第2週目レビュー

開幕週だった先週の何とも言えない興奮から1週間経ち、通常シーズンの雰囲気を取り戻したカレッジフットボール第2週目。この週末も各地で熱戦が繰り広げられました。

注目のゲーム

クレムソン大28、テキサスA&M大26

前年までフロリダ州立大を指揮し、今年から鳴り物入りでテキサスA&M大の再建を託されたジンボ・フィッシャー(Jimbo Fisher)監督。彼の指揮する新生A&M大が強豪クレムソン大に対してどこまでやれるのかが注目されたこのマッチアップ。

テキサスA&M大オフェンスは全米最強とも言われるフロントセブンを擁するクレムソン大ディフェンスに対してコンシスタントにボールを動かして敵陣内に攻め込みましたが、肝心なところで得点まで至らない展開が序盤続き、そのすきにクレムソン大が得点を重ねていきます。

足の痙攣のためベンチへ下がるのを余儀なくされていたA&M大QBケレン・モンド(Kellen Mond)がフィールドに戻ってきた第3Q後半、ようやく彼らはTDを奪って点差を21対13と縮めます。しかしクレムソン大も即座に反撃し28対13で試合は第4Qへ。

しかしここで引き下がらないA&M大。モンドが75ヤードのドライブを演出して最後はTDパスを決めて28対20とし、TDと2ポイントコンバージョンで同点に追いつくところまですがりつきます。その後膠着状態が続くも第4Q終盤にいよいよA&M大がクレムソン大陣内に強襲。試合を同点の振り出しに戻す絶好のチャンスが訪れますが、WRクォートニー・デーヴィス(Quartney Davis)が決死のダイブでエンドゾーンへダイブするもその直前にボールをファンブル。ビデオ判定にも持ち込まれましたが結局ファンブルの判定は覆ることなく、残り3分を切ってクレムソン大に攻撃権を譲渡することになり、ボルテージが最高潮に上がっていたホームスタジアムの熱気が一気に冷めてしまうことに。

しかしドラマはここで終わりません。ファーストダウンを奪って時間稼ぎをしさえすればよかったクレムソン大オフェンスはあっけなく攻撃権をA&M大に譲渡することになり、試合終了間際にモンドからWRケンドリック・ロジャース(Kendrick Rodgers)への24ヤードTDパスが決まってスコアは28対26に。2ポイントコンバージョンが決まれば同点でオーバータイムという機運が流れますが、モンドの決死のパスがエンドゾーンでインターセプトされ万事休す。怒涛の逆転劇の試みはあと少しというところで完遂することはありませんでした。

しかし全米2位のクレムソン大にここまで食らいついたのはフィッシャー体制となったテキサスA&M大の今後に大きな希望を持たせてくれるには十分でした。何しろ前コーチ陣のリクルート選手だけでここまでのチームをまとめ上げてきたのですから。

また辛勝したクレムソン大ですが、アウェーで戦いづらい中苦しみながらも白星を奪えたことは今後のことを考えれば大きな収穫です。そしてシーズンを通してA&M大が全米ランキングに飛び込んくればば、この勝利はプレーオフに向けて大事なポイントとなってくることでしょう。

さらにこの試合で注目されたのはクレムソン大の期待の新人QBトレヴァー・ローレンス(Trevor Lawrence)が途中出場して先発QBケリー・ブライアント(Kelly Bryant)を脅かすことになるのか、ということでした。その構図はアラバマ大のトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagoviloa)とジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)のバトルに似ていますが、第2Qに投入されたローレンスは一投目でいきなり64ヤードのTDパスを成功させてその器の大きさを見せつけました。しかし後半は苦戦してルーキーとしての経験不足が露呈。結局落ち着きを取り戻したブライアントが再度投入されそのまま試合終了のホイッスルを聞くことになりました。

ローレンスのポテンシャルの高さは十分確認できましたが、今のところクレムソン大のオフェンスリーダーはブライアントになりそうです。

それよりも心配されるのはクレムソン大のパスディフェンスです。A&M大のモンドに430ヤードも投げられたのは失点を26点に抑えたことを踏まえたとしても不安材料に変わりはありません。ディフェンシブコーディネーターのブレント・ヴェナブルズ(Brent Venables)氏の今後の大きな課題と言えそうです。またそれは同時にフィッシャー監督にとってはモンドという逸材の覚醒を目の当たりにできたということが大きな収穫となったことでしょう。試合の結果云々よりもどちらのチームもそれぞれに得るものがあった非常にいい試合となったのでした。

AGS’s Game of the Week

コロラド大33、ネブラスカ大28

カンファレンス拡張(エクスパンション)によってコロラド大はPac-12カンファレンスへ、そしてネブラスカ大はBig Tenカンファレンスへ移籍しましたが、元Big 12カンファレンス、そしてもっと遡ればBig 8カンファレンス時代からのライバルであるこの両校の一戦にも注目されました。しかしそれ以上にこの試合が注目されたのは、ネブラスカ大の新監督、スコット・フロスト(Scott Frost)監督のデビュー戦となったからです。

ネブラスカ大といえばトム・オズボーン(Tom Osborne)元監督指揮下で70年代から90年代まで一斉を風靡しました。誰にも止めることのできないトリプルオプションオフェンスでその名を欲しいままにしましたが、1997年のオズボーン氏現役最後の年に全米制覇を成し遂げて以来チームは中々過去の栄光を取り戻すことができませんでした。

そこに現れたのがフロスト監督です。フロスト監督は何を隠そうネブラスカ大が最後にナショナルタイトルを獲得した時のキャプテンであり、その氏がコーチングの道で成功し出し、オレゴン大のオフェンシブコーディネーターを経て2016年にセントラルフロリダ大の監督に就任。そして昨年は同チームを全米で唯一の全勝チームにまで育て上げ、その手腕を買われて母校にヘッドコーチとして凱旋してきたのです。

もはや運命とも言えるフロスト監督のネブラスカ大帰還にファンたちは大いに盛り上がり、いよいよ古豪復活も夢ではないと大きな期待をフロスト監督に寄せました。そして先週の開幕戦、この日をネブラスカ州知事が「フロストデー」と命名して州を挙げて母校での監督デビューを祝いました。が、それも悪天候には勝てず試合はキャンセルに。ですからこのコロラド大戦がホームでフロスト監督初お目見えとなったのです。

「Sea of Red」とはよく言ったもので、ネブラスカ大のメモリアルスタジアムはチームカラーの真紅に染まり、「ゴールデンボーイ」の凱旋を歓迎しました。この雰囲気に飛び込んでいかなければならなかったコロラド大には同情しましたが、それに飲み込まれることなくコロラド大は予想以上に善戦しました。

第1Qに立て続けにコロラド大に点を奪われ14対0という嫌な滑り出しとなったネブラスカ大でしたが、第1Q終了間際にQBエイドリアン・マルティネス(Adrian Martinez)の41ヤードTDランが決まり、フロスト監督体制初得点にスタジアムは大歓声に包まれます。さらにネブラスカ大は第2Qにも二つのTDを奪って21対14と逆転に成功。出だしの心配をよそにファンは待ってましたとばかりに大盛り上がりを見せたのでした。

しかしコロラド大もただでは転ばず2つのFGで21対20と1点差まで詰め寄り試合展開を面白くします。第3Q後半にもお互いがTDを取り合って28対27とネブラスカ大の1点リードでいよいよ第4Qへ突入。

第4QではどちらのチームもFGを外したり、コロラド大の4thダウンコンバージョンが失敗したかと思えばその直後にマルティネスがINTパスを犯したりとどちらも追加点が奪えない展開が繰り広げられます。そして試合残り時間2分ほどで攻撃権を得たコロラド大が自陣23ヤード地点から最後のチャンスとばかりに攻撃開始。残り1分ほどになったところで3rd&19ヤードという絶体絶命のピンチに陥ったコロラド大はQBスティーヴン・モンテーズ(Steven Montez)のパスが不成功に終わり、いよいよコロラド大が追い詰められたかに思われましたが、ここでネブラスカ大ディフェンスにアンネサリーラフネスの反則が取られオートマティック1stダウンに。

これで息を吹き返したコロラド大はその直後にモンテーズからWRラヴィスカ・シェナウト(Laviska Shenault)への素晴らしい40ヤードパスTDが決まって残り時間1分6秒でコロラド大が33対28と大逆転。

ネブラスカ大も最後のチャンスとコロラド大陣内へ攻め込みますが、前のドライブでマルティネスが膝の怪我を負って退場を余儀なくされ、代わりに出場したウォークオン(スカラシップが授与されない選手のこと)QBのアンドリュー・バンチ(Andrew Bunch)に再逆転の望みが掛けられます。バンチも代役ながらなんとか頑張りましたが、コロラド大陣内20ヤードラインまで攻め込みながらあと一歩及ばず。コロラド大がこの激戦を制し、ネブラスカ大のフロスト監督のデビュー戦に水を差しました。

ネブラスカ大はオズボーン氏の後継者であり現在オハイオ大を指揮するフランク・ソリッチ(Frank Solich)元監督がチームを去って以来、十八番であるオプションフットボールを捨てましたが、その申し子とも言えたフロスト監督の操る今年のオフェンスにはその面影とも言えるスプレッドオプションを垣間見ることができ、まだトリプルオプションで頑張っていた2000年代前半の頃のネブラスカ大フットボールファンだった筆者にとっては非常に楽しめた試合でした。

またコロラド大のことは過小評価していましたが、非常にいいチームであったという印象も受けました。特にWRシェナウトのキャッチ能力は一見の価値ありだと思いますし、それはこの試合で177ヤードも稼いだことからもわかると思います。2016年にPac-12南地区を制した時はその年だけラッキーだったのかと思っていましたが、この試合を見る限りコロラド大の力は安定して上がってきていると見ました。

両校ともランキングもされていませんでしたが、実際に観戦した試合の中では前述のクレムソン大vsテキサスA&M大戦に勝るとも劣らない試合だったと思います。

 

The Rest of the Best

全米1位のアラバマ大アーカンソー州立大と対決。結果は語るまでもありませんが(57対7)、注目はやはり彼らのQBバトル。と言っても2戦目を前にニック・セイバン(Nick Saban)監督はトゥア・タガヴァイロア(Tua Tagovailoa)が先発として出場し、状況に応じてジェイレン・ハーツ(Jalen Hurts)の能力を使っていくと話していましたから、先発バトルには一応の決着は付いていたのですが。

この日のタガヴァイロアは228ヤードに4TDと活躍。何と言ってもこれまでのアラバマ大のQBと違って走ってもよし、投げても良しと言うタガヴァイロアはQBとしてハイズマントロフィー候補にも挙げられているほどです。今後もよほどのことがない限り彼がアラバマ大の先発QBとしてスナップを受け続けることでしょう。

また途中出場したハーツも9投中7回のパスを成功させて93ヤードに2TDという数字を残して存在感をアピールしました。一部の報道ではこのシーズンのプレー資格を放棄(レッドシャツ)してあと2年間のプレー資格を別の大学で使用するのではないかとも言われていますが、アラバマ大としては先発出場記録26勝2敗という貢献者であるハーツをぜひともチームにとどめておきたいところでしょう。

全米3位のジョージア大は24位のサウスカロライナ大へ乗り込みましたが、前半20対10とサウスカロライナ大が踏ん張るも後半に底力の差が大きく出てジョージア大が41対17で快勝。テネシー大とフロリダ大がまだ再建中であることもあり、SEC東地区でジョージア大が頭5個分ぐらい抜きん出ていることが明らかになったのでした。

しかしサウスカロライナ大のQBジェイク・ベントレー(Jake Bentley)はジョージア大の怒涛のプレッシャーに臆することなくポケットで冷静でいる姿を見せ、269ヤード(1TD)のパスを記録するなど高いポテンシャルを見せてくれました。ウィル・ムスチャンプ(Will Muschamp)監督指揮下確実に力をつけていることは明白です。

しかしそれでもジョージア大には刃が立たなかったことを考えるとそれほどにジョージア大のパワーが計り知れないものであるということになりそうです。

6位のオクラホマ大は元オレゴン大HCのチップ・ケリー(Chip Kelly)監督率いるUCLAと対決。オレゴン大時代にケリー監督は高速スプレッドオプションオフェンスを用いて一時代を築いた人物。その後NFLに活動の場を移すもパッとせず今季からカレッジフットボール界に復帰してUCLAの新監督に就任していました。

そのオフェンスの鬼才とも言えるケリー監督に対してオクラホマ大は49対21と快勝。ミシガン大からの転校生QBウィルトン・スピート(Wilton Spieght)が開幕戦で負傷したために代役として出場したドリアン・トンプソン・ロビンソン(Dorian Thompson-Robinson)は254ヤードの1TDと決して悪くない数字を残しましたが、チームが奪った14点は試合が既に決していた第4Qに記録されたもの。内容はオクラホマ大がUCLAを圧倒するものでした。

オクラホマ大は今季からQBベーカー・メイフィールド(Baker Mayfield)が不在となり、オフェンス力の低下が危惧されていましたが、今のところカイラー・マレー(Kyler Murray)がメイフィールドの穴を埋めるのに十二分な活躍を見せており、オフェンス力の低下の気配はありませんでした。

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しかし、この試合でRBロドニー・アンダーソン(Rodney Anderson)が膝に大怪我を負い、後日MRI検査で膝の靭帯断裂が判明。残念ながら今季の出場は絶望となってしまいました。昨年1000ヤード以上を足で稼ぎ13TDを奪ったアンダーソンの損失はオクラホマ大にとって大きな痛手となることでしょう。

ただアンダーソンの戦線離脱を加味しても現在のオクラホマ大の力は全米5本の指に入るものであり、今のところアンダーソンの抜けた穴を心配する必要はないのかもしれません。もちろんシーズン後半にさしかかり負けられない試合が続く頃にはどうなっているかは分かりませんが。

Blowout Wins

全米4位のオハイオ州立大は今季初のカンファレンス戦としてラトガース大をホームに迎え、52対3でこれを粉砕。相変わらずHCのアーバン・マイヤー(Urban Meyer)監督は謹慎中ですが、QBドウェイン・ハスキンズ(Dwayne Haskins)が23投中23回のパスを成功させ(87%の成功率)、パスヤードに4TDを奪う大活躍。ラトガース大は元オハイオ州立大のディフェンシブコーディネーターであるクリス・アシュ(Chris Ash)監督に率いられていますが、今のところオハイオ州立大と3戦して166対3という古巣に手も足も出ない状態。あまりにも一方的すぎて、オハイオ州立大の真の強さを計り知ることすらできない内容となってしまいました。

5位のウィスコンシン大は格下ニューメキシコ大と対戦し45対14で快勝。ハイズマントロフィー候補と謳われるRBジョナサン・テイラー(Jonathan Taylor)が33回のキャリーで253ヤードを足で奪う大活躍。ウィスコンシン大は2連勝中も何故かプレシーズンランクの4位から毎週1つずつランキングを落として最新ランキングでは6位に甘んじていますが、目が離せないチームです。

その他ではアーバン大がアラバマ州立大を63対9で、ワシントン大がノースダコタ大を45対3で、ルイジアナ州立大がサウスイースタンルイジアナ大を31対0で、バージニア工科大がウィリアム&マリー大を62対17で、ウエストバージニア大がヤングスタウン州立大を52対17で、マイアミ大がサヴァンナ州立大を77対0で、そしてオレゴン大がポートランド州立大62対14で勝利するなど、ランクチームが下部リーグであるFCSの所属チームをケチョンケチョンにするという試合が多く見られました。

また開幕戦でノートルダム大に敗れ21位にまでランクを落としていたミシガン大は格下ウエスタンミシガン大を相手に49対3で圧勝。ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督は何とか面子を保つことができました。

Record Broken

前週25位にランクインしていたフロリダ大ケンタッキー大と対戦。今年から元ミシシッピ州立大HCのダン・マレン(Dan Mullen)監督を迎え入れ、復活を画策するフロリダ大はケンタッキー大と対戦。フロリダ台はこれまでケンタッキー大戦で31連勝中と相性のいい対戦相手でした。最後にケンタッキー大がフロリダに勝ったのは1986年度シーズンだったらしいのですが、先週とうとうケンタッキー大が27対16でフロリダ大を下し連敗記録を31でストップ。ケンタッキー大にしてみれば待ちに待った白星でしたが、フロリダ大にしてみればマレン監督にとって非常に恥ずべき敗戦となってしまいました。

また先週FCSのニコールズ大にオーバータイムの末に26対23で足元をくじかれたカンザス大。今年からジェフ・ロング(Jeff Long)氏が体育局長となり、あとのないデヴィッド・べティ(David Beaty)監督にとって痛すぎる敗戦となってしまいました。しかし今週セントラルミシガン大へ遠征したカンザス大は31対7でアウェーでの大勝利。これでカンザス大はアウェーでの連敗記録を46でストップ。最後に敵地で白星をあげたのは2009年ということですから、いかに彼らがアウェー戦が苦手であったのかがお分かりになると思います。

 

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