CFPナショナルチャンピオンシップゲーム | |||||||
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45 | 40 | ![]() クレムソン大 |
今シーズンのナショナルチャンピオンシップゲーム、アラバマ大とクレムソン大の一戦はハイズマントロフィー受賞者デリック・ヘンリーと同賞3位のデショーン・ワトソンとの激突でもありました。結果は45対40でアラバマ大がクレムソン大を倒し見事勝利を収める、最後まで見応えのある試合となりました。14勝1敗のアラバマ大はこれでニック・セイバン監督指揮下で4度目の全米制覇。
ここでは前回とは異なった視点でゲームを振り返ってみたいと思います。

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スペシャルチーム!
第4Q、アラバマ大が24対24でクレムソン大に追いつくと、オンサイドキックを成功させ、さらにはケンヤン・ドレイクの95ヤードキックオッフリターンTDが決まりアラバマ大が勢いをつけるきっかけとなりました。
どの試合にも分岐点とか、チームの勢いが変わるという「瞬間」というものがあると思いますが、クレムソン大に押され気味のアラバマ大にとってはまさに天の恵み的なプレーとなりました。上の二つのスペシャルチームプレーがそれぞれTDにつながったことを考えると、スペシャルチームが試合を決めたと言ってもいいかもしれません。
O.J ハワード、人生最良の日
アラバマ大TE O.J. ハワードはこの日ビッグプレーを連発。198cmに110kgの巨漢ながらWR並みのキャッチ能力と足の速さを持つ彼がこの日のアラバマ大のヒーローになると誰が予想したでしょうか。
レギュラーシーズン中、一度もTDパスをキャッチすることはなかったハワードでしたが、タイトルゲームで53ヤードと51ヤードのレシーブTDをそれぞれ記録。さらには残り時間約5分となったところで再び彼が63ヤードのロングキャッチ&ランを記録。結果的にこのプレーが試合を決定づける要因となり、この日200ヤード以上のレシーブを果たしアラバマ大全米制覇に大きく貢献しました。
評判以上だったワトソン
クレムソン大QBデショーン・ワトソンのプレーはケタ違いでした。その彼のプレーの質は、過去のナショナルチャンピオンシップゲームの中で最高と言われている2006年のテキサス大QBヴィンス・ヤングのものと比較されるほどです。
ワトソンは今季FBS史上初となる4000ヤードのパスに1000ヤードのランを記録したQBとなりました。この日ワトソンは第3Qまでに228パスヤードに80ランヤードを稼ぎ、アラバマ大ディフェンスを完全に丸裸にしました。そして最終的には405ヤードのパスにオールパーパスヤードは478ヤードとクレムソン大オフェンシブヤードの8割を担う大活躍。
結果的にはクレムソン大は敗れ、ワトソンのスーパープレーは実を結びませんでしたが、今年弱冠2年生のワトソンは来年再びこの舞台に戻って来るべく素晴らしいプレーを見せてくれるでしょう。
ハイズマン級の働き – デリック・ヘンリー
ワトソンはハイズマントロフィー投票3位の選手でしたが、その栄誉ある賞を獲得したアラバマ大RBデリック・ヘンリーもまたこの日その名に恥じない活躍を見せてくれました。
マーク・イングラム、トレント・リチャードソン、エディー・レイシー、T.J. イェルドンと過去のそうそうたるRBがそうだったように、ヘンリーもこの大舞台で大いにその能力を発揮してくれました。
まず手始めにこの試合の先制点となる50ヤードTDを決めると、第2Qにも敵陣1ヤードラインから襲いかかるクレムソン大ディフェンスを押しのけダイブしながらTDを奪います。そして試合時間残り2分を切ったところで勝負を決定付けた1ヤードTDラン。
確かにクレムソン大ディフェンス陣はアラバマ大オフェンスをよく抑えていたと思いますが、ここぞというところでのヘンリーのパワーランが効果的でした。オフェンシブコーディネーター、レーン・キフィンのプレーコールももちろん功を奏していましたが、やはり馬車馬の如く150ヤードを足で稼いだヘンリーの功績は見逃せません。
クレムソン大前半のランディフェンス&後半のパスディフェンス
ヘンリーの活躍は先にも述べましたが、詳しく見てみると実は前半と後半では大きな隔たりがあります。前半は128ヤードに2TDを奪われるなどクレムソン大ディフェンスは彼にやられっぱなしでしたが、後半は30ヤードとしっかり抑えることができました。前半と後半ではオフェンスの作戦が異なっていたことでしょうから、一概に比べられませんが、クレムソン大が前半ヘンリーのランをもっと抑えていたら、前半にクレムソン大が点差をもう少しつけることができていたかもしれません。
またクレムソン大に痛恨の悪いニュースとなったのは彼らのセカンダリーの要、CBマッケンジー・アレキサンダーが前半怪我を負い後半出場することができなかったことです。そのせいなのか、前半QBジェイク・コーカーをトータル82ヤードのパスに抑えたのに対し、後半はコーカーとO.J. ハワードが後半3つのロングパス(そのうち2つはTD)を決めるなどして結果トータル335パスヤードを許してしまいました。
アレキサンダーの欠場が非常に響いたのは確かですが、それが後半クレムソン大パスディフェンスにボロが出たことの言い訳にはなりません。
セイバン王国健在
この勝利によってニック・セイバン監督はアラバマ大で4度目の栄冠を手にしたことになります。セイバン監督がアラバマ大に来て9年経ちますが、その間のチームの戦績は105勝18敗。勝率は8割5分3厘。そして来季のプレシーズンランキングでもおそらく1位の座を獲得することでしょう。
リクルーティングでも常に5つ星の有能タレントを呼び寄せ、そしてフィールド上でも4度の全米制覇を達成するなど非の打ち所がありません。2004年にルイジアナ州立大でもナショナルチャンピオンに輝いているセイバン監督にとってはこれで5つ目のタイトル。アラバマ大のレジェンダリーヘッドコーチ、ポール・ブライアント監督がNCAA記録となる6つのナショナルタイトルを保持していますが、果たして将来セイバン監督がこの記録を抜く日が来るのでしょうか?
チーム記録 | ||
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ファーストダウン | 18 | 31 |
3rdダウンコンバージョン | 9/18 | 6/14 |
トータルオフェンス | 473yd | 550yd |
ランヤード | 138yd | 145yd |
パスヤード | 335yd | 405yd |
ペナルティ回数/Yd | 2/21yd | 4/27yd |
攻撃時間 | 29分52秒 | 29分11秒 |
ターンオーバー | 0 | 1 |
個人記録 | |||
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![]() アラバマ大 |
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パス | YD | TD | INT |
J.コーカー | 335 | 2 | 0 |
ラッシング | 回数 | YD | TD |
D.ヘンリー | 36 | 158 | 3 |
レシービング | 回数 | YD | TD |
O.ハワード | 5 | 208 | 2 |
A.スチュワート | 2 | 63 | 0 |
C.リドリー | 6 | 14 | 0 |
![]() クレムソン大 |
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パス | YD | TD | INT |
D.ワトソン | 405 | 4 | 1 |
ラン | 回数 | YD | TD |
D.ワトソン | 20 | 73 | 0 |
W.ガルマン | 14 | 45 | 1 |
A.スコット | 2 | 19 | 0 |
レシービング | 回数 | YD | TD |
C.ピーク | 6 | 99 | 0 |
H.レンフロー | 7 | 88 | 2 |
J.レゲット | 5 | 78 | 1 |
W.ガルマン | 3 | 61 | 0 |
Z.ブルックス | 4 | 39 | 0 |
A.スコット | 4 | 33 | 1 |