エクストラポイント【第12週目】

エクストラポイント【第12週目】

メイフィールドの後悔

オクラホマ大QBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)は先日のカンザス大の試合前のコイントス後に相手チームのキャプテン3選手に握手の手を差し出しましたが、なんとこの3選手がメイフィールドとの握手を完全拒否。これがメイフィールドに火を付け怒りの257パスヤードに3TDのパフォーマンスを引き出し、41対3でカンザス大を圧倒したのでした。

しかし怒りが収まらないメイフィールドは試合中にカンザス大のスタンドに向けて野次を飛ばしたり、フィールドを挟んだ相手チームのサイドラインに向かって股間を掴んで「Fxxk You!!!」と叫んだり。もちろんその様子の一部始終は映像として残されており、彼のこの悪態は瞬く間に全国のメディアに拡散したのでした。

試合後にメイフィールドはこれらの行動を謝罪。試合中に感情的になってしまったことは認め、そして自分がしたことは決して許されるものではないと反省の色を見せました。

メイフィールドは今の所文句なくハイズマントロフィーレースで最有力候補選手と言えると思いますが、カレッジフットボールでもっとも栄誉あるこの賞を獲得するだけの「人間性」を彼が用いているのか、という議論がにわかに起こっています。

メイフィールドといえばシーズン前に公衆の前で飲酒した疑いで職質中に逃亡しようとして逮捕されたり、今季2戦目のオハイオ州立大戦では敵地で勝利した試合後にオクラホマ大のフラッグをフィールド中央に描かれているオハイオ州立大のロゴの真上に突き刺して批判を呼ぶなど、プレーだけでなくそれ以外の彼の行動でも一騒動起こしてきた人物です。

すでにこの行動パターンに危機感を感じているNFLチームもいるようで、今回のこのカンザス大での行動が時期ドラフトでのメイフィールドの株を下げているというジェネラルマネージャー(GM)もいるということです。

一方でオクラホマ大のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督も試合直後にメイフィールドの起こした行動は受け入れられないと厳しく批判。そしてなんと彼は今週末のレギュラーシーズンフィナーレであるウエストバージニア大戦にメイフィールドを先発させないと決めたのです。しかもメイフィールドをキャプテンから外すという大変厳しい決定を下しました。この試合は4年生にとっては最後のホームゲームである「シニアデー」に指定されており、4年生はフィールドに家族とともに入場してこれまでの労をねぎらわれる、大変意味のある試合。この試合にメイフィールドへこのようなペナルティーが課されたのは驚きです。

この決定が下された月曜日、メイフィールドはポディウムに立ってメディアと質疑応答を行いましたがこの時当然ながらこの処罰のことに触れ、その際最後のホームゲームでキャプテンシーを剥奪されたことが一番辛いと涙をこらえる場面も見られました。

数々の問題を起こしてきたメイフィールド。選手としての素質を疑う余地はありませんが、今後残りのシーズンならびにプロ生活においてこれらの行動パターンが足を引っ張らないと良いのですが。それこそ元テキサスA&M大ジョニー・マンゼル(Jonnhy Manziel)のように。


UCLA、モーラ監督を解雇

数週間前にフロリダ大ジム・マクエルウェイン(Jim McElwain)監督を、そして先週にはテネシー大ブッチ・ジョーンズ(Butch Jones)監督を解雇したばかりですが、同じく名門であるUCLAジム・モーラ(Jim Mora)監督と袂を分かつ決断を下し、6年弱のモーラ体制が幕を閉じました。

先週ライバル・サザンカリフォルニア大に28対23で敗戦し5勝6敗(カンファレンス戦績は3勝5敗)となったUCLA。彼らは最終戦のカリフォルニア大戦に勝利すれば6勝目となりボウルゲーム出場権を得ることになり、最高であと2試合が残されていますが、大学側はモーラ監督にシーズンを終えるチャンスを与えることはしませんでした。

今年56歳となるモーラ監督はUCLAでの6シーズンで46勝30敗。最初の4年間は勝ち越しシーズンを収めそのうち2シーズンにおいてファイナルランキングで25位以内に入る安定感を見せていましたが、昨年は4勝8敗で大きく負け越すと今年も2年連続で負け越す危機に際しています。

UCLAは1976年から1995年までチームを率い5つのカンファレンスタイトルを獲得したテリー・ドナヒュー(Terry Donahue)氏が退いて以来4人の監督を雇ってきましたが、1996年以来現在まで獲得できたカンファレンスタイトルはたったの2つ(ボブ・トレド氏時代の1997年と1998年)のみ。モーラ監督の戦績は前任の3監督(トレド氏、カール・ドレル氏、リック・ニューハイゼル氏)と比べれば良い方に入ると思いますが、カンファレンスタイトルを取れないこと、そしてナショナルタイトル争いに加われないことなどが原因で今回の解雇に至ったものだと推測されます。

ただ以前から選手からは慕われる監督として知られていたモーラ監督でしたので、今回のこの解雇のニュースを知らされた選手は一堂に残念がるコメントを寄せています。その中でもこのニュースに心を痛めていると言われるのがQBジョシュ・ローゼン(Josh Rosen)。彼は元々モーラ監督の自宅がある街の出身で子供の頃から家族ぐるみで付き合いがあったため、なおさら恩師との別れを受け止められずにいるのでしょう。

なお後任にはオフェンシブコーディネーターのジェド・フィッシュ(Jedd Fisch)氏が臨時監督として就任しましたが、正式な新監督発掘はすでに始まっており、今の所元オレゴン大監督のチップ・ケリー(Chip Kelly)氏が最有力候補ではないかと言われています。しかしケリー氏にはフロリダ大も興味を示しているということで、レギュラーシーズン終了と同時にマーケットが解禁となることでしょうから、これからどのチームが誰を新監督に据えるかも気になるところです。

フロリダ州立大とデラウェア州立大の試合時間が短縮

今季苦戦続きのフロリダ州立大ですが、さすがに先週末は超格下のデラウェア州立大相手にはなんの問題もなく77対6というワンサイドゲームで4勝目を挙げました。

実はこの試合、ハーフタイムの時点ですでにスコアは56対6となっており、この時点で勝負はついていた(というか始まる前からついていましたが)わけですが、後半は1クォーター15分のところを10分に短縮してプレーすることを両チームが了承していたのです。

後半合わせて20分間でフロリダ州立大はさらに21ポイントを稼ぎ、77得点というとんでもない数字を叩き出したわけですが、これがフルタイムで行われていたらあと何点彼らはスコアボードに点が加わっていたのでしょう?!

フロリダ州立大のモトロウ、歴史的偉業を達成

フロリダ州立大WRジャスティン・モトロウ(Justin Motlow)は先週のデラウェア州立大戦で創部71年のフットボール部史上初となる偉業を成し遂げました。

実はモトロウはフロリダセミノール部族のメンバーであるネイティブアメリカン(俗にいうインディアン)であり、そのセミノール部族出身者として初めてTDを決めたのです。

ご存知の通りフロリダ州立大のニックネームは「セミノールズ」。これは紛れもなくフロリダ州に未だ在住し続けるネイティブアメリカンのセミノールズ部族に由来するものです。その部族出身のモトロウがホームカミングでもあったこの試合でTDパスを受けたのはなんという神様のいたずらでしょうか。

アーカンソー大が体育局長を解雇

少し前のニュースになりますが、アーカンソー大体育局(アスレティクス)を10年間束ねてきた体育局長(AD)ジェフ・ロング(Jeff Long)氏が先日解雇されました。これは現在5季目を迎え苦戦が続くブレット・ビルマ(Bret Bielema)監督解雇への布石だという見方が濃厚です。

現在もCFP選考委員の一人であるロング氏はこの業界で高い評価と尊敬を得ている人物。その彼を解雇するからにはそれなりの理由があったわけですが、それは全てビルマ監督率いるチームの勝ち負けが原因です。Big Tenカンファレンスウィスコンシン大で2010年から3年連続リーグチャンピオンに輝いたビルマ監督をアーカンソー大に引っ張ってきたのがロング氏。しかしそのビルマ監督はこれまで5年間で29勝33敗と負け越し、カンファレンスタイトル戦はおろか西地区を制したことすらなく、完全に周囲の期待を裏切る成績しか残せていません。

おそらくビルマ監督解雇は逃れられないのでしょうが、大学側はその後釜をロング氏ではなく別の人物に託したいために彼をシーズン閉幕前に解雇したのかもしれません。

ペニーのモンスターゲーム

ハイズマントロフィー候補最有力がオクラホマ大のメイフィールドであるとこのサイトでも何度か触れていますが、そのほかにもペンステートのRBセイクワン・バークリー(Saquon Barkley)、スタンフォード大RBブライス・ラブ(Bryce Love)などが挙げられていますが、サンディエゴ州立大のRBラシャード・ペニー(Rashaad Penny)も忘れてはなりません。

というのもペニーは先週のネバダ大戦でトータル429ヤードのオールパーパスヤードを記録したのです。走っては222ヤードに2TD、3度のうち2つをスコアに結びつける合計201ヤードのリターン(キックオフとパント)。ついでに6ヤードのレシーブヤードも合わせて429ヤードを一人で稼いだのです。

最終的に何人ニューヨークで行われるトロフィー授賞式に招待されるかわかりませんが、これまでの活躍を見れば(トータル253回のキャリーで1824ランヤード、17TD)彼にもその資格があると言えるでしょう。

スタンフォード大のショウ監督がチームの最多勝利監督に

先週カリフォルニア大に勝利したスタンフォード大ですが、その指揮官であるデヴィッド・ショウ(David Shaw)監督にとってこれは72勝目となり、1924年から1932年にチームを率いていたポップ・ワーナー(Pop Warner)氏が同チームで記録した総合勝利数71勝を抜き、ショウ監督がスタンフォード大での最多勝利監督になりました。

2010年まで当時のHCジム・ハーボー(Jim Harbaugh、現ミシガン大)監督下でオフェンシブコーディネーターを務めていたショウ監督はハーボー監督がサンフランシスコ49ersにヘッドハンティングされるとHCに昇格。それまで監督を務めたことがなかったために不安視されましたが、就任以来全てのシーズンで最低でも8勝を納める活躍でその周囲の不安を払拭しました。またPac-12カンファレンスタイトルも3度も獲得しており、スタンフォード大では現在絶大な信頼を得る監督となりました。

ミズーリ大が5連勝

今季開幕以来1勝5敗という最悪なスタートを切ったミズーリ大ですが、後半に入るとアイダホ大コネチカット大というノンカファンレス戦で大勝したことで自信がついたのかフロリダ大テネシー大に連勝。そして先週もヴァンダービルト大相手に45対17と大差で勝利し、5連敗の後の5連勝で6勝目を飾りました。当初はバリー・オドム(Barry Odom)監督の進退も危ぶまれましたが、これでボウルゲーム出場権を獲得してオドム監督不要論を払拭することができたというものです。

ノースカロライナ州立大、まさかの負け方

先週19位だったノースカロライナ州立大ウェイクフォレスト大と対戦しましたが、なんとも悔やまれない負け方をしてしまいました。

第4Q残り8分でウェイクフォレスト大のパスTDが決まり、終盤で彼らがノースカロライナ州立大を突き放す追加点を獲得しますが、PATキックを外し6点差とします。ですからノースカロライナ州立大としてはTDで同点、PATを決めれば逆転という状況に置かれます。

ノースカロライナ州立大オフェンスは時間をかけながら徐々に相手陣内へ攻め込み、残り時間2分を切ったところで相手陣内11ヤードラインまでいたり、いよいよ同点、ないし逆転のチャンスはすぐそこまできていました。

そしてQBライアン・フィンリー(Ryan Finley)からWRイメカ・エメジー(Emeka Emezie)へのショートパスが決まり、エメジーは2人のディフェンダーを交わしてあとはエンドゾーンに飛び込むだけ・・・というところでウェイクフォレスト大LBジャサー・テイラー(Ja’Sir Taylor)とデメトリウス・ケンプ(Demetrius Kemp)がエメジーがゴールラインを割る直前でボールを彼の手から弾き出し、それをテイラー自身がリカバーしてタッチバック!ビデオ判定でもエメジーはゴールラインを越える前にファンブルしていたことが確認され、土壇場で逆転勝利と思われたノースカロライナ州立大はそのチャンスを逃したのでした。

このあと2つのタイムアウトを残していたノースカロライナ州立大は残り41秒で自陣45ヤードから最後のチャンスを得ますが、フィンリーのパスがイターセプトされて万事休す。ノースカロライナ州立大は今季前半から周囲を驚かす活躍を見せてきましたが、これで4敗目となり6勝1敗だった頃の勢いは何処へやら・・・。ただ彼らがチームとして確実に強化されているのは確かです。

完璧なフェイクパントリターン!

先週ライバル・UCLAと対決したサザンカリフォルニア大(USC)。この試合はUCLAのジョシュ・ローゼン(Josh Rosen)とUSCのサム・ダーノルド(Sam Darnold)という二人のNFL級QB同士の対決がクローズアップされましたが、彼らが点を取り合う前にUSCのスペシャルチームが見せてくれました。

UCLAのパントというシチュエーションでリターンチームをフィールドに送り出したUSC。そしてそのパントはUSCから見て左側方面へ飛んで行きましたが、USCの選手たちはさもボールが右側にパントされたように皆右側へと走って行きます。USCのリターナー(だと思われていた)エイジェン・ハリス(Ajene Harris)もボールが右側に流れていくようにポジションを取るので、UCLAのカベレージチームも彼の動きに合わせて皆右側へ流れて行きます。しかし前述の通りボールは左側へ飛んで行き、フリーとなったマイケル・ピットマン(Michael Pittman Jr.)がボールをキャッチ。しかしUCLAの選手がボールをキャッチしたのがハリスではなくピットマンだと気づいた頃にはすでにピットマンは全速力でエンドゾーンへ疾走中。まんまと敵を欺いたピットマン以下UCSのスペシャルチームが先制点を奪ったのです。

ここまで完璧に敵を騙せたフェイクリターンは見たことがありません。してやったり、とはこのことですね。

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