ボカレートンボウルレビュー

ボカレートンボウルレビュー

フロリダアトランティック大 50、アクロン大 3

大方の予想通りボカレートンボウルはカンファレンスUSAの覇者であるフロリダアトランティック大(FAU)がミッドアメリカンカンファレンス(MAC)の準優勝チームであるアクロン大をまったく寄せ付けず50対3という大差で一蹴。これで10連勝目を飾り今季初陣となったレーン・キフィン(Lane Kiffin)監督はFAU新記録となる11勝を挙げて今シーズンの全てのスケジュールに幕を下ろしました。

ほぼ地元開催と同意義でもあるボカレートンボウルに出場したFAUはキフィン監督の操るダイナミックなオフェンスでアクロン大を翻弄。RBデヴィン・シングルタリー(Devin Singletary)はこの日3つのTDを奪ってカンファレンスUSAのシーズンラッシュTD獲得数新記録(32)を樹立。昨シーズン(3勝9敗)のことを考えればまさにミラクルなシーズンとなった2017年度のキャンペーンに花を添えました。

アンコンベンショナル(典型的でない)なことで知られているキフィン監督ですが、この試合でも数々の「彼らしさ」を存分に披露していました。例えば・・・

  • サイドラインのリポーターに怒鳴りつける
  • 自陣29ヤードラインで4thダウンをコンバートする
  • 相手陣内4ヤードラインで4thダウンコンバージョンを決行して得点を挙げる
  • オンサイドキック
  • 34対3ですでに勝負がついているのにもかかわらずTD後に2ポイントコンバージョンに打って出る

失うものは何もないFAUだからこそ出来る数々のアクション。アラバマ大ではオフェンシブコーディネーターとしてニック・セイバン(Nick Saban)王朝を支えましたが、一方で厳しい統率力で知られるセイバン監督の手法に嫌気がさしてアラバマ大を去ったとも言われるキフィン監督。その彼にとって「グループオブ5カンファレンス」の一員であり、強豪校によくありがちな考えられないほどの巨大な期待をかけらることもない現在の状況はまさに「水を得た魚」のようです。

先にも紹介しましたがこのボウルゲームに先立ちFAUとキフィン監督は新たな契約年数更新を果たし、2027年までの10年間チームはキフィン監督と共にあることを確認。よくよく考えてみれば、キフィン監督初年度にいきなりカンファレンスを制し、チーム史上初となる二桁勝利を成就させ、今回の契約更新に漕ぎ着けたことは、この試合の翌日である12月20日から3日間行われる早期サイニングピリオドにおいてリクルートを確保するのにまたとない流れとなりました。もちろんFAUのトータルブランドは「パワー5カンファレンス」の強豪チームのそれには到底及びませんが、それでもなんらかの理由で(例えば学業とか素行の悪さとか)でそのようなビッグネームにリクルートされなかった選手にしてみればキフィン監督率いるFAUは非常に魅力的に映るのではないでしょうか。唯一の不安材料といえばそのキフィン監督が本当に10年間もFAUで指揮を執るのかどうかということですが・・・。

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