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スカウティングコンバイン【2020年NFLドラフト】

スカウティングコンバイン【2020年NFLドラフト】

カレッジフットボールはアマチュアアメフト界の最高峰ということになりますが、当然その先にはプロリーグであるNFLという大舞台が控えています。フットボールをプレーするからにはやはりこのNFLでプレーすることが最大の夢であることでしょうから、そこに向けて皆日々厳しいトレーニングをこなしているわけです。

とはいえNFLは狭き門。誰でもこの場所でプレーできるわけではなく、カレッジフットボール界でも一握りの選ばれた選手しかその栄えあるステージに立つことはできないのです。

そのために選手たちはNFLドラフトでプロチームから指名されなければならないわけですが、4月に行われるドラフトまでに選手たちは何が何でも自分の株を上げるためのアピールをしたいと思っているはずです。

そしてプロチームたちも数多いるドラフト候補生たちの生のデータを自分の目で確かめたいところ。もちろん現役時代のフィルムは山ほどありますが、それだけではわからない部分というのもそれなりにあり、最終的にどの選手をドラフトするかと決めるためのプロセスの上でそのような情報はどうしても欲しいものです。

そのような両者の希望をすり合わせることができるイベント、それがNFLスカウティングコンバインなわけです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

NFLスカウティングコンバインとは?

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NFLスカウティングコンバインとは2月後半に行われるドラフト候補生たちの「見本市」のようなものです。招待された選手たちはインディアナ州インディアナポリス(インディアナポリスコルツの本拠地)に一同に集められ、メディカルチェックやインタビュー、身体測定、運動能力テスト、ポジション別スキルテスト、さらには心理テストに至るまで様々な課題を課せられまさに丸裸にさせられるのです。

昔は今と違ってひっそりと行われていましたが、今ではNFLがテストを生放送したりして盛大に行われるようになりました。メディアの取り上げ方の肥大さは尋常ではありません。

コンバインの歴史は下の記事も参考にしてみてください。

コンバインの最大の意義は選手の基本的なデータを一箇所で一度に各チームが平等に手に入れられるということです。かつては各々のチームがコンバイン的なことを行っていましたが、それでは費用がかさむし効率的でないために現状のような形式に収まったという経緯があります。

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スケジュール

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2020年のNFLスカウティングコンバインは2月23日から3月2日まで9日間予定されています。が実際には全参加選手はポジションごとに4つのグループに分けられ、1つのグループは6日間(最終日は帰るだけなので実質5日間)の間に決まったお題をこなしていきます。そして4つのグループが被らないように到着日から最終日まで1日ずつずらされています

以下がグループ分けとそれぞれのグループの6日間の予定です。

グループ1:TE、QB、WR
グループ2:PL、ST、OL、RB
グループ3:DL、LB
グループ4:DB

第1日目(到着日)
オリエンテーション、インタビュー
第2日目
身体測定
病院での予備検査
インタビュー
第3日目
メディアとの質疑応答
メディカルチェック(健康診断)
ポジションコーチとのインタビュー
心理テスト
第4日目
NFL選手会とのミーティング
インタビュー
ベンチプレステスト
心理テスト
第5日目
運動能力テスト
インタビュー
ポジション別ワークアウト
第6日目
帰宅

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テスト内容

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ご覧の通り参加選手たちは様々な角度からスカウトやコーチらによって分析されるわけですが、実際に何をテストされるのかを簡単に見ていきます。

身体測定

これは単純に身長体重からはじまり腕の長さ、手のひらの大きさ、そしてウィングスパン(腕を左右に広げたときの端から端までの長さ)を計測します。大学時代のメディアに載っている数値などは誤魔化されている場合もあるのでここで本当の数値がバレてしまうわけです(笑)。

そして実はここでの数値が1インチでも違うだけでドラフト時の評価に大きく影響を及ぼすと言われています。昨年は元オクラホマ大QBカイラー・マレー(Kyler Murray、現アリゾナカーディナルス)の身長が実際サバ読まれているんじゃないかなんてかなり話題になっていました。

インタビュー

コンバインに滞在中選手たちは様々な関係者とインタビューすることになります。何気ない質問からちょっと答えづらい質問、さらには一見なんの関係があるのかわからないようなとんちんかんな質問など様々なものが選手たちに浴びせられます。

選手たちがとっさの質問にどう答えるか、もしくはかつて不祥事を犯したような選手にとってそのことに触れられたときにどう反応するか、などインタビューを通して人間性をテストするわけです。

メディカルチェック

ここでは大学時代に手術を必要とするような大怪我を負った選手や脳震とう(Concussion)を患った選手などをスクリーンします。またこの時点で大学時代などでは知り得なかった先天性の病気などが発覚することが稀にあり、そのせいでドラフトでの株を落とすということも実際ありました。

心理テスト

正式名称はNFL Player Assessment Test(NFL-PAT)。3人の心理学者によって作られたこのテストは2013年のコンバインで導入されて以来今も使用され続けています。フィールド上の数値だけでなく心理的な側面から選手がプロの世界で成功できるかどうかを図ろうという試みです。

この3人が5年間で集めたデータを元に実際のパフォーマンスと比べて関連性があるかというリサーチを行いましたが、合計1538人のスコアと比べるとTD数や勝率といった数値がこの心理テストのスコアと比例しているというデータもあるようです。

運動能力テスト

選手たちのフィールド上のパフォーマンスは経験値や本能などが関係する面もありますので、単純な基礎能力が彼らの選手としての素質を完全に裏付けるとはいえませが、一方で基礎が出来てなければプロレベルでは通用しないという事実もあります。

そんな基礎運動能力テストをこのコンバインでも行うわけですが、その種目は以下のものです。

・ベンチプレス
・40ヤードダッシュ
・垂直飛び
・幅跳び
・3コーンドリル
・20ヤードシャトルラン
・60ヤードシャトルラン

ドラフト候補生がフィジカルの面で数値を上げることができるとすれば上に挙げたテストです。ですからドラフトの準備をする選手たちはそれまでの間ただひたすらこの種目で最高の数値を出すためだけにトレーニングに明け暮れます。

トップレベルの候補生たちはプライベートのコーチを雇ったり、専門のジムに通うことで上記の種目で1秒でも早く、一回でも多く、1インチでも遠くへ飛べるためのトレーニングを積むわけです。ここでの数字がフットボール選手としての総合的な能力の評価に繋がるとはいえませんが、いい数字を残すことに越したことはないわけです。

ポジション別ドリル

これは文字通り選手たちが各自のポジションごとに定められたドリルをこなします。これは上に挙げた運動能力テストよりもより実践的な能力を見定めることが出来ます。

2020年のコンバインでは新たに合計16つのドリルが行われることになっています。詳しくはこちら

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ドラフティングコンバインの意義とは?

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2020年のコンバインには合計337人もの候補生が招待されています。ドラフト本番では単純計算で32チームが7ラウンドかけて選手を選んでいくわけですから、ドラフトされる選手の数はおよそ220名程度となります。

参考記事スカウティングコンバインの招待選手一覧(外部リンク)

つまり今回招待された選手のうち100人程度の選手はドラフトされることはないということになります。プロへの道は狭き門だということです。

世間的に言うと第1巡目などの高順位で指名されることが確実視されているような選手は早かれ遅かれドラフトされるのは目に見えています。

しかし第1巡目と第2巡目などラウンドが1つ違うだけで契約金の額は大きく変わるので、上位で指名されることが予想されている選手も油断はできないわけです。

一方でそういった注目されている選手ではない連中たちにとって見ればコンバインでの一挙手一投足が彼らのプロへの道に直接影響を及ぼしていきます。だからこそ他の参加者と少しでも差をつけるためにコンバインで結果を残すためだけに40ヤードダッシュの走り方を陸上競技のコーチに習ったりその他の種目に特化したトレーニングを受けるわけです。

またプロチームとしてはほんとうの意味でアスリートとしての潜在能力の高さを見定めたいところ。ドラフトは1年に一回であり基本的に7人しかそのドラフトで選ぶことは出来ません。当然その時点でのチームのニーズによってどのポジション選手を選ぶかは変わってきますが、総合的に見て即戦力となり得る選手、または将来的にまだ伸びしろを残している選手などをドラフトしたいところです。

そういった意味ではこのコンバインにおいて選手をふるいに掛けることは非常に重要です。しかもただ単に40ヤードのタイムがよかったからだとか、ベンチプレスの回数がよかったからだとか、テストの一片だけ拾って選手を見定めることは出来ません。本当の意味でベストなアスリートを吟味する必要があるわけです。

また似たような能力を持った選手が複数いたとしたらどうやって甲乙をつけるのか・・・。その時はおそらく腕の長さが長い方とか、インタビューで受けが良かった方とか、心理テストのスコアが高かった方とか、そういった選別の仕方もできると思います。

しかしそれでもコンバインで高評価を得たからと行って実際プロ選手として成功するという保証はどこにもありません。足が早くてもドラフトされないこともありますし、足が遅くてもドラフトされることも大いにあるのです。

まとめ

コンバインはオフシーズン中にフットボールに飢えたファンたちを楽しませるには十分なイベントでありますし、それに味をしめたNFLネットワークや他のスポーツ局たちが大々的にTVで取り上げています。

ここで数字化される数々のテスト結果を見て一喜一憂するのもいいですが、見る側のスタンスとしてはあまりここでの結果に躍らされること無く、あくまでドラフトの過程で行われる情報収集の場であるという心持ちでいるといいのではないでしょうか。

ただその裏で夢への階段を登るために必至で努力している若者たちがいることは心に留めていておきたいものです。

参考記事各選手たちの測定数値

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