Coaching Carousel 2017 – フロリダ州立大の場合

Coaching Carousel 2017 – フロリダ州立大の場合

今季フロリダ州立大は開幕前に全米3位にランクされるなど期待の膨らむシーズンを迎えるはずでしたが、開幕戦でのアラバマ大との試合でエースQBデオンドレ・フランソワ(Deondre Francois)が膝に大怪我を負ってシーズンを棒に振るとそこから真っ逆さま。一時は3勝6敗でボウルゲーム出場を逃す危機を迎えましたが、なんとか最後の3試合で勝利を納め6勝6敗でボウルゲーム出場権を確保。インディペンデンスボウルに招待されサザンミシシッピ大と対戦することになりました。しかしこの最後の3試合の最終戦であるフロリダ大戦は監督不在で望まなければなりませんでした。というのもその週にHCであるジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督が辞任しテキサスA&M大へと去っていったからです。

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ベースボール・マガジン社 (編集)

2000年から2006年までルイジアナ州立大にてニック・セイバン(Nick Saban)監督の右腕としてオフェンシブコーディネーターを務めていたフィッシャー氏はセイバン監督がアラバマ大監督に就任した際に彼のOC着任を打診されましたがこれを断ってフロリダ州立大のOCに。そして当時まだフロリダ州立大のHCであったボビー・バウデン(Bobby Bowden)監督から直々彼の後継に任命され、2009年シーズン後にバウデン氏が引退するとその約束通りにフィッシャー氏は名門フロリダ州立大の監督に就任します。

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ジンボ・フィシャー監督

2013年度には念願のナショナルタイトルを獲得しその名を不動のものにしたフィッシャー監督。その前後となる2012年と2014年にはACCタイトルも手に入れかつての強いフロリダ州立大が復活したかに思われました。しかし2015年以来同じ地区内のクレムソン大にその覇権を奪われるとリーグタイトルからは遠のき、前述の通り今年もかなりの期待をされながらそれに応えられない不甲斐ないシーズンを送ってしまったのでした。

またその力量から他の大御所チームで監督に空きができると事あるごとにフィッシャー監督の名前が上がって彼が引き抜かれるのではないかという報道が起きましたが、フィッシャー監督は8シーズンフロリダ州立大の指揮官として存在し続けました。ただ、フィッシャー監督と大学側の関係はそこまでうまくいっていなかったようで、チームが常にナショナルタイトルを狙えるような環境が大学側には揃っておらず、大学側のビジョンもフィッシャー監督に適うものではないとして時折フィッシャー監督自身がその不満を口にすることもありました。また一方で公立大学ながらフィッシャー監督に500万ドル(約5億円、2015年次のサラリー)の年収を支払っている大学側からしてみれば、「これ以上何がのぞみだ?!」と思っているとかいないとか・・・。

そんな感じでフィッシャー監督がフロリダ州立大を出て行く布石はありましたが、一方でフロリダ州立大という名門である程度の安寧を得てきたフィッシャー監督が本当にチームを去って新天地を求めるのか?という疑問もあるにはありました。普通なら解雇されない限り引退までい続けても到底おかしくないような名門チームだからです。

しかしテキサスA&M大に空きができると彼らがフィシャー監督を次期監督に推してくるという報道が一気に膨れ上がり、フロリダ州立大側もフィッシャー監督に残留するかどうか決断を求めるまでに至りました。そして結果としてフィッシャー監督は最終戦を待たずしてチームの監督職を辞する決断を下したのです。

正監督不在で乗り切ったライバル・フロリダ大との試合後、彼らは早急に新監督を探し出さなければなりませんでした。そして名前が挙がったのが昨年までサウスフロリダ大の監督を務め今季から遠く離れたオレゴン大で指揮をとっているウィリー・タガート(Willie Taggart)監督。サウスフロリダ大を4年間で二桁勝利できるチームにまで育て上げたタガート監督はそのフロリダ州でのリクルート術を買われて西海岸からたったの1年で地元に戻ってくることになりました。

【関連記事】オレゴン大がサウスフロリダ大のタガート氏を招聘

2016年の12月にサウスフロリダ大の監督からオレゴン大に移ったタガート監督は今年12月にフロリダ州立大監督に就任(ボウルゲームは指揮しない予定)ですので実質的に丸1年間で3チームのヘッドコーチを務めたことになり、更に言えば2012年にウエスタンケンタッキー大からサウスフロリダ大に移籍したことを含めると5年間で4チームを渡り歩いてきたことになります。数字として並べると決して胸を張れる事実ではありませんし、どちらかと言えば「一つのチームに留まっていられない人物」というレッテルを貼られてもおかしくはありませんが、幼少の頃からフロリダ州立大のファンとして育ったと公言しているタガート氏が今後数年のうちに再び鞍替えするとは考えらません。オレゴン大を1年で去ったこともタイミングは最悪でしたが、ドリームジョブの機会を与えられたとすればこれを断る理由は何もありません。

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ウィリー・タガート監督

フロリダ州はリクルートの宝庫です。そしてそのフロリダ州で絶大なるネットワークをもつタガート監督はすでにオレゴン大でもリクルーティングで成功を納めていたことを考えれば、フロリダ州立大をタレントで溢れさすことは難しいことではなさそうです。それをいかに実戦で活用し結果を残せるかが注目されます。特に同じ地区に居座るクレムソン大は3シーズン連続ACCタイトルを獲得してプレーオフ連続出場を果たしているチーム。彼らを超えなければナショナルタイトルは見えてこないでしょう。

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