今季のカレッジフットボールの頂点を決めるカレッジフットボールプレーオフ(CFP)。ここに駒を進めることができるのは130校あるFBS(フットボールボウルサンディビジョン)の中でもだったの4チーム。この狭き門を巡り多くの強豪校は夏から切磋琢磨して来たわけですが、今回レギュラーシーズンのすべての工程を終え(今週末のアーミーvsネイビーを除く)いよいよその全米のトップ4チームが出揃いました。
目次
出場チーム
全米1位 アラバマ大 (13勝0敗)
開幕時から全米1位を守り続けたディフェンディングチャンピオン。今年はお家芸とも言える強力ディフェンスに加え、ハイズマントロフィー候補QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)という武器を手に入れたことで攻撃力が格段にアップ。そして彼のバックアップが過去2年間先発を任されていたジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)ということで鬼に金棒といった感じです。
先週のSEC優勝決定戦では強敵ジョージア大に大苦戦。終始リードされる展開の上にタガヴァイロアが怪我で途中退場するという大ピンチに陥りますが、それを救ったのはハーツ。リードされる展開で投入された彼は次々とプレーを決めて同点のパスTDを奪うと、試合終了間際には自らの足で決勝点となるTDを獲得して逆転勝利を手に入れました。
ジョージア大戦では今季初めて劣勢を強いられる展開を余儀なくされましたが、それでも状況を打破して勝ちを引き寄せることのできる勝負強さを見せてくれました。今年はSECチャンプとして胸を張ってCFP入りを果たし、プレーオフが導入されてから唯一すべての大会に出場するチームとなりました。果たして彼らの2連覇、及びニック・セイバン(Nick Saban)監督の通算7度目の全米制覇となるでしょうか?
全米2位 クレムソン大 (13勝0敗)
昨年のCFPでは1位チームとして参戦するも準決勝戦で後に優勝チームとなるアラバマ大に敗れ連覇を逃したクレムソン大。今年の目標は2年ぶりに全米の頂きに立つことです。今年はNFL入りしていてもおかしくなかったオールアメリカンDLクリスチャン・ウィルキンス(Christian Wilkins)が残留したことでDL陣が昨年と全く同じメンツとなり、全米でも随一のパワーを誇りました。
タイトル獲りで唯一の不安材料だったのはQBポジション。昨年はケリー・ブライアント(Kelly Bryant)がチームを率いましたが、準決勝戦でアラバマ大に敗れた要因の一つにブライアントのパサーとしての能力が挙げられていました。そして今年、5つ星QBのトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)が入部しブライアントとの熾烈な先発争いが繰り広げられましたが、第4試合目にしてダボ・スウィニー(Dabo Swinny)監督がついにローレンスを先発に起用。そしてそれを不服としたブライアントがなんとすぐさま退部してしまうという騒動に発展していました。
しかしローレンスは1年生ながら非凡な才能を披露し、ルーキーらしからぬプレーでQBの職をしっかりとこなしました。そして若い彼の負担を軽減すべくRBトラヴィス・エティエン(Travis Etienne)が全米トップ級のパフォーマンスを見せ続け、所属するACC(アトランティックコーストカンファレンス)の全体のパワーダウンがあったにせよ、カンファレンスでは全く敵なし。そして先日行われた優勝決定戦でもピッツバーグ大を赤子の手を捻るように一蹴。無敗を守って無難にプレーオフ進出を果たしました。
全米3位 ノートルダム大(12勝0敗)
プレシーズン時には全米12位から発進したノートルダム大。上位チームに土がつく中彼らは確実に勝ち星を重ね、ついに無敗でレギュラーシーズンを終了。独立校(Independent/無所属)である彼らはカンファレンス優勝決定戦などなく、先週は試合がないまま他のチームの動向を見守っていましたが、完全無敗であるという揺るぎない結果によって彼らはCFP初出場を成し遂げました。
今季の開幕時のQBはブランドン・ウィンブッシュ(Brandon Wimbush)。昨年も先発を務めたウィンブッシュでしたが、機動力を得意とするもパサーとしての能力はトップクラスとはいえませんでした。今年も初戦のミシガン大戦で勝利を収めるも続くボール州立大とヴァンダービルト大戦で苦戦。そしてそれを見たブライアン・ケリー(Brian Kelly)監督はウィンブッシュをベンチに下げ、3年生のイアン・ブック(Ian Book)の起用を決定。これがオフェンスに新たな息吹を吹き込みよりバランスの取れたユニットに変化したのです。
もともとディフェンス陣には定評がありましたから、ブック体制に移行したことで攻守ともに力のあるチームにレベルアップ。アラバマ大やクレムソン大のような圧倒的なパワーを持ってはいませんが、シーズンを無敗で乗り切ったというところが彼らがプレーオフ進出に値するチームであるという証ということでしょう。
「アメリカのチーム」ともいわれた名門ノートルダム大が最後にナショナルチャンプになったのは1988年。2012年度にはBCSタイトルゲームに出場するもアラバマ大に完敗。その時はタイトルゲーム出場に値しないチームとも言われましたが、今回はそんな批判を打ち消すような好ゲームを披露することが出来るでしょうか?
全米4位 オクラホマ大(12勝1敗)
今季有無を言わさぬハイパワーオフェンスで1試合平均50.3点という脅威の数字を残したオクラホマ大。先週末を迎えた時点で5位だった彼らはBig 12カンファレンス優勝決定戦でテキサス大を倒すと、4位のジョージア大がアラバマ大に敗れたことでついに上位4チームの1つに滑り込み2年連続のプレーオフ進出を決めました。
全米屈指のオフェンシブパワーを持つオクラホマ大ですがその原動力となっているのはハイズマントロフィー候補QBカイラー・マレー(Kyler Murray)です。彼は開幕前にMLBオークランドアスレチックスから第1巡目にドラフトされその去就に注目が集まりましたが、3年生の彼は今季のみオクラホマ大に残ってプレーすることを宣言。昨年のハイズマントロフィー候補受賞QBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)の抜けた穴を埋めるという大変難しいタスクを課せられました。
しかし蓋を開けてみればそんな心配は無駄だったようで、パワーダウンどころかメイフィールドを凌ぐパフォーマンスでチームを牽引。シーズン終盤のテキサス大とのライバリーゲームで惜敗するも彼個人としては常にとんでもない数字を叩き出し、またディフェンスが並以下であるにも関わらずチームが勝ち続けているのはマレーの活躍があったからこそで、まさに今年のオクラホマ大はマレー無しには語れないチームとなったのです。
昨年は準決勝戦でジョージア大との死闘の末敗れました。今年は2000年以来のナショナルタイトル獲得となるでしょうか?
マッチアップ
4チームのCFP出場が決定したことで早くも準決勝戦の対戦カードが出揃いました。
準決勝戦#1:オレンジボウル(12月29日)
オクラホマ大(4位)vs アラバマ大(1位)
準決勝戦#2:コットンボウル(12月29日)
ノートルダム大(2位)vs クレムソン大(2位)
オレンジボウルでは現在ハイズマントロフィーレースで1、2位を争うタガヴァイロアとマレーのマッチアップ。またコットンボウルの顔合わせは3年前のレギュラーシーズン中の再現。この時は24対22でクレムソン大が僅差のゲームを制しました。もちろんこの時のチームは現在のチームとは全く別物ですが、今回の対戦も楽しみです。
進出できなかったチームたち
ジョージア大(5位)
先週4位だったジョージア大はSEC優勝決定戦でアラバマ大を十二分に苦しめましたが、あと少しというところで逆転負けを喫して5位に転落。2年連続のプレーオフ出場を逃しました。
アラバマ大をここまで追い詰めたことからもわかるようにジョージア大の実力はおそらく全米4位に入るものと考えてもおかしくないと思いますが、2敗してしまったこと、そしてカンファレンスで優勝できなかったことが響いたのだと思います。
オハイオ州立大(6位)
オハイオ州立大は先々週のミシガン大戦で持てるポテンシャルを最大限に開放して全米トップクラス級のミシガン大ディフェンスから62点も奪う力を見せつけました。しかしBig Tenカンファレンス優勝決定戦ではノースウエスタン大相手に圧倒的な力の差を見せることが出来ず、またシーズン中にパデュー大に大敗したこと、さらにその他の格下とされるチームたちに苦戦したことが、CFP選考委員会の査定に触れ、残念ながら2年連続カンファレンスチャンピオンになりながら2年連続CFP出場のチャンスを逃しました。
セントラルフロリダ大(8位)
12勝無敗のセントラルフロリダ大がプレーオフに進出するには上位チーム全部が先週負けるような超ミラクルが起きなければなりませんでした。もちろんそんなことは起きなかったわけですが、QBマッケンジー・ミルトン(McKenzie Milton)を怪我で失いながら、メンフィス大から大逆転の末に勝利を奪って25連勝目を飾った彼らのシーズンは特筆に値するものだと思います。
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