カレッジフットボール第8週目はとりだてビッグマッチがあるわけではありませんが、だからといって見どころが無いわけではありません。
オハイオ州立大(全米1位)対 ラトガース大
オハイオ州立大にとってはラトガース大戦自体は特に問題にはならないでしょうが、このゲームの最大の注目点はQBのJ.Tバレット(J.T. Barrett)です。今週遂に先発の座をカーデル・ジョーンズ(Cardale Jones)から奪還し今季初のスターターとして試合に出場するのです。ジョーンズ指揮下のオハイオ州立大はここまで無敗ではありましたが、一方でパンチがいまいち足りないオフェンスにヘッドコーチ、アーバン・マイヤーが大鉈を振るう決断。バレットは先週ペンステート戦でローテで使われながらも安定したプレーを見せコーチ陣の信頼を勝ち取りました。ラトガース大は2週間前にミシガン州立大戦で彼らを最後まで苦しめる底力を見せてくれましたが、昨年バレットは同一カードで56対17と圧勝。今年はどうなるでしょうか。
ユタ大(3位)対 サザンカリフォルニア大
開幕時、このマッチアップは大番狂わせの可能性大としてメディアに取り上げられていましたが、それはサザンカリフォルニア大(USC)がユタ大に噛みつかれる、というのが大体の予想でした。しかしご存知の通り今季はUSCの失速をよそにユタ大が快進撃中。プレシーズンの予想に反して立場が逆転してしまいました。USCは3勝3敗と振るわぬばかりかヘッドコーチがシーズン途中で解雇されるなどいい話題がありません。しかしだからといってUSCに力がないわけではなく、事実先週強豪ノートルダム大に41対31と負けはしたものの善戦しました。ユタ大にとって足元をすくわれかねないこの試合、USCは腐ってもUSCということで気をつけなければなりません。
ルイジアナ州立大(5位)対 ウエスタンケンタッキー大
ウエスタンケンタッキー大と聞いてナメてかかると痛い目を見ます。驚くなかれ、ウエスタンケンタッキー大はオフェンスに関して言えば全米でも随一パワーを持ったチーム。これまで6勝1敗で唯一の敗戦もBig Tenのインディアナ大に38対35と僅差で負けたのみ。今週末のゲームはルイジアナ州立大(LSU)でのアウェー戦となりますが、大きな野望を胸に「虎狩り」目指してルイジアナ州立大に乗り込んでくるでしょう。しかしここで彼らに立ちはだかる壁が。それはLSUのスーパーRBレナード・フォーネット(Leonard Fournette)です。ウエスタンケンタッキー大はこれまでフォーネットのようなコンプリートRBと対戦したことがなく、その経験がないディフェンスが彼を止めるのは至難の技です。仮にウエスタンケンタッキー大が世紀の番狂わせを演じることができるとすれば、LSUよりも多く点を取ることしかありませんが、いくら彼らのオフェンスがダイナミックだとはいえ相手がLSUディフェンスとなれば話は別です。どちらにしても普段あまりお目にかかれないウエスタンケンタッキー大のオフェンスが全米に放映されるということに意味があるのかもしれません。
クレムソン大(6位)対 マイアミ大
ACC(アトランティックコーストカンファレンス)の雄としてフロリダ州立大と並び唯一気を吐いているクレムソン大。大一番で勝てないことを揶揄されて作られた造語「クレムソニング(Clemsoning)」などという戯れ言に惑わされず全米6位と好位置にランクしています。が、もしまだ「クレムソニング」が存在するのであればこの週末ではないかという予感がしてなりません。対戦相手はマイアミ大ですが彼らは負けはしたもののフロリダ州立大に善戦し力がまだまだあることを知らしめてくれました。クレムソン大の今後最大の相手はフロリダ州立大であることは明確ですが、その試合に目が行き過ぎてマイアミ大に足元をすくわれることは十分に考えられます。それこそまさに「クレムソニング」そのものです。
フロリダ州立大(11位)対 ジョージア工科大
先にも挙がったLSUのレナード・フォーネットに隠れてなかなか日の目を見ないRBがフロリダ州立大のダルヴィン・クック(Dalvin Cook)です。確かにフォーネットはトータルラッシュヤードで全米をリードする1202ヤードを叩き出していますが、クックもそれに及ばずとも955ヤードを足で稼いでいます。これはフォーネットの数字があるからこそ霞んで見えがちですが、それ自体は通常ならば素晴らしい数字です。それだけフォーネットが飛び抜けているということの表れでもあるのですが、クックも負けてはいません。1キャリーの平均ヤードだけ見ればフォーネットの8.1ヤードに対してクックは8.7ヤードと分があります。だからといって彼がフォーネットより優れているとは言えませんが、このままクックが数字を重ね続ければおのずとメディアの注目も集まるでしょう。対戦相手のジョージア工科大のランディフェンスは非常に脆弱な故、クックのビッグゲームが期待できそうです。
アラバマ大(8位)対 テネシー大
「The Third Saturday in October(10月の第3土曜日)」と別名がある、アラバマ大とテネシー大のライバリーゲーム。ここまでアラバマ大が8連勝しているこのマッチアップ、アラバマ大はプレーオフ進出をかけ、またテネシー大はSEC東地区での望みをつなぐためどちらも負けられない試合となります。アラバマ大は第1Qに滅法強いチームで、今シーズンはそこだけ見れば41-6と相手チームを圧倒しています。さらに対SECチームには第1Qに1つもタッチダウンを許していません。
対するテネシー大はディフェンスが不調気味。フロリダ大、ジョージア大、アーカンソー大3チームには平均で443ヤードも相手に許してしまっています。特にテネシー大ディフェンスはアラバマ大のスターRBデリック・ヘンリー(Derrik Henry)をいかに止めるかが鍵となってきます。今季ヘンリーは対SEC戦では1試合平均150ヤードを稼ぐ活躍を見せ、先週のテキサスA&M大戦では236ヤード走りA&Mディフェンスを蹂躙しました。
テネシー大が金星を奪うためにはディフェンス陣は踏ん張るだけでなく、オフェンスも強固なアラバマ大ディフェンスを切り崩さなければなりません。それにはテネシー大QBジョシュワ・ドブス(Joshua Dobbs)の活躍が必須です。今季彼の平均パスヤードは209ヤードにランヤードが87ヤードとなっていますが、アラバマ大ディフェンスは相手チームに平均271.9ヤードしか許しておらず、ドブスの一層のパフォーマンスが求められます。
アラバマ大ヘッドコーチ、ニック・セイバン(Nick Saban)がに就任して以来、ランク外のSECチームとはホームでの対戦成績がなんと15勝無敗という統計があります。どう考えてもテネシー大にとって不利なゲームなのですが、前述の通りテネシー大にはまだ東地区を勝ち抜ける可能性が残されており、さらにこれがビッグライバリーゲームという事もあってテネシー大が一矢報いることができるか注目されます。