プレーオフに進出するためには・・・

長いことカレッジフットボール界では「東海岸びいき(East Coast Bias)」の存在が指摘されてきました。それは東海岸チームのほうが西海岸チームよりもメディアの露出が増えるため、彼らの試合が多くのファンや専門家によって観戦されることによって彼らへの評価が西海岸チームよりも高くなりがちになる傾向のことを指しています。

それはひとえに東と西で存在する3時間の時差が理由です。プライムタイムのゲームは8時に放映されますが、これは東海岸時間なのです。もし西海岸で8時から試合が始まるとなると、東海岸では夜11時キックオフとなるため、西海岸以外の地域の人たちがその試合を目にするチャンスが極端に減ってしまいます。これがつづけば、いいチームが西海岸にいたとしても全米中が彼らの試合を見るチャンスが減り、結果としてカレッジフットボールプレーオフ(CFP)のファイナリストを決める際に印象が薄くなって不利になる可能性をひめています。

もっといえば最優秀個人賞であるハイズマントロフィーの投票においても西海岸出身の選手が不利であるという分析はあります。例えば2015年の受賞者はアラバマ大のRBデリック・ヘンリー(Derrick Henry)でしたが、この時彼と賞を争ったスタンフォード大クリスチャン・マカフリー(Christian McCaffery)は数字上のインパクトはヘンリーを上回っていたと言っても過言ではありませんでしたが、トロフィーを手にするには至りませんでした。この時囁かれたのもやはり「East Coast Bias」の存在でした。

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スタンフォード大で活躍したクリスチャン・マカフリー

つまり西海岸のチームにとって全米で認められてプレーオフに進出するには東海岸チームよりもさらに完全無欠の成績を残さなければならないという考えがあったりします。メディアの露出度が少ないためにチームの印象が他のチームよりも薄かったとしても、それに文句を言わせないほどの要素を持さなければならないということです。

西海岸チームと連呼していますが、簡単に言えばこれはPac-12カンファレンスチームのことを指しています。その中でも昨年カンファレンスを制したサザンカリフォルニア大はPac-12覇者であるにも関わらず、4チームのプレーオフに食い込むことが出来ませんでした。

CFP進出チームを決める時、彼らはすでに2敗を喫していたので彼らがプレーオフ進出を果たすのはほぼ不可能でしたが、今後悲願のナショナルチャンピオンを狙うにはまずはプレーオフに進出するのが大前提ですので、「East Coast Bias」に負けないような対策を取らなければならないと同校の体育局長、リン・スワン(Lynn Swann)氏は考えているようです。

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USCの体育局長、リン・スワン氏(左)とクレイ・ヘルトン監督(右)

同校出身のスターWRでピッツバーグ・スティーラーズでも活躍しカレッジ及びプロの殿堂入りも果たしているスワン氏は引退後30年間もアメリカの三大ネットワークの一つであるABCでスポーツキャスターとして活躍(幸運なことに私は一度スワン氏にお会いしたことがあります)。2006年以降は政界入りし、2016年からは母校のサザンカリフォルニア大の体育局長を務めている人物です。

そのスワン氏は母校がプレーオフに進出するためには自身のチームのスケジュールにも気を使わなければならないと考えています。

「時差のせいで東海岸の多くの人は我々の試合を目にすることが出来ないのが現状です。だからもしプレーオフに進出するためには私たちは厳しいマッチアップを組んでそれを勝ち抜く必要があるのです。そうしなければプレーオフの投票者たちが4つのチームを選ぶ時、Pac-12カンファレンスのチームは弾かれてしまいます。」とスワン氏はサザンカリフォルニア大並びにPac-12カンファレンスチームのスケジューリングが重要であると話しました。

CFPに進出するにあたり重要なポイントとして勝ち負けだけでなく「ストレングスオブスケジュール(SOS)」が大きな比重を秘めていることはこのサイトでも何度かお話してきました。SOSとはかいつまんで言えば対戦してきたチームがどれだけ強かったのか、ということを示すもので、当然ながら厳しい試合を乗り越えて白星を重ねたほうがその勝ち星の価値が重くなるのです。逆に言えば弱いチームとばかり試合をして全勝をしてもその価値は強いチームとばかり試合をしてきた1敗チームのそれを上回らないということにもなります。その犠牲者となったのは昨年のセントラルフロリダ大です。彼らは全米唯一の全勝チームとしてレギュラーシーズンを終えましたが、彼らのSOSが低いとされたため、プレーオフに進出はなりませんでした(パワー5チームしかプレーオフに進めないという暗黙の了解があるかどうかは別として)。

スワン氏は続けます。

「私たちは強いチームたちとの対戦をスケジュールに組み込まなければなりません。それらのチームに勝ってこそ我々の勝利がほんとうの意味で正当化されるのです。だから我々はテキサス大とも試合を組みましたし、ノートルダム大と引き続き対戦して彼らに勝つことが大事なのです。」

強豪チームと試合を組むことは確かにファンとしては歓迎すべきことですし、これがSOSの値を上げることになることは確かです。しかし必ずしもその試合で勝てるとは限りませんし、負ければ逆にプレーオフ進出へ不利な要素にしかなりません。またSOSだけがプレーオフ進出の必要条件ではないのも確かです。

過去2年間のCFPでは所属するカンファレンスのタイトルを取り損ねたチーム(2016年のオハイオ州立大、2017年のアラバマ大)がプレーオフに出場を果たしました。サザンカリフォルニア大は前述の通り2017年にPac-12カンファレンスの頂点に立ちはしましたが、2敗を喫したためプレーオフ進出候補にも挙げられることはありませんでした。

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昨年プレーオフに進めなかったUSCはコットンボウルでオハイオ州立大と対決

「選考委員会がSOSを重要視することはわかっています。彼らはそれぞれのチームがどのように試合に勝利してきたかも選考の要素に含めるのです。チームがカンファレンス内外でどれだけクオリティーの高い試合をこなしてきたかが重要になるわけで、選考要素が一つだけでないのは確かです。」とスワン氏は分析しています。

2014年から始まったCFPはこれまで4回行われてきましたが、サザンカリフォルニア大はいまだこれに参加したことがなく、しかもそのうち2回はPac-12所属チームはプレーオフ進出を逃しています。サザンカリフォルニア大は昨年のチームからQBサム・ダーノルド(Sam Darnold)、RBロナルド・ジョーンズ・II(Ronald Jones II)、LBウチェナ・ヌウォス(Uchenna Nwosu)らを失い、戦力の立て直しが急務です。3年目に突入するクレイ・ヘルトン(Clay Helton)監督の手腕に注目が集まります。

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