シュガーボウルレビュー

アラバマ大 24、クレムソン大 6

ローズボウルがとんでもなく素晴らしいゲームになったそのあと(実際にはローズボウルがオーバータイムに突入したので多少被りましたが)、プレーオフ準決勝戦第2戦目のシュガーボウルアラバマ大(全米4位)とクレムソン大(同1位)の間で行われました。これで両チームは3年連続プレーオフで相見えることになったことでこの試合は「トリロジー」とも呼ばれましたが、今年は決勝戦ではなく準決勝戦での対戦となりました。

【関連記事】シュガーボウルプレビュー

ローズボウルを観戦した後にチャンネルを変えたせいもあり、この試合にローズボウルほどのエキサイトさを感じることはできませんでしたが、少なくともわかったこと・・・それはカンファレンスチャンピオンでないのにも関わらずプレーオフ進出を果たしたことで批判の声が向けられたアラバマ大が上位4チームの一角に選ばれたことは間違いではなかったということです。

【関連記事】アラバマ大かオハイオ州立大か?

クレムソン大先攻で始まったこの試合、最初の3ドライブは両チームが1stダウンを一度も奪えずにパントを打ち合うというスローな展開。4度目のドライブ、アラバ大の2回目の攻撃ではようやくボールが敵陣内へ動き出しましたが、クレムソン大陣内3ヤードまで進撃するもイリーガルフォーメーションの反則とタックルフォーロスによってTDを奪えずアラバマ大が先制点となるFGの3点に甘んじます。

一方のクレムソン大はパスもランも確立できずに3度目の攻撃でもあっという間にパントを余儀なくされます。そしてアラバマ大はクレムソン大46ヤード地点からという絶好のフィールドポジションのチャンスをものにし、第1Q終了寸前にQBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)からWRカルヴィン・リドリー(Calvin Ridley)へのパスTDが決まりスコアを10対0とします。

返しのクレムソン大の攻撃ではようやくそれなりのドライブを演出することができ、約5分間で13プレーを繰り広げて相手陣内27ヤードまで攻め込みますが、エンドゾーンまでは遠くFGに落ち着いて前半終盤でようやくスコアボードに点数を刻み込みました。

後半戦最初のアラバマ大のプレーではリードオプションを試みたハーツがRBダミエン・ハリス(Damien Hurris)とのボールのハンドオフをし損ねてファンブル。それをすかさずリカバーしたクレムソン大が後半開始早々流れを変えるいいチャンスをゲット。しかし進撃はおろか3プレーでマイナス5ヤードとこの絶好の機会を活かせず再びFGでスコアは10対6に。この時点ですでに過去2度の対戦時とは全く異なる試合展開となっていましたが、それもこれも「あの男」の存在の有無を感じずには入られませんでした。

昨年の全米制覇の立役者、デショーン・ワトソンも観戦

アラバマ大がパントを強いられる中、クレムソン大は再び攻撃のチャンスを得ますが、QBケリー・ブライアント(Kelly Bryant)がパスのモーションに入ったところでLBアンフェニー・ジェニングス(Anfernee Jennings)がブライアントにタックル。ブライアントの手からボールが宙を舞いますがそれをDLダロン・ペイン(Da’Ron Payne)がインターセプト。その巨体を大きく揺らしながら21ヤードをリターンしてアラバマ大得意のディフェンシブターンオーバーをゲット。

そしてそれを起点としてクレムソン大を急襲したアラバマ大は相手陣内1ヤードラインで明らかなインサイドランフォーメーションを組み、そのブロッカーとして前出のペインを配置します。しかしスナップを受けたQBハーツはRBハリスにハンドオフせず、右エンドゾーンへ走り抜けた巨漢のペインへパスを放り、そのサイズに似合わない足さばきとキャッチ能力で見事にTDパスを捕球成功。スタジアム内のボルテージは最高潮に達します。

さらにその直後のクレムソン大の攻撃ではQBブライアントのWRディオン・ケイン(Deon Cain)へのパスをDBリーヴァイ・ワレス(Levi Wallace)が阻止し、弾かれたボールをDBマック・ウィルソン(Mack Wilson)がキャッチしてそのままリターンTD!1分前には10対6だったスコアが一気に24対6となり、これが試合を決定付けました。

結局クレムソン大はこの日1つもTDを奪えず、全米1位という肩書きを持ちながら撃沈。アラバマ大が昨年の決勝戦でのリベンジを果たし、3年連続ナショナルタイトルゲーム進出を決めました。

アラバマ大はシーズン後半に多くのディフェンダー、特にLB陣を怪我で失い、それが原因でミシシッピ州立大では大苦戦し、アーバン大ではライバルに敗北してしまいました。しかしこの試合ではそのディフェンス陣が通常のアラバマ大の鉄壁ぶりをいかん無く発揮。QBブライアントにプレッシャーを終始かけ続けました。オフェンスではパスが120ヤードと相変わらずですが、それでも得意のラン攻撃で攻撃を維持して相手ディフェンスを削る作戦が功を奏し、前述のディフェンスと合わせてクレムソン大に仕事をさせませんでした。

クレムソン大は2015年度2016年度の対戦時にはアラバマ大から500ヤード以上を奪うパワーオフェンスを披露しましたが、この日のトータルヤードはたったの188ヤード。レギュラーシーズン終了時から4週間あったアラバマ大に攻略されたという見方もできますが、過去2年間チームを率いて個人技だけで窮地を乗り越えることができたデショーン・ワトソン(Deshaun Watson、現ヒューストンテキサンズQB)が居ると居ないでは雲泥の差であると強く感じました。ブライアントはサイズ的にも身体的にもワトソンに非常に似通って居ますが、とどのつまりブライアントはワトソンではなかった、ということです。

また過去2年間でアラバマ大を苦しめた「小さな巨人」WRハンター・レンフロー(Hunter Renfrow)ですが、過去アラバマ大相手に4TDに180ヤード以上を記録してきましたが、この試合では試合を通してアラバマ大ディフェンスからチェックを受け続け、ようやく彼の名前がテレビで聞かれるようになった頃には時すでに遅し、という状態でした。それもこれも彼の特徴を活かすことができるショートヤードの状況をアラバマ大ディフェンスが作らなかったからに他ありません。

この結果アラバマ大は2年ぶりの王座奪還をかけて同じサウスースタンカンファレンス出身のジョージア大と対戦することになりました。力と力のぶつかり合いとなること請け合いのこの対決。今から楽しみで仕方ありませんね。

この記事が気に入ったら拡散&フォローお願いします!
ツイート
この記事が気に入ったら拡散&フォローお願いします!
ツイート
このエントリーをはてなブックマークに追加
このエントリーをはてなブックマークに追加