開幕!【第1週目レビュー】

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色々立て込んで第1週目のレビューに取りかかれませんでしたが、ようやく更新できました。本格的な2017年度シーズン開幕となった先週末、アメリカの祝日「レイバーデー(勤労感謝の日?)」であった月曜日まで各地で熱戦が繰り広げられました。

アラバマ大 21 フロリダ州立大 7

全米1位アラバマ大と3位のフロリダ州立大との間で行われた2017年度シーズンの開幕戦でもっとも注目されたこのメガマッチ。結果はアラバマ大が21対7でフロリダ州立大を退け大きなテストマッチをクリアーしました。

試合は非常にスローなスタートで(アラバマ大としてはいたって普通な展開でしたが)アラバマ大が10対7とリードして前半を折り返します。そして後半に入るとアラバマ大のスペシャルチーム、そしてディフェンスがフロリダ州立大からターンオーバーを誘い点差を広げ21対7とします。前半リードされながらも勢いづいていたフロリダ州立大でしたが、自らのミスで自滅し完全に流れをアラバマ大に持って行かれると第4Qには先発QBデオンドレ・フランソワ(Deondore Francoise)が左ひざを負傷して退場。完全に逆転のチャンスを失ったフロリダ州立大はアラバマ大得意のランオフェンスで持ち時間を削られ結局そのまま21対7でアラバマ大が勝利。全米中が注目した決戦は派手さはないものの、ディフェンス好きのファンには非常に見応えのある試合となりました。

アラバマ大は今季2年生でハイズマントロフィー候補にも挙げられるQBジャレン・ハーツ(Jalen Hurts)が出場。新オフェンシブコーディネーターのブライアン・デイボール(Brian DaBoll)氏の采配に注目が集まりました。この日ハーツが放ったパスはたったの18回。成功したのは10回ほどでトータルヤードも96ヤード。しかし要所でパスをつなぎスターWRカルヴィン・リドリー(Calvin Ridley)へのTDパスも決めました。

アラバマ大オフェンスを支えたのは伝家の宝刀、ランアタックでした。ハーツに加えダミアン・ハリス(Damien Harris)、ボ・スカーボロー(Bo Scarbrough)らで173ヤードを足で奪う「アラバマ大らしい」攻撃。特に後半はこれが自身の攻撃権を持続させ、結果フロリダ州立大に反撃のチャンスを与えないという副産物も生み出すことに成功しました。

またチームの一番の強みであるディフェンスもフロリダ州立大のランオフェンスをたったの40ヤードに抑え込む見事なパフォーマンス。さらにはスペシャルチームもFGブロック、パントブロックや相手キックオフリターンでファンブルを誘うなど相変わらずその威力を発揮。スコアに大きな差は出ませんでしたが、内容的にはフロリダ州立大の自滅も相まってアラバマ大の王道な勝ち方で幕を閉じたのでした。

アラバマ大にとっては4年連続プレーオフ進出に向けて全米3位チームを下すというまたとない船出となりましたが、フロリダ州立大にしてみれば試合に負けただけでなく、先発QBフランソワが怪我でシーズン絶望となるなどダブルパンチを食らう出だしとなってしまいました。もっとも彼らのディフェンスはアラバマ大に十分機能していた(途中までは)と思いますので、必ずしもこれでシーズンが終わってしまったとは思いませんが。

サザンカリフォルニア大 49 ウエスタンミシガン大 31

昨年度の勢いを受けて今年全米4位にランクされていたサザンカリフォルニア大でしたが、この日はウエスタンミシガン大に大苦戦。昨年快進撃を見せたウエスタンミシガン大とはいえ、今季はその快進撃を演出したP.J. フレック(P.J. Fleck)監督不在(ミネソタ大に移籍)ということでサザンカリフォルニア大にしてみれば「カモ」な相手なはずでしたが、途中までリードを許すという大失態。最後はなんとか突き放しましたが、先行き不安な出発となってしまいました。またハイズマントロフィー最有力候補とも言われるQBサム・ダーノルド(Sam Darnold)は289ヤード投げはしましたがTDはゼロ、さらにINTも2つも献上してしまうなど、トロフィーレースに不安を残す出だしとなりました。

クレムソン大 56 ケント州立大 3

昨年のディフェンディングチャンピオン、クレムソン大は全米5位発進。開幕戦の相手はケント州立大でしたが、当然のごとく相手を一蹴。56対3という大差でホームゲームを白星で飾りました。注目が集まったのは昨年までの攻撃陣のカリスマ的存在出会ったQBデショーン・ワトソン(Deshaun Watson)の後継者であるケリー・ブライアント(Kelly Bryant)の出来でしたが、投げては236ヤードに1TD(1INT)、走っては77ヤードに1TDと活躍。彼自身は「でショーンをコピーするつもりはない」と言っていましたが、そのプレーはまさにワトソンを彷彿とさせるものでした。走る能力だけみればひょっとしたらワトソンよりも上かもしれません。今季はACCレースではフロリダ州立大が有利と言われていましたが、アラバマ大戦での敗戦もあり、クレムソン大がすでにその構図を逆転したと言えるかもしれません。

ペンシルバニア州立大 52 アクロン大 0

全米6位のペンシルバニア州立大は格下アクロン大相手に52対0と完封勝利。QBトレース・マクソーリー(Trace McSorley)とRBサクオン・バークレー(Saquon Barkley)のダイナミックデュオが大活躍。昨年成し得なかったプレーオフ進出に向けてまずは確実に1勝をものにしました。

ミシガン大 33 フロリダ大 17

全米11位のミシガン大と17位のフロリダ大の対決はアラバマ大vsフロリダ州立大の一戦に次いで注目された試合でした。この試合に先立ち両チームがなかなか先発ロースターを発表しないという不穏な空気が流れましたが、フロリダ大はスターWRアントニオ・キャラウェイ(Antonio Callaway)ら10人をチームのルール違反で不出場にするという、試合開始前から苦しい状態でした。注目された先発QBはフェリペ・フランクス(Feleipe Franks)でしたが9投中5回しかパスを成功させることができず、ノートルダム大からの転校生であるマリク・ザイール(Malik Zaire)に交代させられてしまいます。しかしそのザイールもオフェンスをコントロールすることができず、奪えた17点はFGと二つのディフェンスINTからのTDだけでした。2年連続SEC東地区を制したチームとはいえ、軸となる選手が見当たらない不安だらけの船出となりました。ちなみにこの敗戦でフロリダ大が保持していた連続開幕戦勝利記録が27でストップしました。

ミシガン大は引き続きその強力なディフェンスで試合をコントロール。フロリダ大のグラウンドアタックをたったの11ヤードに抑え、ファーストダウンも9つしか与えず、相手に仕事をさせませんでした。QBウィルトン・スピート(Wilton Speight)にとってはベストゲームとは程遠く、前述の通りフロリダ大DBに二つもINTを献上し、しかもどちらもエンドゾーンへ運ばれるという失態を見せましたが、まずは大きなテストマッチをパスしたと言えるでしょう。

アーバン大 41 ジョージアサザン大 7

全米12位のアーバン大ジョージアサザン大との開幕戦では、ベイラー大からの転校生QBジャレット・スティッドハム(Jarrett Stedham)が満を持して登場。24投中14回パスを成功させ、2TDを含む185パスヤードに1つのランTDも納めるまずまずの出だし。651日ぶりの実戦となったこの試合にスティッドハム自身は満足していないようですが、おそらく場数を踏めば試合感がどんどん戻ってくるでしょうから、今後の彼の活躍には注目したいです。

バージニア工科大 31 ウエストバージニア大 24

日曜日(9月3日)に行われた全米21位のバージニア工科大と22位ウエストバージニア大の間で行われた、元Big Eastカンファレンス同士の戦いは前半戦をお互いのディフェンス陣のぶつかり合いで折り返した後、後半にお互いのオフェンスが点取り合戦を展開。その中でも光ったのがバージニア工科大の1年生QBジョシュ・ジャクソン(Josh Jackson)。投げては238ヤード、走ってもチームトップとなる101ヤードを記録し、かつて活躍した卒業生マイケル・ヴィック(Michael Vick)氏を思いおこさせる縦横無尽のプレーを見せました。

一方ウエストバージニア大は元フロリダ大のQBウィル・グリアー(Will Grier)の再デビュー戦となったこの試合。371パスヤードに3TD、52ランヤードを記録するなど素晴らしい数字を記録。最後もバージニア工科大を猛追するファイナルドライブを演出しましたが、後一歩及ばず。試合には負けましたが、ウエストバージニア大にとっては今季の活躍を期待できそうな試合展開を見せてくれました。

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メリーランド大 51 テキサス大 41

トム・ハーマン(Tom Herman)新監督率いる新生テキサス大は彼への期待からかプレシーズンランキングで23位につけましたが、どうやらこれは過大評価だったようです。というのもホームでの開幕戦でメリーランド大に51点も奪われて敗退してしまったからです。メリーランド大は確かに昨年上昇の兆しを見せたチームでしたが、それでも名門テキサス大がホームで勝てない相手ではないはず。しかもディフェンスが51点も献上してしまうというのは情けない話です。オハイオ州立大で鳴らしたハーマン監督はヒューストン大を数年で強豪チームに育て上げ、その手腕を見込まれてテキサス大の監督に就任しましたが、なんともほろ苦いスタートとなってしまいました。

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テネシー大 42 ジョージア工科大 41 (2OT)

開幕戦ウィーク最後の試合となった全米25位テネシー大ジョージア工科大の一戦も大変エキサイティングな試合となりました。試合終了間際にTDを奪ってテネシー大がジョージア工科大に追いつき同点としてオーバータイムに突入すると2度目のOTで後攻のジョージア工科大がTDの後に2ポイントコンバージョンを敢行。決まればジョージア工科大勝利となる中、テネシー大ディフェンス陣が決死のゴールラインスタンドを見せてそれを阻止。見事テネシー大が勝利をもぎ取りました。

未だにトリプルオプションを主体とするオフェンスを起用しているジョージア工科大はこの日なんと535ランヤードを記録。これは敗戦チームとしてはFBS史上最多ランヤードということです。個人的にはトリプルオプションが大好きなので、ぜひジョージア工科大には勝ち星を掴んで欲しかったのですが・・・。ただどちらにしても見ごたえたっぷりな試合でした。

UCLA 45 テキサスA&M大 44

今週に行われた試合でおそらく最も度肝を抜かれたのはこのUCLAテキサスA&M大の一戦でしょう。

第3Q残り時間4分を切った時点でテキサスA&M大はUCLAに34点差をつけて、彼らの勝利を誰もが確信しましたが、ここからULCAが怒涛の反撃に打って出ます。ULCAのQBジョシュ・ローゼン(Josh Rosen)がここから破竹の5連続TDを決め、なんと試合終了43秒前に34点差をひっくり返して逆転したのです。彼らの最後9分間の攻めは凄まじく、この間だけで396オフェンスヤードに4TDを奪い奇跡の大逆転を演出したのでした。

テキサスA&M大はQBニック・スターケル(Nick Starkel)を第3Qに足の骨折で失いましたが、それでもディフェンス陣のこの崩壊ぶりをすれば否が応でもケヴィン・サムリン(Kevin Sumlin)の監督能力を疑ってしまいます。すでに大学のお偉様方は今すぐにでもサムリン監督を解雇せよと息巻いているようです。果たしてサムリン監督は今シーズンを無事乗り消えれることができるでしょうか?