2022年のNFLドラフトまであとわずか。今年はミズーリ州カンザスシティで行われます。
- 4月27日(第1日目):第1巡目
- 4月28日(第2日目):第2巡目&第3巡目
- 4月29日(第3日目):第4巡目〜第7巡目
これまですでにネット上にはドラフト情報が豊富にあふれており、またアメリカンフットボールマガジンさんが「NFLドラフト候補名鑑」を出版されてしまっていますが、今年も当サイトでもNFLドラフト候補をカレッジ時代のベストゲームやベストプレーを軸にご紹介していきます。
QB、RB、WR、TEに続く第5回目はOLに焦点を当て、注目選手たちをサクッと浅く(笑)見ていきたいと思います。
参考記事2023年NFLドラフトで注目の選手たち【QB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【RB編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【WR編】
2023年NFLドラフトで注目の選手たち【TE編】
目次
ピーター・スコロンスキー(ノースウエスタン大)
ノースウエスタン大は優秀なOLをコンスタントに輩出しているイメージがありますが、今年もそれにもれず今ドラフトで1巡候補に挙げられるのが同大学出身のOTピーター・スコロンスキー(Peter Skoronski)です。
小気味良いフットワークと素早いハンドスキルで繰り出されるパスプロは鉄壁。OTとしては若干サイズが小さく(6フィート4インチ)またアームの長さもそこまで長くないということですが、そこは横方向に柔軟に対応できる機敏さでカバー。崩されても素早く立ち直ることができるのは上のレベルで活躍するには必須技術でしょう。
ランブロックでは相手を縦でも横でも薙ぎ倒すことができるパワーを持っています。またノースウエスタン大がギャップスキームを多く使う傾向があるため、そういったシチュエーションでも威力を発揮しそうです。
ひょっとしたらタックルではなくガードとしても通用するのかもしれませんが、どちらにしても今ドラフトのOL陣では目玉選手の一人であることは確実です。
AGSの選ぶスコロンスキーのベストゲーム
オハイオ州立大戦(2022年度)
当時全米2位だったオハイオ州立大と対戦したノースウエスタン大。この試合でスコロンスキーはオハイオ州立大のJ.T.トゥイモロアウ(J.T. Tuimoloau)とザック・ハリソン(Zach Harrison)と対決。試合は21対7で敗れましたが、与えたQBサックはゼロ回と奮闘しました。
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パリス・ジョンソン・Jr(オハイオ州立大)
RPOをベースとしたゾーンランを重用するオハイオ州立大のLTを任されたのがこのパリス・ジョンソン・Jr(Paris Johnson Jr)。3年間で33試合に出場し、そのうちRTもプレーしたことがあるジョンソンはタックルとしては文句のないフレーム(6フィート6インチ、313パウンド)を誇る今季を代表するOT。
その巨体からは考えつかないほどの運動神経を持っており、長いアームと相まってパスプロでは多くのディフェンダーを泣かせてきました。また多少押し込まれてもフットワークとその勢いを相殺するだけのハンドスキルも備えており、QB C.J.ストラウド(C.J. Stroud)を守る壁となり続けました。
またランゲームでは持ち前の爆発力・破壊力でディフェンダーの行方を阻み、そしてそのパワーで相手を何度も「パンケーキ」してきました。また2列目に入り込んでからもドライブできる持久力もあり、ほぼ非の打ち所がないタックルといえます。
上記のスコロンスキーよりもよりプロトタイプなLTと言え、彼を欲しがるチームは引く手あまたと言えるでしょう。
AGSの選ぶジョンソンのベストゲーム
ノートルダム大戦(2022年度)
2022年の開幕戦だったノートルダム大戦、ジョンソンはLTとして先発しストラウドを死守。21対10で開幕戦を飾りました。
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ジョン・マイケル・シュミッツ(ミネソタ大)
Big Tenカンファレンスのミネソタ大で57試合に出場しそのうち35試合で先発出場したベテランCのジョン・マイケル・シュミッツ(John Michael Schmitz)。シーズン後のシニアボウルでも安定したパフォーマンスを見せてその株を上げました。
ガッチリとした下半身からプロトタイプなセンターと言えそうですが、パスプロ時の出足の速さと上半身のアクションでパワーラッシャーを食い止めるのが巧い選手。またプレスナップ時にブリッツ選手を的確に把握でき、相手の動きを読み間違えることは稀だという評価も出ています。
ランブロッカーとしては下半身の強さを活かした、ブルドーザーのような押しだけでなく、他のOLチームメイトとユニゾンを組むゾーンブロックやコンボブロックも得意。ゾーンブロックにやや難ありという声も聞かれますが、ポイント・オブ・アタックでの勝負にはめっぽう強い頼れるセンターです。
ミネソタ大がRPO主体のオフェンスを使っていたこともあり、そういったスキームを好んで使うチームがベストフィットするかもしれません。大学ではセンター一択だったために汎用性は限られますが、それに特化した技術を持つシュミッツはそんなに遠くないシーズンに先発を張れるだけの資質を持っていると言えそうです。
AGSの選ぶシュミッツのベストゲーム
パデュー大戦(2022年)
昨年第5戦目で21位まで上昇していた4勝無敗のミネソタ大がパデュー大をホームに迎えたこの一線。試合は20対10でミネソタ大が負けてしまいますが、シュミッツはパスプロ、ランブロックで堅実なプレーを披露していました。
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オルセガン・オルワティミ(ミシガン大)
もともとACC所属のバージニア大でプレーするも2022年度にBig Tenカンファレンスの名門ミシガン大へ転校してきたのがこのオルセガン・オルワティミ(Olusegun Oluwathimi)です。そのミシガン大ではチームの2年連続カンファレンス優勝とプレーオフ進出に貢献し、またその年の最優秀インテリアラインマンに贈られるアウトランドトロフィーと最優秀センターに送られるレミントントロフィーを同時に獲得したという、2022年度を代表するOL選手です。
ベストOLユニットに贈られるジョー・モアー賞も獲得した昨年のミシガン大OL陣は全米でも最強クラスと言われ、その中核を担ったのがこのオルワティミ。パスブロッカーとしては優れた状況判断力と高いフットボールIQでOL陣のリーダーとして君臨。突出した身体能力があるわけではありませんが、自分のベストポジションを瞬時に取るのが巧いとされています。また上半身、特にアームの強さには定評があり、一対一での強さは随一です。
そしてそのフットボールIQの高さはランブロックでも活かされており、力だけでなく相手をいなす技術も持っています。ボディーバランスと機動力は十分で1列目そして2列目でもアサインメントを確実にこなす技術を持ち合わせているようです。
下半身の強さと身体能力に少々物足りなさを感じさせているようですが、NFLレベルでも先発選手として活躍できそうな高いポテンシャルを持っていそうなプロスペクトです。
AGSの選ぶオルワティミのベストゲーム
ペンシルバニア州立大戦(2022年)
全米5位だったミシガン大がホームに全米10位だったペンシルバニア州立大を迎えた一戦。強力なDL陣を誇るペンステートのディフェンスをオルワティミ筆頭のミシガン大OLが完全に食い止め、ランヤードだけでなんと418ヤードも奪う土台を築きました。
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オサイラス・トーレンス(フロリダ大)
2019年から2021年までルイジアナ大(ラフィエット校)でプレーし、2021年シーズン後に当時監督だったビリー・ネイピアー(Billy Naiper)監督がフロリダ大へ移籍したことを受けて同校に転校してきたのがこのOGオサイラス・トーレンス(O’Cyrus Torrence)です。1年生時はLGでしたがそれ以降はRGへ移動。ルイジアナ大からフロリダ大へとレベルの上でも十分活躍する姿を見せました。
6フィート5インチ(約195センチ)330パウンド(約150キロ)という巨漢を活かし、一度スナップされて状態を起こせば山の如く微動だにせず大きな壁となります。ガードなのでそこまでの身体能力はいらないと思われますが、ギャップを狙ってくるスピードのあるラッシャーをそう簡単に後ろへ行かせることはありません。それはその体格に似つかない足さばきと適応力があるからだと思われます。
さらに彼の能力が最大限に発揮されるのはランブロッキングです。インサイドのランブロッキングにめっぽう強く、RBやQBの頼れる道筋案内役となります。ポイント・オブ・アタックでの強さ、そしてダブルチームを組んでも非常に高いレベルでブロッキングを貫徹。また2列目まで飛び込む前進力も目を見張るものがあり、プルよりもゴリゴリ系のランプレーが見もの。
このトレンスも早い段階でNFLレベルで先発を任されることになりそうな優良プロスペクト。また過去にレフトサイドでプレーしていた経験というのものちに活かされる場面がくるかもしれません。
AGSの選ぶトーレンスのベストゲーム
ジョージア大戦(2022年)
毎年恒例のジョージア大とのライバリーゲーム。今ドラフトでも目玉DLジェイレン・カーター(Jalen Carter)を相手にしたトーレンス。試合には42対20と大敗しましたが、カーターをソロタックル0回(当然QBサックも0回)に抑えたトーレンスは個人としては仕事を全うしました。
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コディ・マウチ(ノースダコタ州立大)
FCS(フットボールチャンピオンシップサブディビジョン)所属の超強豪校であるノースダコタ州立大にTEとして進学するも程なくしてOTにコンバートされたのがこのコディ・マウチ(Cody Mauch)。コロナ禍をまたぎ合計6年間もノースダコタ州立大に在籍したマウチの一番脳裏はやはりその経験値と言えるでしょう。
FCSレベルとは言えその最上級であるノースダコタ州立大で62試合に出場し39試合で先発を任され、さらにそのうち37試合は連続出場を果たしたという、場数の多いOTです。
横の守備範囲が広いと言われるマウチは、立ち上がりのフットワークとアームテクニックでエッジラッシャーを追撃を阻むのに長けています。下半身の粘りも強く、一度相手をロックオンすればそう簡単に崩されることはありません。
またランブロッカーとしてはもともと持っている勝気なパワープッシュで見ているものを楽しませてくれますが、時にそのアグレッシブ過ぎな面がペナルティーにつながることも。しかしその能力からタックルだけでなくガードも務まるとも見られており、FCSという一つ下のレベルでの経験がないとは言えプロスペクトとしての評価はなかなかです。
AGSの選ぶマウチのベストゲーム
シニアボウルハイライト(2023年)
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その他の候補者たち
スティーヴ・アヴィラ(Steve Avila、テキサスクリスチャン大G)
ジョー・ティップマン(Joe Tippmann、ウィスコンシン大C)
アントン・ハリソン(Anton Harrison、オクラホマ大T)
ダワンド・ジョーンズ(Dawand Jones、オハイオ州立大T)
ダーネル・ライト(Darnell Wright、テネシー大T)
ブロデリック・ジョーンズ(Broderick Jhones、ジョージア大T)
アンドリュー・ヴォヒーズ(Andrew Vorhees、サザンカリフォルニア大G)
ブレイク・フリーランド(Blake Freeland、ブリガムヤング大T)
タイラー・スティーン(Tyler Steen、アラバマ大T)
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当サイトのポッドキャストにてドラフトプロスペクトに精通されているTamagoさんに来たるドラフト候補生からなる「All Tamagoチーム」を選んでいただいています。ドラフトに備えて非常に面白いエピソードとなっていますので、まだ試聴されていない方はぜひ!!