ストゥープス氏は完全引退か?

ストゥープス氏は完全引退か?

オクラホマ大ボブ・ストゥープス(Bob Stoops)氏がコーチングの世界から電撃引退してまだ日は浅いですが、未だにちょっと信じられないというのが本当のところです。まだ56歳とコーチ界ではまだまだ現役で、健康にも問題なく、オクラホマ大ではこれまで負け越したことは一度もない上にここ数年はナショナルタイトルをも狙えるチームを育て上げてきたことを考えれば当然です。

オクラホマ大のストゥープス監督が引退

オクラホマ大での数々の偉業

2000年にナショナルタイトル獲得、18年間で10度のBig 12カンファレンス優勝、トータルレコード190勝48敗という記録はストゥープス氏が将来殿堂入りすることをすでに確実なものにしています。しかしストゥープス氏の凄さは数字だけでは語りつくせないものがあります。

過去20年以上の間、カレッジフットボール界は様々な変化を遂げてきました。その一つにリクルーティングが挙げられます。かつて70年代から80年代に栄華を誇ったオクラホマ大もストゥープス氏が指揮を取る頃にはその強さは影を潜めていました。またその頃には近隣のテキサス大や西海岸チーム並びにサウスイースタンカンファレンスの列強チームがリクルーティングで頭二つ分ぐらい抜きん出ていました。しかしそんな中でもストゥープス氏率いるオクラホマ大はコンスタントに戦えるチームを毎年輩出してきたのです。

またテキサス大やネブラスカ大といったかつての強豪チームが近年苦戦を強いられる中、オクラホマ大は前述の通り10度のカンファレンスタイトルを獲得し、ストゥープス時代18年間全て勝ち越しという素晴らしい安定感を演出してきました。この安定感こそ彼が18年間もオクラホマ大の指揮を任せられてきた証拠です。

そしてディフェンス畑のストゥープス氏が時代の変化に合わせてスプレッドオフェンスをチームに導入したことも彼が常に戦術が流動的であるカレッジフットボール界でその都度時代に合わせてチームのスタイルを変化させられるという思考を持ち合わせていることを証明しています。これは容易なことではありません。

確かにナショナルタイトルは1つしか獲得できませんでしたが、だからと言ってストゥープス氏を排除せよという声は少なくともここ2〜3年は耳にしたことがありませんでした。

カンザス州立大でのトランスファーを巡る騒動

カンザス州立大でのトランスファーを巡る騒動

最近当サイトではアラバマ大ニック・セイバン(Nick Saban)監督、ミシガン大ジム・ハーボー(Jim Harbaugh)監督、フロリダアトランティック大レーン・キフィン(Lane Kiffin)監督と言った、おなじみの人物に混じってカンザス州立大ビル・シュナイダー(Bill Snyder)監督のことを取り上げる事がちょくちょくありました。それは個人的に彼のような昔気質のコーチが好きだということもあるのですが、今回は彼に関してちょっとネガティブなニュースを紹介しなければならなくなりました。

サットンのトランスファーがブロックされる

カンザス州立大では最近来シーズン2年生となるWRコーリー・サットン(Corey Sutton)がチームを脱退してトランスファー(転校)するという話が持ち上がっていました。選手がチームから出て行くという話は良く有る話ですが、なぜ話題になったのかと言うと、サットンが転校先でスカラシップ(スポーツ奨学金)を貰う為にはカンザス州立大からスカラシップをリリースされなければならないのですが、これをシュナイダー監督が頑に拒んだというのです。

シュナイダー監督がサットンをリリースしなかった理由は、サットンがカンザス州立大でスカラシップを受け取れるのは4年間チームでプレーすると約束したからであり、その約束を守らずにチームを出て行くのであれば、それなりの代償を支払わなければならない、ということらしいです。

シュナイダー監督の失言

フラストレーションが溜まったサットンはこの現状をツイッターで露わにし、それが元で全米のニュースとなったのですが、当初シュナイダー監督は彼の決断を変える事は有りませんでした。しかし後日のインタビューで彼はつい口を滑らせ、過去にサットンが薬物検査で2度も陽性反応を示していた、というかなりセンシティブなプライベートの情報を話してしまったのです。

紳士的で多くの人から尊敬されてきたシュナイダー監督ですが、さすがにこのコメントには批判が沸き起こってしまいました。いくらヘッドコーチでも薬物検査の結果のような情報を口にするのは一線を画している、と。

そもそもなぜサットンがトランスファーしようとしたかというと、彼がリクルートされて入学した時、WRコーチからサットンが1年目から試合に出場出来るとさんざん言われてきたにもかかわらず、いざシーズンが開幕するとこのコーチから『シュナイダー監督は1年生を試合に使いたがらない』と言われ、結局昨年度は10試合に途中出場するもたったの4捕球に留まりました。そしてサットンは「裏切られた」と感じ、カンザス州立大を出る覚悟を決めたのです。

サットンがリリースされる

結局このシュナイダー監督の失言により全米中で批判の声が高まった為、監督はすぐさまこの発言を謝罪。そしてサットンを正式にリリースする事を決めたのでした。

「コーリー、並びに彼の家族に対し、私が先日センシティブでプライベートな情報を発してしまったことをお詫び致します。私の発言は明らかに行き過ぎたものであり、大変後悔しております。」とはシュナイダー監督。

この様に選手がトランスファーを決めたのにも関わらず、所属チームがリリースしない為に転校先でスカラシップを授与されないというケースは珍しい事ではありません。ちょっと前にもマイアミ大で似たようなことが起きていましたから。

リクト監督の残念な方向転換

シュナイダー監督の視点

シュナイダー監督の視点

最近NCAAは高校生リクルートたちが通常の「ナショナルサイニングデー」よりも早い段階で進学先チームにサインしても良いと言うルールを新たに加えましたが、カンザス州立大ビル・シュナイダー(Bill Snyder)はこの決定に反対の意をを示しています。その理由が私が見落としていたものであったのでここで紹介しておきたいと思います。

NCAAの新ルール

咽頭がんのシュナイダー監督、現役続行

咽頭がんのシュナイダー監督、現役続行

現在最年長(77歳)ながら現役で監督を務めているのがカンザス州立大ビル・シュナイダー(Bill Snyder)監督。1989年にカンザス州立大のヘッドコーチに就任して以来、当時カレッジフットボール界でお荷物だった同チームを常に勝利を狙えるチームに立て直してきました。最優秀監督賞も複数回、そして2015年にはカレッジフットボールの殿堂入りを果たし、名実ともにカレッジフットボール界を代表する監督となったのです。

まだやり残した仕事があった?

まだやり残した仕事があった?

まだやり残した仕事があった?

NCAA一部、いわゆるフットボールボウルサブディビジョン(FBS)はカレッジフットボールの頂点に立つリーグの集まりです。その中でも近年は「パワー5」カンファレンスと「グループオブ5」カンファレンスとで格付けされています。「パワー5」とはアトランティックコーストカンファンレス(ACC)、Big TenカンファレンスBig 12カンファレンスPac-12カンファレンスサウスイースタンカンファレンス(SEC)の5カンファレンスを指します。その他の「中堅」とされるチームが所属するカンファレンスをまとめて「グループオブ5」、要するに「パワー5じゃない奴ら」というラベルを貼っています。

選手達は一度進学する大学を決めて入学したら転校でもしない限り3年から5年間の間同じチームに居続けることになります。一方コーチたちはと言えば一概に選手達と同じとはいえません。

「パワー5」のチームの監督になることが出来れば、「パワー5」の中でもさらに強豪とされるチームからお誘いが無い限りその監督の座を出来るだけ長く守りたいと思うでしょう。一方「グループオブ5」のチームの監督であれば、頑張ってチームを強くして名を挙げ、いずれは「パワー5」の監督にヘッドハントされるのを夢見ているに違いありません。

そのようにして毎年のように監督が辞めさせられては新しい監督がまた別のところから来たり、「グループオブ5」で大成功を収めたチームではその手腕を買われ監督が「パワー5」チームに引き抜かれていく、という事も多々あるのです。

一度辞めた後再び同じチームに復帰した監督達

普通監督が辞めていけば、惜しまれつつ辞めたとしても、再びその監督が同じチームに復帰する事はあまりありません。しかし辞め方がどうであれ、昔去っていった監督が時を経て再び同じチームに戻ってくるというケースも稀ではありますが、あるにはあります。

今回はそんな「一度辞めたのにまた同じチームに戻ってきた」珍しい監督さんたちを紹介したいと思います。

ビル・シュナイダー(カンザス州立大)

現在77歳のビル・シュナイダー(Bill Snyder)監督は1989年から2005年までカンザス州立大を率い、2005年度シーズンを最後にコーチングから引退していました。

1989年にシュナイダー監督が引き継いだカンザス州立大は、1986年から1988年まで続いた27試合連続敗戦記録を樹立した、カレッジフットボール界でもお荷物的存在でした。そんな誰も引き受けたがらないようなチームをシュナイダー監督は瞬く間に勝利を狙えるチームに変貌させ、二桁勝利シーズン7度、Big 12カンファレンス優勝1度(2003年)、カンファレンスディビジョン優勝4度と、シュナイダー監督のもとカンザス州立大は弱小チームから強豪チームに見事生まれ変わったのです。

2005年度シーズン後に引退して現場を退きましたが、後任のロン・プリンス(Ron Prince)氏が苦戦しチームは下降線を辿っていきます(もっともシュナイダー監督の最後2年も成績は下向きでしたが)。結局3シーズンでプリンス氏は解雇。そしてその後釜としてシュナイダー監督復帰が発表されたのです。

老兵は死なず、とばかりにシュナイダー監督は2009年から現在まで負け越したのは2015年のたった1シーズン。2012年には再びカンファレンスタイトルを獲得し、2017年現在も現役を続けています。あのオクラホマ大の名将、バリー・スウィッツアー(Barry Switzer)氏に「今世紀最高の監督」と言わしめたシュナイダー監督。彼のような「古き良き時代」を知る監督がまだ現役でいてくれる事はカレッジフットボールファンとしては嬉しい限りです。