これまで開幕以来アソシエーテッドプレス(AP)が決める全米ランキングを毎週紹介してきました。これは選ばれたスポーツライターたちが投票して決める全米トップ25チームでありますが、2014年に導入されたカレッジフットボールプレーオフ(CFP)に出場するチームを選別するためのランキングはAPランキングとは別にCFP選考委員会によって発表されています。そしてこのCFPランキングで最終的に上位4位に残ったチームが晴れてプレーオフに進出することが出来るわけです。
現在選考委員会は12人で構成されていますが、彼らがチームをランク付けする際に重要視するのは「ストレングス・オブ・スケジュール(SOS)」と呼ばれる要素です。これは簡単にいえばそのチームがいかに価値のあるシーズンを送ってきたか、どれだけ厳しいスケジュールを勝ち抜いてきたか、ということを指します。例えば全勝していても大した相手と戦ってこなかったチームはSOSが低く見積もられますし、逆に1敗していてもその他の対戦相手である多くの強豪チームに競り勝っていたとすれば、このチームのSOSは高く評価されるのです。
そうやって現在の戦績、SOS、貴重な勝利試合の有無、どのカンファレンス出身か、そしておそらく多少なりともブランドやネームバリューなども加味された上で選考委員会が話し合いで順位を決めていくのです。
【参考記事】カレッジフットボールプレーオフ〜カレッジフットボールの基礎知識
CFPランキングは12月2日に発表されるファイナルランキングまで今後5週間に渡り毎週発表されるのですが、この度今シーズン初となる第1回目のCFPランキングがついに発表されました。今後5週間でこの順位が変動していくのは目に見えていますが、どのチームが初動でどの位置にポジションを取っているのかというのは非常に気になるところ。それでは早速その最新CFPランキングを上位チームを中心に見ていきたいと思います。
上位4チーム
1位 アラバマ大
2位 クレムソン大
3位 ルイジアナ州立大
4位 ノートルダム大
上位4校の顔ぶれは最新APランキングと全く同じですが、ルイジアナ州立大とノートルダム大の順位が入れ替わりました。
1位のアラバマ大はここまで8勝無敗。試合内容も他の追随を許さない完璧なものですが、一方で彼らのこれまでの対戦相手を見ると手強いと本当に言えるチームと対戦してきていません。これが先に挙げた「ストレングス・オブ・スケジュール」の面でちょっとマイナス点ではありますが、それを加味したとしても今のアラバマ大に立ち向かえるチームがいるかといえばなかなか見つけることは出来ません。
2位のクレムソン大もまたここまで全勝中。所属するアトランティックコーストカンファレンス(ACC)が今年は非常に弱いため彼らが際立って見えます。また今後のスケジュールを見ても彼らが負けてしまうような試合は見当たりませんし、さらにACC優勝決定戦で対戦することになるコースタル地区にもクレムソン大に立ち向かうことが出来るチームは存在しません。そういった意味では彼らはこのまま無敗でシーズンを終える可能性が高く、そうなった場合クレムソン大のCFP進出はほぼ確定といえるでしょう。
3位のルイジアナ州立大は既に1敗していますが、これまで倒してきた相手(マイアミ大、アーバン大、ジョージア大、ミシシッピ州立大)を考えると彼らのSOSは極めて優良だといえます。4位のノートルダム大は開幕戦で現在5位のミシガン大を破りましたが、それ以降は際立って強いチームと対戦してきていません。ですからノートルダム大が未だ無敗であるにも関わらずルイジアナ州立大に3位を譲ったのはSOSの違いと言えるでしょう。
第2集団
5位 ミシガン大
6位 ジョージア大
7位 オクラホマ大
もしトップチームのいずれかのチームが敗戦した場合に代わりにトップ4入りしそうなのがまずこの3チームです。ミシガン大は現在7勝1敗で所属するBig Tenカンファレンスの優勝候補。今週末ペンシルバニア州立大、そしてシーズンフィナーレにはライバルであるオハイオ州立大との対戦を残してはいますが、現在までのチーム力を考えると彼らが5位にいるのは非常に妥当だといえます。
ジョージア大はルイジアナ州立大に痛い1敗を喫しましたが、先週はフロリダ大との大一番で快勝して底力を見せてくれました。今週末には所属するサウスイースタンカンファレンス(SEC)東地区の勝者を決める決戦がケンタッキー大で行われます。これに勝てばますます彼らの戦績に箔が付くことになるでしょう。
7位のオクラホマ大もテキサス大との試合に敗れて1敗していますが、彼らが1敗を守ってBig 12カンファレンスのチャンピオンに輝くことが出来れば、今持っている戦力からみてもトップ4入りしても何らおかしくないチームといえます。
第3集団
8位 ワシントン州立大
9位 ケンタッキー大
10位 オハイオ州立大
11位 フロリダ大
12位 セントラルフロリダ大
13位 ウエストバージニア大
8位以下の第3集団は可能性はあるにしても上位チームが相次いで敗れるなどしない限りはプレーオフ進出はかなり厳しいとみられるチームたちといえます。ワシントン州立大はSOSが極めて低いですし、ケンタッキー大はたとえ今週末のジョージア大をクリアしたとしても最終的にSECチャンピオンシップでアラバマ大(もしくはルイジアナ州立大)と対戦しなければなりません。またこれまでに2敗したチームがプレーオフに進出した前歴がないことを考えると2敗のフロリダ大は該当外でしょうし、セントラルフロリダ大は未だ無敗ですが、「グループオブ5」出身チームとしてSOSの低さは否めません。
しかし10位のオハイオ州立大と13位のウエストバージニア大にはチャンスはありそうです。オハイオ州立大は最終戦のミシガン大戦に勝てばBig Tenカンファレンス東地区代表として優勝決定戦に進むことが出来るでしょうし、もしそれに勝ちBig Tenチャンプとなれば上位チームにプレッシャーをかけることが出来るでしょう
またウエストバージニア大は今後テキサス大、オクラホマ大、テキサスクリスチャン大、オクラホマ州立大との試合を残していますから、もしこれにすべて勝つことが出来れば彼らの戦歴の価値は格段に上がることになります。
これ以下のチームは既に2敗をしてしまったチームばかりですし、1敗のチームは「グループオブ5」出身チームですから、それだけで彼らのチャンスは格段に落ちてしまいます。「グループオブ5」で唯一チャンスがあるとしたら無敗のセントラルフロリダ大ぐらいなもので、それにしても前述の通り彼らですら上位4チームに食い込むのは至難の業でしょう。
今後の展開
今後は誰がトップ4に最終的に残ることが出来るかが当然注目されるわけですが、展開次第では多くのシナリオが存在することになります。一番気になるのは「SECチームから2チームがトップ4に食い込むかどうか」ということです。
昨年はアラバマ大とジョージア大がプレーオフ進出を果たしました。それはアラバマ大が無敗でシーズンを突き進むも最終戦のアーバン大戦に敗れてしまいSEC優勝決定戦に進むことができなかったにも関わらず、それまでの出来が考慮に入れられ4位で滑り込んだこと、そしてSEC優勝決定戦でジョージア大がアーバン大を倒しSECチャンプとしてプレーオフに進出したことがあったからです。
現在1位のアラバマ大と3位のルイジアナ州立大は今週末に直接対決を控えています。もしアラバマ大が勝てばルイジアナ州立大は2敗目を喫することになり、おそらく彼らのプレーオフへの夢は途切れるでしょう。しかしもしアラバマ大が負ければ昨年のようなシナリオが起きないとは限らないのです。また今週末アラバマ大が勝ったとして、SECチャンピオンシップでジョージア大と対戦しこれに僅差で負けたとしたら、この1敗のせいでアラバマ大がトップ4から陥落するとは限りません。そうなればジョージア大とアラバマ大が再びプレーオフに進出するというシナリオも大いにありえます。
そうなるの困るのはBig TenならびにBig 12の優勝チームです。クレムソン大とノートルダム大は今後のそれぞれのスケジュールを考えると彼らが負けるとは考えづらく、この両チームのプレーオフ進出確率は極めて高いです。そうなるともしSECから2チームがプレーオフに進出となればBig TenとBig 12のチームはプレーオフからあぶれてしまうのです。
どちらにせよこの両チームが今週末に相まみえるということは少なからず来週に発表される第2回のCFPランキングの上位4チームの顔ぶれが変わる可能性が高いということ。ちなみにこれまで最初のランキングで3位になったチームは最終的にプレーオフに進出できていないという前歴があり、さらに言えば最初のランキングで1位にランクされたチームは優勝できないという前歴もあるそうです。このジンクスをアラバマ大とルイジアナ州立大は果たして破ることが出来るでしょうか?!
兎にも角にもこれから4週間、このランキングに振り回されながら残りのシーズンを楽しもうではありませんか(笑)。