威信!【第15週目レビュー】

威信!【第15週目レビュー】

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雪上の激戦!

陸軍士官学校 14、海軍士官学校 13

2017年度レギュラーシーズン最後を締めくくったのが陸軍士官学校(アーミー)と海軍士官学校(ネイビー)との士官学校同士の伝統の一戦でした。第15週目唯一の試合となったこのライバリーゲームは、中立地であるペンシルバニア州フィラデルフィアのリンカーンファイナンシャルフィールドで行われましたが、当日アメリカ北東部を襲った降雪にこの試合も見舞われ雪が降り積もる中その寒さも吹き飛ぶような熱い試合を見せてくれました。

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この宿敵対決ではここ何年もネイビーがアーミーを圧倒してきましたが、昨年アーミーが積年の鬱憤を晴らすべく15年ぶりにネイビーから勝利を挙げ、アーミーにとっては連勝を狙うべく、またネイビーにとっては雪辱を晴らすべく意地と威信をかけた戦いが繰り広げられました。今季ネイビーは珍しく敗戦試合が重なり何とかここまで6勝を挙げてボウルゲーム出場権をギリギリ確保するという厳しい展開。一方アーミーは今季も昨年の勢いを持続してこの試合までにすでに8勝を挙げるなどしてネイビーとの立場が逆転。しかしこの試合はここまでの両チームの出来などは全く関係ない、ただ単にライバルである相手に勝ちたいというプライドをかけた試合になったのです。

双方とも超ラン重視オフェンスを擁するチームで、この日アーミーのラッシュ回数49回に対してネイビーは46回。一方パス回数はというとネイビーは2回だったのに対しアーミーはたったの1回(!)という徹底さ。降雪という天候もある程度このプレーコーリングに影響したとは思われますが、それにしてもとにかく選手と選手のぶつかり合いがひたすら続いた、オールドスクールでありながら大変見応えのある試合でした。

この試合ではネイビーQBマルコム・ペリー(Malcolm Perry)のランが光りました。QBでありながらオプションフットボールの恩恵を受けて一人で250ヤードも足で稼ぐ大車輪の活躍。その彼のパフォーマンスもあり第4Qにはネイビーが13対7でリードを奪いいよいよ彼らがこのまま逃げ切るか、という状況を作り上げました。

しかし昨年ネイビーを倒す原動力となったQBアーマッド・ブラッドショー(Ahmad Bradshaw)が今年もアーミーを引っ張り、残り時間約5分というところで彼の1ヤードTDランが決まって土壇場で14対13と再びリードを奪い返します。

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ネイビーもただでは転ばず、最後のドライブでアーミー陣内へ襲い掛かり、また4thダウンであとがない状況でペリーがボールを一度ファンブルするもそれを自らリカバリーしてファーストダウンを奪う荒技を見せるなどしFG圏内へ進撃していきます。

そしてFGが決まれば逆転勝利というシチュエーションを迎えますが、キッカー、ベネット・モーリング(Bennett Moehring)の48ヤードFGトライは無情にもゴールポスト左側をかすめ、そのまま試合終了。ペリーらネイビーの選手はうなだれ、アーミーの選手らは雪が降り続くフィールド上に歓喜の輪を作ったのでした。

この勝利でアーミーはネイビーと空軍士官学校(エアフォース)の間で争われる「コマンダーインチーフ(米軍総司令官)トロフィー」を1996年以来ぶりに獲得。またアーミーがネイビー大から連勝したのはこれまだ1996年度以来。アーミーはこの時以降からラン重視を捨ててパス重視に方向転換していましたが、その結果チームは下降線の一途を辿っていきました。しかしオプションオフェンスの使い手であるジェフ・モンケン(Jeff Monken)監督を2014年に招聘してラン重視オフェンスを復活させるとチームも徐々に上向きになり、昨年は8勝5敗で6シーズンぶりに勝ち越しシーズンを記録すると今年はさらにそれを上回る9勝3敗という立派な戦績を残しました。

全米でもトップクラスのライバリーであるこの「アーミー・ネイビー」ゲーム。ここ最近はネイビーがアーミーを蹴散らしてき続けましたが、アーミーが力をつけてきたためライバリーというにふさわしい試合を見せてくれるようになりました。「パワー5」の大御所チームによく見られるようなパスが飛び交うような派手な試合ではありませんが、選手と選手の純粋な力比べになるパワーオプションフットボールは見ていて本当に爽快です。

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