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2021年NFLドラフト終わって・・・【その1】

2021年NFLドラフト終わって・・・【その1】

今年のドラフトも3日間の工程を無事終了。1巡目から7巡目までの指名合戦が幕を閉じまずは一息といったところですが、7巡目が終わって間もなく今度はドラフトに漏れた選手たちのドラフト外フリーエージェント(UDFA)契約の駆け引きが始まっています。

ドラフトされたからと言ってすべての選手たちが実際に最終的な53人ロースター入り出来るまで生き残れるかと言ったらそんな保証は何処にもありません。UDFAで契約にこぎつけた選手にしてみればチームの一員として無事にシーズンを迎えられる確率というのはさらに減るわけです。

それでも子供の頃から夢にまで見たNFLの大舞台に立つべく、ドラフトされた選手もUDFAで僅かな望みを手にしようとしている選手たちもこれからの数ヶ月を過ごしていくわけです。

そんな様々な人達の思いが詰まったドラフトでしたが、今回は今年のドラフトをカレッジフットボールファンの目線で振り返ってみたいと思います。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

第2日目(2巡目〜3巡目)


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金曜日に行われた第2日目には2巡目と3巡目の選手指名が行われました。1巡目に最大級の注目が集まることは言うまでもありませんが、戦力的には2巡目3巡目の選手も長い目で見るとチームに大いに貢献する選手が沢山おり、ここで選ばれた選手たちが1巡目の選手たちを喰うことは十分ありえることです。

1巡目はアラバマ大フロリダ大、ジョージア大などが所属するサウスイースタンカンファレンス(SEC)出身選手が32人中12人と約3分の1を占めるという強さを見せましたが、第2日目を終えた時点でもやはり今ドラフトを席巻したのはSECでした。

第1巡目を終えた時点でSECは12人、次点のBig Tenカンファレンスが7人、そしてアトランティックコーストカンファレンス(ACC)が6人と続いていましたが、3巡目を終えた時点ではSECが28人を送り出して首位を守るも、2番手のBig Tenも20人と食いついてきました。

2020年のドラフトでは第3巡目を終えた時点で2番手のBig Tenカンファレンス(17)にダブルスコアの差をつける40人を輩出したSEC。そしてその中でも2019年度全米覇者のルイジアナ州立大はこの時点で10人がプロチームに選ばれていきました。これは1巡目から3巡目までの結果だけでみると同一大学チームから指名された選手数で過去最高の記録でした。

しかし今年のルイジアナ州立大は3巡目までに選ばれた選手はたったの2人。彼らの苦戦がSECの独走体制を自ら足止めした形になりました。

第3巡目までの大学別選択選手数を見てみると・・・。

第1巡目に6人の指名選手を輩出したアラバマ大でしたが、2巡目と3巡目ではたったの2人の指名と減速。流石に昨年のルイジアナ州立大には敵いませんでした。それだけあのときのルイジアナ州立大のタレントの質が異常に高かったというわけです。

また第1巡目だけと比べると2巡目と3巡目に善戦して指名選手数を底上げした大学もいくつかありました。

 オハイオ州立大(R1=1人→R2&R3=5人)
 ジョージア大(R1=1人→R2&R3=5人)
 ミシガン大(R1=1人→R2&R3=3人)
 ノートルダム大(R1=0人→R2&R3=5人)
 ノースカロライナ大(R1=0人→R2&R3=3人)
 スタンフォード大(R1=0人→R2&R3=3人)
 

3日間の全工程を終えて・・・


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出身大学別ドラフト選手数

第3日目の4巡目から7巡目は怒涛のごとく過ぎ去っていきました。その結果3日間で259人もの選手が夢への切符を手に入れたわけですが、出身大学ごとの指名選手数をちょっと見てみましょう。

No.チームR1R2R3R4R5R6R7
T1アラバマ大620002010
T1オハイオ州立大オハイオ州立大123120110
T3ノートルダム大03212019
T3ジョージア大12301119
T5フロリダ大21013108
T5ミシガン大ミシガン大10302208
7ルイジアナ州立大ルイジアナ州立大11020217
T8セントラルフロリダ大01110216
T8ピッツバーグ大00111216
T8ケンタッキー大11000316
T8ペンシルバニア州立大ペンシルバニア州立大21000036
T12クレムソン大21101005
T12スタンフォード大01211005
T12ノースカロライナ大01210105
T12サザンカリフォルニア大10021105
T12テキサス大01102105
T12ミズーリ大01011205
T12オクラホマ大01120015
T12ブリガムヤング大10100035

トップを飾ったのはアラバマ大オハイオ州立大の各10選手。アラバマ大は第1巡目に歴代最多タイとなる6選手を送り出し素晴らしいスタートを切りましたが、中盤息切れして期待された昨年のルイジアナ州立大と2004年のオハイオ州立大の持つ歴代最多ドラフト選手数(14)を塗り替えるには至りませんでした。

とはいえ1巡目と2巡目の選手は即戦力になり得るという事実を考えると、8人の選手を上位2巡目以内に送り出したアラバマ大の選手層の高さが伺えるというものです。

しかも彼らは13年連続で最低でも1人が第1巡目選手となったチームとなりました。10年以上現在進行形でこの記録を更新し続けているのは彼らのみであり、過去に遡れば1995年から2008年の14年連続で達成させたマイアミ大のみ。この流れを見ればアラバマ大がマイアミ大の記録を抜くのは時間の問題です。

また上位のメンツをみれば結局いつもと変わらぬ強豪校ばかりが揃っていますが、とくにトップ3チームは昨年のカレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出チームであり、アラバマ大とオハイオ州立大は御存知の通りナショナルチャンピオンシップゲームで相まみえたチームです。つまり昨年の決勝戦には実に20人のNFLクラスプレーヤーがフィールドに立っていたということになります。

3番手以下にも毎年リクルーティングレースで上位に顔を並べるチームが揃っています。ここで興味深いのが今年8人をプロに送り込んだミシガン大。

昨年のドラフトでも10人のドラフト選手を輩出しておりタレントレベルは全米でも随一のものを持っているのは明らかですが、その割にフィールド上での結果がいまいち出ていません。2019年は9勝4敗でしたが昨年は2勝4敗と負け越し。にもかかわらずこの2年で18人もの選手がドラフトで名前を呼ばれたわけです。

つまりタレントの質は良いのにそれがタイトル獲りにつながっていないのです。名門ミシガン大再建の切り札として母校に凱旋したジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は6年を終えてまだカンファレンスで無冠。さらには永遠のライバルであるオハイオ州立大にいまだ勝ち星がありません。リクルーターとしての手腕が素晴らしいことはドラフトの結果を見ても明らかですが、そのタレントを上手く活かせていないのではないか?という疑問を抱かずに入られません。

そのハーボー監督と対象的なのがジョージア大カービー・スマート(Kirby Smart)監督。彼もハーボー監督と同じように母校の監督に就き5シーズン目を終えましたが、就任以来ジョージア大のリクルーティングのレベルは爆上がり。SEC優勝もすでに1度経験しCFPタイトルゲームにも進出を果たしています。アグレッシブなリクルーティングでロースターの質を上げ、それをさらにコーチングを通してフィールド上で体現できているというわけです。

また2年前にフロリダ大の監督に就任したダン・マレン(Dan Mullen)監督にしても同じことが言えます。彼は昨年就任2年目にしてSECタイトルゲームに進出を果たし確実に結果を残しています。この影響は今後のリクルーティングにも及ぶことになるでしょうから、彼らは同じSEC東地区所属のジョージア大との激しいバトルを今後展開していくことになるでしょう。

このリストと昨年のものを比べると面白いことに気付かされます。まずは大御所と言われるテキサス大テキサスA&M大フロリダ州立大といったチームの名前が見られないこと。テキサス大は今ドラフトで3人が指名されており、上記のリストにギリギリ乗らなかった程度でしたが、テキサスA&M大は2人、フロリダ州立大に至ってはたったの1人と寂しい結果に終わっています。

さらに昨年のリストを見てみてください。

No.チームR1R2R3R4R5R6R7
1ルイジアナ州立大ルイジアナ州立大523201114
T2オハイオ州立大オハイオ州立大313001210
T2ミシガン大ミシガン大110125010
4アラバマ大43200009
T5ジョージア大21011117
T5クレムソン大21120017
T5フロリダ大11210117
T5ユタ大ユタ大01311107
T9アーバン大21011106
T9ノートルダム大02111106
T11ペンシルバニア州立大ペンシルバニア州立大02010205
T15テンプル大00101114
T15ウィスコンシン大01111004

昨年ドラフトで大暴れし14人もの選手をNFLに送り出したルイジアナ州立大は今年はその半分の7人に。また昨年顔を連ねたユタ大は今年誰もドラフトで指名されませんでした。

つまり毎年コンスタントにプロ級のタレントを世に送り出すことがいかに難しいかということと、逆に言えば同じように毎年コンスタントにプロ級の選手を送り出すことに成功しているアラバマ大、オハイオ州立などの凄さが際立つということが言えると思います。

カンファレンス別ドラフト選手数(FBS)

サウスイースタンカンファレンス(SEC)65
Big Tenカンファレンス43
アトランティックコーストカンファレンス42
Pac-12カンファレンス29
Big 12カンファレンス22
アメリカンアスレティックカンファレンス(AAC)19
独立校/無所属14
ミッドアメリカンカンファレンス(MAC)4
カンファレンスUSA4
サンベルトカンファレンス3
マウンテンウエストカンファレンス(MWC)3

まあここまで読んでいただければこの数字を見ても驚かれないとは思いますが、SECがここでもトップとなりました。2018年に自身が記録した最多レコード(64)を更新する65人をNFLに輩出。そして2番手のBig Tenカンファレンスに22人もの差をつけて首位の座に。これで実に15年連続SECがドラフト指名選手を出した最多カンファレンスとなったのです。

また42人で惜しくも1人差でBig Tenに2位の座を譲ったACCの快進撃も非常に目立ちます。昨年が27人だったことを考えると今年一気に15人を上乗せした形になりますが、この変化の大きな要因は昨年度に限ってノートルダム大がACCに参戦したという事実です。ノートルダム大は来季から再び独立校に戻っていきますが、この結果を見ればACCとしてはぜひとも正規のメンバーとしてノートルダム大を囲いたいところでしょうね。

しかしACCはノートルダム大だけのおかげでここまで躍進したわけではありません。ノースカロライナ大マイアミ大バージニア工科大らは昨年と比べるとドラフトされた選手の数を増やしてきているのです。かつてACCは男子バスケだけが強いカンファレンスという印象が強かったですが、近年はクレムソン大の台頭もありフットボールカンファレンスとしての強さも定着してきました。

一方でBig 12カンファレンスの苦戦も目立ちます。昨年は合計32人のBig 12出身選手がプロチームに指名されていきましたが今年はたったの22人。オクラホマ大からは5人が選ばれましたが第1巡目はゼロ。テキサス大(5人)も同じく最初のドラフト選手は2巡目まで待たなければなりませんでしたし、オクラホマ州立大(4人)、テキサスクリスチャン大(2人)、ベイラー大(1人)とまばら。ちょっとさみしい現状です。

また、FBS(フットボールボウルサブディビジョン、旧NCAA一部A)の中でも上位カンファレンス群とされる「パワー5」(ACC、Big 12、Big Ten、Pac-12、SEC)とそれ以外の「グループオブ5」(AAC、C-USA、MAC、MWC、Sun Belt)の差も著しいです。「パワー5」の合計が201人に対して「グループオブ5」の合計が47人と圧倒的。同じFBS所属でもこの2つのグループの差は比較にもなりません。それだけタレントのレベルが偏っているということです。

名門じゃなくても!


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ただそんな中FBSの下部組織とされるFCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン、旧NCAA1部AA)からは6人、さらにNCAA1部よりも下の2部から1人、3部から3人の選手が見事ドラフトを経てプロ入りを果たすことが出来ました。

その最たる人物が1巡目総合3番目にサンフランシスコ49ersから指名されたQBトレイ・ランス(Trey Lance)です。昨年所属チームであるノースダコタ州立大は新型コロナの影響で秋シーズンが当初キャンセルとなりましたが、ランスがNFLのスカウトやGM陣にアピールできるようにと彼だけのために1試合だけ開催したという経緯があります。

サンフランシスコはドラフト前からアラバマ大のマック・ジョーンズ(Mac Jones)を指名するとばかり思われていたのでランスの指名は大変な驚きをもって迎えられました。サンプルサイズは小さくてもその秘めたる才能にカイル・シャナハン(Kyle Shanahan)監督は賭けたというわけです。

ちなみにノースダコタ州立大は2016年のドラフトで総合2番目にフィラデルフィアイーグルスに指名されたカーソン・ウェンツ(Carson Wentz)の出身校でもあります。最近は調子を落として今オフにインディアナポリスコルツへ移籍しましたが、ウェンツと同じ大学出身であるランスにもプロでどれだけやれるのかという大きな期待がかかりそうです。

しかし腕さえあれば所属するカンファレンスの強さなど関係ないところも「アメリカンドリーム」を地で行くようで嬉しいですし、下部リーグから参戦する選手には肩入れしてしまいますよね。

実際のところFBS出身でなくてもNFLで大成する選手は少なくありません。例えば・・・

フィル・シムス(Phil Simms):モアヘッド州立大
→ 1979年ドラフト第1巡7番目

カート・ワーナー(Kurt Warner):ノーザンアイオワ大
→ 1994年ドラフト外フリーエージェント

スティーヴ・マクネアー(Steve McNair):アルコーン州立大
→ 1995年ドラフト第1巡3番目

リッチ・ガノン(Rich Gannon):デラウェア大
→ 1987年ドラフト第4巡98番目

トニー・ロモ(Tony Romo):イースタンイリノイ大
→ 2003年ドラフト外フリーエージェント

ロドニー・ハリソン(Rodney Harrison):ウエスタンイリノイ大
→ 1994年ドラフト第5巡145番目

ジェリー・ライス(Jerry Rice):ミシシッピバレー州立大
→ 1985年第1巡16番目

テレル・オーウェンズ(Terrell Owens):テネシー大チャタヌーガ校
→ 1996年第3巡89番目

シャノン・シャープ(Shannon Sharpe)サヴァンナ州立大
→ 1990年ドラフト第7巡192番目

マイケル・ストレイハン(Michael Strahan)テキサスサザン大
→ 1993年第2巡40番目

とこのようにマイナー(失礼!)な大学出身でもやってやれないことはないわけです。ですからランスにしろその他のFBS以外のカンファレンス出身選手たちにはぜひとも周囲をギャフンと言わす活躍をしていただきたいものです。

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