と言うのが理由だそうです。
結果が求められるこの世界、3年間で7勝23敗と言う数字はアンダーソン監督率いるチームが正しい方向へと進んでいるとは言い難いものです。それでも12億円ほどの大金を放棄してチームを去ることになったアンダーソン監督には賛辞の言葉が送られています。しかし一方でアンダーソン監督が自身が組閣したコーチ陣に対して不満をぶちまけていたことも明らかになりました。ジェントルマンなのかそうでないのか、よくわかりませんがどちらにしてもオレゴン州立大は長い再建の道を歩むことになりそうです。
UTEPのクグラー監督が解雇
UTEP(テキサス大エルパソ校)のショーン・クグラー(Sean Kugler)監督が先々週の陸軍士官学校戦での敗戦後に解雇されました。
陸軍士官学校に35対21で敗れたことで今シーズンUTEPは全敗記録を更新。同大学の卒業生でもあるクグラー氏の戦績は18勝36敗と振るわず、上層部はチーム再建の手始めとしてクグラー氏解雇を決めたようです。
そして臨時監督には2004年から2012年まで同校の監督を勤めていたマイク・プライス(Mike Price)氏が抜擢されました。2012年を最後にコーチ業から引退していたプライス氏はUTEPでの9年間で48勝61敗をマーク。彼はUTEP史上唯一となる3つのボウルゲーム出場を成し遂げた人物でもあります。
キフィン監督が元教え子をハイズマンに推す
全勝街道まっしぐらの全米1位アラバマ大ですが、その先発QBジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)も2年生ながら落ち着いたプレーでチームのオフェンスの主力として活躍しています。彼が最優秀賞であるハイズマントロフィーを獲得するに値する働きを見せているかどうかはまだ分かりませんが、少なくとも全米の中で彼をトロフィー受賞者に押している人物が居ます。それはフロリダアトランティック大のレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督です。
ご存知の通りキフィン監督は昨年まで3年間アラバマ大のオフェンシブコーディネーターを務めていましたが、QBコーチとしてハーツを育成したのはキフィン監督本人です。さらに言えばテキサス州出身のハーツをアラバマ大に加入したのもキフィン監督だと言われており、チームを離れてフロリダアトランティック大の監督に就任してなお教え子であるハーツの活躍に眉をひそめているのです。
そのキフィン監督は最近ツイッターで他チームの選手であるにも関わらずハーツをハイズマントロフィー受賞者に推すツイートを残しました。
Lane Kiffin votes Jalen Hurts for Heisman Trophy on Twitter. #alwaysundefeated #2forheisman https://t.co/rXBp8v26Jj
— Lane Kiffin (@Lane_Kiffin) October 3, 2017
元教え子とはいえ、すでに過去のチームであるアラバマ大のハーツを応援するのはいささか不自然ではありますが、「自分が指導した選手がハイズマントロフィーを受賞した!」という事実は将来的にフロリダアトランティック大でのリクルートに役立つことでしょうし、またその後に大御所チームで監督の座を射止めるのにも役立つことでしょう。
全米ナンバーワンのリクルート、ジョージア大進学を口言
来たる2018年のリクルートクラスで全米ナンバーワン選手と言われているQBジャスティン・フィールズ(Justin Fiedls)君が出身州であるジョージア州のフラッグシップチーム・ジョージア大へ進学することを口頭で発表しました。リクルートにつけられるランキングでも最高位とされる5つ星の評価をされているフィールズ君ですがこれでジョージア大は2年前の5つ星QBであるジェコブ・イーソン(Jacob Eason)に続きまたもトップランクのQBを勧誘することに成功したことになります。
しかし現在のジョージア大のQB事情を見てみるとフィールズ君の加入はカービー・スマート(Kirby Smart)監督にとっては嬉しい悩みのタネとなりそうです。
イーソンは昨年1年生ながらシーズン途中で先発の座を確保し今年も開幕からチームの攻撃陣を率いていましたが、2戦目のノートルダム大戦で怪我を負い、以来まだ実戦に復帰できていません。その間に先発を任されているのは新入生のジェイク・フローム(Jake Fromm)ですが、彼は派手さはないものの効果的にオフェンスを指揮してこれまでチームが無敗街道を突き進むのに大いに貢献しています。結果チームは最新ランキングで全米4位にまで上昇してきました。
5つ星のイーソン、そして現在チームの快進撃を支えるフロームという2人のQBに加えて全米ナンバーワンQBと言われるフィールズ君が入部することでジョージア大は有能QBを3人も抱えることになります。しかし当然ながら先発の座をつかめるQBは一人しかおらず、そうなると他の2人をどのようにしてチームに留めるか、それがスマート監督らコーチ陣の大きな課題となりそうです。
この3人のように高い能力を持つQBならば他のチームであれば何の問題もなく先発QBとして活躍できるに違いありません。ならばもしジョージア大で先発の座を確保できなければ出場機会を求めてトランスファー(転校)することも大いに考えられるシナリオです。ましてやそのようなQBが3人もいたら尚更です。
ちょっとまだ先の話ですが大変気になるジョージア大のQB事情です。
ダーノルドのフラストレーション
今季最高で全米4位にまでランクされるも5戦目にワシントン州立大にまさかの敗戦を喫してランクを落としてしまったサザンカリフォルニア大。最新のランキングでは14位にランクされていますが、数字の上では現在のチーム状況は決して悪いものではありません。しかしスターQBサム・ダーノルド(Sam Darnold)が下馬評ほどの活躍を見せることができず、これまで1試合に最低でも1つはINTパスを献上してしまっているこの状況は、クレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督及びオフェンシブコーディネーターのティー・マーティン(Tee Martin)氏への批判を生み出す原因になっています。
開幕前にはハイズマントロフィーの最有力候補に挙げられていましたが、今ではトロフィーレースにおいて大いに遅れをとってしまっているダーノルド。先週のオレゴン州立大戦では38対10と勝ちはしたものの、ダーノルドにとってはチグハグなプレーが目立った試合となってしまいました。そんなダーノルドはその試合後のインタビューでオフェンスプレーを批判するようなコメントを残していました。
「私は相手ディフェンスが我々オフェンスのパターンを見抜いてそこをアタックしてきていることに感づいています。我々は今後違ったプレー、違ったフォーメーション、違ったモーションなどを用いてこれまでのパターンから抜け出さなければなりません。」とダーノルドは現在のオフェンスに不満を抱いているようにも取れる話し方をしたのです。
これに対してヘルトン監督はチームのコーチ陣は優秀な人材が揃っているので問題はない、と一蹴。そしてこのコメントが世にでるとダーノルドはそのことをコーチ陣に謝罪したそうです。もっともヘルトン監督はダーノルドからは謝罪されていないと言っているようですが。
それもこれも今季全米タイトル獲得も夢ではないと言われながら、それに見合うだけのパフォーマンスを披露できておらず、また逆にワシントン大やワシントン州立大に株を奪われている今の状況にダーノルドらのフラストレーションが溜まっているからこんな話が出てきたのでしょう。シーズン後半に向け昨年のように尻上がりに調子が上がっていくことを祈りたいです。
メディアの賛辞は「猛毒」か?
先週テキサスA&M大を倒してトップランクを維持したアラバマ大ですが、その試合後の記者会見でニック・セイバン(Nick Saban)監督は持ち前の「セイバン節」を披露してくれました。彼のメディア嫌いはもう周知の事実ですが、再びセイバン監督はそのメディアをアタックしたのです。
「選手たちには日頃からあなたたちメディアの言うことではなく私の言うことに耳を傾けろと言い続けているのです。あなたたちは我々がどれだけ強いかを書き立てる。ESPNでもそのようなことを耳にする。これはもう猛毒のようなものです。ネズミの猛毒のようなね。」
このゲームの試合開始から4つのドライブのうち3つでファーストダウンを奪うことができなかったことに対してコメントを求められると、セイバン監督のメディア叩きが続きました。
「今の自分たちがどれだけのチームなのかを知るためには、私の言うことを聞くのか、はたまたメディアの言うことを聞くのか、どっちなんだ?と選手にいつも問いかけています。私たちは4度の攻撃で3度も相手に止められてしまった。これは決して良いことではありません。このチームは対戦相手全員を66対3のようなスコアで倒すことはできないんです。」
.@AlabamaFTBL coach #NickSaban with a classic response after 27-19 win over @TAMU
Is @espn really like rat poison? … lol#SCtop10 pic.twitter.com/6p3CJ0Ng0v— Rick Karle (@RickKarle) October 8, 2017
この試合までアラバマ大はヴァンダービルト大に対して59対0、ミシシッピ大に対して66対3と圧倒的な強さを誇ってきています。しかしそんな中でもセイバン監督はこの状況に満足せず、選手たちの弱点を探し出して常にチームを向上させることに全力を注いでいます。そんな中メディアで自分たちが無条件に最強チームだと評価されれば選手たちは図に乗ってしまいます。そのことをセイバン監督は「ネズミが持っているような猛毒」だと言ったのです。
チームの統制は完璧なセイバン監督ですが、そのとばっちりを受けたメディアのみなさんにとっては気の毒ですね。
マイルズ氏、バトンルージュに帰還
今週末アーバン大をホームに迎えるルイジアナ州立大ですが、この試合で大学は2007年にナショナルタイトルをとったその10周年記念として、当時のチームメンバーを試合に招待してセレモニーを行う予定です。そしてそのメンバーには先シーズン途中に監督の職を解された元ルイジアナ州立大監督のレス・マイルズ(Les Miles)氏も名を連ねているそうです。
昨年解雇されて以来未だにコーチング業に戻れていないマイルズ氏ですが、解雇後も地元バトンルージュに住み続けている彼は、ルイジアナ州立大を未だにサポートすると公言しています。そんなマイルズ氏がタイガースタジアムに戻ってくるとなれば注目度は急上昇です。
現在チームは彼の元でディフェンシブコーディネーターを勤めていたエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督に率いられていますが、先週フロリダ大に勝利したとはいえ、思ったようなシーズンを送ることはできていません。そんな状況で選手やファンに愛されたマイルズ氏が凱旋するのですから、ひょっとしたらセレモニー中に彼に再びチームを率いてもらいたいと言う声がスタジアム中に響き渡るかもしれません。
スウィニー監督も古巣へ帰還
クレムソン大のダボ・スウィニー(Dabo Swinney)監督がこの土曜日にアラバマ大のあるタスカルーサに「凱旋帰還」するそうです。と言うのもこの日アラバマ大では1992年のナショナルタイトルチームを讃えるセレモニーを行う手はずとなっており、そのメンバーの一員であったスウィニー監督もこのイベントに馳せ参じることになっているからです。
アラバマ州出身のスウィニー監督は1989年にウォークオン(スカラシップ無しの選手)のWRとしてアラバマ大に入部。のちにスカラシップ(スポーツ奨学金)を授与されチームになくてはならない選手となると1992年のナショナルタイトル獲得にも貢献したのです。
しかしシーズン中に母校とはいえこれまで2年間ナショナルタイトルゲームで対戦してきたチームの本拠地に出向くと言うのは不思議な感じはします。クレムソン大は今週シラキュース大と金曜日に対戦することになっているので、スウィニー監督はシラキュース大があるニューヨーク州から試合後にアラバマ州入りすることになっているようです。
アラバマ大にとっては昨年のタイトル獲りを阻んだ張本人がやってくると言うことで、ファンにとっては微妙な感じもあるのかもしれませんが、卒業生であり、しかもそのキャラクターから多くの人に愛されているスウィニー監督がこのような形で母校に戻ってくると言うからにはおそらく大いに歓迎されることでしょう。またアラバマ大のセイバン監督が将来的にアラバマ大を去ることになった際にその後釜の最有力候補とされているのがこのスウィニー監督。もっともこの日は彼は1992年のチームの一員として当時のチームメートたちとの再会を楽しむことになるのでしょう。