接戦!【第4週目レビュー】

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バークレー、プライムタイムに最高のパフォーマンス

ペンシルバニア州立大 21、アイオワ大 19

第4週目のゲームで一番盛り上がったのは、ミシシッピ州立大対ジョージア大でもなく、テキサスクリスチャン大対オクラホマ州立大戦でもなく、Big Tenカンファレンスのペンシルバニア州立大(ペンステート)対アイオワ大戦でした。

全米4位のペンステートにとって今季初のロードゲームとなったこの試合。2008年度に彼らが全米3位にまで上り詰めた時もアイオワ大に遠征しましたが、この時はアイオワ大に返り討ちにあうという目に遭っていました。アイオワ大はホームでトップチームから金星を奪うというケースが多く、昨年も当時3位だったミシガン大から勝利を奪い、彼らのプレーオフ進出の夢を打ち砕いたという過去を持っているチーム。ペンステートも彼らの餌食にならないかと心配されましたが・・・。

全米のプライムタイムで放映されたこの試合、ペンステートはRBサクオン・バークレー(Saquon Barkley)の驚異的な活躍もあり、数字上ではアイオワ大を圧倒していましたが、得点が思うように入らず非常に僅差の試合展開を強いられました。そして第4Q残り2分を切ったところでアイオワ大が起死回生の逆転TDランを決め、彼らのホームスタジアムは大歓声に包まれました。アイオワ大の大物食いがまた再現されたのだと誰もが思った瞬間でした。

しかしペンステートにとってラッキーだったのは残り時間があと約1分40秒も残っていたということでした。QBトレース・マクソーリー(Trace McSorely)率いるオフェンスは俗にいう「2ミニッツドリル」を繰り広げ、マクソーリーの決死の4thダウンコンバージョン、さらに3プレー連続で1stダウンを奪うパフォーマンスで一気にアイオワ大陣内10ヤード地点へ進撃。そして試合時間残り4秒となった4thアンドゴール(7ヤードライン)と後のないマクソーリーは試合終了と同時にWRジュワン・ジョンソン(Juwan Johnson)へのTDパスを決め土壇場で21対19と逆転。敵地で貴重なカンファレンス戦初戦を勝利で飾ることに成功したのでした。

決勝点を決めたのはマクソーリーでしたが、この日ペンステートオフェンスを牽引したのはRBバークレーでした。ボールをキャリーするたびにテレビに目を釘付けにさせるプレーを連発し、強固なアイオワ大ディフェンスを翻弄。ある時はスピンムーブ、またある時は目を疑いたくなるような足さばき、そして極めつけは相手をジャンプしてかわしながら1stダウンを奪うという強靭な肉体を披露。全米のプライムタイムで多くのファンの目に彼の素晴らしいプレーを焼き付けることになったのでした。これは彼のハイズマントロフィー獲りに大きなプラスとなったことでしょう。

バークレーはこの日走っては211ヤードに1TD、レシービングでは94ヤードと合計305ヤード、さらにキックオフリターンでも53ヤードを記録したため、オールパーパスヤードは合計358ヤードという凄まじい数字をたった一人で稼ぎました。ペンステートは思わぬ苦戦をアイオワ大に強いられましたが、得てして上を狙うチームというのはこのような接戦でも勝利をもぎ取れる「何か」を持っているもので、ペンステートとしては敵地でこのような僅差のゲームを制することができたのは今後勝ち進む上で非常に貴重な経験となったことでしょう。

TCU、点取り合戦を制す

テキサスクリスチャン大 44、オクラホマ州立大 31

今季Big 12カンファレンスタイトルはオクラホマ大オクラホマ州立大のどちらかのものになると前々から言われていましたが、それに「待った」をかけたのがテキサスクリスチャン大。全米6位のオクラホマ州立大と対戦した16位のテキサスクリスチャン大は誰もがホームチーム絶対有利と思われていたゲームを44対31で制しカンファレンスタイトルレースに名乗りを上げてきました。

試合はハイパワーオフェンスを擁するオクラホマ州立大の株を奪うテキサスクリスチャン大オフェンスの活躍で第4Qに入った時点ですでに37対17と大きくリードを奪っていました。しかしここからホームチームであるオクラホマ州立大の逆襲が始まり、一気に2つのTDを奪いスコアを37対31とTD1つで逆転可能な点差まで縮めてきました。スタジアムのファンの興奮度は最高潮に達しますが、それを黙らせたのがテキサスクリスチャン大RBダリウス・アンダーソン(Darius Anderson)の42ヤードTDラン。後のないオクラホマ州立大は奇跡の逆転へ向けその命運をQBメイソン・ルドルフ(MAson Rudolph)に託しますが、自陣32ヤードで迎えた4thダウンでのパスを相手ディフェンスに掠め取られ万事休す。テキサスクリスチャン大がアウェーで貴重な1勝を手に入れたのでした。

オクラホマ州立大はルドルフ率いるエアーアタックが持ち前の強力オフェンスを武器に全米6位にまで上り詰めましたが、当初より危惧されていたディフェンスの弱さが露呈されてしまった形になりました。一方テキサスクリスチャン大はカンファレンスタイトルレースで自分たちの存在を大きくアピールすることに成功。優勝候補はオクラホマ大に変わりはなさそうですが、少なくともこの試合の勝利でテキサスクリスチャン大は自分たちにもチャンスはあることを証明して見せました。

アラバマ大、ヴァンダービルト大を寄せ付けず

アラバマ大 59、ヴァンダービルト大 0

先週カンザス州立大から金星を奪ったヴァンダービルト大。その試合の直後ある選手がアラバマ大を挑発するようなセリフを残していましたが・・・。

ヴァンダービルト大があるテネシー州ナッシュビルに乗り込んだ全米1位のアラバマ大はそんなヴァンダービルト大選手に微塵の希望を与えることなく59対0という圧倒的完封勝利でカンファレンス戦初戦を難なく勝利で終え、上記のセリフを発した選手たちを後悔させる強さを見せつけました。

アラバマ大の十八番であるランゲームがこの日もさえ、RBダミアン・ハリス(Damien Harris)が3TDを含む151ヤード、ボ・スカーボロー(Bo Scarbrough)が2TDを含む79ヤード、QBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)も48ヤードをそれぞれ足で稼ぐなどし、なんと合計501ヤードのランヤードを記録。1stダウンも42個も奪うなどして格の違いを見せました。ちなみにヴァンダービルト大奪うことができた1stダウンはたったの3つでした。

ただ気になるのはQBハーツのパスゲームです。彼はこの試合で17回のパスのうち成功させたのは9回で稼いだヤードはたったの78ヤード。上記のようにこの試合は明らかにラン主体で臨んだゲームではありましたが、それでもこの数字はちょっと気になります。その一方で大差のついた試合で途中からハーツに代わって出場したトゥア・タゴヴァイロア(Tua Tagovailoa)は10回のパスのうち8回を成功させ、103パスヤードに2TDを奪うパフォーマンスを披露。ハーツが確固たる先発QBであるのは間違いないでしょうが、前評判の高かったタゴヴァイロアのポテンシャルを垣間見ることができた試合でもありました。

サザンカリフォルニア大、2週連続冷や汗の展開を制す

サザンカリフォルニア大 30、カリフォルニア大 20

全米5位のサザンカリフォルニア大は同じカリフォルニア州内のカリフォルニア大と対戦。この試合はサザンカリフォルニア大の快勝となることが予想されていましたが、カリフォルニア大が善戦し、第4Qを迎えた時点で13対13と同点としカリフォルニア大ファンは大興奮、その逆にサザンカリフォルニア大ファンはやきもきさせられる試合展開となりました。

サザンカリフォルニア大がFGを決めて点差を3点に広げたその返しの攻撃、追いすがるカリフォルニア大のQBロス・ボワーズ(Ross Bowers)が自陣9ヤードラインでサックをくらいボールをファンブル。それをサザンカリフォルニア大が確保して攻撃権を奪うと難なくTDを決めて点差をさらに10点に広げます。すると次のカリフォルニア大の攻撃では今度はボワーズが自陣30ヤードラインで痛恨のパスINT。このチャンスをサザンカリフォルニア大が見逃すはずはなく、QBサム・ダーノルド(Sam Darnold)がWRデオンテイ・バーネット(Deontay Burnett)への4ヤードTDパスを決めてスコアを30対13とします。その後カリフォルニア大は2回攻撃権を得ますが、どちらもボワーズのパスINTでチャンスを不意にし、試合終了間際にボワーズがTDパスを決めますが、時すでに遅し。サザンカリフォルニア大がカリフォルニア大から勝利を奪ったというより、ボワーズの4つのパスINTを含めトータルで6つものターンオーバーを犯したカリフォルニア大が自滅した試合という印象の方が強いゲームとなりました。

確かにカリフォルニア大は自滅して負けましたが、それでも新コーチのジャスティン・ウィルコックス(Justin Wilcox)監督は確実にチームを戦える集団にトランスフォームしているという印象を見受けました。サザンカリフォルニア大は相手チームに416ヤードも許すなどディフェンスがしっくり来ず、カリフォルニア大オフェンスがターンオーバーを犯して自滅していなければどうなっていたかはわからないという試合展開を許しました。またQBダーノルドもこの前の試合のテキサス大戦でも見せたように波に乗るまで時間がかかるという側面をこの日もみせ、ハイズマントロフィー候補というにはいまいちスパイスにかけるパフォーマンスでした。

と言ってもアウェーで白星を飾れたことは試合内容はなんであれサザンカリフォルニア大にとっては大きなプラスであったことに変わりはありません。一方カリフォルニア大はウィルコックス監督新体制の下将来を期待させてくれる試合を見せてくれました。

フロリダ州立大、1989年以来の開幕2連敗に

ノースカロライナ州立大 27、フロリダ州立大 21

フロリダ州を襲ったハリケーン「イルマ」の影響で第2戦目のルイジアナ大モンロー校との試合がキャンセルされ、さらに3戦目のマイアミ大戦も延期されたせいでフロリダ州立大にとってこのノースカロライナ州立大との試合は9月2日に行われたアラバマ大との開幕戦以来の試合となりました。試合に飢えた選手、コーチ、並びに彼らのファンたちにとってはようやくライブゲームがホームにやってきたと期待度は高かったことでしょうが、その期待をノースカロライナ州立大によって打ち砕かれ、この日まさかの敗戦を喫してしまいました。

フロリダ州立大にとって21日ぶりの実戦という事実が災いしたのか、オフェンスはいまいち波に乗れず、先発QBデオンドレ・フランソワ(Deondre Francois)が怪我で今季絶望となった代わりに出場した1年生QBジェームス・ブラックマン(James Blackman)がデビュー戦らしからぬ数字を残しはしましたが、一方でノースカロライナ州立大ディフェンスのフロントセブンから再三にわたりプレッシャーを受け続け、思ったほど得点に結び付けられるようなドライブを演出することはできませんでした。さらにチーム全体でランヤードが104ヤードしか稼げなかったのも響きました。

これによりフロリダ州立大は0勝2敗となり、1989年以来初の開幕後2連敗という嫌なスタートとなってしまいました。ちなみにこの時のチームは2連敗後に10連勝を飾っており、その汚名を挽回していますが、今年のフロリダ州立大にとってそれは可能であるか・・・。彼らのチーム状況並びにACCのパワーバランスを見ると現時点で言えば不可能でないかもしれませんが、可能性は低いと言わざるを得ません。プレシーズンで3位だったチームとは思えない急降下ぶりです。

ジョージア大、「ブルドッグ」決戦を制す

ジョージア大 31、ミシシッピ州立大 3

第3週目にルイジアナ州立大を倒して瞬く間にランクインしてきたミシシッピ州立大が11位のジョージア大の本拠地に乗り込んで行われたこの試合。個人的には注目していた試合でしたが、蓋を開けてみればジョージア大の圧勝。ミシシッピ州立大を全く寄せ付けず31対3で貴重なカンファレンス戦白星を奪いました。

この勝利でジョージア大がサウスイースタンカンファレンス(SEC)東地区で他チームを大きく引き離していることが明確となりました。彼らの強力ディフェンスを元にこれまでノートルダム大、ミシシッピ州立大をなぎ倒し、その強さをアピール。オフェンスでもRBニック・チャブ(Nick Chubb)、ソニー・ミシェル(Sony Michel)というツインタワーが健在で彼らはアラバマ大のダミアン・ハリス、ボ・スカーボローの二人にも引けを取らない実力を誇っています。また怪我で戦線離脱中のQBジェコブ・イーソン(Jacob Eason)に代わって先発を任されている1年生のジェイク・フローム(Jake Fromm)もイーソン不在の影響を感じさせないプレーをし続けています。もしこのまま好調を維持することができれば、ひょっとしたらイーソンから先発の座を奪ってしまうかもしれません。

一方ミシシッピ州立大はルイジアナ州立大戦での勝利で、SEC西地区でここ最近誰も敵わなかったアラバマ大に挑戦状を叩きつけられるかとにわかに期待がかかりましたが、その野望はいとも簡単にへし折られ、またアラバマ大が既述の通りヴァンダービルト大を完膚なきまでに叩きのめしたこともあり、西地区はやっぱりアラバマ大の一辺倒であることが再確認されました。

ケンタッキー大の悲劇は続く

フロリダ大 28、ケンタッキー大 27

全米20位のフロリダ大ケンタッキー大との対戦。このSEC東地区のカードではなんとフロリダ大が30連勝中。今年こそケンタッキー大が積年の恨み(?)を晴らせるか注目を浴びましたが・・・。

試合は終始ホームチームであるケンタッキー大が主導権を握り、またフロリダ大QBフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)の不調も相まって第3Qを終えた時点でケンタッキー大が24対14と「これはもしや?」と思わせる点差でいよいよ第4Qに突入します。ケンタッキー大はさらにFGを追加して27対14で残り時間約11分半でさらに点差を広げます。しかしフロリダ大は元QBのWRカダリウス・トニー(Kadarius Toney)からWRタイリー・クリーブランド(Tyrie Cleveland)への50ヤードのトリックパスが決まるとそれを起点にケンタッキー大陣内へ襲いかかると「ワイルドキャット」フォーメーションでスナップを受けたブランドン・パウエル(Brandon Powell)がそのままエンドゾーンへ飛び込んでTDを奪い点差を27対21とします。

返しのケンタッキー大の攻撃ではオフェンスが1stダウンを奪えずパントを余儀なくされるとフロリダ大は残り8分を切った時点で絶好の一から逆転のスコアを狙いに行きます。フランクスに代わり途中から投入されたルーク・デル・リオ(Luke Del Rio)、RBマリク・デービス(Malik Davis)らの活躍でケンタッキー大守備陣を強襲すると、最後はケンタッキー大ディフェンスが10人しかいないことをすぐさま察したデル・リオがノーマークのWRフレディ・スウェイン(Freddie Swain)への5ヤードTDを決めてついに残り時間43秒の時点でこの日初のリードを獲得。結局これが決勝点となりフロリダ大がケンタッキー大との接戦を制しました。

これでケンタッキー大は対フロリダ大戦31連敗目。同一チームとの最多連敗記録を更新してしまいました。近年の対戦でもっとも勝てそうな展開だっただけあって、彼らの失望感は一段と大きいものとなってしまったでしょう。フロリダ大のジム・マクエルウェイン(Jim McElwain)監督ですら、試合後のインタビューでケンタッキー大の選手らに対して「彼らは最後まで諦めずに戦い勝つチャンスすらあった。選手たちが気の毒です。」とすら述べたほどです。

ノートルダム大が長年のライバリーを制す

ノートルダム大 38、ミシガン州立大 18

ノートルダム大の完璧な試合展開となったわけではありませんでしたが、若いミシガン州立大の3つのターンオーバー、9つものペナルティーもあり結果的に38対18という大差をつけてライバルゲームに勝利しました。20点差をつけてミシガン州立大から勝利を収めたのは1993年以来ということですが、この試合ではノートルダム大の強さよりもミシガン州立大の脆さの方が目立ってちょっとさみしい思いすらしてしまいました。