SECメディアデー:リキャップ②

前回に引き続きSECのメディアデーの様子をお伝えします。3日目にはいよいよ真打ち・アラバマ大ニック・セイバン(Nick Saban)監督が登壇しました。

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アラバマ大

昨年は2年連続カレッジフットボールプレーオフ進出を果たしながらもタイトル2連覇をクレムソン大に阻まれたアラバマ大。常にナショナルタイトル獲りを当たり前のように期待される彼らにとって昨年度の結果は失敗だったのでしょうか?セイバン監督はそんな問いに関してこう答えました。

「試合に敗れた時、たいていの人は何かを変えなければならないという気持ちになると思います。私は失敗から何かを学びたいし、失敗をただの失敗として無駄にしたくないのです。一体何をすればよかったのか?試合に負けるのは非常に悔しく傷つくことです。特に(昨年度のタイトルゲームのような)試合の最終局面で逆転されて負けるようなゲームなら尚更です。しかし、我々はあの最後のプレーで負けたのではないのです。そこに到るまでの展開の結果試合に敗れてしまった。私の選手たちもその事実はしっかりと飲み込んでいると思います。

60分という長時間の間、自分たちの課されたことをやり続けるには相当な『責務を全うするという意思(Accountability)』が必要とされます。我々はあの試合で非常に強いチーム(クレムソン大)と対戦しました。ですがプレーオフという大舞台において対戦相手となるチームは誰であれ一筋縄ではいかないチームばかりです。そして我々はその試合で自分たちのやるべきことを遂行することができなかった。これから我々が学べることはたくさんあるし、我々がこの敗戦を無駄にするようなことがないことを祈っています。」

全米タイトル2連覇は逃したものの、SECでは相変わらずその強さを維持しているアラバマ大。2014年度からタイトルを3連覇中ですし、過去10年間を振り返れば5度もその栄冠を手にしています。10年間のタイトル獲得率が5割なのですからすごいものです。2017年度シーズンもアラバマ大がタイトルレースをリードしていくことが予想されます。特にここ数年はSEC全体のレベルが落ちてきていると言われる中、アラバマ大とそれを追うチームとの差は離れるばかりです。

またサイドラインで怒りを隠さずに表し、時には我を忘れてインフィールドにまで飛び込んでしまう姿を見せてきたセイバン監督ですが、SECは2017年度からこのコーチの過度のフィールド侵入に対し規制をしていくことが明らかになったのですが、それに関してセイバン監督は「やり過ぎだ」と苦言を呈していました。

「願わくばこの新ルールがゲームの流れに悪影響をおこさないことを祈っています。このルールは正直規制し過ぎだと思うからです。まあ何を言ってもしょうがありませんし、このルールは皆に平等に課されるものですから、我々としてはこのルールに適応していくしかありません。私はゲームの審判団には最上級の尊敬の意を持っていますし、彼らはサイドラインで感情的になったコーチたちと非常にうまく渡り合っています。それは時に大変難しいことであるに違いありません。特に試合の大事な局面であればなおのことです。」

感情的になったコーチがフィールド上に足を踏み入れるのは何もSECのコーチたちだけの行動ではありません。それは審判団へのフラストレーションによるものだけでなく、自身の選手の不甲斐ないプレーの結果であることも多々あります。『過度の侵入』の線引きもまた難しい問題となることでしょう。

こんなセイバン監督と渡り合わなければならないラインジャッジは気の毒です・・・。

さて、2017年度のアラバマ大の開幕戦はフロリダ州立大との大一番です。ここ数年でもっともチケット入手が困難となる開幕戦となりそうですが、セイバン監督はフロリダ州立大に対してこう述べました。

ACCの台頭には目を見張るものがありますが、特にフロリダ州立大はSECのチーム、もっと言えば我々アラバマ大のようなチーム作りをしてきています。フロリダ州立大といえば、多くのダイナミックな選手たち、しかも体もデカく非常にタフであり、またディフェンス陣も鉄壁。おそらくそれはジンボフィシャー、フロリダ州立大監督)がSECのチームでコーチをしてきたことが反映しているのでしょう。」とフロリダ州立大とフィシャー監督を賞賛していました。ちなみにセイバン監督がルイジアナ州立大のヘッドコーチを務めていた時フィシャー監督は同チームのオフェンシブコーディネーターを任されていました。

セイバン監督の話はここ数年フットボール界で多く議論されてきている脳震とう(Concussion)の話にまで及びました。脳震とうが長期的に及ぼす脳へのダメージが長年の研究で次第に明らかになり、この怪我の発生率が高いフットボールに非難の矛先が向けられることが多くなったのですが、それに関してセイバン監督はこう話しました。

「脳震とうが語られる時、それはたいていフットボールにリンクされるものですが、これは我々のスポーツにとってアンフェアであると言わざるを得ません。脳震とうは他のスポーツでも起きている怪我ですが、彼らはフットボールの場合と比べてそこまで取り上げられることがないのです。」

フットボールというスポーツの性格上脳震とう発生率が高くなるのはしようがないことです。しかしそう言った側面からフットボールが凶悪なスポーツと見られてしまうことにセイバン監督は我慢できなかったのでしょう。

そしてQBについて昨年の先発QBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)と新人であるトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)との間で先発の座をめぐる軋轢があるかと聞かれたセイバン監督は半ばキレ気味にこれを否定。ハーツが現在もチームの先発QBであることを強調しまた。が、別のインタビューではタガヴァイロアも十中八九試合には出場するだろうと話したということです。

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テキサスA&M大

2014年度から3年連続8勝5敗と良くもなく悪くもない戦績を収め続けているケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin)監督率いるテキサスA&M大。彼がハイズマントロフィー受賞QBジョニー・マンゼル(Johnny Manziel)らを擁し華々しくSECデビューした頃からすれば明らかに消化不良なシーズンばかり送ってきています。これに関してファンたちの不満は年々増すばかりですが、今年5月には彼のボスである体育局長スコット・ウッドワード氏は来季に向けてサムリン監督が「今年勝たなければならない」とコメントし、暗にサムリン監督にとって今年が勝負の年となることを示唆していました。これに関して記者から尋ねられたサムリン監督は以下のように答えました。

「私にとって、そして私がすべき仕事に関しては何一つ変わりません。一番のプレッシャーをかける人物は他の誰よりも私自身をおいて他にいませんし、そして誰よりも私が一番勝利に飢えているのです。だから誰が何を言おうが、何を議論しようが、何を書かれようが、私がすべき仕事が変わるわけではありません。私の毎日の日課に影響を及ぼすこともありませんし、そうやって私は過去30年間コーチング業に携わってきたのですから。」

テキサスA&M大は毎年素晴らしい開幕ダッシュを決めるも尻窄みにその勢いを止めるトレンドを繰り返してきています。それだけにファンの失望感はただならぬものなのですが、今年もそのようなシーズンを送るようなことがあれば、サムリン監督のコーチ哲学に関わらず彼の監督の座が危ぶまれることになるでしょう。

アーバン大

昨年開幕戦でクレムソン大、3戦目でテキサスA&M大に破れ1勝2敗スタートを切ったアーバン大では当時すでにガス・マルザーン(Gus Malzahn)監督不要論が飛び出していましたが、4戦目にルイジアナ州立大から起死回生の勝利を挙げるとそこから6連勝で全米ランクを8位にまで上げますが、迎えたジョージア大戦を落とし、さらにシーズン最終戦のアラバマ大にも競り負け、レギュラーシーズンを8勝4敗で終えました。ポストシーズンのボウルゲームでは意外にもニューイヤーズ6の一つであるシュガーボウルに招待されましたが、ここでもオクラホマ大に敗れ起伏の激しいシーズンを送ったのでした。

シーズン終盤の6連勝、そしてシュガーボウル出場を果たしたことでシーズン当初に沸き起こったマルザーン監督自身への不要論を払拭することには成功しましたが、2017年度シーズンに昨年を超える結果を残さなければその批判の矛先はすぐさま彼へ向けられることになるでしょう。そんなアーバン大がプレシーズンキャンプ入りを控えた現在の一番の難題は何なのか?マルザーン監督の答えば・・・。

「それは誰が先発パンターになるか、ということです。」

この発言こそ彼の次季シーズンに向けての何よりの自信の表れです。

「今年のチームにおいて他のどのシーズンよりも違っているのは選手たちが勝利に非常に飢えているということです。とにかく勝って自分たちの存在を証明したいと強く願っているのです。チームからこのようなエネルギーを感じるのは2013年のチーム以来のことです。私にとってこれはとっても嬉しいことです。」

2013年シーズンはマルザーン監督のアーバン大初年度でいきなりSECを制してナショナルチャンピオンシップゲームに進出した年です。ここでは惜しくもフロリダ州立大に敗れてタイトル獲りは逃しましたが、そのチームと比較できるものを2017年度のチームが持ち合わせているというのならばそれは非常に特別なものであるに違いありません。

「今シーズンの我々のスケジュールは決して楽なものではありません。2戦目にはアウェーでディフェンディングナショナルチャンピオン(クレムソン大)と対戦しなければなりません。しかし私は今のチームの状況に非常に満足しています。そしてチーム内だけでなく我々を取り囲む人々が我々の2017年度シーズンに大きな期待を寄せてくれています。我々は開幕が待ち遠しくて仕方ありません。」

マルザーン監督自身チームの層の厚さを「ここ12年間で最高」と表現していますが、昨年のことを考えるとやはりQB陣の立て直しが急務であることは明らかです。しかし元ベイラー大の有能QBジャレット・スティッドハム(Jarrett Stidham)が今年いよいよプレー解禁となり、マルザーン監督にとってQB陣は問題の種となるとは微塵も思っていないようです。

「このチームでもっともエキサイティングなのは非常に質の高いQB陣が揃ったということです。このポジションは昨年までは弱点であったことは否めません。しかし今ではこのポジションはコーチ陣だけでなく選手たちにとっても信頼できるユニットになったのです。ジャレット・スティッドハムは非常に才能に満ちた選手です。彼がアーバン大に転校してきて以来見せてきた数々の側面でもっとも際立っているものは彼の持つリーダーシップです。転校生として彼はチームメートからの信頼を勝ち取るために日々努力してきました。また(昨年の先発QBである)ショーン・ホワイト(Sean White)にも大きな期待を寄せています。怪我をする前までは彼は非常に高いレベルのパフォーマンスを見せてくれました。それは昨年の6連勝中に証明済みです。」

スティッドハムとホワイト、どちらが先発の座を射止めるかはプレシーズンキャンプが始まってみないとわかりませんが、誰がQBになったとしてもマルザーン監督の今季チームへの期待はいつも以上のようです。アーバン大は今年こそSEC西地区の「王者」であるアラバマ大を止める存在となることができるでしょうか?

ミシシッピ大

最近のミシシッピ大といえばNCAAのルール違反による制裁の対象になっているというネガティブなイメージしかありませんが、さらに先日前監督であるヒューストン・ナット(Houston Nutt)氏からも不当に解雇されさらにあらぬ噂をたてられたと告発されるというダメ押しパンチを食らったばかりです。

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メディアデーでも当然これらに関する質問から逃れることはできませんでしたが、ヒュー・フリーズ(Hugh Freeze)監督は「できれば私の意見もシェアしたところですが、コメントすることはできないのです。」とこの話には取り合いませんでした。

ただ、自身のチームが現在NCAAから13つの規則違反を犯したということで制裁を受けることになりそうなのですが、これに関してはそれをチームに降りかかっている「困難(Adversity)」と表現していました。

「困難に対峙していくことは我々にとっては初めてのことではありません。今の状況はすでに何年も続いていることですし、その困難が去り胸を張れる日がいつか来ると信じています。」

実際フリーズ監督自身が関わったとされる規則違反は9つあると言われ、それを否定してはいるものの、彼のチームに暗雲が立ち込めていることは認めています。その証拠にミシシッピ大は監督不行き届きがあったことを認め、自主規制として今シーズンのボウルゲーム出場をすでに辞退することを宣言しています。

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「規則違反を起こしたことで我々には負のオーラが漂っていますが、それを作り出したのは我々自身であることは疑いのないことです。その規模については議論の余地はあるにせよ、我々は自分たちが犯した罰については責任を負わなければなりません。それが我々自身の失敗であろうが、ブースター(支援者)の犯した失敗であるが関係なくです。」

ミシシッピ大が犯した規則違反のそのほとんどは彼が直接手を下したものではなく、彼のアシスタントらが犯した違反行為だったそうです。が、チームの長である以上フリーズ監督が責任逃れできるはずもなく、それを苦虫を嚙みつぶすように受け入れようとしています。少なくとも大学側はフリーズ監督をバックアップする用意があるということで、償わなければならない罪は償い、あとは試合で結果を残して傷ついたミシシッピ大のブランドを取り戻すしか方法はなさそうです。