第4週目レビュー

カレッジフットボール4週目も前週に負けず劣らずエキサイティングな試合が多くありました。特にオーバータイムにもつれ込んだ2つの試合は見応え充分。現地では次第に気温が落ち着いてきて秋の予感がたっぷりな中、今シーズンのカレッジフットボールはその熱さを増してきています。

今週の注目のゲーム

アラバマ大45、テキサスA&M大23

なんでこの試合に注目していたかと言ったら、ひょっとしたらテキサスA&M大が王者・アラバマ大から大金星を奪うんじゃないかと密かに思っていたからなのです。しかしその予想は見事に外れてしまいました。

第1Qこそ14対7で得点差はわずかでしたが、第2Qに入ると点差は次第に広がりハーフタイムの時点で31対13とアラバマ大が余裕のリード。そして後半もそのままアラバマ大が得点を重ねて結局ファイナルスコアは45対23と圧勝。全米22位のA&M大を寄せ付けず王者の風格で4勝目を挙げました。

ハイズマントロフィー候補にも挙げられているアラバマ大QBトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)387パスヤードに4TDとほぼ完璧なパフォーマンス。これまでのアラバマ大と違い、ランオフェンスを主体にオフェンスを組み立てるのではなく、タガヴァイロアのパス能力とディフェンスを読む力でパスでも十分に相手を切り崩せるところに今年のアラバマ大のさらなる進化の形を見ることができます。

ちなみにこれまで4試合でのアラバマ大の得失点差は164点ですが、これは開幕後4試合での数字としてはFBSにおいて1970年以来の好ポイントということです。この1970年のチームというのが何を隠そうレジェンドであるベアー・ブライアント(Paul “Bear” Bryant)監督率いるアラバマ大。得失点差が170点だったこの年のアラバマ大は12勝0敗で見事ナショナルチャンピオンに輝きました。今年の彼らは1970年シーズンの再現を果たすことが出来るでしょうか?

AGS’s Best Game of The Week

オクラホマ大28、陸軍士官学校21(OT)

全米5位のオクラホマ大が陸軍士官学校(アーミー)をホームに迎えたこの一戦。オクラホマ大が楽勝するかと思われたこの試合は思わぬ接戦となり、オーバータイムにまでもつれ込む激戦となりました。

オクラホマ大は今年2年目で多彩なスプレッドオフェンスを操るリンカーン・ライリー(Lincoln Riley)監督の下、ハイズマントロフィー候補とされるQBカイラー・マレー(Kyler Murray)が大活躍中。一方のアーミーはカレッジフットボールで絶滅の危機に瀕しているオプションオフェンスを擁する、ラン主体のチーム。

オクラホマ大の先攻で始まった試合はマレーのTDパスでスコアしてオクラホマ大が先制。この攻撃にかかった時間は約2分半でした。そして後攻のアーミーは得意のトリプルオプションオフェンスで地味ながらじわじわとオクラホマ大陣内へ進出し、最後はRBコナー・スモルカ(Connor Smolka)の1ヤードTDランが決まって7対7と同点にします。この間アーミーは16回のプレーで実に9分半もかけて攻撃権を維持し続けたのです。

そんな中オクラホマ大はさっそうとフィールドを駆け抜けて再び2分ちょっとの攻撃でTDを獲得しあっさりアーミーを突き放します。このような展開が試合を通して続き、前半お互いたったの4度の攻撃だけでハーフタイムを迎えます。この時点でオクラホマ大が21対14で試合をリード。

後半に入り第3Qにはオープニングドライブでアーミーがファーストダウンを一つも奪えずに攻撃権をオクラホマ大に譲りますが、アーミーディフェンスがマレーのパスをインターセプト。このチャンスを逃さずに今度は19回(!)のプレーで10分かけて進撃しTDを奪って21対21の同点とします。この時点ですでに第3Qは終了間際。このようにアーミーは怒涛のランオフェンスで時間を削りながら確実に得点を重ね、オクラホマ大の攻撃陣に攻めるチャンスを与えないという展開で僅差のゲームに持ち込んだのです。

そして運命の第4Q、オクラホマ大はあっという間にアーミーのレッドゾーンへ侵入しますが、ここでアーミーディフェンスが踏ん張り、4th&ゴール@1ヤードラインのオクラホマ大のアタックを見事阻止。同点のままアーミーが攻撃権を奪い返します。このまま時間を削りながらオクラホマ大陣内へ急襲をかけ、TDないしFGで勝ち逃げというシナリオも十分ありえましたが、再び10分かけてオクラホマ大へ進撃したアーミーは土壇場で3rd&14という(オクラホマ大陣内34ヤード地点)難しい距離を残します。

ここで彼らは得意のオプションでヤードを縮めるのではなく、パスプレーを敢行。これが無情にもインターセプトされチャンスが最大の危機に様変わりしてしまいます。

試合時間残り約2分でボールを奪ったオクラホマ大は案の定プレーを成功させ続けてあっという間にアーミー陣内10ヤード地点まで侵入。そして残り2秒を残してFGが決まれば彼らが勝ち逃げ出来るという状況をセットアップしました。しかしなんとキッカーがFGを外し、試合はオーバータイムに突入。

OTではオクラホマ大の先攻で始まり、マレーのたった2つのパスでTDを決めて先制。対するアーミーは痛いフォルススタートで2nd&12ヤードという長い距離を残し、運命の4thダウンではここでも得意とはいえないパスプレーを敷いられそれが再びインターセプトされてしまい試合終了。夢のアップセットは泡と消えてしまいましsた。

しかし個人的に大好きであるトリプルオプションを未だ駆使し、しかも大御所オクラホマ大に真っ向から立ち向かっていくアーミーの選手たちの姿は非常に清々しく爽快でした。ちなみにこの試合の両チームのボール保有時間はオクラホマ大が15分19秒だったのに対してアーミーは脅威の44分41秒!奪ったファーストダウンはオクラホマ大が19個でアーミーが26個、ランヤードはオクラホマ大が190ヤードだったのに対してアーミーが339ヤード。とにかく普通では見られないような試合だったのです。

これこそカレッジフットボールでなければ味わえない醍醐味。ここ最近で見た試合で個人的にはハマった試合でした。下にフルゲーム動画をシェアしますので見ていない方はぜひチェックしてみてください。

スタンフォード大38、オレゴン大31(OT)

7位のスタンフォード大と20位のオレゴン大のPac-12カンファレンス戦もオーバータイムで決着がつくという非常にドラマチックな試合となりました。

前半からホームのオレゴン大はQBジャスティン・ハバート(Justin Herbert)を中心としたダイナミックなオフェンスでスタンフォード大ディフェンスを翻弄。24対7と勢いに乗ったオレゴン大リードで前半を折り返します。

第3Qに入ってもスタンフォード大はオレゴン大オフェンスに為す術を持ちませんでしたが、第3Q残り4分を切ったところでスタンフォード大に転機が訪れます。怒涛の攻撃を見せスタンフォード大陣内へ攻め込むオレゴン大はRBサイラス・ハビビ・リキオ(Cyrus Habibi-Likio)が17ヤードのTDランを見せたかに見えましたが、ビデオ判定にてこれが覆り、スタンフォード大陣内4ヤードラインからオレゴン大が仕切り直しの攻撃を再開。しかしここでオレゴン大は2つのファンブルを犯し、2つ目のファンブルをスタンフォード大が拾い上げて80ヤードのリターンTDを奪います。これでスコアは24対14に。

さらに第3Q終了間際にスタンフォード大のエースRBブライス・ラブ(Bryce Love)がTDランを決めスコアは24対21といよいよスタンフォード大に手が届くところまでやってきました。しかしオレゴン大も黙って見ているだけではなく、スタンフォード大の4thダウンコンバージョンを食い止めたオレゴン大オフェンスが、傾きかけていた流れを食い止めるTDを決め、試合残り時間5分弱というところで31対21と土壇場で点差を広げることに成功。

しかしここででドラマは終わりません。この日ハバートと同じくらいパスで冴えていたスタンフォード大のQB K.J.コステロ(K.J. Costello)の15ヤードのTDパスが決まって31対28と3点差まで詰め寄ります。

攻撃権を得たオレゴン大は時間を削りながら敵陣へ侵入。そして残り1分半というところで膝をついて残り数秒を残してパントするという作戦も取れたところを敢えて1stダウンを奪ってスタンフォード大にとどめを刺すことを選択します。そしてそれが裏目に出るのです。

残り1分を切ったところでオレゴン大RB C.J.  ヴァーデル(C.J. Verdell)がまさかのファンブル。これをまんまとスタンフォード大がリカバリーしてオレゴン大を急襲。最後は試合終了と同時にFGが決まって31対31の同点に。最大17点差あったものをスタンフォード大が追いついたのです。

オーバータイムでは先攻のスタンフォード大が2プレー後にコステロからTEコルビー・パーキンソンズ(Colby Parkinsons)へのパスが通ってこの日初のリードを奪います。そして後攻のオレゴン大の攻撃では4th&ゴールというところでハバートのパスがインターセプトされ万事休す。スタンフォード大が奇跡的な大逆転勝利を収めたのでした。

オレゴン大は常にオフェンス力でスタンフォード大ディフェンスを上回っていましたが、先にも挙げた不運なファンブルに加え、コーチ陣の戦略ミスもあり、試合終了に向けて勝ち方を熟知していないような姿が目立つ一方、スタンフォード大はオレゴン大のオフェンスに翻弄されながらも、常に落ち着いて機会を狙い、ラッキーな面もあったにせよ試合を物にする術を知っているように見えました。

スタンフォード大はこれで無敗を守りカンファレンスレースで大きな一歩を踏み出しました。オレゴン大は敗れたものの、ハバートという逸材、そしてこの日239ヤードものレシーブヤードを記録したWRディロン・ミッチェル(Dillon Mitchell)の大活躍もあり、彼らが十分このカンファレンスで戦っていけるという姿を見せてくれました。

上位チームの動向

2位のジョージア大は今季ナンバーワンQBと名高いドリュー・ロック(Drew Lock)率いるミズーリ大と対決。ミズーリ大はジョージア大に前半から必死に食らいつきますが、地力で勝るジョージア大が徐々に点差を突き放し、結局43対29で貴重なカンファレンス戦での勝利を獲得。ジョージア大ディフェンスはロック相手に一つもTDを与えないばかりか、パスINTも一つ獲得するなどして完全攻略。

ジョージア工科大と対戦した3位のクレムソン大は、立ち上がりから先発QBケリー・ブライアント(Kelly Bryant)が冴えず、3ポゼッション目には期待の新人トレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)が登場。176パスヤードに4TDとチームを勝利に導きました。いよいよローレンスの時代の到来を予感させる試合となりました。

4位のオハイオ州立大はトゥレーン大をホームに招きましたが、それよりも3試合の謹慎処分が解けこの試合からサイドラインに復帰するアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督にスポットライトが当たりました。試合は当然ながら彼らが楽勝。スターDEニック・ボーサ(Nick Bosa)が怪我で戦線離脱を余儀なくされていますが、いまのところボーザ不在でも何とかやっていけそうなところを見せてくれました。

8位のノートルダム大はウェイクフォレスト大とのアウェーゲーム。このゲームでは前年度からの先発QBで今シーズンはここ2試合で苦戦しているブランドン・ウィンブッシュ(Brandon Wimbush)をベンチに下げ、イアン・ブック(Ian Book)を投入。これが功を奏したのか56対27で相手を粉砕。ブックは325パスヤードに2TDと先発デビューを華々しく飾りました。これで完全にノートルダム大のオフェンスはブックのものになるでしょう。

10位のワシントン大は今季何かと注目を浴びているアリゾナ州立大と対戦。ハーム・エドワーズ(Herm Edwards)新監督率いるアリゾナ州立大は予想通りワシントン大の前に堂々と立ちはだかりましたが、最後はワシントン大が相手を振り切って辛くも勝利を収めました。

6位のルイジアナ州立大、9位のアーバン大、10位(タイ)のペンシルバニア州立大はそれぞれ難なく白星を重ねトップ10チームの威厳を守りました。

番狂わせ!

オールドドミニオン大49、バージニア工科大35

第4週目の最大の番狂わせは何と言っても13位のバージニア工科大はランク外で全敗中のオールドドミニオン大に49対35というスコアで敗れてしまったことです。

オールドドミニオン大はバックアップQBブレイク・ラルーサ(Blake LaRussa)が脅威の495パスヤードに4TDとバージニア工科大ディフェンスを翻弄。また彼らの巨漢RBジェレミー・コックス(Jeremy Cox)は130ランヤードに2TDと相手フロントセブンを文字通りなぎ倒していく走りで圧巻。ここまで3連敗したチームとは思えないパフォーマンスで見事に格上のバージニア工科大から大金星を獲得しました。ちなみにオールドドミニオン大にとってこれは史上初の「パワー5」チームから奪った勝利となりました。

一方のバージニア工科大にとってはあってはならない敗戦を食らってしまっただけでなく、エースQBジョシュ・ジャクソン(Josh Jackson)が第4Qに足の怪我で戦線離脱。どうやら重症なようですので今後の彼らのシーズンに大きく影響する可能性があります。アウェーで格下に負け、おまけに先発QBを失うとはバージニア工科大にとっては踏んだり蹴ったりです。

ケンタッキー大28、ミシシッピ州立大7

今季これまで3連勝と波に乗り全米ランキング14位でケンタッキー大に乗り込んだミシシッピ州立大。SEC西地区内で第4の刺客としてアラバマ大、アーバン大、ルイジアナ州立大との対決に臨みたかった彼らですが、思わぬところで足元を救われました。というよりも完敗してしまったのです。

ミシシッピ州立大のOL・DL陣はSEC内でもトップクラスの実力を持つと言われてきましたが、その彼らをケンタッキー大は見事に攻略。敵に付け入る隙きを与えず4勝目を挙げ、逆にSEC東地区にケンタッキー大ありというところを見せつけてくれました。

ケンタッキー大はRBベニー・スネル(Benny Snell)が164ヤードに4TDというモンスターナイト。スネルはこれまで4試合中3試合で100ヤード超えを果たし、TDも8TDを獲得。また彼のアグレッシブなパーソナリティもありスネルには現在ちょっとしたスポットライトが当たっています。

ちなみにケンタッキー大は今年SEC戦2連勝中。これは1977年以来の快挙であり、ケンタッキー大のあるレキシントン市は地元チームの快進撃に湧いています。

テキサス工科大41、オクラホマ州立大17

先週ボイジー州立大を倒して一気に15位にまで上昇してきたオクラホマ州立大。オクラホマ大とウエストバージニア大の二巨頭の争いと見られていたBig 12カンファレンスレースに名乗りを上げてきたと思われていた彼らですが、なんとホームでアンランクのテキサス工科大に大敗するという失態を犯してしまいました。

テキサス工科大はQBアラン・ボウマン(Alan Bowman)の397パスヤードに2TD(2INT)というパフォーマンスに助けられアウェーで大金星。対オクラホマ州立大戦連敗記録を「9」でストップさせ、貴重なカンファレンス戦1勝目を挙げました。中々結果が出ないクリフ・キングスバリー(Kliff Kingsbury)監督ですが、個人的にはなぜか気になる存在なので彼が解雇されないためにも今年こそ是非ともある程度の結果を残してもらいたいものです。

Elsewhere…

フロリダ大47、テネシー大21

かつてSEC東地区の覇権を争っていたこの両チーム。現在両チームともランク外ですが、フロリダ大がアウェーのネイランドスタジアムでテネシー大を粉砕。東地区はジョージア大の独走態勢が続いていますが、フロリダ大が少しでもその勢いを止めることが出来るでしょうか。テネシー大は再建途中であることは明白ですが、復活するまでは予想以上に時間がかかりそうです。

シラキュース大51、コネチカット大21

シラキュース大はコネチカット大に勝利して開幕後4連勝目を飾りました。彼らが最後に4連勝スタートを切ったのは1991年のこと。今季は既にフロリダ州立大からも白星を奪い、いよいよ今週末は昨年大金星を獲得したクレムソン大と対決です。

ミシガン大56、ネブラスカ大10

今季からネブラスカ大の指揮を執るスコット・フロスト(Scott Frost)監督ですが、古豪復活までには予想以上の時間がかかりそうです。ミシガン大にこてんぱんにされた試合後、フロスト監督も「我々はいまどん底にいる」と認めました。チームが開幕以来3連敗を記録するのは第2次世界対戦が終わった1945年以来のこと。就任時には歓迎ムードに湧いていたネブラスカ大ファンたちですが、厳しい現実を突きつけられ今年は心房の年であることを認識させられたことでしょう。

 

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