SECメディアデー:リキャップ①

今週7月10日から4日間アラバマ州フーバー市で行われたサウスイースタンカンファレンス(SEC)のメディアデー。これは各チームのヘッドコーチ及び選ばれた選手たちが所信表明したり、記者からの質問に答えたりするイベントで、毎年プレシーズン前のこの時期に行われます。SECのメディアデーはカンファレンスの注目度からも多くの関心を引き寄せ、記者やファンたちはここでの監督たちの発言から来たるシーズンに思いを馳せるのです。

それでは今年行われたSECメディアデーの様子をかいつまんでご紹介したいと思います。

SECコミッショナーの話

今期三期目を迎えるコミッショナーのグレッグ・サンキー氏はメディアデーの冒頭でカレッジフットボールに関するいくつかのトピックに触れました。その中の一つが選手のトランスファー(転校)に関するものでした。現在選手がトランスファーをして別のチームでもスカラシップ(スポーツ奨学金)を受け取るためには、転校元のチームから許可を得なければならないのですが、この図式は変えなければならないとサンキー氏は話しました。選手がチームを去ることに対し制限を設けるべきではない、ということです。

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また別のトピックとしてはシーズンを14週間とすべきかどうか、ということも話題に上がりました。これはこのサイトでも少しご紹介しましたが、現行の13週間シーズンから14週間シーズンに拡張することで各チームのスケジュールにいくばくかの融通が効くことになるのです。サンキー氏はこれに対し反対する理由はないが、新たに1週間の活動可能期間を与えることで、それを2つ目のバイウィーク(試合がない週)に使用するチームもあれば、シーズンを1週間前倒しにするチームも出てくる可能性もあり、SECがこれを導入するには時期相応だと話していました。

さらに昨年ハリケーンマシューの到来で延期となったフロリダ大ルイジアナ州立大戦の振替試合の件で起きたいざこざについてや、カンファレンスの地区の所属メンバーをシャッフルする可能性についても少し触れました。ハリケーンマシューの際には振替開催日及び開催地を巡ってフロリダ大とルイジアナ州立大が対立し、開催不可能の危機にも陥りましたが、これはこのような稀なケースに対応するルールが設定されなかったからです。今後はこのような場合にはコミッショナーに絶対的な権限が与えられるようにルールが改正されました。また地区メンバーの入れ替えに関してはアーバン大の関係者からそのような話が持ち上がったこともありましたが、サンキー氏は今の所そのつもりはない、ということでした。

アーカンソー大

今季5シーズン目を迎えるブレット・ビルマ(Bret Bielema)監督は全チームであるウィスコンシン大で2010年から2012年までBig Tenカンファレンスタイトルを3連覇した実績を買われてアーカンソー大へやってきました。しかしウィスコンシン大での7年間の通算成績が68勝24敗であったのに対しアーカンソー大での4年間では25勝26敗と負け越しています。明らかにアーカンソー大側の思惑からは外れてしまっているわけですが、今の所体育局長のジェフ・ロング氏からは完全にチームを任されている模様。ただビルマ監督自身も昨年の7勝6敗(カンファレンス戦は3勝6敗)という不甲斐ない成績に関してはその非を認める発言をしていました。

ルイジアナ州立大

昨年シーズン途中から臨時コーチとしてチームを率い、最終的に成績な監督に昇格したエド・オルジェロン(Ed Orgeron)監督。彼は2005年から2007年までミシシッピ大の監督を務めていたこともあり、SECメディアデーには10年ぶりの登場となりました。

10歳の時からルイジアナ州立大のファンだったオルジェロン氏にとって同チームでヘッドコーチとなったのは夢のまた夢だったということですが、彼はミシシッピ大時代と今を比べてこう話しました。

「私はミシシッピ大ではリクルーティングは良好ではありましたが、チームを去ることになった時に自らを省みて、なぜ私はミシシッピ大で成功できなかったのかを自分に問いました。そして自分にはまだ変えなければならない部分があると気づいたのです。

そして私は自分の子供に接するのと同じようにチームに接しようと考えを改めました。そして自分の元で働いてくれるコーチたちにも敬意を持って接しようと。私がしゃしゃり出るのではなく、彼らが彼らのやりたいように選手に指導させようと考えるようになったのです。それがかつての私と今の私の違いです。」

またオルジェロン監督は2年連続でチームに全米トップクラスのRBを擁することになります。昨年はレナード・フォーネット(Leonard Fournette)、そしてその後継者のデリウス・ギース(Derius Guise)が今年の主戦力となります。オルジェロン監督は新オフェンシブコーディネーターのマット・カナダ(Matt Canada)氏の下、ギースはさらに腕を磨きSECの対戦相手ディフェンスの脅威になるだろうと予測しています。

テネシー大

昨年のテネシー大はプレシーズンランキングで10位入りを果たし、就任4年目となったブッチ・ジョーンズ(Butch Jones)監督にとってもいよいよ花が咲くシーズンとなるかと思われましたが、序盤から出入りの激しい試合を繰り返し、9勝4敗と数字だけ見れば良いもののカンファレンス戦は4勝4敗、しかも東地区を制するチャンスがあったものをそれをことごとく取り逃がし、ファンの絶望感と怒りは増すばかりでした。

しかしジョーンズ監督自身は昨シーズンのテネシー大を賞賛する言葉を発していました。テネシー大はSEC内でも3つしかいない9勝を挙げたチームであるとか、それを自身は2年連続達成したとか・・・。昨シーズンのチームは目標を達成することはできなかったが、決して失敗したチームではなかったとも言っていました。

「我々の目標は常にチャンピオンシップを勝ち取ることであり、そのために試合に勝利し続けることです。それを踏まえれば昨年度が残念な年だったかどうかと聞かれれば私は違うと答えます。また我々が目指していた目標を達成できたかどうかを問われれば、もちそんそれはできなかったと答えます。我々は昨年度から何がうまくいって何が上手くいかなかったかを検証し、次に繋げる必要があります。

この世界は結果が全てです。そして我々は目指すものに手が届かなかった。しかしだからと言って私は「Disappointment(残念な)」という単語を用いたくはないのです。なぜならこのカンファレンスで勝つことは容易いことではありませんし、そのカンファレンスで9勝以上を挙げられたのは我々を含め3チームしかなかったのですから。」

ジョーンズ監督の言っていることも非常にわかるのですが、テネシー大ファンがこれを納得して聞けるかどうかはわかりません。彼らは1998年度以来のナショナルチャンピオンを夢見続けてそろそろ20年が経とうとしています。9勝挙げても地区制覇もできなければ彼らの堪忍袋の緒も切れるというものです。

ジョージア大

ジョージア大で2シーズン目を迎えるカービー・スマート(Kirby Smart)監督に寄せられる期待は昨年よりも大きくなるでしょうし、彼自身もそれを十分熟知しているようです。まずは2012年度以来成し遂げられていない東地区のタイトル獲りがシーズンを評価する上で最低限の目標となるでしょう。

昨年度8勝5敗としSECでのルーキーコーチとしては及第点をあげられる数字は残しました。そして2017年度はRBニック・チャブ(Nick Chubb)とソニー・マイケル(Sony Michel)という全米トップクラスのRBデュオと全米屈指の若きQBジェコブ・イーソン(Jacob Eason)などを擁するオフェンスと10人の先発メンバーが健在ということもあり、ジョージア大の東地区レースの前評判では非常に高いです。

「我々の選手たちは毎試合勝つことが当たり前であるというメンタリティーをすでに備えています。そうでない選手は我々のチームには必要がないのですから。我々は彼らにそのようなメンタリティーを要求し、それが選手一人一人に自分がどう振る舞わなけれならないか、そしてどのようにフィールド上でプレーすべきかを考えさせ、それがそのままそのチームの色として現れるものです。昨年はフィールド上で我々は自分たちの持っている力を発揮するすることができませんでした。これは今後も我々の課題となる部分です。」とカービー監督はチームを分析しています。

彼らがSECのトップに立つにはやはりQBイーソンの活躍が昨年以上に求められます。若干2年生のイーソンにとってチャブとマイケルといった1000ヤード級のRBを2人も擁するのは大変心強いです。2017年度のチームを生かすも殺すもイーソンの肩にかかっているとカービー監督は感じているようです。

「ジェコブがパスオフェンスでその能力を発揮してニック(チャブ)とソニー(マイケル)への道を開けて欲しいと考えています。(NFL入りを蹴って)二人がチームに戻ってきたのはそれが期待できると確信したからです。ジェコブの肩で二人の走るスペースをこじ開けるということです。」

それにはまず彼のパス成功率を向上させる必要があります。昨年度の成功率は55%といささか物足りない数字でした。これがグッと高まってくるとカービー監督のいうような2人の地上戦力が最大限生かされることになり、それが自ずと試合結果に現れてくるでしょう。

フロリダ大

フロリダ大には先日ノートルダム大からQBマリク・ザイール(Malik Zaire)が転校してきたばかりですが、やはりメディアデーでのフロリダ大への関心は「誰が先発QBになるか」の一点でした。ノートルダム大ではフルシーズン先発を務めたことはありませんでしたが、ザイールの能力、そして経験値は見逃すことはできません。フロリダ大では彼が先発QBを他のQBたちから奪い取ると考える人も多いですが・・・。

「我々は常々選手たちを競争させるようなシチュエーションを作り出してきました。究極的に言えばこれはカレッジフットボールに限らずどの世界でも共通して言えることで、真の競争があるからこそ素晴らしいものが生まれるのです。我々はマリクが合流してくれたことを非常に嬉しく感じています。これでようやくQB陣の頭数が揃い、オプションが増えました。これは非常にいいことです。」とはジム・マクエルウェイン(Jim McElwain)監督。

昨年の先発QBルーク・デル・リオ(Luke Del Rio)はオフ中に肩の手術を受け、春季トレーニングに参加できませんでした。その間フィリペ・フランクス(Feleipe Franks)が次期先発QBへ近づいたと思われていましたが、つい先月ザイールがフロリダ大入りしたことで状況が変わってきました。マクエルウェイン監督は今の所誰が先発QBになるかは明言していませんからプレシーズンキャンプが始まれば自ずと誰がチームの先発QBの座を射止めることになるのかが最大の焦点となることでしょう。