ご存知かと思いますが、カレッジフットボールと言ってもレベルがそれぞれ分かれていて1部から3部まで大きく区別されていますが、当サイトでは1部、その中でも上位とされるフットボールボウルサブディビジョン(FBS)を主に取り上げています。しかしさらにそのFBS内でも強豪カンファレンス5つを合わせた「パワー5」カンファレンスとそれ以外の「グループオブ5」に分けられていますが、そのパワーバランスからどうしても「パワー5」チームの動向に目が向きがちです。
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そんな中先週も多くの「パワー5」チームたちが熾烈な戦いを繰り広げたわけですが、一方で同じように「グループオブ5」チームたちもそれぞれが所属するカンファレンスの頂きを目指して切磋琢磨しているのです。そして先週末オハイオ州立大がパデュー大に敗れたりして「パワー5」チームたちが盛り上がる中、とんでもない試合の幕切れを起こしていた「グループオブ5」チーム同士の試合があったのです。筆者も大御所たちの試合ばかりに気を取られ、今日スポーツ専門局ESPNのサイトを見るまでこの試合のことをまったく知りませんでした。既に試合終了から4日目とネタに新鮮さはなくなってしまいましたが、見逃した方のために紹介しておきたいと思います。
その試合とはオールドドミニオン大vsウエスタンケンタッキー大の試合。試合を第4Q残り2分まで早送りし、この時点で両チームは27対27の同点。そしてホームチームであるウエスタンケンタッキー大が残り1分37秒でTDを決め、決勝点と思われた34点目をスコアボードに刻みます。しかし諦めないオールドドミニオン大は残り9分というところで奇跡的に同点のTDをゲット。これでスコアは34対34となり、誰もがこの試合がオーバータイムに突入するものだと思ったことでしょう。
しかし。自陣30ヤード内から最後のポゼッション(と思われていた)をスタートさせたウエスタンケンタッキー大は試合時間残り2秒で一か八かのパスを放りますが、これがあえなく失敗。が、この時オールドドミニオン大ディフェンダーがQBにコンタクトしてラフィン・ザ・パサーの反則を取られ、15ヤードペナルティーの上にオートマティック1stダウンを相手に与えてしまいます。この時点で試合時間は終了していましたが、この反則のためウエスタンケンタッキー大には最後にもう一回(と思われていた)のプレーが許されました。
15ヤードペナルティーだったため、ボールは一気にオールドドミニオン大陣内に配置されます。そしてここでウエスタンケンタッキー大はかなりの遠距離ながらも(57ヤード)FGを狙いに行きます。しかしそのボールはあと3ヤードほど届かずゴールならず。これでいよいよオーバータイムに突入・・・かと思われました。
しかし!この時オールドドミニオン大はフィールド上に12人(12 men on the field)を送り出しており、これが5ヤードの反則に。そして再び試合時間終了にも関わらずウエスタンケンタッキー大にはもう一度(と思われていた)プレーのチャンスを与えられました。
そして2度目のFG、今度は5ヤード近づいたため、1度目のFGよりも入る確率は高くなったわけですが、そのキックは再び距離が足りませんでしたが、今度はそのキックされたボールをオールドドミニオン大選手がキャッチしてリターン。2013年度のアラバマ大vsアーバン大の「キックシックス」が思い出されるプレーでしたが、オールドドミニオン大は残念ながらエンドゾーンまで届かず・・・。これでいよいよオーバータイムで雌雄を決することになった・・・と思われました。
しかし!!このリターン中にウエスタンケンタッキー大の選手がオールドドミニオン大選手のフェイスマスクをつかむファールを取られ、なんと2度あることは3度あるとばかりに正真正銘最後のプレーとなるチャンスをオールドドミニオン大は与えられたのです。今度は相手陣内8ヤード地点からの26ヤードFG。これをオールドドミニオン大キッカーが確実に決め、残り時間2分からの大どんでん返しのドラマに終止符が打たれたのでした。
カウントダウンクロックがゼロになってから3度もプレーが許されるというこの珍事。こんなことNFLでは滅多に起こりません。それが起きてしまう(非常にレアではありますが)のがカレッジフットボールの醍醐味とも言えそうですね。