新章!【第9週目レビュー】

新章!【第9週目レビュー】

全米ランキング上位4チーム中なんと2チームに土がついてしまったカレッジフットボール第9週目。10月31日にはいよいよ今シーズン最初の「カレッジフットボールプレーオフ(CFP)ランキング」が発表されますが、この週の各地での結果がどのようにランキングに影響するのか・・・。

大逆転!

オハイオ州立大 39、ペンシルバニア州立大 38

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Big Tenカンファレンス東地区の覇権争いだけでなく、プレーオフ進出の為にも非常に重要な試合となった全米2位のペンシルバニア州立大と同6位のオハイオ州立大の一戦は第4Qに猛追を見せたオハイオ州立大が劇的な大逆転勝利を納めこの重要な試合を制しました。

試合はキックオフをペンシルバニア州立大(ペンステート)のRBセイクワン・バークリー(Saquon Barkley)がいきなり97ヤードをリターンしてTDを奪ってペンステートが先制する展開で始まり、前半はペンステートの押せ押せムード全開でハーフタイム時に21対3とペンステートが大きくリードしてオハイオ州立大(オハイオステート)のホームスタジアムを黙らせました。

後半に入るとお互いが点を取り合って点差が縮まったり離れたりした中迎えた第4Q残り12分。35対20でペンステートリードという状況でオハイオステートが逆転する為には残された少ないチャンスを生かさなければならないという場面でしたが、QB J.T.バレット(J.T. Barrett)が痛恨のファンブル。これをペンステートに奪われていよいよ後がなくなったと思われたオハイオステートでしたが、返しのペンステートの攻撃を防いだディフェンスはペンステートのパントを見事にブロック。これを相手陣内41ヤードでリカバーしたオハイオステートがしっかりと得点に結びつけスコアを35対27とします。後からしてみればこのパントブロックが試合の流れを変える大きな転機となりました。

驚異的だったのは第4Qのバレットの神がかったプレーでした。彼は16回連続パスを成功させこのクォーターだけで3TDを奪い、この奇跡の逆転劇を演出。これまで大舞台で結果を残せないというレッテルを貼られ続けてきたバレットはこの日ハイズマン級の働きを見せチームの勝利に貢献。

また彼と同じぐらい凄かったのはオハイオステートのフロントセブン。ハイズマントロフィー候補のRBバークレーを後半マイナス3ヤードに抑え、また終盤にはペンステートのOL陣を凌駕。QBトレース・マクソーリー(Trace McSorley)に全く仕事をさせませんでした。その象徴ともいえるべきプレーがこれ。

リードオプションを試みるマクソーリーとバークレーを2人ともまとめてタックルするサム・ハバード(Sam Hubbard)です。オハイオステート攻撃陣が反撃の狼煙をあげるとディフェンス陣もそれに呼応してペンステートに追加点を許さなかったのです。

これでオハイオステートは開幕2戦目で喫したオクラホマ大戦で敗戦以降くすぶっていた鬱憤を一気に晴らし、「オハイオステート、ここにあり!」と全米中にアピールすることができました。一方ペンステートはこれまで全勝街道まっしぐらでしたが、対戦相手のことを考えるとこの強敵オハイオステートに是非勝ってプレーオフ選考委員会に好印象を与えておきたかったところまさかの返り討ちにあってしまいました。東地区内での対決で敗れた為、彼らがカンファレンスタイトルゲーム並びにプレーオフ進出を果たすのに自力でたどり着くのは厳しくなりそうです。


シンデレラエクスプレスが行く!

アイオワ州立大 14、テキサスクリスチャン大 7

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先週末無敗街道から陥落したもう一つのチームは4位のテキサスクリスチャン大。彼等は今季Big 12カンファレンスで絶好調のアイオワ州立大とアウェーで対戦しましたが、自身が犯したターンオーバーとペナルティー、そしてアイオワ州立大のもつ強運により今季初の黒星を喫しました。

アイオワ州立大は先発QBが次々と怪我で倒れるなか出番が回ってきたウォークオン(奨学金なしで自力で入部してきた選手)QBであるケヴィン・ケンプ(Kevin Kempt)が前半に2つの2TDパスを投げて前半を14対0で折り返すと、後半はディフェンス陣が踏ん張り、また前述の通りテキサスクリスチャン大の自滅もあり失点を後半最初のキックオフリターンTDのみに留めることに成功。最後も残り時間約1分でテキサスクリスチャン大が同点のチャンスを迎えたところ、マーセル・スピアーズ(Marcel Spears Jr.)がQBケニー・ヒル(Kenny Hill)のパスをインターセプト。テキサスクリスチャン大にとどめを刺したのです。

テキサスクリスチャン大のヒルはこの日今シーズン最低となる135パスヤードに留まりましたが、試合結果を左右したのは彼が犯した2つのパスINTと敵陣内3ヤードラインでのファンブルです。もちろんこれらはアイオワ州立大ディフェンス陣の頑張りが功を奏したともいえますが。

テキサスクリスチャン大に土が付いたことによりこれでBig 12カンファレンスに無敗チームが居なくなったことになります。この事実は今後同カンファレンスからプレーオフ進出チームを輩出するうえで非常にマイナス要素となりかねます。現在カンファレンスの首位はテキサスクリスチャン大、アイオワ州立大、オクラホマ州立大、オクラホマ大が1敗で並ぶ大混戦。カンファレンスタイトルゲームにどのチームが進むか、これから4週間目が離せない展開になってきました。

さらば、フロリダ大

ジョージア大 42、フロリダ大 7

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別名「世界最大の屋外カクテルパーティー(The World’s Largest Outdoor Cocktail Party)」と呼ばれるジョージア大(3位)とフロリダ大の名物対決はジョージア大が42対7でフロリダ大を一蹴。

試合開始から終わりまでフロリダ大には全くと言っていいほど勝てる見込みが内容な展開でした。ジョージア大QBジェイク・フローム(Jake Fromm)はトータルで7回しかパスを投げませんでしたが、それでもジョージア大にとっては十分すぎるほどフロリダ大は不甲斐なかったのです。

ジョージア大の売りはソニー・ミシェル(Sony Michel)とニック・チャブ(Nick Chubb)のRB二枚看板。この日は二人合わせて214ランヤードに3TDを獲得。チーム全体でも292ヤードを足で稼ぎ1キャリー平均8.2ヤードとフロリダ大ディフェンスを駆逐しました。

またジョージア大ディフェンスもフロリダ大のパワーレスオフェンスを圧倒。彼等に許したパスヤードはたったの66ヤード。ハーフタイムの時点で21対0とフロリダ大は何をしてもうまくいかず、終盤に42対0の場面で迎えた第4Q残り時間約3分でQBマリク・ザイール(Malik Zaire)がTDランを決めてようやくスコアを獲得して完封負けを防ぎました。フロリダ大のいいところと言ったらそれぐらいなもので、見ているこちらが悲しくなってくるぐらいの体たらくぶりでした。

そしてもうご存知かとは思いますが、この敗戦の翌日にフロリダ大はジム・マクエルウェイン(Jim McElwein)監督を解雇。残りの4試合で少しでもポジティブな何かを探すべく臨時HCランディ・シャノン(Randy Shannon)氏の下シーズンを乗り切ることになりました。

一方ジョージア大はこれで破竹の8連勝目を飾り、ペンシルバニア州立大が敗れたことでAPランキングで2位にまで躍り出ることになりました。このまま行けば1位のアラバマ大とのSECチャンピオンシップでの直接対決が確実なものになり、カービー・スマート(Kirby Smart)監督とその師匠であるアラバマ大のニック・セイバン(Nick Saban)監督との師弟対決が実現しそうです。

ノートルダム大、再びランクチームから白星

ノートルダム大 35、ノースカロライナ州立大 14

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今シーズン周囲の予想を上回る快進撃を続ける2チーム同士の対決はハイズマントロフィー候補RBジョシュ・アダムス(Josh Adams)を擁するノートルダム大(9位)がスコア以上の内容でノースカロライナ州立大(14位)を退け7勝目を挙げました。

アダムスはこの日強力なオフェンシブラインを盾に202ヤードのランを記録し、今季6度目の100ヤード越え、並びに2度目の200ヤード越えを達成。これで今シーズン132回のキャリーで1169ヤードを足で稼いだことになります。ちなみに第1Qに今季110回目のキャリーで1000ヤード越えを達成しましたが、これは長いノートルダム大フットボール部の歴史上もっとも最速の1000ヤード越えなのだそうです。

またQBブランドン・ウィンブッシュ(Brandon Wimbush)も前半だけで1つのランTDと2つのパスTDを記録。ノートルダム大オフェンスは主にアダムスとウィンブッシュの機動力で点を稼いでいく展開に加え、強力なディフェンス力が魅力なチーム。このパターンは1位のアラバマ大によく似ています。ノートルダム大がアラバマ大ほどの破壊力を持っているかどうかは別として、勢いだけ見れば彼らは全米でも随一のモメンタムを誇っていると言えるでしょう。

これでノートルダム大はサザンカリフォルニア大(当時11位)戦に続き2試合連続ランクチームから勝利を奪ったことになります。これで唯一の敗戦が先週3位のジョージア大のみ(しかも1点差での敗戦)ということで、このまま勝ち続ければ彼らがプレーオフに進出する可能性はどんどん大きくなることでしょう。

その他の試合

ボストンカレッジ 35、フロリダ州立大 3

2010年にフロリダ州立大のレジェンダリーコーチ、ボビー・バウデン(Bobby Bowden)氏からチームを受け継いだジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)氏ですが、フロリダ州立大はそれ以来6年間で5度の二桁勝利、5度のボウルゲームでの勝利、そして2013年にはナショナルタイトルも獲得しました。そんなフィッシャー監督はこれまで1シーズン中に5敗したシーズンを経験したことがありませんでしたが、この日ボストンカレッジに大敗してその5敗目を喫してしまいました。しかもシーズン7戦目ですでにこの嬉しくない記録を達成してしまったのです。

2勝5敗となったフロリダ州立大ですが、残りの試合を全て勝たなければボウルゲーム出場権を獲得することはできなそうです。もしボウルゲームに出場できないようなことがあれば、現在も続くボウルゲーム連続出場記録が35で途絶えかねません。

オクラホマ州立大 50、ウエストバージニア大 39

ウエストバージニア大のQBウィル・グリアー(Will Grier)は先週まで26TD獲得の上たったの5INTということで全米でも屈指の安定感を誇る選手でしたが、オクラホマ州立大相手に彼は4つものINTパスを献上。合計で5つのターンオーバーを犯しそれを起点にオクラホマ州立大は28点も獲得。これでは勝てるはずありません。

ミシガン大 35、ラトガース大 17

開幕以来トップ10を維持しながら先々週ペンシルバニア州立大に大敗してとうとうランク外に転がり落ちたミシガン大。彼等の最大の欠点はオフェンス力のなさですが、開幕時の先発QBウィルトン・スピート(Wilton Speight)が腰の怪我で欠場を余儀なくされ、その代わりに出場してきたジョン・オコーン(John O’Korn)も大した結果を残せず、ついにジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督はこのラトガース大戦の試合途中にオコーンをベンチに退け1年生のブランドン・ピータース(Brandon Peters)を投入。第2Qで7対7の同点の時点で登場したピータースはそこから3つのTDパスを投げ格下ラトガース大から35対17とダブルスコアで勝利を収めました。

ピータースのデビュー戦は14回のパス中10回を成功させ獲得したヤード数は124ヤードばかりでしたが、重要なのは1年生ながら大きなミスもなく要所要所で確実なプレーを見せたことでしょう。

怪我をしたとは言えそのまえから冴えないプレーを見せ続けてきたスピート、そしてその代役を務めることができなかったオコーンに代わりハーボー監督はようやく新人ピータースに希望の光を見出すことが出来たのでしょうか?

マイアミ大 24、ノースカロライナ大 19

ここまで全勝を続けているマイアミ大ですが、その勝ち方は決して楽だったり美しかったりするものではありませんでした。そして先週のノースカロライナ大との試合もそのトレンドに逆らうことなく「なんとか」勝利をもぎ取ることが出来たのでした。

今季未だ1勝しか挙げていないノースカロライナ大を全米8位のマイアミ大は圧倒することが出来ず、相手選手のファンブルがなければひょっとしたら逆転負けしていたかもしれないという展開にすらなっていたのです。試合時間残り3分でノースカロライナ大がTDを奪い点差を5点差に縮め、さらに返しのマイアミ大の攻撃ではこの時間帯に唯一してはいけないターンオーバーを引き起こしてノースカロライナ大がボールを土壇場で奪い逆転への絶好のチャンスを得ます。が、ラッキーなことに前述の通りノースカロライナ大はこのチャンスを自らの手でドブに捨てることになるのです。

これにすくわれたマイアミ大は辛くも逃げ切って無敗を守りましたが、楽勝すべき相手にも苦戦しているこの状況、そのうちボロが出るようなことがなければいいのですが・・・。

ケンタッキー大 29、テネシー大 26

全くいいところのないテネシー大ですが先週もそれに輪をかけて酷い試合展開を披露してしまいました。これまで30年以上負けたことがなかったケンタッキー大に敗れてしまったのです。

その負け方がまさに今季のテネシー大を象徴していました。テネシー大の5点差リードで迎えた第4Q終盤、ケンタッキー大は10プレーの後TDを奪い逆転。しかもテネシー大に残された時間はたったの33秒。当然 再逆転のためにミスは許されない状況ですが、まずは1ヤードパス、そしてフォールスタートのペナルティーを犯し、あっという間に33秒は経過。敵陣内に攻め込むことなくあえなく試合終了となってしまったのでした。

しかもこの状況になるまえにテネシー大は2つのFGを外しており、これが決まっていれば試合展開は全く違ったものになっていたでしょう。テネシー大はケンタッキー大よりも10回も多くファーストダウンを奪い、攻撃時間もケンタッキー大のほぼ倍、さらにケンタッキー大が4つもターンオーバーを犯すなどテネシー大に優位な面は揃っていましたが、それでも彼等は白星を飾ることができなかったのです。何をやってもだめなときはだめなんですね。

彼等よりもまだ成績がましなフロリダ大が監督を解雇しているのに、いまだテネシー大はブッチ・ジョーンズ(Butch Jones)監督をキープしているこの状況。ファンにとっては苛立ちが収まらない日々が更に続いていきます。

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