いよいよ今週末はレギュラーシーズンの通常ゲームの最終戦。この週末はカンファレンスタイトルレースの行方を占うゲームだけでなく、カレッジフットボールプレーオフ(CFP)進出への望みを繋ぐチームにとっても重要なゲームが控えています。さらにいえばこの最終戦には多くのライバル同士の対決が組まれており、全米各地で木曜日からすでに熱戦が繰り広げられています。そんな超見どころ満載の第13週目を見ていきたいと思います。
目次
CFP Implication
ミシガン大(4位)@ オハイオ州立大(10位)
ここまで両チームとも10勝1敗と好成績を残してシーズンを過ごしてきましたが、Big Ten東地区の雌雄はこの直接対決にすべてがかかっています。カレッジフットボール界に存在する数多のライバリーの中でも1、2を争うほど有名なこのミシガン大対オハイオ州立大のマッチアップ。カンファレンスタイトルだけでなくプレーオフ進出に関しても大きな意味を持つこの試合、絶対に見逃せません。
ミシガン大のジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は就任した4年前以来ミシガン大を全米の檜舞台へと復活させるために、アグレッシブなリクルーティングや挑発とも取れる口撃を繰り返してミシガン大の存在感をアピールしてきました。しかしこれまでは結果がイマイチ付いてこず、大した成績も残せないまま今季4シーズン目を迎えました。が、今年はハーボー監督は彼自身の存在感を消しチーム育成に専念。その結果初戦のノートルダム大戦を落としたもののそこから破竹の10連勝。全米ランキングでも4位ということで、今のところプレーオフ進出範囲内に存在します。
しかし何と言ってもハーボー監督はミシガン大監督就任以来ライバル・オハイオ州立大戦で3連敗中。ミシガン大の監督であるからにはタイトルの数よりもどれだけ宿敵を倒したかによってコーチとしての評価が変わってくるとも言われる大事な試合。これまで苦汁を舐めさせられてきたハーボー監督ですが、今年はいよいよその負のサイクルを断ち切ることができるかもしれません。ラスベガスのオッズでは2011年以来となるミシガン大有利という分析が出ているほどです。
対するオハイオ州立大は開幕前からのスキャンダル、そしてアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督復帰以降、いつもの彼らの強さがいまいち表に出ていないような気がします。特にパデュー大に大敗して以降、ネブラスカ大に苦戦、そして先週のメリーランド大戦ではオーバータイムにまでもつれ込み、相手の2ポイントコンバージョン失敗によって辛くも勝利を手に入れたという、綱渡りの展開を強いられてきました。
が、そんな有無を言わさぬ強さを持たないオハイオ州立大もミシガン大を倒せばカンファレンス優勝決定戦でノースウェスタン大と対決できるところまで来ています。普通に考えればミシガン大さえ退けることが出来ればBig Tenチャンプになれる可能性は非常に高くなります。
彼らの弱点はディフェンス陣。スコアリングディフェンスで全米52位、パスディフェンスは78位、ランディフェンスは63位と決してチャンピオンの数字ではありません。しかしそれを補っているのがQBドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)の働き。トータル3685パスヤードを誇るハスキンズのお陰でスコアリングオフェンスは8位、そして1試合平均得点数は約41点と高得点を叩き出して、ディフェンスの穴を埋めているのです。
そのオフェンスに対峙するミシガン大のディフェンスは強力です。彼らは初戦での敗戦以来21点以上の失点を犯したことがありません。彼らのディフェンス力こそが今季のミシガン大の快進撃の原動力なのです。全米1位のパスディフェンスを誇る守備陣はハスキンズ率いるオハイオ州立大攻撃陣の最大の壁となることでしょう。しかしそれはミシガン大ディフェンス陣にも言えることで、彼らはこれまでハスキンズ級のQBと対峙してきていません。
ミシガン大オフェンスはRBカラン・ヒグドン(Karan Higdon)という秀逸選手がいるもの特筆すべきものでも無いことを考えると、やはりキーはオハイオ州立大オフェンスvsミシガン大ディフェンスという構図になると思います。
勝ったほうが東地区チャンプとして来週西地区チャンプのノースウェスタン大とタイトルを争うことになります。カンファレンスタイトルだけでなくその先のCFP出場をかけてこれまでに無い激戦が期待できそうです。
オクラホマ大(6位)@ ウエストバージニア大(13位)(金曜日)
オクラホマ大はQBカイラー・マレー(Kyler Murray)、ウエストバージニア大はQBウィル・グリアー(Will Grier)という二人のハイズマントロフィー候補選手同士が激突するこの試合。
ウエストバージニア大は先週まさかの敗戦をオクラホマ州立大から喰らい、CFPレースから事実上脱落。一方のオクラホマ大はテキサス大との直接対決に破れているため、彼らが優勝決定戦に出場するためにはウエストバージニア大を破らなければなりません。しかも彼らの場合はウエストバージニア大と違って未だにCFP出場の可能性を残していますから、絶対にこの試合で負けられないのです。
マレー、グリアー両選手とも今季を代表するQBであり、チームとしてもディフェンスを無視したハイスコアチームとして知られています。となればどちらのチームが相手よりも得点できるかにかかっています。そしてそれは直接マレーとグリアーの出来次第と考えてもいいでしょう。マレーはここまで安定したプレーを見せ、シーズンが進む度にどんどん切れ味を良くしています。グリアーは敗戦したアイオワ州立大でコケたものの、その後は輝きを取り戻してチームの大黒柱的存在になっています。どちらが相手を出し抜いて乱打戦を制することが出来るか・・・。
ライバリーウィーク
ワシントン大(16位)@ ワシントン州立大(8位)(金曜日)
全米8位のワシントン州立大は金曜日のナイトゲームでライバル・ワシントン大をホームに迎えます。ワシントン大はこの「アップルカップ」において5連勝中ですが、今年ばかりは絶好調のワシントン州立大が有利だとされています。
現在10勝1敗のワシントン州立大がこの試合に勝つとチーム史上初の11勝目を挙げることになります。しかも先週アリゾナ大に69対28と大勝して10勝目を飾りましたが、これも2003年以来の快挙。今年のワシントン州立大がいかに特別であるかがお分かりいただけると思います。1試合平均約40得点は現在全米11位の数字。これを引っ張るのがハイズマントロフィー候補QBガードナー・ミンシュ―(Gardner Minshew)。彼はここまで全米トップとなる4325パスヤードという数字を残し、奪ったTD数36に対して犯したINT数が7と非常に優秀なQBです。
ディフェンス陣は良くもなく悪くもなく、と言った感じですが、今回対峙することになるRBマイルズ・ガスキン(Myles Gaskin)およびQBジェイク・ブラウニング(Jake Browning)らワシントン大オフェンスは相手にとって不足はない、といった感じです。少なくとも全米11位のQBサック数を誇るディフェンスはワシントン州立大にとって好材料です。
ワシントン大は今年開幕前からの期待を多少裏切る感じになりましたが、この試合に勝てばPac-12カンファレンス優勝決定戦に出場できるという望みを持っています。彼らの強みはディフェンス陣。全米10位となる平均失点数16.6を誇る守備陣は侮れません。またランディフェンスも1試合平均約125ヤードということで、ワシントン州立大のオフェンスを一元化したいところ・・・ですが、そうなればミンシュー、並びにマイク・リーチ(Mike Leach)監督の超パス重視オフェンスをどれだけ止められるかにすべてがかかってきます。
アーバン大 @ アラバマ大(1位)
毎年恒例の「アイロンボウル」ですが、今年は昨年と違いアーバン大はランクされていません。アラバマ大は来週SEC優勝決定戦でジョージア大と対決することがすでに決まっており、また当然5年連続CFP出場がかかっているとう状況ですが、だからといってこのアーバン大とのライバリーを軽視することは出来ません。何と言っても彼らは昨年当時全米1位ながらこのアーバン大戦を落とし、SECタイトルゲーム出場を逃したのですから。
が、アーバン大にとって昨年の再現をすることはそう容易いことではありません。この試合がアラバマ大のホームゲームであり、敵地でアーバン大がアラバマ大を倒したのは2010年を最後に皆無であるからです。しかしもちろんそれだけでなく、昨年のチームと違いアラバマ大にはハイズマントロフィー候補QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)の存在があるからです。
タガヴァイロアは後半怪我を負って足を引きずる場面が見られましたが、今のところこの試合に向けて準備は万全のようです。また先発RBで先週のシタデル戦で脳震とうを負ったダミアン・ハリス(Damien Harris)もどうやらこのアーバン大戦に出場できる模様。またオフェンス同様にディフェンスもここまで失点数で全米3位(13.1点)と強力。
昨年の唯一の敗戦ゲームとなったアーバン大との試合のせいで危うくプレーオフ進出を逃すところでしたが、結局ナショナルチャンプになったアラバマ大。しかしその敗戦を忘れるような連中ではないはずで、それもまたアラバマ大のモチベーションに繋がることでしょう。そんな今のアラバマ大にアーバン大が敵うとは正直考えられません。
サウスカロライナ大 @ クレムソン大(2位)
レギュラーシーズン最終戦を迎えるにあたり、クレムソン大はまさにベストな立ち位置にいると言えます。ここ2年間と違ってシーズン中に足元を救われることなく無傷の11連勝で現在全米2位。来週にはACCタイトルゲームでピッツバーグ大との試合が決まっており、プレーオフ進出までまっしぐらだからです。しかし今週末の週内ライバル・サウスカロライナ大を見くびることはできません。
サウスカロライナ大はここ最近3試合で1試合平均42.7得点を挙げており、波に乗っているチーム。最近4年間で4連敗中の彼らはなんとしてもナショナルタイトル獲りを目指すライバルをギャフンと言わせたいところでしょう。が、対するクレムソン大ディフェンスは全米でも屈指の力を持つユニット。失点数で全米1位(12.1点)という数字にも表れている通り、相手オフェンスに仕事をさせないことで有名な鉄壁集団なのです。
両チームの地力からすればクレムソン大の圧勝となるでしょうが、ACCの力不足が囁かれる中SECチームのサウスカロライナ大をコテンパンにやっつければ、たとえ「ストレングス・オブ・スケジュール」で他の上位校に及ばなくても、CFP選考委員会へは良いアピールが出来るのではないでしょうか。
ノートルダム大(3位)@ サザンカリフォルニア大
アラバマ大、クレムソン大らと同じく今季無敗を守っているノートルダム大。独立校である彼らはこのサザンカリフォルニア大が今季レギュラースケジュール最終戦となりますが、この試合に勝てば十中八九プレーオフ進出は間違いないと言われています。
このインターステートライバリーゲームに勝利できれば、ノートルダム大は1988年以来の12勝目を挙げることとなります。奇しくもこの年はノートルダム大が最後に全米制覇を成し遂げた年。何かの因果を感じてしまいます。今年のノートルダム大はQBイアン・ブック(Ian Book)にRBデクスター・ウィリアムス(Dexter Williams)率いるオフェンスと、非常に手堅いディフェンスを持つ大変バランスの取れたチーム。ノートルダム大というネームバリューだけでここまで挙がってきたなんていう声も聞かれましたが、これまでの戦いぶりを総合すれば彼らがトップ4に入っていることは当然だと思います。
対するサザンカリフォルニア大は過去5試合中4試合を落とし現在2連敗中。ノートルダム大戦で敗れると5勝7敗となりボウルゲーム出場権を失います。これは2000年以来最悪の結果となってしまいます。今年のUSCにはとにかくオーラが感じられず、得点数で全米83位、ランヤードで全米102位、また失点数でも69位とそれは数字にも現れています。
いかにライバリーゲームで何が起こるかわからないと言っても、ノートルダム大が今年のUSCに敗れるとは考えづらいです。仮にもしそれが起こってしまったとしたら、所詮ノートルダム大はそこまでのチームだったのだ、ということになるでしょう。
フロリダ大(11位)@ フロリダ州立大
現在5勝6敗のフロリダ州立大がこのフロリダ大とのライバルゲームを落とすと、36年連続ボウルゲーム出場記録が途切れてしまうという大汚点になってしまいます。今年初年度となるウィリー・タガート(Willie Taggart)監督としてはそんな不名誉なことが自分が指揮したチームによって達成されてしまうことは何とか阻止したいところでしょう。
その他のライバリーゲーム
(括弧内は来バリーゲームの別称、もしくは勝利チームに授与されるトロフィーやカップの名前)
- バージニア大@バージニア工科大「コモンウェルスカップ」
- ジョージア工科大@ジョージア大(5位)「クリーンオールドファッションドヘイト」
- ノースカロライナ州立大@ノースカロライナ大
- ウェイクフォレスト大@デューク大
- ケンタッキー大(15位)@ルイビル大ー「ガヴァナーズカップ」
- ベイラー大@テキサス工科大
- カンザス州立大@アイオワ州立大
- ネブラスカ大@アイオワ大「ヒーローズトロフィー」
- パデュー大@インディアナ大「オールドオーケンバケット」
- イリノイ大@ノースウェスタン大「ランドオブリンカーントロフィー」
- ミネソタ大@ウィスコンシン大「ポールブンヤンズアックス」
- オレゴン大@オレゴン州立大「シビルウォー」
- アリゾナ州立大@アリゾナ大「テリトリアルカップ」
- ブリガムヤング大@ユタ大(17位)「ホーリーウォー」
- ミシシッピ州立大(18位)@ミシシッピ大「エッグボウル」
- テネシー大@ヴァンダービルト大
- ルイジアナ州立大(7位)@テキサスA&M大(22位)
- ジョージアサザン大@ジョージア州立大「モダンデイヘイト」
- ルイジアナ大(ラフィエット校)@ルイジアナ大モンロー校「バトルオブバイユー」