昨年カレッジフットボールプレーオフに進出したオクラホマ大を擁するBig 12カンファレンス。Big 8カンファレンス、サウスウエストカンファレンスの流れを汲むこのカンファレンスはかつてネブラスカ大、テキサスA&M大、コロラド大などが所属し現在のサウスイースタンカンファレンスに並び称される強豪カンファレンスとされてきましたが、今挙げたチームらが相次いで脱退し、現在はオクラホマ大の他にテキサス大、オクラホマ州立大といった強豪校だけが残り、チーム数も「パワー5」で最も少ない10チームとなりました。近年では力をつけていたベイラー大のスキャンダルがあったりして痛手を負いはしましたが、一方で老将ビル・シュナイダー(Bill Snyder)監督率いるカンザス州立大や、昨年思わぬ活躍をしたアイオワ州立大、そして旧Big Eastから加入してトップを伺うウエストバージニア大などまだまだ存在感を醸し出すカンファレンスでもあります。
「パワー5」で唯一地区制度を敷いていないBig 12カンファレンスの今年の展望を見てみましょう。
オクラホマ大
3年連続カンファレンスを制覇したオクラホマ大ですが、いよいよ彼らが誇るスターQBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)が卒業。「ポスト・メイフィールド」を担うQBが誰になるのかも興味がわきますが、今年2年目のリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督の真の指導力を拝めることが出来るという意味でも彼らは非常に楽しみなチームです。
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ウエストバージニア大
今年のウエストバージニア大は隠れたポテンシャルの高そうなチームです。多くの強豪チームからの転校生を受け入れて層の底上げに成功している彼らですが、その最たる人物が元フロリダ大QBのウィル・グリアー(Will Grier)です。昨年は3490ヤードに34TDを記録し、今年の現役QBのなかではBig 12ナンバーワンなのはもとより全米レベルで見ても随一の選手です。昨年980ヤードに18TDという数字を残したWRデヴィッド・シルズ(David Sills)も今年グリアーのターゲットとして健在ですし、アラバマ大からの転校生T.J.シモンズ(T.J. Simmons)も控えます。ただディフェンス力の薄さが懸念されるため、グリアー率いるオフェンス陣は対戦相手との点取合戦を制することが出来るくらいのハイスコアを叩き出す必要があるかもしれません。
テキサスクリスチャン大
今年のテキサスクリスチャン大(TCU)のスキルポジションは充実しています。特にWRカヴォンタ・ターピン(KaVontae Turpin)が戻ってきてくれるのは大きな朗報です。が、問題は彼らのオフェンシブライン陣が再建を余儀なくされることと、QBショーン・ロビンソン(Shawn Robinson)の経験値が未知数であることが挙げられます。しかし過去5年間4度も二桁勝利シーズンを送っているゲリー・パターソン(Gary Patterson)監督の手腕があればおそらく優勝争いに絡んでくるチームとなるでしょう。
テキサス大
昨年テキサス大が喫した6敗のうち4敗は4点差以内のものばかりでした。初年度となったトム・ハーマン(Tom Herman)監督としては7勝6敗も11勝2敗となっていた可能性があった、ともとれますが、一方でそれは僅差をものに出来なかった、とも解釈できます。昨年は怪我人が続出して非常に若いチームで望まなければなりませんでしたから、まずは先発選手が今年シーズン通して怪我を回避することが必須条件です。ちょうど先日ハーマン監督は開幕戦QBをシェーン・ビューシェル(Shane Buchele)ではなくサム・エリンガー(Sam Ehlinger)に指名したが、果たして今年はハーマン・マジックを見ることが出来るでしょうか?
オクラホマ州立大
メイソン・ルドルフ(Mason Rudolph)という絶対的QBをとうとう失ったオクラホマ州立大。彼らが毎年常にランキング入りを果たしてきたのは、中堅レベルのディフェンス力を補うだけのオフェンス力を擁していたからです。ですから今年も二桁勝利ならびにカンファレンスタイトルレースに絡んでくるには第2のルドルフ探しが必須事項です。ただ昨年1467ヤードを足で稼ぎリーグトップRBとなったジャスティス・ヒル(Justice Hill)、そしてルドルフのおかげとは言え1710レシーブヤードに15TDという数字を残したWRジェイレン・マクレスキー(Jalen McClesky)が健在なのは大きな強みです。もし新DCジム・ノールズ(Jim Knowles)氏の新システム(4-2-5)がカンファレンスで機能すれば、彼らがポスト・メイフィールドのライバルオクラホマの鼻をあかすことも可能かもしれません。
アイオワ州立大
昨年2年目のマット・キャンベル(Matt Campbell)監督は7勝5敗と勝ち越しシーズンをチームにもたらすことに成功しましたが、それだけでなくシーズン中にはテキサスクリスチャン大とオクラホマ大から白星をあげるという荒業をやってのけました。彼らが本当の意味でカンファレンスタイトルを争えるチームになるにはあと数年必要かもしれませんが、キャンベル監督の起用は間違っていなかったのは言うまでもありません。今年は3年開幕時に3番手のQBから先発に這い上がったカイル・ケンプ(Kyle Kempt)が今年6年目のプレー資格をNCAAから許され戻ってくるのは朗報です。そして昨年躍進の真の理由であった守備力を更に磨いて今年もカンファレンスで台風の目になって欲しいものです。
カンザス州立大
今年79歳となる「生き仏」ビル・シュナイダー(Bill Snyder)監督が率いるカンザス州立大もあなどれないチームです。今年はユニット各方面で昨年のメンバーが軒並み戻ってきますが、特にオフェンシブライン陣が昨年と同じメンツであるのは大いに歓迎できます。ただOCとDCが新顔というところでチームのアイデンティティが固まるまで数試合を要するかもしれませんが、信頼に足るRB陣を頼りに今年もBig 12カンファレンスで存在感を見せつけてくれそうです。
ベイラー大
つい数年前にはBig 12カンファレンスのタイトルも獲得し、全米的にも強豪校とされたベイラー大は選手が起こしたとされる性的暴力事件のスキャンダルの煽りを受けて崩壊。昨年テンプル大からマット・ルール(Matt Rhule)監督を招聘するも1勝11敗と大撃沈してしまいました。元HCであるアート・ブライルス(Art Briles)時代の選手が大量に流出してしまいましたが、それでも戦力が全く無いわけではありません。特にWR陣はカンファレンス内でも十分戦える力を持っていると言われています。またDL陣も経験値は豊富で層もそれなりに厚く、今年も辛抱のシーズンになったとしても昨年の記録を大きく上回ることは可能でしょう。
テキサス工科大
今年で6年目を迎える母校の英雄、クリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)監督。しかしこれまでの戦績は30勝33敗と冴えず、いよいよ後のないシーズンを迎えることになります。テキサス工科大の十八番であるパス重視オフェンスを体現するためのQB争いは熾烈を極めており、今のところ誰が先発になるか分かっていませんが、誰が指名されることになったとしてもその選手の肩に降りかかる重責は計り知れないものとなります。朗報なのはOL陣が5人共昨年のメンバーであること、そしてポテンシャルの高いRBダリオン・ワード(Da’Leon Ward)の存在。また守備陣は11人中9人が昨年のチームから残留しており、昨年の6勝7敗という負け越しシーズンを上回ることは出来るでしょう。でなければキングスバリー監督のクビも危ないというものです。
カンザス大
これまで3年間で3勝33敗というとんでもない成績しか残せてこれなかったデヴィッド・ビーティ(David Beaty)監督率いるカンザス大。普通ならすでに解雇されていてもおかしくありませんでしたが、それも前体育局長のシーホン・ゼンガー(Sheahon Zenger)氏の後ろ盾があったからです。しかしそのゼンガー氏が解雇され新たに元カンザス大ADのジェフ・ロング(Jeff Long)氏が就任。これで完全にビーティ監督は四面楚歌となります。彼が来年も再びチームの指揮官となるには今季ミラクルを起こして勝ち越すことが大前提。状況は芳しくありませんが、そんな中でも今年の9割の選手は昨年のメンバーであるという点は喜ばしいニュースです。がそれも焼け石に水か。
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AGS予想
本命:ウエストバージニア大
対抗:オクラホマ大
穴:テキサスクリスチャン大
大穴:テキサス大