CFP

ランキング

2015年度シーズン

第10週目の見どころ

第10週目の見どころ

カレッジフットボールプレーオフ(CFP)の初回ランキングが発表されてから最初のウィークエンド。ランカー同士の試合も目白押しで見どころたくさんです。そんな中から特に注目したい試合の見どころをご紹介します。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

ルイジアナ州立大(CFP2位)対 アラバマ大(同4位)

今週最大のマッチアップ、アラバマ大ルイジアナ州立大。火曜日に発表されたカレッジフットボールプレーオフ(CFP)ランキングではルイジアナ州立大(LSU)が2位、アラバマ大が4位と両チームがトップ4に食い込んできました。アラバマ大のホームで行われるこのナイトゲームは盛り上がること間違いありません。

両チームは多くの共通点を見ることができます。全米ランク上位チーム、SEC西地区、強力なランオフェンスと屈指のディフェンス...。LSUの目玉選手は言わずと知れたRBレナード・フォーネット(Leonard Fournette)です。今季のハイズマントロフィーに最も近いと男と称されるフォーネットは全米トップとなるトータル1352ランヤードに合計15TD。一試合平均ヤードは約170ヤードというとんでもないRB。かつてのレジェンド、ボ・ジャクソン(Bo Jackson/アーバン大)やハーシェル・ウォーカー(Hershal Walker/ジョージア大)に並び称される異次元レベルのプレーヤーです。これを止めなければならないアラバマ大ディフェンスもまた全米トップレベル。特にランディフェンスは全米3位で相手に平均78ヤードしか許していません。

一方アラバマ大のオフェンスもまたラン重視オフェンス。その要となるのがRBデリック・ヘンリー(Derrick Henry)。これまでトータル1044ヤードのラン(全米9位)に14TD(全米2位)とフォーネットに勝るとも劣らないプレーヤーです。ヘンリーと対峙することになるLSUディフェンスもまた強力で一試合平均93ヤードしか相手に許さず、全米6位の実力ということでアラバマ大と大差ない守備力を擁しています。どちらもランオフェンス・ディフェンスが冴えている事を考えると、ひょっとしたら勝負を決めるのはQB次第になるかもしれません。

アラバマ大のジェイク・コーカー(Jake Coker)、LSUのブランドン・ハリス(Brandon Harris)はSECタイトルレースだけでなくナショナルチャンピオンを目指すチームをそれぞれ率いて来たQB。ハリスはSEC内では2番目のQBレーティングを保持し、3試合連続200ヤード以上のパスを投げ続けています。今季開幕当時4試合中3試合で平均80ヤードしか投げられなかったことを考えればシーズンを通してハリスが成長していった事が垣間見えます。LSUのパスオフェンス自体はカンファレンス内では最下位なのですが、チームが全勝するのには十分な働きをしています。ハリスの強みはパスだけでなく足でも敵ディフェンスをかき回すことが出来る事です。

対するアラバマ大のコーカーは1年生のセンセーショナルWRカルヴィン・リドリー(Calvin Ridley)をはじめ、アーダリウス・スチュワート(ArDarius Stewart)やリチャード・マラニー(Richard Mullaney)ら若くタレント揃いのレシーバーたちにボールをさばいてきました。不思議なことにコーカーはアウェーゲームで活躍するもホームでは何故かプレーに波が出る傾向があります。実際唯一の敗戦であるミシシッピ大とのゲームはホームのブライアント・デニー・スタジアムで行われました。もっともこのゲームではコーカーは先発出場しませんでしたが、それでも途中交代して追う展開でも肝心な時にミスを犯し逆転することができなかったのです。それでもシーズン開幕当時は不安要素であったQBポジションは結局コーカーに落ち着いて週を追うごとに彼のプレーも安定感を増してきているのも確かです。

両チームのランオフェンスとランディフェンスが相殺し合うのであれば、おのずと試合の行く末はQBの手に委ねられることになります。どちらのQBが結果を出すのか。そしてどちらのDBがパスオフェンスを阻止するのか。「試合に勝つには相手のラン攻撃を止めることができなければいけないが、だからといってパスでのビッグプレーを許していいわけではない。そういったパスプレーを止められなければ失点はどんどん重なっていき、LSUのように強いディフェンス陣とスペシャルチームを持つチーム相手ならば、点差が広がれば広がるほど追いつくのが難しくなる。」とアラバマ大ヘッドコーチ、ニック・セイバン(Nick Saban)監督は述べています。

どちらに取っても負けられないこの試合。特に負ければ2敗目となり完全にプレーオフ進出の道が閉ざされるばかりかカンファレンスタイトル奪取も難しくなるアラバマ大は背水の陣で挑みます。


クレムソン大(CFP1位)対 フロリダ州立大(同16位)

今季ACCの最大のマッチアップであるこのカード、クレムソン大フロリダ州立大をホームで迎え撃ちます。クレムソン大は1981年以来となるナショナルチャンピオン目指しますが、今週発表されたカレッジフットボールプレーオフランキングで堂々1位にランクされその悲願に向けてベストポジションにつきました。対するフロリダ州立大はジョージア工科大とのショッキングな敗戦で1敗を喫し、CFP出場は難しくなりましたがこのゲームに勝てばACCアトランティック地区代表としてタイトルゲームに進出する可能性が高くなります。

フロリダ州立大のオフェンスの要であるRBダルヴィン・クック(Dalvin Cook)は先週足首の怪我で欠場を余儀なくされました。彼がこのゲームに出場できるかできないかでフロリダ州立大の勝利への確率は格段に変わってくるでしょう。ヘッドコーチ、ジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督はその点を明言していませんが、「彼は驚くべきスピードで良くなっている」とも言っています。実際クックは今週練習には参加しているようで、試合には間に合いそうですが、どこまで彼がプレーできるか注目されます。ここまでトータル1037ラッシュヤード(1キャリー平均8ヤード)に12TDと大車輪の活躍をしてきたクック。全米トップチーム相手に欠かせない選手であることは明らかです。

またフロリダ州立大は先発QBも先週怪我で欠いています。ノートルダム大から転校してきたイヴァレット・ゴルソン(Everett Golson)は脳震とうを災い先週のシラキュース大戦を欠場しました。その彼のバックアップ、ショーン・マグワイア(Sean Macguire)はその試合で3TDを含む348パスヤードを記録し45対21と勝利に貢献。マグワイアの予想外の活躍で彼とゴルソンで先発QB争いが勃発するのでは?という憶測も流れていますが、フィッシャー監督はゴルソンが怪我から復帰してすぐに先発に指名されるかどうか明言を避けています。また二人のQBを多用するシステムの可能性も否定していません。ひょっとしたらどちらのQBが先発になるかわからないこの状況は逆にクレムソン大を混乱させるいい材料なのかもしれません。

クレムソン大の大進撃の理由を一つに絞るのは難しいですが、やはりQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)を語らないわけにはいかないでしょう。まだ若干2年生のワトソンは平均242パスヤードに20TDを記録しており、未だ嘗てハイズマントロフィー受賞者を輩出していないクレムソン大にとっては稀に見る至宝級の活躍を見せています。この試合で彼が勝利の立役者になるような素晴らしいパフォーマンスを見せることができれば、ハイズマントロフィー候補の最右翼として評価されることは間違い無いでしょう。

クレムソン大は1試合平均得点が40点に対しフロリダ州立大は32点。今季のクレムソン大の前半(第1&2Q)だけの総得失点は205対53と圧倒的ですが、先週クレムソン大はノースカロライナ州立大相手に前半は点の取り合いを演じてしまいました。スロースターターであることはフロリダ州立大に付け入る隙を与えかねません。が、クックとゴルソンを欠いたフロリダ州立大もシラキュース大相手に同じように出だしが遅れてしまいました。フロリダ州立大の前半の総得失点はは119対68とクレムソン大に比べると接戦を演じているように見えます。双方とも失点を補うことができるだけのオフェンスパワーを持っていますが、どちらが先制パンチを食らわせることができるかも重要な鍵となりそうです。

2年前、全勝だったクレムソン大に初めて土をつけたのはフロリダ州立大でした。そのフロリダ州立大は周知の通りその年にナショナルチャンピオンに輝きました。最近過去5年間でクレムソン大は4度もフロリダ州立大に苦汁を舐めさせられています。今年はクレムソン大が有利と見られていますが、今度こそ2年前の雪辱を晴らすことができるでしょうか?

テキサスクリスチャン大(CFP8位)対 オクラホマ州立大(同14位)

今季いまだどのチームもテキサスクリスチャン大(TCU)を攻略することができていませんが、今週はオクラホマ州立大ディフェンシブコーディネーター、グレン・スペンサー(Glenn Spencer)がTCUオフェンスに挑みます。最大の難問はいかにTCUのハイズマン級QBトレヴォーン・ボイキンを止めるか、です。「彼はタックルを受けることなくフィールドを駆け回りディフェンスを撹乱するのがうまい」とはスペンサー氏。

先週TCUはウエストバージニア大と対戦し、前半こそ接戦を演じたものの後半にウエストバージニア大を大きく突き放して大勝しました。ボイキンは右へ左へとスクランブルしフィールドを縦横無尽に駆けつけていきました。あまりの好プレーにウエストバージニア大ヘッドコーチ、ダナ・ホルゴーセン(Dana Holgorsen)監督は敵選手であるボイキンに賞賛の「ハイタッチ」を送ったほどでした。

これまで誰も止めることができなかったボイキンをオクラホマ州立大は止めることができるでしょうか?TCUが昨年ミシシッピ大と対戦した際、ボイキンは3つのパスインターセプトを犯し、たったの215パスヤードしか投げることができず、後にも先にも自身にとって最悪の出来となった試合でしたが、それでも42対3と大勝。調子が悪いボイキンでもTCUを止めることはできなかったのです。

彼と対戦したテキサス工科大のヘッドコーチ、クリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)監督は「彼(ボイキン)は現実離れしすぎている。例えプレーが行き詰まったとしてもそこから個人の力でボールを前に進めることができる選手はそういない。彼はそれくらい稀な存在なんだ。」とボイキンのことを回想しています。

そんなボイキン率いるTCUをいかにして止めるか。スペンサー氏の手腕が問われることになります。これまで8週間彼のディフェンスはオクラホマ州立大に土を付かせることなく、またオフェンスがダブルQBシステムを確立したことによりチーム全体として安定感が出てきました。ディフェンス陣は非常にスマートで相手に多くのターンオーバーを犯させ、相手オフェンスに柔軟に対応することによってゲーム後半に敵を手詰まりにしていきました。その集大成をこの週末に披露できなければなりません。昨年は同じボイキン相手に42対9と醜態を晒してしまったオクラホマ州立大ディフェンスですが、今年は少しの光明が。強力なDEエマニュエル・オバ(Emmanuel Ogbah)率いる、早くてより経験値を増したディフェンスがオクラホマ州立大の希望です。

ボイキンの機動力は相手ディフェンスの悩みの種ですが、彼は投げてもトップレベルのQBです。これまでボイキンは23試合連続TDパスを決めており、1回のパス平均ヤードは驚きの9.8ヤードにランは平均6ヤード。つまり、彼がボールを持てば1プレー平均8ヤードという計算になります。信じられない数字です。これまで8試合トータルで34TDを重ねてきたボイキンと対峙するスペンサー氏は最低でも4TDはボイキンに取られる覚悟をしなければいけないということです。いっそのことボイキンのことは諦め、ボイキン以外にボールが託された時を狙っていくという戦法もありかもしれません。実際オクラホマ州立大は多くのターンオーバーを引き起こしており、ボイキン以外の選手からターンオーバーを奪い、なおかつオフェンスがTCU以上に点を取ることができれば、ひょっとしたら勝機が見えてくるかもしれません。

ノートルダム大(CFP8位)対 ピッツバーグ大

ノートルダム大ピッツバーグ大でのアウェーゲームに挑みます。過去最近6試合の対戦では7点差以内という僅差で決着が付くという結果になっており、ノートルダム大は油断出来ません。現在7勝1敗のノートルダム大は今季の平均500ヤードものオフェンスを叩き出す超攻撃型チーム。守備陣はというとフロントセブンはまずまずながらバックフィールドに一抹の不安を抱えています。が、一方で試合終盤に重要な場面でDBがパスをインターセプトしてい相手の反撃を断ち切るという形でその不安を帳消しにしています。CFPランクで8位とプレーオフ出場の望みを繋いでいますが、もしここで敗れることがあればその望みも潰えてしまいます。

ノースカロライナ大(CFP21位)対 デューク大

デューク大は先週審判団の重大なミスでマイアミ大にショッキングな形で白星を奪われましたが、このノースカロライナ大戦に勝利すれば再びACCコースタル地区のドライバーシートに座ることになります。同じようにノースカロライナ大が勝てば地区代表に大きく前進です。ノースカロライナ大は初戦でサウスカロライナ大に僅差で敗れたもののその後は7連勝と絶好調です。

メンフィス大(CFP15位)対 海軍士官学校(ネイビー)

8戦全勝のメンフィス大はこのネイビーとに勝てばいよいよ大一番となる同じく無敗のヒューストン大との決戦を来週迎えることになります。ネイビーのQBキーナン・レイノルズ(Keenan Reynolds)はあと一つのランTDでNCAA新記録となる78ランTDとなり、ウィスコンシン大の元RBモンテー・ボールの記録を塗り替えます。

フロリダ大(CFP11位)対 バンダビル大

フロリダ大はこのバンダビル大に勝利することによってSEC東地区の代表としてカンファレンスタイトルゲーム進出が決まります。フロリダ大ヘッドコーチ、ジム・マクエルウェイン(Jim McElwain)監督は1年目ながら素晴らしい統率力でチームを再び全米の表舞台に復活させています。

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