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ジャスティン・フィールズを巡る一悶着

ジャスティン・フィールズを巡る一悶着

オハイオ州立大QBで今月末のNFLドラフトでも注目を集めているのがジャスティン・フィールズ(Justin Fields)ですが、先週から場外でもちょっと注目を集めてしまっています。といっても当の本人は蚊帳の外なのですが・・・。

始まりはフットボール全般を扱う「パット・マカフィー・ショー(The Pat McAfee Show)」での出来事。

これはラジオ番組をテレビやYouTubeで動画付きで流す、アメリカでよくあるスポーツメディアの形態を取っている、ちょっとコアな番組です。

パット・マカフィー氏はウエストバージニア大でパンターとキッカーとして活躍。2009年のドラフトでは7巡目にインディアナポリスコルツから指名を受けプロ入り。8年間という比較的短いプロ人生でしたが、2度プロボウルにも選出されるなどそれなりに活躍した選手でした。

引退後は解説者となりやがて自分のショーをホストするようなコメンテーターとなっていきます。キッカーに似合わず破天荒な性格・言動で他のコメンテーターとは一線を画す存在。最近ではプロレス(WWE)に参戦するなどマルチな活躍をしています。

そんなマカフィー氏の番組で先週NFLドラフトの話題になり、ゲストで出演したダン・オルヴスキー(Dan Orlovsky)氏とジャスティン・フィールズの話になったのですが、ここでオルヴスキー氏が発したコメントが炎上しているのです。

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コルツ時代のオルヴスキー氏

オルヴスキー氏はコネチカット大で2000年から2003年までQBとしてプレーした選手。2004年のドラフトでは第5巡目にデトロイトライオンズに選択されNFL入りを果たしました。デトロイトで4年過ごした後、ヒューストンテキサンズ、インディアナポリスコルツ、タンパベイバッカニアーズなどを放浪して2017年度シーズン後に引退。主にバックアップというバイプレーヤーを務めてきた人物です。

引退後はスポーツ専門局ESPN入りしじわじわとその存在感を表してきました。その活躍の場はカレッジフットボールとNFL両方に渡り、特にQBだった経験を活かしたプレーのフィルムブレークダウンはなかなかのものです。

ただ一方で時に周囲をざわつかせることもあり、最近ではフィラデルフィアイーグルスで苦戦していたQBカーソン・ウェンツ(Carson Wentz、元ノースダコタ州立大、現インディアナポリスコルツ)が辛辣な批評を受ける中で最後まで彼を擁護していたことでも知られました。

そんなオルヴスキー氏ですが、マカフィー氏との会話の中で「NFL関係者から聞いた話」であり「自分はそうは思わない」と前置きをした上で、フィールズは「(トレーニングに)最後に現れて(終われば)真っ先に帰る」ような選手であり、「向上志向が乏しい」選手であると話したのです。

これに反応したのがオハイオ州立大関係者並びに多くのファンたちです。当然身内の人間をこのように表現されれば、例えオルヴスキー氏個人の意見でなかったとしても印象はよくありません。しかもドラフトを間近に控えたこの時期にこのようなネガティブなコメントはフィールズの株に傷を付けかねないからです。

オルヴスキー氏はこの炎上騒ぎを受けて自身のSNSで弁明のコメントを発表。決して例のコメントは自分の意見ではないと念を押していましたが、それだけで騒ぎが収まるはずはありませんでした。

SNS上でも激しい非難の声が上がりましたが、最も注目されたのがカーク・ハーブストリート(Kirk Herbstreit)氏のツイートでした。

ハーブストリート氏と言えば現在カレッジフットボール界において最も知名度のある解説者の一人。カレッジフットボールを盛り上げるきっかけともなったESPNのプリゲームショーである「カレッジゲームデー(College Gameday)」に登場し、シーズン中の多くのプライムタイムゲームの解説を務め、CFP(カレッジフットボールプレーオフ)のナショナルチャンピオンシップも担当する名コメンテーターです。

そのハーブストリート氏は大学時代オハイオ州立大でQBとしてプレー。1993年にはキャプテンも務めた選手であり、父親もオハイオ州立大でキャプテンを務めたということでまさに「バッカイズファミリー」。卒業後1996年にESPN入りし以来サイドラインリポーターからのし上がって現在カレッジフットボール界で最も発言力及び影響力のあるメディアの人間と言えます。

そのハーブストリート氏はオルブスキー氏のコメントに大してかなり踏み込んだツイートを放ちました。

「全く話にならない!仮に本人の言葉でなかったとしても、他人から聞いた話としてこのようなコメントをするのは軽率だし馬鹿げている!恥を知れ!」

何がすごいかというと、この二人はESPNでの同僚であり、その同僚をSNS上でぶった切ったという事実です。

ハーブストリート氏が母校であるオハイオ州立大出身のフィールズに肩入れするというバイアスを加味しても、彼の意見には多くの人たちが同意しました。しかし一方でジャーナリストとして同僚であるオルヴスキー氏を公衆の面前で激しく非難したことは賛否が別れました。

また、フィールズの恩師でもあるライアン・デイ(Ryan Day)監督も当然フィールズを擁護。特に昨年度Big Tenカンファレンスが秋季シーズン開催を断念した際に声を上げてシーズン開催を働きかけたのがフィールズであり、その彼に向上心がないと言われるのは心外だったことでしょう。しかも昨年はNFLスカウトはパンデミックの影響で基本的にチーム施設には立ち入ることができなかったため、フィールズら選手たちがどのように練習をこなしてきたかなどは知る由もないはずなのです。

オルヴスキー氏とハーブストリート氏が所属するESPNはことが大きくなったことを受けて両人に厳重注意を行ったそうです。どんなメッセージが二人に届けられたかは分かりませんが、オルブスキー氏には迂闊な発言は控えるように、そしてハーブストリート氏にはSNS上で同僚を非難することは止めるように、と伝えられたのではないかと思われます。

最終的にオルヴスキー氏は自身がああいったコメントを裏を取らずに発してしまったことを悔いる発言をし、また同氏はフィールズに直接電話をかけて一連の騒動を謝罪したそうです。

この一悶着を振り返ると、情報の受け取り側である我々としては情報筋が信頼たるものであるインフォメーションを信じるしかないわけで、よくある「関係者談」というのは信用できないことになるのですが、フィールズが怠け者でないとう話も第三者が証明してくれているわけではないことも事実。

そしてもしこれがフィールズの評価を意図的に貶めることで自分たちに彼を指名するチャンスが訪れる可能性を高めるための「ネガティブキャンペーン」だったとしたら、それはそれで非常に恐ろしいことですし、フィールズとしては大きな迷惑です。それを下調べぜずに自分の言葉ではないとは言え自分の口で伝えてしまったオルヴスキー氏の失態は明らかです。

SNSが張り巡らされている今、彼らほどの影響力を持つ人間は自分の発言の影響力に気をつけなければならないということですね。

そして偉いなと思ったのは、当の本人であるフィールズはこの騒動が起こって以来表立って事を荒げず沈黙を守っていること。実際こんなことを言われて腹を立てているのは彼以外他にいないわけですが、そこでSNSを使って反論することもなく我慢し続けたことです。もし彼がオルヴスキー氏に食ってかかっていたら泥沼化していた可能性もあります。そういった意味ではフィールズのこの状況の対処の仕方はNFLチームにいい印象を与えたのかも知れませんね。

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