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Trophy Goes To…

カレッジフットボール界で最も栄誉ある賞と言われるハイズマントロフィー。狙ったからと言って決して手に入れることができるような代物ではないこのトロフィーですが、手にすればその受賞者の名前は永劫カレッジフットボール界に刻まれることになる、スペシャル中のスペシャルなアワードです。

毎年そのシーズンの最高選手に贈られるこのトロフィー。今年はオクラホマ大カイラー・マレー(Kyler Murray)、アラバマ大トゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)、オハイオ州立大ドゥウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)の3人がファイナリストとして授賞式が行われるニューヨークに招待されました。そして今晩栄えある84代目のトロフィーウィナーが発表されました。そのトロフィーを手にしたのは・・・

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ベースボール・マガジン社 (編集)

オクラホマ大のカイラー・マレーでした。

開票前はマレーとタガヴァイロアの一騎打ちで、世紀の僅差のレースだとされていましたが、投票結果を見るとマレーが517票の1位票を奪った一方、タガヴァイロアの1位票は299票とマレーが圧倒的にトップ票を集めました。また6つ設けられた地域(ノースイースト、ミッドアトランティック、サウス、サウスウエスト、ミッドウエスト、ファーウエスト)ごとの投票結果でもアラバマ大が所在するサウス地区でタガヴァイロアが1位となった以外では他のすべての地区でマレーが首位を獲得。結局のところマレーがタガヴァイロアら他の候補者たちを突き放して圧勝した形になりました。

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受賞前のファイナリスト3人。中央のマレーの背の低さが目立ちますね。

マレーがハイズマントロフィーを受賞したことで昨年のベイカー・メイフィールド(Baker Mayfield、現クリーブランドブラウンズ)に続き2年連続でオクラホマ大のQBがハイズマントロフィーを受賞したことになります。オクラホマ大出身選手の受賞者数はこれで7人目。しかも過去15年間だけで見れば2003年のジェイソン・ホワイト(Jason White)、2008年のサム・ブラッドフォード(Sam Bradford)、昨年のメイフィールド、そして今年のマレーと4人ものオクラホマ大QBがこの賞を手に入れました。オクラホマ大がこれだけ優秀なQBを頻繁に輩出するという事実が際立ちます。

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カイラー・マレー
 

2位となったタガヴァイロアですが、2位の選手としてはこれまでのハイズマントロフィーレースで最高ポイントを獲得したそうで、これはそれだけタガヴァイロアとマレーの一騎打ちの展開が繰り広げられていたことの証だと思います。

開幕以来タガヴァイロアがハイズマントロフィー最有力候補と謳われ、このトロフィーはタガヴァイロアが自滅しない限りほぼ彼のものになるという確信にも似た分析でシーズンは進んでいきました。マレーのパフォーマンスも同じようにトロフィーを獲得するに足るものでありましたが、二人が同じように自らの力を発揮し続ければおそらくタガヴァイロアが順当にトロフィーを持ち帰っていたことでしょう。

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トゥア・タガヴァイロア
 

しかしSEC優勝決定戦という最後の最後で今季最悪のパフォーマンスを披露してしまったことで全てが終わってしまいました。マレーはシーズン中に1度は敗れたテキサス大戦でも個人的には素晴らしい数字を残した事を考えるとタガヴァイロアのジョージア大での失態は致命傷でした。終盤にかけてハイズマントロフィーレースで急激に追い上げてきたマレーを抑えるにはタガヴァイロアはSEC優勝決定戦でのジョージア大戦でいつもどおりのプレーをしさえすればよかった。しかし肝心要の試合でボロが出てしまったのです。それが今回の結果に繋がったのでしょう。まさに前述の通りタガヴァイロアの自滅がマレーの受賞に繋がったと言えます。

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ただもちろんマレーが受賞者にふさわしくないということは100%ありません。彼が今季個人的に、そしてチームのためにこなしてきたことは他の誰にも真似できるものではありません。見るものを楽しませてくれる、ダイナミックなマレーのプレーに魅了された人はたくさんいたことでしょう。

マレーは今のところ今季以降プロ野球入りする事になっていますが、ここまでフットボール界で活躍すればNFLチームも黙って見ているとは思えません。ボ・ジャクソン(Bo Jackson、元アーバン大)氏、ディオン・サンダース(Dion Sanders、元フロリダ州立大)氏のようにプロ野球とNFLで二足のわらじを履いた選手も過去にはいましたし、昔と今のプロスポーツの体系は変わったと言ってもマレー程の才能を持つ選手なら是非トライさせてあげたいです。それは二刀流がアメリカでは通用しないのではないかと言われながら立派に結果を出した(怪我はしてしまいましたが)大谷翔平選手(ロサンゼルスエンジェルス)を応援したくなるような心境に似ています。

マレーの受賞後のスピーチは非常に好感が持てるものでした。明らかにエモーショナルな彼はまず元オクラホマ大監督でテキサスA&M大から転校してきたマレーを受け入れたボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏への感謝、そして現監督のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督への感謝。この時のマレーは感極まって言葉を失っていましたから、彼とライリー監督の絆は非常に強いものだったのでしょう。そして彼を守り続けたOL陣、そして彼のパスを受け取ったWR及びRB陣、さらに練習中に彼の相手をしたスカウトチームの面々にも感謝の気持ちを述べていました。その他にも栄養士チーム、ストレングスチーム、アスレチックストレーニングチームへの感謝が続き、最後は家族への謝意。フットボールを教えてくれた父親、親友のように仲の良い母親、そして親戚のおじさんたちまで謝辞は続きました。

これでいよいよ今シーズンはボウルゲームへと注目が移っていきますが、今回の授賞式を経て言えることは、プレーオフ準決戦の1つであるオレンジボウルがこれで格段面白くなってきたということです。なぜならこの試合はアラバマ大対オクラホマ大の対決、つまりマレーとタガヴァイロアの直接対決という図式になるからです。マレーの唯一の不安点はこれまで対戦してきた相手ディフェンスがザルだったと言われていたことで、彼にとってはアラバマ大を相手にすることで、どんなチームからも点を取れるというところを見せつけることが出来るチャンスになります。またタガヴァイロアとしては当然トロフィーを獲得できなかった悔しさをこの試合にぶつけてくることでしょう。

そしてもう一つ言えることは、来年のトロフィーレースの最有力候補はやはりタガヴァイロアになるだろうということです。今のところ彼の対抗馬となりそうなのはクレムソン大QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)当たりが頭に浮かびますが、タガヴァイロアが更に進化し、怪我を負うことなくシーズンを全うし、さらに彼のバックアップであるジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)に遠慮することなくすべての試合で4クォータープレーし続ければ(ハーツが今シーズン後転校するという仮定の話で)、来年こそ彼がトロフィーを手にすることが出来るかもしれません。

投票結果

1位票数 ポイント
K.マレー
(オクラホマ大QB)
517 2167
T.タガヴァイロア
(アラバマ大QB)
299 1871
D.ハスキンズ
(オハイオ州立大QB)
46 783
W.グリアー
(ウエストバージニア大QB)
4 126
G.ミンシュー
(ワシントン州立大QB)
6 122
M.ミルトン
(セントラルフロリダ大QB)
4 39
T.エティエン
(クレムソン大RB)
0 29
Q.ウィリアムス
(アラバマ大DL)
1 27
J.テイラー
(ウィスコンシン大RB)
1 26
D.ヘンダーソン
(メンフィス大RB)
0 21

 

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