USC、ユタ大の快進撃を止める
サザンカリフォルニア大42、ユタ大24
全米3位のユタ大がアウェーでサザンカリフォルニア大(USC)と対決。無敗街道をひた走るユタ大にとって3勝3敗のUSCが挑みましたが、結果は42対24とUSCがユタ大に完勝。ユタ大に今季初の土がつき、これでランキング上位に変動が見られそうです。
USCはプレシーズンの期待と裏腹に成績はこれまでイマイチでしたが、USCのタレントは健在。すべての面においてユタ大を上回り、ユタ大QBトラヴィス・ウィルソン(Travis Wilson)を苦しめ彼に全く仕事をさせませんでした。ユタ大はこの敗戦でカンファレンスタイトルレース、さらにいえばプレーオフレースから完全に脱落したとは言えませんが、この試合においてユタ大の脆さが露呈され、特にQBウィルソンの昔の悪いくせ(=ターンオーバー)が出てしまいました。これからユタ大はさらに厳しい試合が残されており、このままウィルソンが悪循環に陥ることでもあればユタ大の雲行きは怪しくなってきます。
オハイオ州立大、ラトガース大相手に慈悲なし
オハイオ州立大49、ラトガース大7
全米1位のオハイオ州立大が遂にトップランクチームに相応しいパフォーマンスを見せてくれました。格下とはいえラトガース大に49対7と完勝。戦績も8勝0敗とし、来週いよいよ発表されるCFP(カレッジフットボールプレーオフ)ランキングに向け良い流れを引き戻しました。
この試合の先発QBはこれまでのカーデル・ジョーンズ(Cardale Jones)に代わりJ.T. バレット(J.T. Barrett)が務めましたがそれが的中。合計5TD(パス3TD、ラン2TD)のトータルヤード324ヤードと大活躍。昨年足首の怪我で戦線を離脱するまでハイズマン候補並みの働きを見せていましたが、まさにそのプレーが復活しました。またQBが安定した働きを見せたおかげでRBイゼキール・エリオット(Ezekiel Elliott)は13試合連続の100ヤード以上のラッシュ(この日は147ヤード)を記録。またQBからWRに転向したブラクストン・ミラー(Braxton Miller)も活躍。いままで無敗でもどこか強さを感じられなかったオハイオ州立大ですが、バレットの指揮下に入ったことによってオフェンスが活性化され、文句のつけ様のないパフォーマンスを見せてくれました。
またディフェンスでも後もう少しで今季2度目の完封勝利という素晴らしい力を見せてくれました。最近2週間ではインディアナ大、メリーランド大に合計55点も許してしまいましたが、この日は完全にラトガース大をシャットアウト。ラトガース大に12つのファーストダウンしか許しませんでした。大量得点を可能としたオフェンスに相手を完全に押さえつける事の出来るディフェンスを持ったオハイオ州立大はここにきてようやく全米1位の名に恥じないチームに変貌を遂げました。これまでのままだといずれはどこかでつまずくだろうと予想されていましたが、アーバン・マイヤー監督のてこ入れが大吉と出てプレーオフ選考委員会にいい印象を与えることになったのでした。
ベイラー大に隙きなし
ベイラー大45、アイオワ州立大27
雨が降り注ぐ中行われたこのマッチアップでは双方がその雨に影響され乱れたゲームとなりましたが、それでも全米2位のベイラー大がアイオワ州立大を寄せ付けず45対27で勝利しました。
ベイラー大オフェンスを引っ張るのはQBセス・ラッセル(Seth Russell)とWRコーリー・コールマン(Corey Coleman)ですが、RBショック・リンウッド(Shock Linwood)の存在も忘れてはいけません。この日は2つのTDを含む171ランヤードを記録し、パス重視のベイラー大オフェンスに変化球を与えてくれました。リンウッドはこの試合にて今季974ランヤードとしましたが(全米13位の記録)これでキャリアートータルで3000ラッシュヤードを超え、これでウォルター・アバクロンビ(Walter Abercrombie)に続きベイラー大で2人目の快挙となりました。
ただこれまで無敵といっても過言ではない試合運びをして来たベイラー大でしたが、この日は前述の雨のせいか少しだけ苦戦していたように感じました。例えば:
- この日のトータルオフェンスヤード、485ヤードは今季最低の数字でそれまでの最低ヤードよりもさらに159下回る数字となりました(対カンザス大の644ヤード)。
- この日の第3Qでは無得点となり、これで今シーズン1クォーターに得点出来なかったのが3度目となりました。
- この日ベイラー大は5回もパントを余儀なくされました。攻撃すれば必ずそれが点に結びつくとされていたベイラー大にとってはパントという機会は無に等しいです。特に第3Qの最初の4回の攻撃では3度のパントにファンブルと「らしくない」展開でした。
- これまで5試合連続60点以上得点してきましたが、この日は45点「しか」奪えず、その蓮即記録が途切れました。45得点は今季最低のスコアです。
これらは雨のせいだと思いたいですが、これからオクラホマ大、オクラホマ州立大、テキサスクリスチャン大戦が控えているベイラー大にとってあまり喜ばしい試合展開とは言えません。しかし朗報はベイラー大のディフェンスが素晴らしかったと言う事です。この日アイオワ州立大に4つのターンオーバーを誘発させ、これでシーズン通して18ターンオーバーとなりました。また試合開始から6度のアイオワ州立大の攻撃を無得点で押さえ、後半も自陣28ヤードラインでのアイオワ州立大の4thダウンプレーを食い止め彼らの反撃のきっかけを摘みました。ハイパワーオフェンスが何かと取り上げられるベイラー大ですが、強いディフェンスがあるからこそ厳しい試合を勝ち抜くことが出来るのです。
クレムソン大、マイアミ大を粉砕
クレムソン大58、マイアミ大0
全米6位のクレムソン大が古豪マイアミ大を完膚なきまでに打ち砕きました。前半を終えた時点で42対0であったこの試合にマイアミ大にはどのチャンスも残されてはいませんでした。
オフェンスが何かとクローズアップされるクレムソン大ですが、ディフェンスも負けてはいません。クレムソン大はこの日マイアミ大オフェンスをトータル146ヤードに押さえる好プレー。これから負けられない試合が続いていく中で強固なディフェンスは必須。そういった意味でこの日のディフェンス陣の働きは大変満足のいくものだったでしょう。しかし58点も奪ったクレムソン大のオフェンスを語らない訳にはいきませんよね。QBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)は試合開始後のクレムソン大の計4回の攻撃を全てTDに結びつけ前半だけで42点を奪う立役者となりました。試合が決定づいた第3Qには早々とベンチに下がりましたが、ワトソンの安定したパフォーマンスはプレーオフ進出に向けて非常に好材料です。
これでクレムソン大は7勝無敗とし、ACCで完全に頭一つ抜きん出ました。次週はノースカロライナ州立大と対戦しますが、その次の試合はいよいよフロリダ州立大との一騎打ち。これに競り勝てばプレーオフ進出が現実味を帯びてきます。一方のマイアミ大はもうなす術無しと言うほど酷い状態。結局ヘッドコーチ、アル・ゴールデン(Al Gorlden)は翌日に解雇となりましたが、昔の最強チームの面影はどこへやら。マイアミ大再建の道は相当険しいものとなりそうです。
「10月第3週目の土曜日」
アラバマ大19、テネシー大14
アラバマ大とテネシー大のライバル校対決は予想を覆して接戦となりました。試合を決めたのはアラバマ大RBデリック・ヘンリー(Derrick Henry)とディフェンス陣でした。
先制パンチを食らわせたのはアラバマ大。アラバマ大のオープイングドライブでヘンリーの20ヤードTDが決まりいい滑り出しを見せました。しかしテネシー大も負けじと応戦し75ヤードのドライブをQBジョシュア・ドブス(Joshua Dobbs)が11ヤードTDパスをWRジョシュ・スミスに繋げて締めくくり、すぐさま同点とします。ここから両チームとも得点の糸口を見いだせず前半を終了。
後半開始のアラバマ大の攻撃は6分以上を費やしテネシー大陣内に攻め込みますがTDを奪うまでにはいたらずフィールドゴールで点差を3点差とします。そして迎えた第4Q、さらにもう1つのフィールドゴールで6点差としたアラバマ大でしたが、テネシー大が残り6分を切った所でRBジャレン・ハード(Jalen Hurd)の12ヤードTDランが決まりついに14対13と逆転。ホームのアラバマ大スタジアムに不穏な雰囲気が漂いましたが、アラバマ大QBジェイク・コーカー(Jake Coker)の2本のロングパスでテネシー大陣内に攻め込むと、プレーメーカー、RBヘンリーがのこり2分24秒でリードを取り戻すTD。アラバマ大の2ポイントコンバージョンが失敗しスコアは19対14となります。
テネシー大にも最後のチャンスが残されていましたが、アラバマ大Dライアン・アンダーソンがドブスにQBサックを見舞うとドブスがボールをファンブル。DLアショーン・ロビンソンがそのボールをリカバーしてテネシー大最後の望みを断ち切って逃げ切ったのでした。
アラバマ大にとっては決して奇麗な勝ち方ではありませんでしたが、要所要所でオフェンス・ディフェンスが良い仕事をし、白星を勝ち取りました。今週のバイウィーク(試合のない週)をはさみ2週間後にはいよいよルイジアナ州立大とのビッグマッチが待っています。
フロリダ州立大がアップセットの餌食に
ジョージア工科大22、フロリダ州立大16
先週ミシガン大対ミシガン州立大戦で超劇的な幕切れを全米が目の当たりにしましたが、なんとそれと同じ様な結末がこの2チームの試合に待っていました。
16対16の同点で迎えた、試合最終プレー。フロリダ州立大は56ヤードのフィールドゴールを決めてそのままタイムオーバーで辛くも勝利をものにする、というシナリオを描いていたのですが・・・。フロリダ州立大キッカー、ロベルト・アグアイヨ(Roberto Aguayo)の足から放たれたボールはジョージア工科大の選手にブロックされ、そのボールをジョージア工科大ランス・オースティンが拾い上げてそのままフロリダ州立大エンドゾーンへ猛突進。あれよあれよと言う間にオースティンはフロリダ州立大のプレーヤーのタックルをすり抜けTD。試合残り時間は既に0秒を示しておりそのままゲームオーバー。まさかの逆転勝ちでジョージア工科大のファンがフィールドになだれ込むほどの歓喜の渦。一方信じられないと言った感じでフィールドから動けない何人かのフロリダ州立大選手が印象的でした。
今季不調のジョージア工科大に不意をつかれ今季初黒星を記録したフロリダ州立大。この時期の敗戦はランキングに非常に悪く響き、これでフロリダ州立大のプレーオフ進出はほぼ不可能となったと言っても過言ではありません。