オフェンス
昨シーズンナショナルタイトルゲームまで進出したジョージア大。その攻撃陣の要となったのは何と言ってもRBソニー・ミシェル(Sony Michel)とニック・チャブ(Nick Chubb)の全米最強ツインタワーでした。しかし彼らもいよいよカレッジを離れプロ入りを果たし、ジョージア大のランオフェンスは大幅なオーバーホールが必要となる・・・と思うかもしれませんが、案外そうでもないかもしれません。
というのも彼らには2年生となるデアンドレ・スウィフト(D’Andre Swift)が健在だからです。スウィフトはミシェルとチャブに次ぐ3番手のRBでしたが、それでも1年生ながら597ランヤードに3TDという数字を叩き出し存在感を出していました。スウィフト一人でミシェルとチャブの働きを再現できるとは到底思えませんが、将来的なポテンシャルは抜群です。
一方QBはというと、昨年は開幕当初の先発だったジェコブ・イーソン(Jacob Eason、ワシントン大へ転校)から先発の座を奪ったジェイク・フローム(Jake Fromm)が2年生としてチームに帰って来ます。華は無いもののミスの少ないプレーでミシェルとチャブの地上攻撃をお膳立てし、与えられた仕事をそつなくこなして昨年のチームの大躍進に貢献しました。
そんなフロームですが、彼自身がイーソンから先発の座を奪ったように今年も期待の新人から挑戦を受けることになるようです。というのもジョージア大には今季から全米でも屈指のQBリクルートと評されるジャスティン・フィールズ(Justin Fields)が入部して来たからです。
クレムソン大のプレビューでも紹介したトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)に次ぐ逸材とされたフィールズはフロームという存在を知りながらジョージア大入部を決意。フロームとは1学年しか違わないのにも関わらずジョージア大に入って来たということはフィールズがフロームとの先発争いに勝てるという勝算があったからでしょう。でなければ入部後3年間も誰かのバックアップに甘んじることを良しとする5つ星リクルートなんているはずがありません。
昨年のチームの大黒柱であるRB陣がいなくなり、新たなオフェンス構築を強いられるジョージア大にとって今季はQBがよりプレーメーカーとして機能することをコーチ陣は要求することになるでしょう。昨年はある意味脇役だったフロームですが、チームの状況が変わって彼自身により高いレベルのプレーを求められた時にそれに応えられるかが注目されます。
またつい数週間前フロームは利き腕でない左手を骨折するアクシデントに遭ったようですので、その回復の具合も気になるところです。
ディフェンス
今季ジョージア大で3シーズン目を迎えるカービー・スマート(Kirby Smart)監督のバックボーンでもあるディフェンス陣。かつてアラバマ大でディフェンシブコーディネーターを務めたスマート監督ならではの、アラバマ大仕込みのアグレッシブかつ緻密な戦術で昨年のサプライズを支えてきたユニットです。その中心人物だったのがLBロクアン・スミス(Roquan Smith)。昨年だけで137タックルを決め、アラバマ大とのタイトルゲームでもゲーム最多となる13タックルを計上。王者を苦しめたディフェンスのキープレーヤーだったのがスミスですが、その彼もNFLに早期ドラフト入りし、第1巡目でシカゴベアーズに入団しました。
またLBロレンゾ・カーター(Lorenzo Carter)、DBドミニク・サンダース(Dominick Sanders)、DLトレントン・トンプソン(Trenton Thompson)といった逸材もチームを去り、ディフェンスコーチ陣は彼らの抜けた穴を早急に埋める策を練らなければならないでしょう。
しかし一方でジョージア大はスマート監督が就任して以来リクルーティングで成功を収め続けており、7年間誰もその牙城を崩すことができなかったリクルーティング王・アラバマ大を今年退けてリクルーティングランキングで1位を獲得。その影響は徐々にチーム力に現れ始めています。若くても才能のある選手が後に大勢控えており、将来は安泰と言えます。
ただその将来というのが2018年度シーズンも視野に入っているのか・・・。そこに注目が集まります。ただ、「リビルド(再建)ではなくリロード(充填)」をし続けることで強さを維持しているアラバマ大仕込みのチーム形成で、スマート監督はしっかりとユニットを揃えてくることでしょう。
スケジュール
ジョージア大は開幕2戦目で早くもカンファレンス戦であるサウスカロライナ大との試合を迎えます。過去3年間同一カードでジョージア大が3連勝していますが、ウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)監督の下確実に力を付けてきているサウスカロライナ大を甘くは見れないでしょう。また相手のスタジアムというアウェーということもあり、この試合の出来がジョージア大の今季を早くも占うことになります。
4戦目のミズーリ大には優秀なQBドリュー・ロック(Drew Lock)がいます。彼の働きもあり、ミズーリ大は昨年ジョージア大のホームで28点も奪うことに成功しました。ただディフェンスがジョージア大に53点も献上したせいで結果的にはジョージア大にっては相手にもなりませんでしたが、新たなディフェンス陣をしてロック率いるミズーリ大攻撃陣をどれだけ抑え込めるかがジョージア大ディフェンス陣の試練となるでしょう。
5戦目のテネシー大は今季からジェレミー・プルイット(Jeremy Pruitt)新監督に率いられます。何を隠そうプルイット監督もまたスマート監督同様アラバマ大DCを経て現在の監督業を手に入れた人物。テネシー大がいきなりジョージア大を脅かすようなチームに変身するとは思えませんが、元アラバマ大DC同士の対決という図式は興味深いです。
第7戦目のルイジアナ州立大、そして1週のお休みを挟んで第8戦目のフロリダ大との2連戦はカンファレンスタイトルならびにCFP出場を目指す上で何としても勝利で切り抜けたいカードです。特にフロリダ大は今年から元ミシシッピ州立大監督のダン・マレン(Dan Mullen)監督が率います。かつてフロリダ大がナショナルタイトルを獲得した時の裏方だったマレン監督の腕次第ではジョージア大は昨年のように(42対7)簡単に勝たせてはもらえないでしょう。
そしておそらくもっとも強豪相手となるのは10戦目のアーバン大。昨年無配街道をひた走っていたジョージア大に初めて土をつけたのがアーバン大。彼らは今季トップQBと目されるジャレット・スティッドハム(Jarrett Stidham)を筆頭に昨年ジョージア大だけでなくアラバマ大をも倒したチーム。ジョージア大はSECチャンピオンシップゲームでリベンジを果たしましたが、今年もこのゲームが激戦となるのは必至です。
総評
今年は昨年果たせなかった長年の夢、全米制覇に向け再度チャレンジというシーズンになります。もちろんタイトルゲームはもとよりプレーオフに2年連続で出場するというのはそう簡単なことではありませんが(もっともアラバマ大とクレムソン大は3年連続出場していますが)、ジョージア大がそれを成すことのできるポテンシャルを持っているのは確かです。カンファレンス東地区では今のところジョージア大を超えそうなチームは見当たりませんが、プレーオフに進むには西地区のアラバマ大、もしくはその他の猛者を振り切る必要があります。
必ずしも全勝しなければならないということはありませんが、フロリダ大、テネシー大、ルイジアナ州立大、アーバン大戦は最低でも3勝で切り抜けたいところ。そうなればSEC連覇、ならびにCFP進出も見えてきそうです。
- 試合予定
*太文字はホームゲーム
- 2017年度戦績
- チーム情報
所在地
ジョージア州アセンズ市
所属カンファレンス
SEC(東地区)
ホームスタジアム
サンフォードスタジアム
通算戦績
808勝420敗54分け
通算ボウルゲーム戦績
31勝20敗3分け
ヘッドコーチ
カービー・スマート
17勝5敗(3年目)
17勝5敗(生涯通算)
前回全米優勝年度
1980年度
前回SEC優勝年度
2017年度
前回ボウルゲーム出場年度
2017年度(CFP)
- 最近10年間の戦績