CFPランキングを分析【第1回目】

CFPランキングを分析【第1回目】

今季初のカレッジフットボールプレーオフ(CFP)ランキングが今週の火曜日に発表されました。このランキングの上位4チームが最終的にプレーオフに進出できるわけですが、これまでのような記者の投票によるAPランキングのようなほぼ主観的なランキングではなく、このCFPランキングは選考委員会がそれぞれのチームを様々な角度から検証して導き出した、より客観的なランキングといえます。それ故にこれまで開幕からAPランキングで首位を爆走してきたアラバマ大が最新CFPランキングで首位の座をジョージア大に明け渡すような事態が起こったわけです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

CFPランキングの要素

今週のCFPランキングを見ていく前にこのランキングがどのようにして決められていくか少し触れておきたいと思います。

選考委員会がチームを分析する際に重要視する点はいかのものだと言われています。

1. ストレングスオブスケジュール

これが一番重要だと言われています。これはそれぞれのチームがどれだけ厳しい試合を勝ち抜いてきたか、という意味です。厳しいスケジュール、つまり多くのランクチームと対戦してこれらを倒してきたチームには高い評価が与えられますし、逆に全勝していても対戦してきた相手が格下ばかりだったらそのチームの勝利の価値は下がってしまうのです。

2. 勝敗

チームの勝ち負けも当然ながら重要です。今のところ2敗したチームがプレーオフに進出した前例はありませんから、無敗並びに1敗が最低条件と言えそうです。

3. クウォリティーウィン

価値の高い勝利を得たかどうか。ランクの高いチームから得た勝利はもちろん高い評価を得ることになります。

4. ボディオブワーク

シーズンを通してどのような試合をこなしてきたか。例えば対戦してきたチームをすべて大差で下してきたとか、逆に無敗でもすべてギリギリで切り抜けてきたとか。また負けた試合でも高ランクのチームとの接戦であったならば評価されることもあります。

5. AP/コーチランキング

これは潜在的に選考委員会の頭の片隅にあると思われるものです。CFPランキングの土台はおそらくこれらのランキングを元にされていると思われ、そこから上に挙げた要素を加えて微調整をしていくのではないでしょうか。

6. 直接対決の結果

これは特に対決したチームが肉薄した実力を持っている場合に適用される要素だと思います。

7. カンファレンスタイトル

それぞれが所属するカンファレンスタイトルを得たかどうか。しかしこれはそこまで重要ではないかも知れません。昨年はBig Tenカンファレンスタイトルを獲り損ねたオハイオ州立大がしっかりとプレーオフに進出できています。また「パワー5」と言われるメジャー5カンファレンス(ACC、Big 12、Big Ten、Pac-12、SEC)のうちのいずれか1つのカンファレンス王者は4つしか無いプレーオフの椅子から自動的に漏れることになりますから、タイトルを取ったからと言ってプレーオフにすすめるわけでもないわけです。


第1回目のCFPランキングを分析

それではこれらを踏まえて今季最初のCFPランキングを見ていきましょう。

1位 ジョージア大(8勝0敗、SEC)
2位 アラバマ大(8勝0敗、SEC)

今季初の栄えあるCFPランキング首位に選ばれたのはAPランキングで2位のジョージア大です。これまで開幕前からずっとアラバマ大がトップの座を守ってきましたが、ここにきて「なぜ?」と思われた方も多いかと思います。なぜアラバマ大をジョージア大が追い抜いたのか?それはまさに上に紹介したポイントが影響しているのです。

一番大きいのはストレングスオブスケジュール。ジョージア大は全米5位(対戦当時は24位)のノートルダム大、全米17位(当時16位)のミシシッピ州立大という2つのランクチームを倒し、またノートルダム大戦以外のチームをすべて圧倒(これが上に挙げたボディオブワークです)。これが評価されたのでしょう。

一方のアラバマ大は今のところ唯一のランクチームからの勝利は初戦のフロリダ州立大(当時3位)のみですが、フロリダ州立大が現在2勝5敗と大スランプ中であることを考えるとこの試合の勝利に大きな価値があるとは思えません。これがジョージア大との差となってこの順位になったのでしょう。力と力のぶつかり合いだけでないのがこのCFPランキングの面白いところです。

3位 ノートルダム大(独立校、7勝1敗)
4位 クレムソン大(ACC、7勝1敗)

APランキング5位のノートルダム大が3位、APランク6位のクレムソン大が4位にそれぞれランクイン。APで3位のオハイオ州立大と4位のウィスコンシン大を追い抜いてきました。

ノートルダム大は1敗を喫していますが、これは現在1位のジョージア大から喰らったものでしかも20対19とたったの1点差でした。それ以外の試合では相手を圧倒する展開を見せてきました。しかもここ最近では11位(当時)のサザンカリフォルニア大と14位(当時)のノースカロライナ州立大と対戦して2連勝。現在勢いは全米随一です。

クレムソン大はシラキュース大との試合でまさかの敗戦を喫しました。しかしそれ以外ではこれまで3つのランクチームと対戦して(アーバン大、ルイビル大、バージニア工科大;全て対戦当時にランクイン)これらを全て蹴散らしています。この事実が彼らを上位4チームの一角に推したのでしょう。

5位 オクラホマ大(Big 12、7勝1敗)
6位 オハイオ州立大(Big Ten、7勝1敗)

オクラホマ大とオハイオ州立大もそれぞれ1敗を喫していますが、オハイオ州立大の唯一の敗戦相手は何を隠そうこのオクラホマ大。そのオクラホマ大はこれまで唯一オハイオ州立大としかランクチームと対戦していませんし、当時ランクされていなかったアイオワ州立大にもまさかの敗戦を喫してしまいました。一方のオハイオ州立大は当時5位のオクラホマ大に敗れたものの先週当時2位のペンシルバニア州立大から大逆転勝利を奪いました。しかし結果的にこの2チームの直接対決の結果がオクラホマ大がオハイオ州立大よりもランクを上にしたのでしょう。

7位 ペンシルバニア州立大(Big Ten、7勝1敗)
8位 テキサスクリスチャン大(Big 12、7勝1敗)
9位 ウィスコンシン大(Big Ten、8勝0敗)
10位 マイアミ大(ACC、7勝0敗)
11位 オクラホマ州立大(Big 12、7勝1敗)

ペンシルバニア州立大は先週まで快進撃を続け全米2位にランクされましたが、それまで大したチームと対戦してこなかったせいでオハイオ州立大との敗戦後に7位まで落ちてしまいました。同じように4位だったテキサスクリスチャン大もアイオワ州立大に敗れたため8位に。ウィスコンシン大は無敗街道まっしぐらですが、彼らはこれまで未だランクチームとの対戦がなく、これが響いてしまっています。今後のスケジュールを見てもランクチームが見当たらないため、彼らが上を目指すには勝ち続け尚且つ上位チームが転げ落ちるのを待つしか他ありません。マイアミ大も無敗チームですが、彼らもウィスコンシン大と同じ理由で10位に甘んじています。しかし彼らは今後バージニア工科大(13位)とノートルダム大(3位)との試合を控えており、これらに勝つことができればこの状況を打破する可能性は十分あります。オクラホマ州立大は当時16位のテキサスクリスチャン大に負けはしましたが、先週22位のウエストバージニア大から白星を奪いました。今週末のオクラホマ大(5位)とのライバリー対決に競り勝つことができれば、選考委員会の彼らへの印象も変わってくることでしょう。

12位以降のチームにはチャンスがないということはないと思いますが、今の所彼らに自力で上位へ食い込む力は残されていないと思われます。今後上位チームが転げ落ちてきた時、第2第3集団からどのチームが抜け出すか・・・。それも見ものです。実際過去にはシーズン最初のCPFランキングで10位以下だったチームが最終的にプレーオフに進出を果たしたケースもあります(2014年度のオハイオ州立大)。また最初のCFPランキングでトップ4に選ばれたチームで実際そのままプレーオフに出場したチームは2014年度は1チーム(フロリダ州立大)、2015年度は2チーム(クレムソン大、アラバマ大)2016年度も2チーム(クレムソン大、アラバマ大)ということで、シーズン最初のCFPランキングがいかに当てにならないかを示していると思います。

これからあと5回(おそらく)発表されるCFPランキング。見ているファンにとっては話のネタになって面白いですが、最初の数回分のランキングはあまり意味をなさないと言ってもいいかもしれません。

順位チーム勝敗前週
1ジョージア大8-0-
2アラバマ大8-0-
3ノートルダム大7-1-
4クレムソン大7-1-
5オクラホマ大7-1-
6オハイオ州立大7-1-
7ペンシルバニア州立大 7-0-
8テキサスクリスチャン大7-1-
9ウィスコンシン大8-0-
10マイアミ大7-0-
11オクラホマ州立大7-1-
12ワシントン大7-1-
13バージニア工科大 7-1-
14アーバン大 6-2-
15アイオワ州立大6-2-
16ミシシッピ州立大6-2-
17サザンカリフォルニア大7-2-
18セントラルフロリダ大7-0-
19ルイジアナ州立大6-2-
20ノースカロライナ州立大6-2-
21スタンフォード大6-2-
22アリゾナ大6-2-
23メンフィス大7-1-
24ミシガン州立大6-2-
25ワシントン州立大7-2-
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