ミシガン州立大(全米7位)対 ミシガン大(12位)
ミシガン州立大とミシガン大のゲームは単に、ミシガン州内ライバル対決というだけでなく、プレーオフ進出を目指すうえで非常に大きな1戦であります。これまで3戦連続完封勝利を収め大波に乗るミシガン大と、全勝ではありますが、決して楽な勝ち方をしてきていないミシガン州立大。どちらもランキングで常に位置していますが、チームの勢いはミシガン大に軍配が上がりそうです。現にランキングではミシガン州立大が上位ですが、メディアの下馬評はミシガン大有利な声が大きいです。
ミシガン大とミシガン州立大のライバリーはここ最近はどちらかが連勝するというパターンが続いています。ここ最近ではミシガン州立大が7試合中6勝中、その前はミシガン大が6連勝。もっとさかのぼれば、1960年代はミシガン州立大が圧倒。1970年から1983年まではミシガンが13勝。1990年代に入るとシーズンごとに勝者が入れ替わるようになりましたが、その後は前述の通り一方が連勝モードにはいるとい奇妙な展開。とくに最近はミシガン大の失墜が著しく、ミシガン州立大の横綱相撲が続いていましたが、今年はどうなるでしょうか。
ミシガン大の強みは何を隠そうそのディフェンス力。先にも述べたように現在3戦連続完封勝利を収めるという、例を見ないディフェンスを誇っています。全米全体で見てもパスディフェンスは全米2位、ランディフェンスは同位、トータルディフェンスでも同2位と文字通り全米最強のディフェンスを保持していると言っても過言ではありません。
ミシガン州立大は選手個々の力は他のトップランクチームのものと比べれは劣るかもしれませんが、とてもよくコーチされた選手の集まったチームという印象が強いです。ミシガン州立大ヘッドコーチ、マーク・ダントニオ(Mark Dantonio)監督のリクルートしてきた選手たちは3つ星評価の選手たちばかりですが、その多くの選手たちが俗に言う「ブルーカラー(肉体労働者を指す言葉。金銭的に裕福ではないが勤勉で働き者という見られ方をしています)」の出身で、彼らをコーチたちが育て上げていくというチーム作りをしています。そんななかで築かれた絆やタフネスが、試合が拮抗した時にチームを勝利に導く原動力になっているように思えます。
ミシガン大は新コーチ、ジム・ハーボー(Jim Harbough)監督のもと、これから間違いなく全米トップレベルのリクルートを勧誘してタレント揃いのチームを作っていくでしょう。そういった同じミシガン州内でキャンパスが50キロほどしか離れていない2チームでも全く異なったキャラクターを持つチームが、今季のカンファレンスタイトル、プレーオフ、そしてミシガン州内での未来を占うこの大一番。見逃せません。
ルイジアナ州立大(全米6位)対 フロリダ大(全米8位)
SECチーム無敗同士の両チームがルイジアナ州立大(LSU)のホームで相見えます。
LSUはプレシーズンで14位とランク中旬からスタートし、上位チームが入れ替わる中、じりじりと順位を上げ最新ランクで6位にランクされました。一方のフロリダ大は新コーチ、ジム・マクエルウェイン(Jim McElwain)監督のもと、ランク外でシーズン開幕を迎えるも勝ち星を重ね、当時3位だったミシシッピ大を破る大金星をあげると順位を一気に25位から11位にまであげ、今週トップ10入りを果たす8位にランクインしました。
今季のLSUを語る上で外すことができないのはRBレナード・フォーネット(Leonard Fournette)の存在です。まだ2年生ではありますが、その活躍ぶりはベテランプレーヤー並みです。現在ハイズマントロフィー候補最有力候補とうわさされるフォーネットはこれまで(たった)5試合ですでに1022ラッシュヤードに12TD。これはどちらも全米1位の数字です。すでに過去の偉大なるRBボ・ジャクソン(Bo Jackson、アーバン大)、ハーシャル・ウォーカー(Harshal Walker、ジョージア大)、エイドリアン・ピーターソン(Adrian Peterson、オクラホマ大)などと比べられるほどの逸材です。彼をフロリダ大ディフェンスが止められるかが最大の鍵となりそうです。
フロリダ大はその快進撃を支えてきたQBウィル・グリアー(Will Grier)がなんと禁止薬物使用で1年間の試合出場禁止処分となり、いきなりピンチに立たされました。試合はLSUのホームで行われるナイトゲーム。通称「デス・バレー(Death Valley)」と呼ばれるタイガースタジアムはビジターチームにとって戦いづらい場所全米ナンバーワンとも言われる場所。それにさらに輪をかけてナイトゲームということでフロリダ大は完全アウェーの中先発QB無しでどうLSUに立ち向かうのでしょうか。
テキサスA&M大(全米9位)対 アラバマ大(全米10位)
上記のフロリダ大−ルイジアナ州立大のマッチアップと負けず劣らずビッグな顔合わせとなるのがテキサスA&M大とアラバマ大の一戦。テキサスA&M大はSECに加入してまだ3年しか経っていませんが、過去3戦ともこの両チームはSEC西地区争い、そしてナショナルタイトルレースに絡んでくる重要なゲームを戦ってきました。今年もそれに漏れず、双方ともトップ10以内にランクされるという、生き残りをかけた激しいぶつかり合いが予想されます。
A&Mは1試合平均39点に480ヤードを稼ぐハイパワーオフェンスが自慢のチーム。チームには最低でも1つTDパスをキャッチしたレシーバーが6人もいる、バランスの取れたオフェンスです。さらにそのうち5選手は1キャッチ平均10ヤードと相手DBには大変な脅威となります。そのWR陣を率いるのはクリスチャン・カーク(Christian Kirk)。彼の1試合平均レシーブヤードは103.8ヤードと全米トップクラスです。彼らWR陣に巧みにボールを投げ分けるのはQBカイル・アレン(Kyle Allen)。これまで13TDに2パスインターフェアレンスと素晴らしい安定感を見せています。SEC内で2位のパスディフェンスを誇るアラバマ大ディフェンスにとってその能力が試されるゲームとなりそうです。
一方、アラバマ大は得意のランオフェンスが健在です。RBデリック・ヘンリー(Derrick Henry)は全米15位となる665ヤードに10TDを記録するエリートバック。昨年の同一カードではアラバマが298ラッシュヤードを含むトータル602オフェンスヤードでA&Mを粉砕。A&Mはアラバマ大の地上攻撃を阻止することができるかがキーとなりそうです。A&Mのディフェンシブラインはマイルズ・ギャレット(Myles Garrett)とデショーン・ホール(Daeshon Hall)のアグレッシブコンビが健在でこれまで二人で合わせて12つのQBサックを記録しています。さらに1年生DLデイロン・マック(Daylon Mack)も4つのサックを決めており、アラバマ大オフェンシブラインに襲いかかります。そのアラバマ大OL陣は今シーズン7つしかQBサックを許しておらず、このライン同士の対決が見ものです。昔から「ラインを制すものが試合を制す」と言いますからね。
アラバマ大QB陣はシーズン当初こそ安定感を欠いていましたが、先発の座がジェイク・コーカー(Jake Coker)に落ち着いてからはオフェンスにバランス感が出てきました。また1年生WRカルヴィン・リドリー(Calvin Ridley)が頭角を現し、ここ2試合で2TDを含む260レシービングヤードと絶好調です。
ヘッドコーチ、ニック・セイバン(Nick Saban)監督がアラバマ大に来て以来、トップ10のSECチームとのアウェーゲームでの戦績は5勝1敗という数字があります。この試合はアラバマ大にとってアウェーゲームで対戦相手は全米9位。アラバマ大がこのパターンにはめてA&Mを蹴散らすか、それともA&Mが昨年の雪辱を晴らすか…。
ノートルダム大(全米14位)対 サザンカリフォルニア大
ノートルダム大とサザンカリフォルニア大(USC)のライバリーゲームは、ゲーム自体そのものよりもUSCが抱えたドラマをいかに克服してノートルダム大と戦うか、に注目が集まっています。というのもUSCにとってこの試合は元ヘッドコーチ、スティーブ・サーキジアン(Steve Sarkisian)が解雇された後初の試合だからです。シーズン途中で監督が解雇されるのは2013年にレーン・キフィン(Lane Kiffen)氏が解雇されてから2度目。つまり2年間で2人のヘッドコーチがシーズン半ばでその職を外されるという異常事態が起こっているのです。
サーキジアン監督解雇の引き金にもなった、先週の対ワシントン大戦ではUSCが13回中たった1回しか3rdダウンコンバージョンを成功させることができず、シーズン全体で見てもその成功率は35.4%とこの分野で苦戦しています。QBコディ・ケスラー(Cody Kessler)はこの試合にいたるまで12試合連続最低でも1つTDを成功させてきましたが、ワシントン大戦でその連続記録が途絶えました。4年生であるケスラーはこれまで2度ノートルダム大と対戦し1勝1敗と勝率はイーブンです。2013年に負けた試合では20パスヤードに1パスインターセプションと振るわず、一方勝利した昨年のゲームでは6つのTDを含む372パスヤードに0パスインターセプションと彼のプレーがそのままチームの勝ち負けに影響しています。そういった意味では彼のパフォーマンスがカギとなりそうです。
ノートルダム大は先週海軍士官学校(ネイビー/Navy)に勝利はしましたが、ネイビーに318ヤードも走られてしまいました。面白いことに、ノートルダム大はこれで300ヤード以上相手に走られた場合、過去最近4試合では全て勝っています。普通ならばこれだけ地上戦を制されると負けるものなのですが。ノートルダム大のオフェンスのスター選手はWRウィル・フラー(Will Fuller)。これまで6試合中5試合で最低でも1TDレシーブを記録しています。キャリアトータルでは合計17試合でTDパスを補球してきました。
カレッジフットボール界に数あるライバリーゲームの中でも特に有名なこのマッチアップ、全成績はノートルダム大が45勝35分け5分けと勝ち越していますが、ここ最近は2013年を除いてUSCが圧倒しています。ちなみに今年は2005年のかの有名な「ブッシュ・プッシュ」から10年目。あの激戦を制したレジー・ブッシュとマット・ライナートのゴールラインスタンドを下の動画で振り返ってみましょう。